オレが目指した最強のゴンさん   作:pin

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第52話 別れと新たな出会い

 

 

 皆さんこんにちは、一応表のオークションに参加してグリードアイランドの競りを見学したゴン・フリークスです。ミルキさんに気づいたキルアがなんか会話してたけど、何の話をしてたのかな?

 

 

 

 

 

 世界長者番付にも堂々と名を連ねる大富豪バッテラ。

 ハンターが作った謎多きゲームであるグリードアイランドを多額の金銭を使って狂ったように集める様は異様なほどであり、個人資産の大半を注ぎ込む老人として表世界でかなり名が知られている。

 ある願いを叶えるために惜しくもない財産を注ぎ続け、今日も新たにプレイヤーが参入可能な品を競り落とした彼のことをサングラスをかけた青年が呼び止めた。

 

「失礼、バッテラ氏で間違いないですな? オレはレオリオって者なんだが少し話を出来ないか?」

 

 一見するとそこらのチンピラのような佇まいにも関わらず、何故かその視線や声に多大な安心感を得てしまい思わず頷きそうになる。

 しかし答えようとしたバッテラを制し、髪を撫で付け髭を蓄えた大柄な男が一歩進み出る。

 

「ほぅ、君がかの幻影旅団を捕縛したメンバーの一人か、確かに良いオーラをしている。私はツェズゲラ、君と同じハンターだ」

 

 バッテラの代わりに前に出たのは、プロハンターに加えて一つ星(シングル)の称号を持つツェズゲラ。

 シングルの肩書に加えてバッテラが雇った者の中で最もクリアに近いことで多大な信頼を得ており、今回のように護衛も兼任したりオークション後の新規プレイヤー選考も任されている。

 

「よろしく頼むぜツェズゲラの旦那。割り込んできたならあんたに聞くが、どうやったらグリードアイランドをプレイさせてもらえる? こっちの都合で悪いが4人、…5人? ほどプレイしたいんだが」

 

 何故か歯切れは悪いがこうして直接尋ねに来る行動力があり、前に出たツェズゲラに気を害することもなく交渉をする程度には人格面も問題ないとバッテラは判断する。

 視線で発言の許可を求めるツェズゲラを手で制し、自分の口からグリードアイランドをプレイするための条件を説明する。

 

「オークションに出品されるグリードアイランドを買い占めた後、このツェズゲラが責任者となって選考会を行う。君達が相応の実力を持つのなら全員プレイヤーとして歓迎しよう」

 

「なるほど、正確な日時の発表はあるんだよな? それまではゆっくりさせてもらうわ」

 

 別れの挨拶と時間を取らせたことに対する謝罪と感謝を伝えたレオリオがあっさりと立ち去り、その背を見送ったバッテラは見た目はともかくできた青年だと感心していると厳しい顔をしたツェズゲラが目に入る。

 

「どうした? 彼について知っているようだったが悪評でもあるのか?」

 

「いえ、正直なところを言いますと強力なライバルが出てきたと思ったまでです。表の人間とはいえバッテラ殿も先日マフィアが幻影旅団と戦闘を行ったのはご存知では?」

 

「うむ、確かに聞いている。先程の彼もその件に関わっているのかね?」

 

「むしろ中心人物の一人です。おそらく彼も今や私と同じシングルハンターだと思われます」

 

 ツェズゲラの説明に感心したようにレオリオの去った方向を眺めたバッテラは、挑発的に笑いながら付き合いの長くなったお抱えハンターに問いかける。

 

「それはつまり、グリードアイランドをクリアするのは彼等だと言うことか?」

 

 その表情はクリアまでの時間が短縮されるならそれも構わないと暗に告げており、その意を正しく理解したツェズゲラもまた不敵な笑みで答える。

 

「御冗談を、強さだけでクリア出来るなら今までに何人もクリアしています。史上初のクリアを成し遂げるのは、この私のチームです」

 

 バッテラは自信を持って断言するツェズゲラを見て満足そうに頷くと、他の護衛も引き連れて滞在するホテルへと向かう。

 

(ツェズゲラは信用に値する。あと少し、あと少しだけ耐えてくれ)

 

 周囲からは常に堂々とした経営者としか見られないバッテラだが、その胸中は今にも崩れ落ちそうな不安と恐怖に苛まれている。

 

(彼等が、私がきっと助けてみせる)

 

 バッテラの知名度が上がるとともに値上がり続けるグリードアイランドを掻き集めながら、惜しくもない財産を湯水のようにばら撒き続ける。

 

(必ず、必ず共に歩む未来をこの手に!)

 

 全てはただ一つ、溢れんばかりの愛故に。

 

 

 

 

 

 ノストラードファミリーが拠点としていたホテルのロビーで、ゴン一行とノストラードの面々が最後の交流を行っていた。

 各々が簡単に別れの挨拶や再会の約束をする中、誰よりも別れを惜しむネオンが小さくなったゴンに頬ずりしながら駄々をこねていた。

 

「うぅ〜、絶対、絶対会いに来てよゴンちゃん。まだまだ着せたい服いっぱいあるんだから!」

 

「たぶん次に会う時は元に戻ってるんだけど、ネオンさんまたね、短い間だったけど楽しかったよ」

 

「…うぇ〜ん、やっぱり連れて行く〜、ちゃんとお世話するから〜」

 

「お嬢様、飛行船の時間も迫っているので行きますよ」

 

「ゴンちゃ〜ん、ギンちゃ〜ん、クラピカ〜、チビゴリラ〜、またね〜」

 

「レオリオとまとめるんじゃねえよ」

 

 ネオンの狙っていたオークションが全て終了した翌日、ノストラードファミリーはヨークシンシティから本拠地のある街へと帰還する準備に追われていた。

 グリードアイランドのために残るゴン達と別れることに駄々をこねるネオンが侍女達に引き摺られていき、護衛団の中で特に付き合いの濃かったスクワラとセンリツも別れを惜しんだ。

 そして最後にライト・ノストラードとダルツォルネが残り、改めて感謝を告げるとこれからのことについて話す。

 

「ノストラードファミリーはクラピカ君の忠告を聞きいれ、表の世界へと勢力を伸ばすことにする。裏での勢力拡大はいらぬ反感を買うだけのようだからな」

 

 ネオンという超級の手札を持ちながら平凡かつ思慮深さに欠けるライトを見かねたクラピカの助言、マフィアの体裁は保ちながらも表の有力者にコネクションを広げるべきという忠告をライトは聞き入れた。

 幻影旅団との決戦を見て自分の理解を遥かに超える世界があることを知り、同じく自分達の力不足を実感したダルツォルネの働きかけもあって割と素直に受け入れていた。

 

「それがいい。ネオンの力は権力者なら誰もが欲しがるもの故、ある程度噂が広がれば互いに牽制し合ってネオンの身の安全を勝手に守ってくれるはずだ」

 

「うむ、それに加えて心源流に口添えしてくれたことも感謝する。費用はそれなりにかかりそうだが、ダルツォルネ達が少しでも力を付けられるなら安いものだ」

 

 ゴン達はミザイストムが立ち去った後に改めてウイングに連絡を取っており、修行をつけてくれたことへの感謝とシングル獲得の報告を行っていた。

 その折にノストラードファミリーの世話になったことと、ダルツォルネ達の大体の強さを伝えた上で心源流から講師を派遣できないか打診していた。

 結果としてセンリツと護衛団の同期にバショウというプロハンターが所属していることもあり、特に問題なく講師が派遣される手筈となっていた。

 

「今回のことはノストラードにとって最高の結果となった。緋の眼に関しては全力で取り組むことを約束させてもらうから、たまにはネオンに顔を見せてくれると助かる」

 

「私からも最大限の感謝を。緋の眼については無理だけはしないでくれ、無理やり奪うのもノストラードの手に負えない相手に手を出すのもな」

 

「心得た」

 

 ライトは最後にギン含めたゴン達全員と握手をすると、ダルツォルネに集合写真を撮ってもらって満面の笑みでネオン達の後を追う。

 苦笑いしたダルツォルネが軽く手を上げてそれに付いていくと、数日ながら濃密な付き合いだったこともあり一気に静けさが押し寄せる。

 

「これでガキの世話しなくていいわけだ、全く清々するね」

 

「キルアも結構楽しんでたくせに、ギンもスクワラさんの犬達がいなくなって寂しくなるね」

 

「ぐまっ」

 

「けどこれでやっと本来のメンバーに戻ったね♥次はグリードアイランドって言ってたけど伝手は出来たのかい?」

 

 気付けばゴンの横に立っていたヒソカに全員が肩を跳ねさせ、小さくなったゴンを引き離すと視線を遮るように後ろへまわす。

 

「ひどいなぁ、そんな姿のゴンを襲うわけないじゃないか♣まぁ、それはそれですごく唆られるけどね♥」

 

「くっ、わかってはいたが何と教育に悪い男だ。イルミやクロロのことがなければ遠慮なく叩きのめしたものを」

 

「おい変態、クソ兄貴はどうした? オレがぶちのめす分くらいは残してあるんだろうな」

 

 舌舐めずりする姿に全員が鳥肌を立てて戦慄しながらも、キルアが最も気にする人物の現状を説明しろと問いかける。

 

「んー? イルミは普通に元気だよ♦クロロの財産から依頼料作るのを手伝ってきたんだけど、キルアが針抜いたの悔しそうにしてた♣あと伝言、連れ出す気なら殺す覚悟で来いってさ♥」

 

「ちっ、やっぱり先ずは強くなるしかねえか。ゴン、後で話がある。もしかしたらオレは別行動に、「そおい!」っあだ!?」

 

 ヒソカからイルミの伝言を聞いたキルアが何やら決意を固めた顔で喋るのを、黙って聞いていたレオリオが脳天チョップで止める。

 

「おいおいキルア、やーっとクラピカの思春期が終わったと思ったら今度はお前か? 仲間だろ、勝手に行こうとすんな、特にゴンがお前を逃さねえよ」

 

「こんななりだけどさ、体が慣れたのか強化率は160%で問題ない。今のキルアを掴んで離さないくらいは余裕だよ」

 

「私のこれからはお前達のために使いたい、たとえ危険が伴うとしても仲間外れにしないでくれ」

 

「ぐまっ!」

 

 レオリオを筆頭に意地でも孤独にはしないと宣言するゴン達に見つめられ、バツが悪そうに頭をかいたキルアは特大のため息を吐くと若干赤くなりながら笑う。

 

「クラピカもこんな気持ちだったのか? ったく、なら覚悟して付いてこいよ、ゾルディックは幻影旅団よりやばい戦闘集団だからな」

 

 照れ隠しかさっさと一人でホテルのロビーから出て滞在するホテルに向かうキルアと、それを追うゴン達を一歩後ろから楽しそうに眺めるヒソカ。

 明日開催されると発表のあったグリードアイランド参加プレイヤーの選考会に向け、対策を話し合うべく急ぎホテルへと戻るのだった。

 

 

 

 

 

 選考会の話し合いは特に問題なく終了したが、その後のキルアとゾルディック家の問題に時間が取られ大分夜もふけてしまっていた。

 キルアの口から説明されたゾルディックのトップシークレット、キルアの妹にして謎多き存在であるアルカとナニカ。

 生まれ付いての念能力者であり規格外の力を持つ家族のことを、イルミの呪縛から解放されたことで思い出したキルアは必ず連れ出すと決めていた。

 

「なんでも叶う願いと引き継がれる多大な代償か、ゾルディックすら持て余す規格外さとは想像すら出来ないな」

 

「けどアルカもナニカも大事な家族なんだ、できるだけ早く迎えに行ってやりたい」

 

「そうなるとゾルディック家と全面戦争だろ? 正直なところ幻影旅団よりきつい相手ならオレ等じゃどうしようもなくねえか」

 

「だからオレ一人で行くって言ってんじゃん。身内のゴタゴタなら向こうも本気で来ないけどお前等はマジで危険なんだよ」

 

「うーん、せめてキルアが単独でイルミさんとかとやりあえるなら一人で行かせられるんだけどなぁ」

 

 お互いの主張が平行線をたどる中、呑気にトランプタワーを作るヒソカは優先事項としてキルアの強化が必要だと言うと同時にある問題点を指摘する。

 

「ゴンはもちろんだけど、そもそも君達を鍛えられる存在に見当がつかないんだよね♣念や戦闘技術に対する恐ろしく高い理解力と指導力、それを持ち得ながら君達よりも強いとなると、ボクはもうネテロ会長くらいしか思い付かないよ♦」

 

 ゴン達は既にシングルハンターとして通用する実力を持つと同時に、それぞれが得意の分野で突出した能力を有している。

 それぞれの分野の専門家に教えを乞うならまだしも、まとめて面倒を見て全員の実力を底上げ出来る存在などいるかどうかすら怪しいレベルだとヒソカは言う。

 

「ボクも聞いたことのあるジン・フリークスが作ったゲームは気になるけどさ、強くなるのを優先するなら心源流の総本山に行くしかないと思うよ♦まぁ明日の選考会を受けてゲームの説明を受けてから決めても良いんじゃないかと思うけど♣」

 

「ヒソカが出したのが一番まともな案というのは釈然としないが、私としてもそれがベストだと思うぞ。キルアも焦る気持ちは痛いほどよくわかるが、悲願を成し遂げた身から言わせてもらえば少し急ぎ過ぎだ」

 

 ヒソカの案とクラピカからの助言にしばらく目を閉じて考えたキルアは、一度大きく息を吐いて頷くとすぐさまアルカとナニカを迎えには行かないことを決断する。

 

「これでとりあえず決めることはなくなったか。てかヒソカ腕はどうしたんだよ、オレはてっきり持ち帰ると思ってそういう治療をしたんだが」

 

「あれはイルミにあげるって言ったからね、こうして伸縮自在の愛(バンジーガム)薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)で前より良い腕も出来たし♦」

 

「だとしてもそれなりの処置があるんだよ、肘は残すんだよな? ちゃんと処置するからオーラ止めてくれ」

 

「ありがとう♥」

 

 話し合いも終わったと各々気が緩んだのを待っていたかのように、ホテルの一室に来客を告げるベルが鳴らされる。

 誰もルームサービスは頼んでいないと不思議に思う中、ヒソカを治療中のレオリオに代わりクラピカが対応に出る。

 

「…? どちら様かな? おそらく部屋を間違えていると思うが、お嬢さんの部屋番号は何番だい?」

 

 部屋の外にいたのは長い金髪をツインテールにした、ピンクのゴスロリファッションに身を包む女の子。

 ゴンやキルアとそう変わらない年頃に見える可憐な少女に目線を合わせて優しく問いかけたクラピカだったが、突如として警鐘を鳴らした第六感に従い全力のバックステップで距離を取る。

 かなりの勢いで部屋の中央に転がり込んだクラピカに目を剥くゴン達が部屋の入口に目をやると、丁度クラピカの顔があった位置を手袋に包まれた拳で突いた格好の少女がいた。

 

「なるほど、ウイングの言った通り素晴らしい原石だわさ。聞いてた以上に感じるのは幻影旅団を狩って一皮剥けたからかしら?」

 

 注目を浴びながらも実に堂々とした足取りで室内へと入ってきた少女から、幻影旅団すら超えるほどのオーラが溢れゴン達を鋭く見据える。

 

「喜びなさい、条件さえ飲めばあたしがあんた達を更に上のレベルに引き上げるわさ」

 

 見た目からは想像も出来ないが、彼女こそ女性ハンターどころかハンター全体で最上位に君臨する女傑。

 

「この心源流師範にして二つ星(ダブル)ハンター、ビスケット・クルーガー様にまっかせなさい!!」

 

 ネテロの直弟子にして世界最強の一角、ゴン以上の筋肉詐欺がヨークシンシティに降臨した。

 

 

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