オレが目指した最強のゴンさん   作:pin

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第54話 ゲーム開始とえげつねぇ出会い

 

 

 皆さんこんにちは、無事グリードアイランドに到着したゴン・フリークスです。ギンのこともあって順番を最後にしてもらったおかげで、エレナさんイータさんと少しお話しすることが出来ました。

 

 

 

 

 

 グリードアイランドのプレイヤー選考会は、最終的に20名の合格者を出して終了した。

 ツェズゲラとしても量と質の両方が満足いく結果であり、特に質に関して言えばやりすぎたと思うほどだった。

 それでも忖度なくゴン達を合格させたのは、いくら実力があろうが自分のほうが先にクリアできるという自負と、雇い主であるバッテラの意向を正しく理解しているからである。

 

「これから全員グリードアイランドに入ってもらうわけだが、実のところ入り口は一人ずつしか入れない。よって入る順番を決めるが何か案はあるか?」

 

 ツェズゲラの説明に合格者の一人がじゃんけんを申し出ると、特に反対意見もなく決まるが唯一ゴンが口を開く。

 

「それならオレは一番最後がいいからじゃんけんには参加しないよ。当たり前だと思うけど入る順番で損得はないよね?」

 

「もちろんそんなものはない、平等にスタート地点に送られるだけさ。それは君が持つセーブデータに何が入っていようと変わらない」

 

 その後は誰の発言もなくじゃんけんで順番が決まると、キルア達も中で待ってると言ってグリードアイランドにとばされていく。

 そして最後に残ったゴンがもしギンだけ取り残されることがあったら単体で挑戦させるようツェズゲラに頼むと、ジンから残されたデータ入りの指輪を嵌めてゲーム機に手をかざす。

 練を行ったゴンにくっついていたギンも無事ゲーム内に入ったことを確認したツェズゲラは、ここまでのことを報告するためにバッテラの元へと向かった。

 

 

 無事ギンと共にグリードアイランドに入ったゴンは受付を務める女性エレナからゲームの説明とジンからのメッセージを聞くと、自分の順番が最後ということでジンのことを少し教えてほしいと懇願する。

 エレナとしても予想以上に小さいゴンと小動物のギンに目を輝かせ、出口の担当である双子のイータも呼んでしばしの雑談に興じた。

 もちろんグリードアイランドについてのヒントなどは一切なく、ほんの数分とはいえジンに対する怒涛の愚痴と悪口を吐き出した後、それでも色々と感謝していると言って会話を打ち切った。

 そしてゴンが電子世界のような部屋の最後の扉を開けると、目の前に広がったのは広大な草原と遠くに見える山々。

 

「おっ、やっと来やがったか。時間かかってるからギンにトラブルがあったんじゃねえかって心配してたんだが、その様子なら大丈夫だったんだな」

 

「うん、ちょっと受付の人に親父のことを聞いてたんだ。やっぱり一発殴らないといけないみたい」

 

「…まぁ、程々にな?」

 

 高床式の小屋の階段を降りると、そこにはレオリオしか待っておらずクラピカにキルア、そしてビスケの姿すらなかった。

 

「他の皆はどうしたの? ぱっと見近くにはいないけど」

 

「あー、それなんだがな」

 

 そして説明されたのは、キルアが別のプレイヤーに何らかの攻撃を受けたということ。

 何処からともなく飛んできたプレイヤーはその後直ぐに立ち去り、キルア達はその方向に向けて先に出発し一番遅いレオリオがゴンを待つ役目を負ったのだ。

 

「とりあえず身体的な異常は何もなかったんだがな、不覚を取ったのが悔しかったのかキルアが一目散に追いかけて行ってな。ビスケとクラピカはそのお守りだ」

 

「追い付ける感じだったの? ギン、オレとレオリオ運んでくれる?」

 

「ぐまっ!」

 

 圧縮を解いたギンがゴンとレオリオをその背に乗せると、聞くまでもなく匂いでキルア達が向かった方向に向けて駆け出す。

 

「そういやセーブデータには何が入ってたんだ? クリアのヒントとかか?」

 

「メッセージが入ってただけだったよ、自慢のゲームを楽しめってさ」

 

「なんだそれだけかよ、育児放棄してんだからもっとオマケしろよな」

 

「アハハッ、親父にそんな気遣いはないよ」

 

 その後ギンの速度でも追いつくことはなく、結局最初の街に到着したところで不貞腐れたキルアと合流することになる。

 懸賞都市アントキバ、グリードアイランド挑戦者の多くが最初に訪れるカード化されたゼニーを得る機会の豊富な都市である。

 クラピカとビスケは情報収集に行っており、冷静さを欠いたキルアの頭にはビスケの拳骨で出来たたんこぶが存在を主張していた。

 

「ちくしょう、クソ兄貴の針抜いたら抜いたで自制が利かなくなってやがる。今までと今のバランス取るのに苦労しそうだぜ」

 

「それ治したら文句言われそうだな、それとやっぱり体に問題はねえのか?」

 

「なぁーんもなし、てか冷静に考えればあんな簡単な攻撃? 呪文? で相手をどうこう出来たらゲームバランス崩壊しすぎだっての。天下の二つ星(ダブル)様がそんなお粗末なゲームは作んないでしょ」

 

 そしてしばらく待っていたゴン達のもとにクラピカとビスケが戻り、わかった限りのグリードアイランドの仕様を説明する。

 それはほぼ全てがカードによって管理されているということであり、金銭や日常雑貨はもちろん食事すらカードで保存可能ということ。

 ゲーム内では基本的にカードでやり取りを行い、カードには様々な効果のあるスペルカードがあるということ。

 

「ここらへんは全部別のプレイヤーが教えてくれたわさ。代わりに明日の昼頃に新規プレイヤーを集めて勧誘したいから集まって欲しいって」

 

「スペルカードも直接相手を害する効果のものはないと言っていたから、キルアも心配はいらない」

 

「心配なんかしてないっての、それで明日の昼まで何すんの?」

 

 そこからゴン一行はとりあえず簡単な金稼ぎとして、大食いや力比べ、迷子の探索などをこなして当面の資金を得た。

 その資金でホテルにチェックインすると、勧誘とこれからの修行の日程について話し合い早めに就寝する。

 

 夜のグリードアイランドで、人知れず闇が蠢いていた。

 

 

 

 翌朝引き続き周辺地理やゲームの仕様について情報収集をしていたゴン一行だったが、昼も近い時間に広場で人だかりを発見する。

 

 人々が遠巻きに見ているのは人間の死体。

 

 ゴン達も見覚えの有る選考会合格者の一人は、肉どころか内臓まで見えるほど腹部が損傷しており、傷の状態から爆発によって出来たものと推測出来た。

 やがて死体はゲーム内に入る時と同じように消え去り、凄惨な死体があったとは思えないきれいな広場へと戻る。

 顔をしかめるゴン達の耳に聞こえてくる“爆弾魔(ボマー)”と言う単語は、今回だけでなくすでに多くのプレイヤーを爆殺した殺人鬼の通り名である。

 

「新規プレイヤーには少し刺激が強すぎたかな? 今の惨劇が今回君達を勧誘する理由の一つだ」

 

 やや髪が長く無精ヒゲをはやした男が広場の注目を集めるようにして喋り始めると、勧誘の話を聞きに来たゴン達以外の新規プレイヤーも数名寄ってきて話を聞く。

 

「ゲームの仕様上の理由でプレイヤー人数を減らしたい者達がプレイヤーキラーを始めているのさ。そのせいで全体のクリアが遠ざかるという悪循環が起きている」

 

 グリードアイランドのクリアには100種類の指定ポケットカードを集める必要があり、それぞれのカードにはカード化出来る限度枚数が存在する。

 指定カード以外にも限度枚数が少なく有用なカードはいくつもあり、当たり前だが人が多ければ多いほどカードは分散する上そもそも手に入りにくくなる。

 

「特に相手のカードを奪う、または奪われるのを防ぐスペルカードは持っていなければクリアなど不可能なほどの必須カードだ。これらをいくつ所持しているかは、ある意味指定カードの所持数以上に重要となってくる」

 

 それらを踏まえた上で語られる、勧誘者の所属するグループであるハメ組の強み。

 

 それは人海戦術によるカードの独占。

 

「指定カードの一枚にまだ誰も手にしたことのない大天使の息吹というカードがあり、我々はそのカード入手に王手をかけている。断言させてもらうが、今ゲームクリアに最も近いのは我々だ!」

 

 人数が多いということはもちろん報酬も少なくなるが、そもそもクリア報酬が貰えないことにはなんの意味もない。

 

「今この場で決めてくれ、我々に協力するか否かを!」

 

 ゲーム開始直後ですでにクライマックスな現状に、一番ゲームにこだわりを持っていたキルアが盛大に舌打ちした。

 

 

 

 ゲーム開始早々他のプレイヤーから一方的に攻撃され、さらにはゲーマーとして看過できない手段を使うハメ組の存在は解放されたばかりのキルアの精神を非常に苛立たせていた。

 

「クソつまんねぇな畜生! あいつ等一番確実で一番面白くない攻略やってやがる、マジで皆殺しにでもしねえと時間の問題じゃねえか!!」

 

 絶叫して髪を掻きむしるキルアが危惧するように、ハメ組の勧誘を断って広場を後にしたゴン一行の初クリアは絶望的と言える。

 それでも勧誘を断ったのはハメ組に加担したところで旨みが少ないことと、最悪初クリアを逃しても問題ないと考えているからだった。

 

「まあもともとオレ等はゴンの付き添いだしよ、初クリアにこだわってるわけでもないからいいじゃねえか」

 

「ビスケも最悪望みの宝石が手に入ればいいのだろう? それなら我々は彼等の後にクリアすればいいだけだ」

 

「報酬はもちろん惜しいけど、それ以上にブループラネットの方が重要だわさ。とりあえずあんたらを鍛えながら、地道にカードを集めましょう」

 

 レオリオとクラピカが荒ぶるキルアをなだめるように説得すれば、続けてビスケもこれからのプランを提示してハメ組から意識をそらす。

 キルア自身どうしようもないと理解しているため、非常に不服そうながらこれからのことに目を向ける。

 

「いや、初クリアは目指そうよ。確かに厳しいけど無理とは思えない」

 

 全員がほぼ初クリアを諦めたところに、ゴンの自信に溢れた言葉が響いた。

 

「あの親父が作ったゲームだからね、ハメ組みたいな正攻法とは言えないやり方だと入手困難なカードを絶対用意してるはずだよ。それに10年以上クリアされてないってことは、正直ツェズゲラさん以前のプレイヤーに腕利きはいないと考えていいと思う」

 

 人伝とはいえ聞いてきたジンの人物像、それはどこまでも抜け目なく、嫌らしく、そしてこれ以上ないほどキレるということ。

 そんなジンがハメ組のやり方に対する対策を取っていないとは到底思えず、ここまでクリアされていないのはそもそもの実力不足が濃厚だとゴンは語った。

 さらにはバッテラのツェズゲラに対する絶大な信頼を見るに、間違いなくかなりのペースで攻略を進めていることがわかると続ける。

 

「勘だけどさ、実力的に見て一番の障害になるのはツェズゲラさんだよ。そうなると始めたばかりのオレ達でもきっとチャンスはある、だから修行しながらでも初クリアは目指そうよ!」

 

 満面の笑みで締め括ったゴンを見て、最初にビスケが耐えられないとばかりに笑いだし、最終的に全員が楽しそうに笑う。

 

「嫌だわ嫌だわ、年取るとすぐに諦めグセがついちゃって。全部ゴンの言う通りだわさ、少ないとしても勝ちの目は確実にあるわさ!」

 

「どうかしてたなぁ、500億だぜ!? 素直に諦めていい金額じゃねえよ!」

 

「何事も目指さなければ達成出来ない、つい先日実感したばかりにも関わらずもう忘れるとはな。そうさ、私達は常に上を見ていかないとな」

 

「知ってたしぃ! 勝ち目があんのは気付いてたしぃ! ジョイステも知らなかったゲーム音痴が偉そうにすんなよな!」

 

 先程まであった暗い雰囲気を完全に吹き飛ばし、やる気に満ち溢れたゴン一行は早速行動を開始しようとした。

 

「すまない、突然で悪いが俺もその話に噛ませてくれないか?」

 

 その出鼻をくじくように、一人の男性がゴン一行に声をかける。

 

「選考会で顔は合わせているが改めて、俺の名はゴレイヌ、これでもプロハンターだ」

 

 先程広場にいたゴン達と同じ選考会の合格者にして、ゴンほどではないが逆立つ短髪にゴツ目の顔をした筋肉質の男。

 

「あの幻影旅団を倒したその実力には及ばないだろうが、きっと役に立ってみせるぜ?」

 

 森の賢人の異名を持つ、見た目にそぐわぬ頭脳タイプゴリラが筋肉と邂逅した。

 

 




 後書きに失礼します作者です。

 このタイミングのゴレイヌ加入に補足説明します。

 原作でも途中まで単独行動をしていたことから仲間はいない、しかしその後ゴン達と手を組んだことから別に単独クリアにもこだわってはいない。
 それでも最初単独行動だったのはハメ組ほど報酬を分散したくなかったことと、そもそもお眼鏡に叶った実力者がいなかったからだと考えました。

 その点今作ではぬけめねぇ情報収集によりゴン達が幻影旅団を倒していること、さらにレオリオとクラピカというお子様だけじゃないメンバー構成だったためにクリアへの近道として接触してきました。

 知能指数のえげつねぇゴリラです。

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