オレが目指した最強のゴンさん   作:pin

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第65話 別れと新たな鍛錬場

 

 

 皆さんこんにちは、グリードアイランドをクリアしてこれからがノープランのゴン・フリークスです。キメラアントを考えてカイトと合流するべきかな。

 

 

 

 

 

 ゴン達はバッテラから報酬を受け取った後、アップデート騒ぎでゴタゴタしたツェズゲラを少しの間手伝っていた。

 レオリオも長い昏睡から目覚めたばかりのオボロや、若返ったことで違和感があるらしいバッテラの容態が気にかかっていたため全員そこそこ忙しい日々を送っていた。

 

「じゃあゴレイヌさんはツェズゲラさんの仕事をしばらく手伝うんだね」

 

「ああ、直接戦闘では引けを取らないと思うが、それ以外のハンターとしての手腕が実に見事だ。俺がさらに一段上にいくために勧誘を受けようと思う」

 

 31本ものグリードアイランドを所有することになったツェズゲラのもとには、バージョンアップの話を聞き付けた者や元々プレイしていた者達からの連絡がひっきりなしに届いている。

 特に人員やシステムを構築するまでの数日はゴン達の協力がなければとても捌けてはおらず、ツェズゲラは報酬を払うと同時にゴン達にこれからも仲間としてやっていけないか勧誘してきていた。

 それに対しゴン達はそれぞれ他にやりたいことがあったため断ったが、ゴレイヌだけはツェズゲラからハンターとしての知識や経験を学ぶために勧誘を受けると決めた。

 

「ビスケさんはもちろんだが、皆にも本当に世話になった。半年の間だったが、俺にとって今までの人生以上に濃い時間だったぜ。また会う時、お前達をがっかりさせないレベルアップを見せてやる」

 

 ゴレイヌの仲間入りはツェズゲラはもちろんドッブル達からも歓迎され、ゴン達はツェズゲラ達やバッテラ達に惜しまれながらも新たな目的のために歩み始めた。

 

 

 

 

 

 ゴレイヌと別れ、なし崩し的に滞在していたバッテラの屋敷を出たゴン一行は、とりあえず入ったカフェで一服しつつこれからについて相談していたところだった。

 現在決まっていたのはレオリオが受験勉強に専念してクラピカはそれに付いて行くこと、キルアは妹を連れ出しに行きたいことだった。

 

「キルアのはすごく面白そうだね♦ゴンが行くならボクも一緒に行くよ♥」

 

 今までゲンスルー達を処理してくると不在だったヒソカもいつの間にか合流し、我が物顔でゴンの隣に座りつつ自分の希望も発言していた。

 

「お前は来んな!」

 

「てかゲンスルー達はどうしたんだ? まさかお前が警察に突き出すとかしないだろ」

 

「知りたいかい♠」

 

 ヒソカの含みのある笑みに薄ら寒いものを感じたレオリオは、いくら大量虐殺をしたとはいえ報いは受けたのかと小さく冥福を祈る。

 

「冗談だよ♥彼等は金と名声が欲しかったみたいでね、だいぶ愉快なことになってる天空闘技場を紹介してきたのさ♣」

 

「それは大丈夫なのか? 発の殺傷能力が高すぎて問題視されそうだが」

 

「それがびっくり、カストロやゴードンなんかは十分殺り合えるほど強くなってた♦しかもどこで雇ったのかリング内なら即死級の一撃もギリギリ生き残れるように出来る能力者がいたから、むしろ残虐ファイターとして人気が出るかもね♥」

 

「いったい天空闘技場はどこに向かっているんだ」

 

 未だにファンの人数でダントツのクラピカも大いに影響を与えたとはいえ、この半年で天空闘技場も以前が嘘のように様変わりをしているようだった。

 すでに懐かしさすら感じる天空闘技場に皆が思いを馳せていたところ、ヒソカがゴンに対してこれからの予定はないのかと質問する。

 ゴンとしては原作知識からキメラアントが気になるとはいえ、記憶の中にはNGLが舞台なこととカイトが関わる以外に有力な情報がない。

 

「正直悩んでる。修行することは決まってるんだけど、念を教えてくれたカイトってハンターに挨拶するかってところかな」

 

「ゴンに念を教えたってそいつどんなやばいハンターなんだ?」

 

「親父の直弟子でもある優秀な幻獣ハンターだよ」

 

 それぞれの目的を考えれば、ハンター試験から続くこのメンバーの旅もついに終了するのかと寂しい気持ちが浮かぶ。

 それでもお互いの目的を尊重しあい、きっとまた集まれると希望を持って別行動となるはずだった。

 

「あんた等の予定はわかったわさ。その上であたしから全員に依頼をしたいんだけど、話だけでも聞いてくれない?」

 

 今まで黙っていたビスケが、ゴン達の予定を聞いた上で頼み事があると発言する。

 

「依頼ったってなぁ、流石にオレもそろそろ学校に行かないといつまでたっても医者になれないしよ」

 

「依頼場所には今二人の医療ハンターがいるわさ。しかも一人は三つ星(トリプル)で法律関係にも明るい。依頼を受けるならこの二人にあたしから口利きするわさ」

 

 まさかのビスケ以上となる三つ星の登場に全員が絶句し、続いてレオリオが来れば自動的に付いてくるクラピカではなくキルアが口説かれる。

 

「あんたがさっさと妹を連れ出したい気持ちもわかるわさ。けど仮に今行ったとして、ゴンとヒソカもいる状態で自分の実力で連れ出したと思える?」

 

 ビスケからの指摘に盛大に顔をしかめたキルアは、ゴンとヒソカを連れてゾルディック家を襲撃した場合の過程と結果を考えて悔しそうに俯く。

 その表情から自分の力で連れ出したい思いと早く連れ出してあげたい思いが争っていると容易に想像でき、ビスケは依頼内容と報酬を詳しく説明して懐柔にかかる。

 

「依頼は全ハンターが受注可能なんだけどね、早い話がジジィ、ネテロ会長との組手なんだわさ」

 

 それを聞いたゴンとヒソカの目に炎が灯る。

 

「当然心源流の実力者達もいるし、ハンターの中でも戦闘特化の奴もいるわさ。さらには治療系能力者、これからはあたしの“クッキィちゃん”によるサポートまで受けられる凄まじく恵まれた環境。断言するわ、数段飛ばしで上にいける」

 

 早くも逸るオーラを抑えきれないゴンとヒソカに加え、先達の治療系能力者でありちゃんとした資格持ちと縁ができると聞いて一気に乗り気になるレオリオに代わりクラピカが詳細を質問する。

 

「依頼を受ければネテロ会長との組手だけでなく、様々な恩恵があるということだが、場所と期間はどうなっているんだ?」

 

「期間は特に決められてないわさ、それこそ半日でギブアップした根性無しもいるみたいね。場所は協会本部があるスワルダニシティの郊外、心源流総本山スワル山脈よ」

 

 最終的に必ず強くなるというビスケの言葉が決め手となり、キルアも含めて5人ともが依頼を受けることを決める。

 

 まだ見ぬ先達に思いを馳せるレオリオと、その楽しそうな姿を見て微笑むクラピカ。

 

 やっと隣に立てるだけ近付いたと思ったらまた離され、無力感に苛まれ打開を目論むキルア。

 

 ゴンという極上の存在を含め、キルアにネテロにまだ見ぬ強者達と選り取り見取りな状況に興奮するヒソカ。

 

 ネテロの錆落としを間近に己も鍛えながら、特大の原石達が磨かれるさまを見れると頬が緩むビスケ。

 

 そしてキメラアントのことなど頭から吹き飛び、最強(ゴンさん)を目指す上で最高とも言える環境に武者震いするゴン。

 

 全員のオーラが昂り干渉しあい、カフェの一角が魔境と化したのを一般人が戦々恐々と伺う中、テーブル上の軽食を貪るギンだけは普段と何ら変わりがなかった。

 

 

 

 

 

 高低様々な10以上の山々が連なるスワル山脈、雄大ながら非常に厳しい環境が多い山脈の中に心源流本部道場が存在した。

 そこはかつて若かりし頃のネテロが感謝の正拳突きを行っていた土地であり、そんな心源流開祖にあやかって建てられた道場兼住居は大きいながらも世界に名を轟かせる心源流にしてはやや質素に見える。

 普段であれば管理人と数人の師範代及び高弟が滞在する程度だが、ネテロが本格的に鍛錬を始めてからというもの多くの人間が訪れ、そして多くの人間が去っていった。

 

「ほぉー、これが心源流の本部道場か! 結構山ん中にあるが水とか電気はどうなってんだ?」

 

「そこら辺は全部念でなんとかしてるわさ。念能力者の無駄遣いも甚だしいレベルだから下手な高級ホテル以上の居心地よ」

 

「マジでなんでもありだな」

 

 ビスケ先導の元本部道場に辿り着いたゴン一行。

 一般人なら数日、念能力者でも丸一日かかるような山道を半日もせずに登りきったメンバーは、早速建物に入ると道着を着た老人に出迎えられる。

 

「お待ちしていましたビスケット様、そちらの方々が新たな挑戦者ということでよろしいですか?」

 

「そういうことだわさ。グラサンのレオリオと金髪のクラピカはサポート、残りの三人は組手相手だから覚えといて」

 

「かしこまりました。すでに今日の組手は始まっておりますので皆様案内いたします」

 

 ゴン達は案内を受けながら軽く互いの自己紹介を行い、この老人が一線を退いた教育係としての名誉師範だと知る。

 興味がないヒソカ以外のメンバーから敬う空気を察知する彼は、長年の経験からゴン達が今いるネテロの組手相手達に劣らないどころかトップクラスだと推測した。

 

「おろ? 外に出んのか、静かだとは思ったがわざわざ別の場所でやってんのか」

 

「最近のネテロ様は歯止めが利きにくくなっておりまして、道場内で組手をすると修繕費がかさみすぎるゆえ外の鍛錬場を使用しています」

 

 やがてメンバーの耳に肉を打つ音や地を踏みしめる音など、鍛錬で聞き慣れた戦闘音が聞こえだす。

 建物を囲う塀を越えた先には、ただ広く平らに均された地面が広がっていた。

 所々に神字やオーラによる何かしらの効果が発揮されているとわかる部分が見て取れ、ただ土を踏み固めただけではないということがわかる。

 塀の外側には10人ほどの道着や動きやすい格好をしたもの達が思い思いに休息を取っており、少し離れたところには簡易テントが建てられ一目で医療スタッフとわかる人間達が待機していた。

 

「あぁん? ロー爺さんそいつ等誰っすか? ガキが何人も見学にでも来てんすか」

 

 出てきたゴン達の最も近くで休憩を取っていた目付きの悪い男が真っ先に気付き、先導する老人ローに素性を聞く。

 

「彼等はサポートと組手の依頼を受けてくれたプロハンターですよ。しかもほとんどの方が一つ星(シングル)の資格持ちです」

 

「はぁ!? こんなガキ共が!? 冗談にしては笑えないっすよ!」

 

 露骨にゴン達を侮りながら大袈裟に振る舞う男の様子に、周囲にいた者達も気付いて注目が集まる。

 なかなかに失礼な態度にキルアやレオリオが顔をしかめると、騒いでいた男が急に真面目な顔になって忠告する。

 

「ここはマジで天国と地獄、むしろ地獄のほうが近所なんだよ。悪いことは言わねえ、グラサンの兄さんや変なメイクの兄さん位ガタイが出来るまで止めておけ」

 

 ゴンとキルアに目を合わせた男の言葉は、粗野な言動とは違って相手を思いやる心に満ちていた。

 ネテロとの組手と言う名のかわいがりを長期に渡り耐えていることから当然といえば当然だが、彼もまた真に強くなろうと足掻く立派な精神を持つ武闘家だった。

 

「活きの良い奴がいるじゃない。伊達にここまで残ってないってことかしら?」

 

「お嬢ちゃん、あんまり舐めてんじゃ…」

 

「バカお前よく見ろ! その人はネテロ様の直弟子で師範のビスケット・クルーガーさんだ!! すいません! こいつまだ若くて調子に乗ってるんです!」

 

 近くにいた先輩と思われる別の男に頭を叩かれ、聞かされた名に目を見開いて押忍と叫んで腰を折る。

 

「気にしないでいいわさ、それより少しでも長くちゃんと見なさい。悔しいけどジジィの一挙手一投足にはそれだけの価値があるわさ」

 

 ゴン達が建物を出てから目に入った組手、天空闘技場で会った時よりさらに肌ツヤの良くなったネテロと初老の道着を着た男の勝負。

 互いに恐ろしいほど高速で拳と足を打ち合い、オーラ運用はそれ以上の速さで虚実合わせて運用する。

 心源流総師範と師範による組手は、紛うことなき世界トップレベルの肉弾戦だった。

 

「ふーん、やっぱりなかなか良い人もいるね♦ネテロ会長はかなり唆られるし来て正解だよ♥」

 

「あの御仁はどこまで若返るのだ? もはや見た目は殆ど同年代ではないか」

 

「見た目だけじゃねぇ、内臓諸々明らかに活発になってやがる。オーラが作用してるにしても常軌を逸してるぜ」

 

「やだやだ、なんであんなジジィも成長すんだよ。大人しく座って待ってろっての」

 

「すごいね、早く戦いたい!」

 

 昂るオーラは見た目にそぐわぬ圧を放ち、ゴン達がそこらの念能力者と隔絶していることを否が応でも知らしめる。

 そのオーラに反応したのか単に頃合いだったからかは定かでないが、ネテロが組手相手に良い一撃を入れたことで試合が終わる。

 

 ビスケとゴン達に視線を向けたネテロは満面の笑みを浮かべると、背後に観音が立ったと思わせる威圧を放つ。

 

「よく来たな小僧共、変わらず精進しとるようで何よりじゃ。お主達のその成長、全てワシの糧に寄越せ」

 

 後進の育成、組織の運営、多くのしがらみで大人しくなっていた観音も何処へやら。

 

 厳つい顔をした観音が、厳つい筋肉とその仲間達を歓迎した。

 

 

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