皆さんこんにちは、3次試験会場に到着するまでつかの間の休息を堪能するゴン・フリークスです。
3次試験会場のトリックタワーに向かう飛行船、レオリオとクラピカは早めに休むということでキルアと船内を探検です。今日一日ずっと感じていたサイコパス二人の視線もようやくなくなり、自分はもちろんギンもやっと一息ついて頭の上で溶けてます。
ゴンとキルアがあらかた船内を見て回った頃、船内を散策していたネテロは遠目に二人の姿を確認して笑みをこぼした。
(どれ、ちょいとからかってみようかのう)
人の悪い表情を浮かべると、僅かなオーラに闘気を乗せて二人に向かって飛ばす。さすがの反応で二人が振り向くが、それと同時に素早く二人を追い越すことで前からやってきたふうを装った。
「ホッホ、後ろに誰かいたかの?」
そんなネテロのからかいは半分成功した。種がわかり憮然とした表情のキルアと、キラキラとした目で全てを見ていたゴン。先程までだらけていたギンも、闘気に当てられいつでも動けるように体勢を整えている。
間近で見るとより鮮明に伝わってくる若い才能に、全盛期を過ぎたことで丸くなったと自覚しているネテロは余計なお節介をかけたくなった。
「さすが若いのはエネルギーに溢れとるの。どうじゃ、ちょいとワシに付き合ってはくれんか?」
「はあ?なんでオレたちが「もちろん!キルアもいいよね!」…しょうがねぇな少しだけだぞ」
キルアはしてやられたことから断ろうとするが、ノリノリのゴンに負けて少しくらいならと了承する。
その様子にニンマリと笑ったネテロは運動スペースへと向かい、今回の遊びについて説明する。
「これからするのは単純な玉遊びじゃ。お主らがワシからボールを奪えたら勝ち、オマケでハンター試験合格もつけちゃろう」
まさかのオマケでハンター試験合格を持ち出すネテロに、驚きながらも半信半疑なキルアは問う。
「マジで合格にしてくれんの?なんか他にも条件あったりするんじゃないの」
「フム、そうじゃのう。キルアといったか、お主は右手右足のみで相手しよう。ついでにこちらからの攻撃は無しじゃ」
「…は?」
「そっちのゴンは、…《念の使用は纏までとする》特に制限はなしじゃ」
自分とゴンの条件の差にキルアは剣呑な殺気を放ち始め、その横のゴンはネテロが文字に変化させたオーラを見ていた。
当たり前だが原作と違う流れに、他の条件はないかと質問するゴン。
「挑戦は一人ずつ?あとギンも参加していいの?」
「挑戦は一人ずつ、そっちのペットは無しじゃ」
了解と言いながらストレッチを始めるゴンとは別に、舐められていると頭に血が上るキルアはネテロに向かって一歩を踏み出す。
「じゃあオレから殺らせてもらうわ、後悔すんなよジジィ」
「ホッホッホ、来なさい小童」
(吠え面かかせてやる)
今までキルアから溢れていた殺気が唐突に消失し、緩急を付けた特殊な歩法からまるで分身したかのように移動する。
「ほう」
「わぁ」
暗殺術の中でも高等歩法と言われる肢曲、変幻自在の動きからボールを狙うフェイントを入れ片足で立つネテロの軸足に渾身の蹴りを打ち込む。尋常じゃない重さの衝突音が響き、結果ダメージを受けたのはキルアだった。
「ーってぇ!?」
蹴り込んだ足を抱えながら下がるのを飄々と見送るネテロ、フェイントに対しても特に反応せずキルアだけが動き回っていた様子は若干滑稽に見える。
「チッ!ゴン!交代!」
なまじ本気だったため無視できないダメージを負い、腹はたつがしょうがなくゴンに交代を要請する。
生の肢曲に興奮しながらストレッチを終えたゴンは、一度大きく深呼吸すると気持ちを切り替えて真っ直ぐネテロに歩いていく。
(…なんとまぁ、この年でなんちゅう纏をするんじゃ。まるで深海を覗くような、太古の大樹を見上げるような)
己がこの域に達したのはいくつの頃か、晩年に開花したネテロにはゴンの若さとはちぐはぐの練度が末恐ろしく感じられた。
ゆっくり近づいたゴンが、そのままボールに向かって右手を伸ばす。その意図を正しく理解したネテロは、ボールを持たない左手をゴンの手に組ませた。
キルアは二人が互いに笑いあった次の瞬間から、冷や汗と体の震えが止まらなくなっていた。一見するとただ片手で組み合っているだけ、しかし離れて見ているキルアにも互いの体に想像もつかない力がかかっているのがわかった。
最初は拮抗していた力比べも、徐々にゴンが音を上げ始める。体は震え汗は吹き出し、少しずつ押し込まれていくゴンはやがて息を吐き出し声を上げる。
「降参!ちょっと休憩!」
「ホッホ、まだまだじゃのう」
腕をほぐしてキルアの方へ歩いていくゴンを見ながら、僅かに震える己の左手を見る。
(おっかしいのぉ、いくら利き手じゃないとはいえオーラ的にも肉体的にもここまで手こずるはずはないんじゃが)
作戦会議なのかあーだこーだと盛り上がる二人を眺め、早く来ないと時間切れだと急かす。
攻め方を変えて片手片足の不利を突こうと動くキルアをあしらいながらも、先程の力比べの余韻が頭から離れない。
(まいったのぅ、ちょっと遊ぶだけのはずが本気になりそうじゃ)
遊びはまだ始まったばかり、次は何を見せてくれるのかと笑みを強くしていくのだった。
どれほどの時間が経ったのか、キルアは息も絶え絶えでゴンもまた疲労を隠せない。対してネテロは汗こそかいているが息も乱れておらず、まだまだ余裕を見せていた。
「あーもう止めだ!止め!ちくしょうこれ以上やったら明日に響くっつーの!」
初めに音を上げたのはやはりキルアだった。脱いでいた上着や靴を回収して出口へと向かって行く。最後に休憩していたゴンに振り返ると、悔しいような悲しいような複雑な表情を浮かべて口を開く。
「くやしいけど天狗になってたわ、正直ゴンとここまでの差があるとは思ってなかった。けど今だけだ!直ぐに追い付いてやるから待ってやがれちくしょー!あとそのじじぃに吠え面かかせろー!!」
最後は叫びながら走っていくキルアをキョトンと見送った後、ゴンは堪えきれずに声を殺して笑う。ネテロもまた二人のやり取りを微笑ましそうに見やる。
「ホッホッホ、闇を抱えていると思っとったがなかなかどうして、あやつも真っ直ぐないい子じゃのう」
「うん。本当に尊敬するよ、オレだったらキルアの立場になってもあんなふうにはきっとなれない」
「なぁに、あやつにはあやつの、お主にはお主の生き方が有るんじゃ。尊重はしても卑屈になることはあるまいて」
知っている者が見たら目を疑う程、いつになく真面目なネテロに感銘を受けるゴン。名残惜しいが大分時間も押しているため、そろそろ終わりにしなくては自分も3次試験に響きかねない。
「ネテロ会長、キルアにも言われたんで最後に思いっ切りやってもいいですか?」
膨れ上がるオーラに、隅で呑気に寝ていたギンも目を覚ます。間近で触れたネテロは、規格外なゴンにまだ過小評価だったと意識を入れ直す。
「明日以降の試験に影響を残さず船も傷つけない、これが守れるならよかろう。あとおまけの合格もなしじゃ」
「ありがとうございます。その条件で出せる全力で行きます!」
ゴンから吹き上がるオーラにネテロも練でオーラを高めると、ゴンが能力と思われる名を口にする。
「
「ひょ!?」
未だ運動スペースで呆けているネテロは、先程自分が見て体験したことからゴンの念の能力について考察していく。
(ありえん、どのような制約と誓約を設ければああなるんじゃ?発動した能力とは別の発もあるんじゃろうが、だとしたらあやつの系統がわからん)
見事に吠え面をかかされた形になったが、ネテロは久しくないほど気力にハリが出ているのを実感していた。
やはり若い才能との触れ合いは若さの秘訣だと、機関室にとびきり遅く飛行するように伝えたネテロは満面の笑みで自室へと向かった。
「あいつ、ワシより強くなるかもしれんのぅ」
なお、妄想して寝ていた変態が飛び起きたが、気のせいかとゴンとの夢を見るために二度寝をしていた。
感想で多かったので念能力の詳細を入れます。念能力についての感想への返信もこの後書きを代わりとさせてください。
ご都合主義満載なのでご注意を
能力名:貯筋解約(筋肉こそパワー)
系統:操作を中心に若干の特質と強化を含む
制約と誓約:
元々持っている筋肉、これから付くはずの筋肉を貯筋できる代わりに普段の筋肉が少なくなる。元の筋肉に戻る分にはほとんどリスクはないが、元以上に強化すると借筋(きゆみお氏の許可により正式採用)として反動で元々の筋肉が萎む。
補足説明:
正直まんまゴンさん化のデチューンです。あれ程の強化は出来ませんが短期決戦時のブースト用として使用可、すべてを犠牲にしなくて大丈夫です。
うちのゴンが一番最初に作った能力。
ちらっと出てるんですがうちのゴンは早く念に目覚めたことで成長率がバグってます(第0.5話のカイトの感想)。なので素の身長が既にクラピカ以上レオリオ以下はあります。
それに相応の筋肉が付いてるので素の姿はまんまちっちゃいゴンさんです。
流石にそれだとミトさんをごまかせないので、ビスケを参考に再現することで原作と同じ姿を維持してます。
筋肉を操作する操作系、貯筋できている謎は特質系、いざという時は元以上の筋肉にする強化系で成り立つ能力と妄想しています。
以上、長々と失礼しました。感想はちゃんと読んでます。皆さん応援ありがとうございます。