トレセン学園では本日節分という事で鬼役がいたりする生徒や豆を投げる生徒、恵方巻を食べたりする生徒、楽しそうに自由にやっている。そんな中あるウマ娘の一言からお遊びの節分が、ガチの鬼退治に変貌した。
「鬼は外なんだろう?ならオーガに鬼の役やってもらおうぜ~、さっすがあたし、あったまいい~」
そして始まった節分、豆まき、鬼もお面をかぶらなくとも名前が鬼なので歩くだけで豆をぶつけられる。本来なら、鬼は外、福は内で済むのだが、ルールも変更
捕まれば体育館送りで、豆を投げながら時間内に逃げ切れば報奨として特性ニンジン恵方巻がもらえるとのこと、それをきっかけにやる気が出た生徒は逃げ切るつもりで本気で勝つ気であった。
豆を投げられればオーガは動けず、豆がなくなったものは真っ先に狙われるという恐怖を味わうのだが、それも一興、ここにトレセン学園節分パーティーが始まった。
「「「鬼は外~」」」
「………………」
「オーガは外~」
「………………」
「あ、豆なくなっちゃった」
「ほう」
「あ、待って、ちょっとみんな豆投げて!」
「ごめんニンジンほしいから」
「もう少しでなくなりそうだから」
「…………犠牲者が増えれば貰える可能性が増える」
「この裏切り者~!!!!!!」
「くっくっくっ、アホウが」
「い~や~助けて~」
「「あなたのことは一生忘れない」」
肩に担ぎ上げられて連れていかれるウマ娘、さながら獲物を運ぶ鬼と運ばれる者にしか見えない、何度も何度も生徒を体育館に放り込み数が減ってきたところ徹底的に捕まえ気が付けば全校生徒の9割は捕まった。流石のオーガも驚いた豆まきでもあった。
「鬼は外ですわ~」
「しゃおら~」
「!!!!!!」
「お、オーガがよけた!」
「いや、あれはよけないと死にますわよ」
カワカミの投げる豆とゴルシの固められた豆、壁に穴が開き、少量の冷や汗を流すオーガ、そして壁を壊したことで現れるエアグルーヴ
「豆……こまめに豆を投げる、まめに豆を投げる、豆を投げすぎて手に豆ができてしまった。……ふふっ」
カワカミの投げる豆はショットガンの勢いになりダメージを与えていく、本来ならよけられる程度ではあるが、所詮豆、そこまでダメージはないと考えていた。
「ほう、やるな小娘」
「ひいいいいいいい、くたばれですわー!」
「完全に殺気満々ですわ!」
「これ以上壁を壊すなカワカミ!!!」
「ひいいいいもう一人鬼が出ましたわ!」
「ほう、説教が必要らしいな」
「「あ」」
「ん?」
「・・・・・」
猫をつかむようにエアグルーヴの首根っこを掴み確保するオーガ、あまりにも破壊するものだからつい目の前で立ち止まり説教をしようとしてしまった。しかしオーガにとっては関係なかった。
「おい下ろせ!」
「目の前に立ちはだかるのなら全て獲物だ」
「あ、おい、待て!私を連れて行くな!」
「このおれの前に背を向け、立ちはだかるのならば狩られても文句は言えない」
「くそっ、カワカミ!!!後で説教だからな!」
「ああ、捕まっても鬼が待ってますわ~」
無慈悲につれて行かれるエアグルーヴ、なんとか助かったと安堵する者もいるが結局その後あっけなく捕まってしまった。その後も死角から現れては捕まえ、体育館に放り込むを繰り返していた。
「おいおい、マジもんの鬼じゃねーか」
「ま、オーガだしね」
「ああ、また捕まってます」
次々と捕らわれる生徒たち、先ほどもキングが捕まり残すは、ゴルシ、テイオー、スペシャルウィークのみであった。
「くっそ、ふざけて金棒なんか渡すんじゃなかった」
「ナニ渡してるの!」
「でも渡された金棒、簡単に折ってましたよね?」
そう、ゴルシに渡された金棒はカニの脚を折るかの如く簡単に折り投げ捨てていた。その一部光景を見たものは戦意を喪失し、自ら捕まるものもいた。
「とりあえず豆がもうない」
「そうだね、豆の代わりに小豆を投げたらマックイーンが食べちゃって捕まったしね」
「マックイーンさん食いしん坊ですしね」
「スぺ(ちゃん)もだけどな(ね)」
「あれ?」
「ほうここにいたか」
「「「逃げろ!」」」
ウマ娘の本気の走りにはさすがのオーガもついてこれまい、豆を温存するべく逃げる3人、落ちている豆を使うことはできないので時間内になるべく逃げるしかなく、いざって時にしか使えない、それでも脚はこちらが有利!
「って、なんで追いかけてこれるんですか~!」
「流石ウマ娘、いい脚だ」
平然と追ってくるオーガ、逃げるスペシャルウィーク、遠くから安全場所に隠れたテイオーは嘘、まじかといった表情をしていた。ゴルシは空に逃げた。
「うおおおおおおおスカイウォーク!!!!」
「えーー空飛んでる!」
一人だけ空に逃げるゴルシ、一体どこで修行してきたのか空に逃げる、逃げて逃げて逃げた。そしてその光景を見て足が止まったスペシャルウィークは捕まった。
「へへ、これなら絶対に捕まらない!・・・・・あれ?」
「あの、その、なにを?」
「所詮小娘の知恵、その程度で逃げられるとも?」
スペシャルウィークの首根っこをつかみ空を見上げるオーガ、すると驚異的な行動に出た。砲丸投げの構えを取り、まさかの空にいるゴルシに向かってスペシャルウィークをぶん投げたのだ!
悲鳴を上げながら空へと飛んでいくスペシャルウィーク、まさに鬼の所業、そのままゴルシにぶつかり、仲良く落下してくる。
「おいおいおいおいおいおいふざけんな化け物かあいつ!」
「ああ、お母ちゃん、あたし空飛んだべさ」
「やばいって落ちるって!」
地面が見えてきたが落ちる寸前でオーガにキャッチされる二人、さすがに安堵したのか恐怖なのか、腰が抜けて動けなくなる二人であった。最後の一人になったテイオーはあまりの恐怖にどこぞの別作品の鬼のシリーズよろしく、タンスの中でガクガク震えているところを確保された。
捕まる瞬間この世の者とは思えない悲鳴を上げていたが、オーガ相手ならば仕方ないであろう。これ以降オーガは鬼の役として参加することはなくなったが、トレーナー達が鬼をやったがあのスリルを忘れられないのか、結局もう一度やることになった。
もうなんでもありの節分、死者が出ない方がある意味救いなのか?