「わっかんないよ~シャオリー」
「………ごめんなさい」
「脱力はある程度理解したけどさー、無理だよ」
そもそも中国拳法におけることを何も知らないテイオー、感覚で脱力ができるようになっているスズカと違い頭で考えるテイオーには中国拳法がどのようなものか、シャオリーとはどのようなものかを改めて知らなければならない。
「ならば聞くしかないだろう」
「え~知ってる人いるの?」
「いるじゃないか、たまに厨房で鍋を振っているあの男」
「「あ!」」
「なに?シャオリーだと?」
「うんそう、どんなのか知ってたら教えてくれない?」
「教えるのは構わんが、身に付けることはほぼ不可能と思えるがそれでもいいなら」
「うん、とにかく教えてくれるなら!」
「わかったしばし待ってくれ、今は少し手が離せなくてな」
高速で鍋をふるう烈海王、いつものように食堂で料理をふるうが今日はかなり忙しそうである。
「ああ、なるほどね」
「ああ」
「おかわり」
「オグリィ!!!!!!まだ食べるか!!!!!!」
「ああ、まだまだいけるぞ」
「まだ食べるんだ」
大量に積み重なった山のような皿、流石葦毛の怪物、食欲も怪物級であった。そして時間がかなり経ってから烈海王による中国拳法の講座とシャオリーとはどのようなものかを教えてもらっていた。
「つまり脱力から覚えなければいけないけど、そもそも理というものを学ぶことが重要と」
「そうだ、老師いわく、長年の積み上げてきた筋肉トレーニングを一切禁じ、何十年もかけ身に着けるもの、今の君にはそれは絶対にできない」
「確かに、競争者としては痛いところだな」
「ええ、アライさんのいうとおりウマ娘にはできない事です」
「そっか~でも脱力はできるんだよね」
「ああ、しかし脱力、リラックスを自然体で出来る用になれば可能かと」
「ふむ、ボクシングにおけるジャブ、つまるところパンチは拳を繰り出す際に身体に力を入れない、拳が相手に当たる瞬間に力を籠め、威力を跳ね上げる。これはシャオリーにおける攻めの部分としてとらえられるのではないのかな?」
「ええ、おしゃる通りです。しかしシャオリーは半生ほどかけて身に着けるほど難易度が高く、半年では無理です」
「攻めと守りがある。走りながら踏み込む際に力を籠め踏み込む以外はリラックスする。ふむ、確かに不可能だ」
シャオリーは戦いの中で発揮することは可能ではあるが、競争となるとそうはいかない、走るとは即ち全身運動、全身の筋肉を使い緊張が必ず生まれリラックスできるほどの余裕はなく、故に修得することは不可能である。
「だけど疑似的にはできるんでしょう。シャオリーは?」
「………………ああ、完璧とまでは無理だが、強調するはインパクトとリラックス、そこだけ身に着けられるのならば大丈夫であろう」
先ほどからテイオーの質問はできるのだろうという質問、確かに理論上はできるだろうが、現実はそう甘くない、しかしその眼にはやってやると言った意志が込められていた。
「しばらくは瞬間的に力を籠めること、リラックスした状態で過ごすことを視野に入れ練習した方がいいな」
「ええ、もし何かわからなくなれば言ってください、助力いたしますので」
「ああ、ありがとう」
「では」
「私たちもさっそく練習しようか」
「うん」
烈と別れ、まずは瞬間的なインパクトを覚えるためアライとボクシングでタイマンすることになった。
「さあ、どこからでも打ち込んできなさい」
「え、大丈夫なの?」
「問題ない、ただし君の攻撃は当たることはない、勿論遠慮はいらない当てるタイミングで力を籠めるように」
「いったな~セイッ!!!!」
「フッ」
「嘘!」
体格差があるとはいえ、ウマ娘と人間、反射神経とスピードはウマ娘の方が圧倒的有利であるはずなのにテイオーの拳は簡単によけられた。
「えい!」
「やあ!」
「なんで?」
「ふふ、日本では確かこういうのだったな」
テイオーの攻撃、ジャブをひらりひらりとかわすアライ、徐々に大降りになり空回りしてくるテイオーの顔面ギリギリを狙って認識するのが送れるほどの素早いジャブを見せられた」
「ぴえ!」
「当てることはない安心しなさい」
「でも怖いよ~」
「……………ああいったがウマ娘のパンチを受ける私の方が怖いのだが」
「でも、よけるじゃん」
「ボクシングだからな」
「むう~」
「そう膨れるな、本来の趣旨から外れているぞ」
「あ、そうだった!」
何度も当てる瞬間に力を籠める練習、それに伴い並行して動き回るのに余計な力を抜く練習、同時に二つのことを無意識に行っているテイオー、あえてそれを教えることなくひたすら攻撃をかわし、お手本として顔面ギリギリに高速のジャブを打ち込むアライ
休憩を挟みながら何度も同じことを繰り返し、身体に叩き込んでいく、次第にテイオーはジャブの感覚を掴み、瞬間的に意識せずに拳に力を籠めることができるようになってきた。
「その調子だ」
「でも……ぜんっ…ぜん……あたん…ないじゃん///」
「息が上がってきたか」
「なんでおじさんが息が上がらないんだよ///」
「それは最小限の動きしかしていないからだ」
ジャブが攻めのシャオリーのヒントとしたら最小限に動くのも守りのシャオリーのヒントである。両方ともリラックスした状態で瞬間的に力を籠めるため共通点はあるだろう。もっとも共通点があるのが高いとすると、それは始まってから一切防御の構えを取らないアライの状態である。
防御を上げることが珍しいアライではあるが現役でも同様に防御をしない、防御をせず、攻撃をかわし打ち込むスタイルである。もっとも今では関係にない話であるがある意味ヒントでもある。
「もう無理」
「そうか、何かつかめたかな」
「……多分」
「多分?」
「瞬間的に力を籠める事は分かったけどそれ以外はわかんないよ」
「そうか」
「でも絶対に身に付ける」
「ならまずはしっかり休んで明日に備えることだな、明日からはハードなメニューで行くぞ」
「望むところだー!」
「さて、もう少ししたら再開だ」
「あれ?終わりじゃないの?」
「なにをバカな、まだまだこれからだ」
「え~、またすれすれのやるの~」
「そうだな、もし一発でも当てることができたり少しでもかすれたら、褒美を用意しようじゃないか」
「ご褒美!」
「ああ、そうだな~……ああ、ゴルシといったお転婆なウマ娘が言っていたが君の好物の七味~とやらを御馳走しようじゃないか」
「待って、ボクが好きなのは、ハチミ~だよ!」
「うん?違ったか?」
「全然違うよ!七味って辛いやつじゃん!」
「ならそのはちみ~とやら特大サイズで御馳走しようか」
「いったね、よーしやる気出てきた!」
「ま、当てられたらの話だけどね」
「ふふん、テイオー様は無敵ぞよ~、すぐに当ててあげる!」
練習を再開し、時間の許す限り打ち続けるトウカイテイオー、何時間も拳は空振りのままだが、目的のためとなじませることを中心に必死に頑張る。結果としては一発も当たるどころか、かすることもなく終わりを告げたが、頑張ったご褒美という事でテイオーは特大サイズのハチミー、固め、濃いめ、多めを買ってもらい大満足して帰宅した。
シャオリーとボクシングって意外とどこかしら共通点ってあるんですね、まだまだ続く予定ではありますが長い目で見守っていただけると幸いです。あとモチベーション上げるために高評価お願いします!