あの日刃牙のトレーニングを見て以来、早速キングは練習にイメージトレーニングを採り入れた。まずは簡単に何でもいいので頭に思い浮かべる。思い浮かべるのはいつも身近にいる存在、同じ部屋の住人であるハルウララを思い浮かべた。
桜色の髪に瞳、いつも楽しそうに話す姿や頑張っている姿、寝ている姿やあどけない姿、それを鮮明に思い浮かべ脳内に今はいないハルウララを創り出す。創り出してからは今度は具現化だ、目の前に存在を創り出す、頭だけでなく心でも創り出す。
「・・・・・・難しいわね」
頭の中では創り出せても視界に映し出せるレベルまでにはまだ至らない、一体どれほどの研鑽を積めば出来るのか、キングヘイローは諦めず練習を続けた。
「・・・・違う、何というか言葉に出来ない」
それもそのはず、すぐに出来るほどの技術ではない、キングヘイローは必死にイメージトレーニングを繰り返したが習得できず、一日が終わった。毎日毎日イメージトレーニングと普通のトレーニング、習得できない日々が続き手詰まりとなった。
「ってわけなのよ、何かいい方法ないかしら?」
「ありゃりゃ、それはセイちゃんにも分かりませんな~」
「難しいですね、そんなことできるのでしょうか?」
「にんじんハンバーグなら思い浮かべるだけでお腹がすくんだけどな~」
「それならエルにいいアイデアがあります!」
「本当!」
「そんなのあるの?」
カフェレリアにてキングヘイロー、スペシャルウィーク、グラスワンダー、セイウンスカイ、ツルマルツヨシ、エルコンドルパサーとの仲良くランチタイムを楽しんでいた時、ふと相談したら、エルコンドルパサーがいいアイデアがあると言う、一体何かと聞くと
「グラスの怒った顔を思い浮かべるデース!」
「エ~ル~」
「ケッ!ででででも本当デス!怒ったグラスは本当に衝撃的で、インパクトが凄いんです!頭から離れません!」
「あらあら~お仕置きが必要ですね」
「ひいいいいいいいい!!!!」
「確かに怒ったグラスちゃんは怖いもんね」
「スペちゃんまで!」
「確かに怖そうだもんね~」
「それよ!」
「「「「「へ?」」」」」
頭に残るほどのインパクト、イメージするのに足りなかったものはそれだと言わんばかりに勢いよく立ち上がるキング
「な、なにが?」
「インパクトよ!」
「グラスのですか?」
「エルコンドルパサー?」
「ひっ!い今のは違うデス!しかもフルで呼んでます!」
強烈なイメージを連想させるには強烈な衝撃、いわゆるインパクトが必要、ならレースの時のようなインパクトがあればいけるのではないか?強烈なインパクトを与えられる存在は数多く存在するが、一番いい方法は過去のレースの映像を見ること、そのためキングは早速放課後に過去のレースの映像を見返した。
ただ見返すだけでなく、その場にいるイメージで見ること、実際に走るイメージで集中して見ることであった。重賞レース、G1レース、特に黄金世代のレースの映像を中心に見返す。
「・・・・改めてみると仕掛けるタイミングが早いわね」
自信の弱み、焦ると早めに仕掛けてしまうところ、一流といいながらまだまだ改善点が多い、なるべく負けているレースの中から共通している部分を見つけ出す。
確実に勝てるというタイミング、それを見据えるため何度も何度も確認する。しかしインパクトが足りない、ならば実際に併走で確かめるか、それが一番だろう。翌日グラスワンダーに併走を頼み、何度も競い合う、競ううちにグラスワンダーの迫力がより鮮明になる。
休憩中でもイメージトレーニングの練習を行う、先ほどの迫力が残っているうちに何度も姿を思い浮かべる。幾度と繰り返すと次第に鮮明になっていき目をつむっている間はハッキリと思い浮かべることが出来るようになった。
それからもスペシャルウィークやエルコンドルパサーなどと併走をし、休憩中に思い浮かべる。さすがは一流と言うべきか、一度出来てからはスムーズに思い浮かべることが出来るようになり、日頃のトレーニングでも本番さながらのレースをイメージしながら走れるようになっていた。
「キング、最近なんか変わったね」
「ええ、よくわかったわね」
「そりゃあ、トレーナーだし」
「次のG1レース、絶対に勝つわよ」
「当たり前だ、キング」
毎日毎日、イメージをしながら練習する。本番のレースで、本気の走りをするライバルをより強くし挑む、何度も何度も挑戦し敗れ、僅差で白星を逃す。勝った回数などたかがしれている。毎日続けているだけでも戦歴はかなり増え、負けた回数も勝った回数も100はくだらないだろう。
その変化は周りにも影響する。キングの練習への熱に当てられたのか、いつも以上の負荷で練習するウマ娘が増えたのだ。しかしそれでも彼女には及ばないだろう。彼女はすでに勝負回数は圧倒的な数を持っており、トレセン学園1のウマ娘になっただろう。
そして月日が流れ、短距離のG1レース高松宮記念、勝負服に着替えながらも一向に控え室に姿を現せないキングヘイロー、トレーナーは心配して探しに行こうとするが、ドアノブに手をかけた瞬間キングヘイローが扉を開けた。
「キン・・・グ?」
「はぁ・・・はぁ・・・何よ」
「どうしたんだその汗は!まるでレースが終わった時みたいだぞ」
「ええ、終わったのよ」
「何を言って!?」
「安心しなさい、勝ったから」
「は?」
意味が分からない、しかし汚れてもいない、ただ汗をかいているだけまるでサウナ上がりのようだ。しかしもう本番が始まる。できる限りの疲労回復としてマッサージなどをしようとするが全て断る。ただ一言、見ていなさいといい、ペットボトルの水を飲み干しターフへと向かった。
一体どうなるのか、漫画持ってないから無料漫画で読んでるため更新はかなり時間が掛かります。