輝く太陽、白い雲と砂浜、青い海とスク水の美少女たち、そして各トレーナーとオーガが夏合宿に訪れていた。各チームによって宿は違うが練習で使う砂浜は同じである。
各自の目標レースに向けてレベルアップを図るため一層練習に気合が入っている。
その中にオーガはバカンスとして参加していた。
特に誰の練習を見ることもなく1人優雅に寝ていた。汗と砂にまみれて練習するウマ娘は一体あの人は何をしに来たのかと考えていたが、考えても分からないので考えるのをやめた。そして夏合宿中にただただのんびりとバカンスをしていた。
しかしそんなある日天気が悪く雨が降り、波が荒れている時があった。この日は練習ができないという事もあり全員宿で一日を過ごすことになっていた。
そんな中、オーガは海にいた。いたというより泳いでいた。荒れ狂う波の中普通なら自殺案件だが、まるで流れるプールを楽しむように最も消耗が激しいバタフライで泳いでいた。
「なんで泳げるんだ?」
「私に聞かれても」
「まるでマグロ」
「マグロと言うよりシャチじゃないの?」
「いや、もう怪物だろ」
「不謹慎だけど普通死ぬわよ」
常人ならとっくに溺れてあの世行きだろうが、まるでプールのアトラクション感覚で泳ぐオーガを見て呆れる二人、しかもめちゃくちゃ笑顔で泳ぐから余計に訳が分からない。
本来ならば止めるべきなのだが一体誰があの男を止めることが出来るのか、あの男を止めるくらいに比べたら荒れ狂う海で泳がせている方がマシであった。
「しかし凄い筋肉だな」
「ええ、どんな鍛え方をしたらああなるのかしら」
「脚もそうだが、特に上半身の背中、ありゃあ異常だ」
「ええ、それにしても・・・」
「ああ」
「オーガ、その背中でしょう」
「世界にいるあらゆる種目の一流選手、分野を問わず見たとしてもあの人には絶対に勝てないだろうな」
「ボディービルなら満場一致で優勝ね」
一体どのような身体の構造をしているのか気になりながらも2人はトレーニングメニューを考える。オーガを見ていたのは2人だけでなく合宿に来ている生徒達全員が見ていたのであった。
「凄い」
「あの荒れ狂う波を笑顔で、しかも一番消耗の高いバタフライで」
「エルなら流石に死にます」
「普通は死にますよ」
「シャチが泳いでるね~」
「むしろ恐竜?」
「地球外生命体デース」
「そろそろ戻らない?みんな外に出てみてるけど雨で濡れるし」
「なんとも凄い光景じゃないか!この僕以上に皆の注目を浴びるとは」
「凄いです!この海の中でバタフライでバタフライ!凄いです」
「なんで二回も言っているのよ、語彙力がおかしいわよトップロードさん」
「ふえええ~あの人、人間じゃないです~」
「「「確かに」」」
「カフェ見た前あの光景を!アレこそウマ娘を超える可能性の一つだよ」
「可能性の一つがハードル高くありませんか?」
「流石にあそこまでは厳しいかもしれないが、あのような肉体を作ることは可能かもしれない」
「・・・・流石に無理でしょう」
「ふむ、一回サンプルとして血を」
「死にたいのですか?」
「え?」
「あれは怒らせては一番駄目な奴です、お友達もそう言ってます」
「ふむ、ならば諦めるか」
本当はお友達がそう言っているのではなくお友達が見えるナニかがそう忠告していたのだ。どうにも彼に似ている姿をした巨体な男からの忠告らしい、彼の肉親かそれとも先祖系なのか
しかしそんな中命知らずのウマ娘がいた。副会長であるエアグルーヴだ。この雨の中浜辺に向かい大きな声で帰ってくるように命令している。その光景を見たウマ娘だけでなくトレーナー達は血の気が引いたように顔が真っ青になった。
バタフライで消耗しているはずなのに綺麗なフォームで浜辺に戻ってくるオーガ、ゴーグルを外し息を整えながらこちらに向かってくる。
「なんのようだエアグルーヴ、バケーション中だぜ」
「どこがバケーションだ見ているこっちが恐ろしくて溜まらん」
「それで?」
「他の生徒が心配する休息にもならない大人しく戻れ」
「ほう、気の強い女は嫌いじゃねーぜだが断る」
「なっ!」
「止めたきゃ力尽くで止めてみな」
不可能だ。アレを相手に力尽くだと?ウマ娘の能力ならば可能だろうしかし本能が無理だと叫んでいる。アレを止めるくらいならばすぐに控えして会長のくだらないギャグを聞いている方がマシだと思えるくらいだ。
「風邪を引く前に帰りな、そして俺に命令はするな同じ土俵に立ったときはどうなるかわかっているな」
そのまま再び海に戻っていくオーガ、エアグルーヴは何も言えなかった。まるで蛇に睨まれたカエルのように動けず声を出すことも出来なかった。あの目は本気の目、この男には逆らうことが出来ないと感じた