とあるバーでチームスピカのトレーナー沖野とチームリギルのハナトレーナーが一緒に飲んでいた。そしてそこに呼び出されたオーガも一緒に一杯やっていた。
「いやーこうして久々に飲めるってのもいいもんだね~」
「まったく、いつも金欠のくせに、悪いけど奢る気はないからね」
「あ、あはは」
苦笑いをする沖野、あきれた表情でくぎを刺すハナ、興味なさそうに飲んでいるオーガ、店主であるマスターとこの三人以外に人はいないため、何ともないが、他に人がいればオーガの存在が大きく、ゆっくり飲むこともできないだろう。
「・・・俺を呼んだ理由はなんだ」
「いやー、いろんな娘に色々教えてるって噂で聞きますけどどんなことを教えているのか気になって」
「あら、あなたのとこのスズカも教えてもらっていたでしょ」
「そうだけど、それ以降他のところで教えてる感じで、この前なんかBNWのナリタタイシンが物凄くレースで化け物になったとか」
「・・・・・」
グラスに入った琥珀色のウイスキーを流し込み一息つく、少し考えるようにグラスを見つめ口を開く
「強くなりたい、強くなる可能性があるものに少し教えただけだ、俺の使わない技を教えただけだ」
「使わない技って、まるで格闘技でもやっていたのかしら」
「確かに、凄い筋肉だもんな」
「あなたが食いつかないってそういえば珍しいわね、ウマ娘ならだれでも飛びつくあなたが」
「まるで変態みたいな言い方しないでよオハナさん」
「もし触れていたら殺していた」
「ひっ!!!!ふ、触れませんよ」
軽く殺気を出し脅し口でいうと青い顔でビビりながら触れないという沖野、その姿を見て笑いをこらえるハナ、何とも言えない空間ができていた。
「そうね~せっかくだし私のチームにも来てもらおうかしら、まだまだ成長の見込みがある娘が多いのよねー」
「・・・・考えておく」
「そうしてもらえると助かるわ、なにせ最強と言われるメンバーが勢ぞろいだもの」
「シンボリルドルフもさすがにビビったりして」
「あら、あの娘初めてオーガにあった時顔には出してなかったらしいけど内心凄い怖がってたらしいわよ」
「嘘~あの皇帝が~、想像つかないな」
「ほんとよ、それに、彼女は期待している」
「期待?」
「そう、簡単なことではないけれど多くのウマ娘が強くなれることを」
「強く変わっていけるのかな」
カクテルを飲み、喉を潤す、その瞳には何が映るのか、まるで遠い何かを見ている眼だった。
「猫が獅子に変貌ることもある」
「え?」
「強者と弱者、中には親と比べられる者もいる。親が優秀であれ、子は出来損ない、また、出来損ないの親のボンボンとしては上出来だと言えるだろう、世の中はそうやってみる者もいる」
「それは、流石に」
言い過ぎではないか、それではまるで今までの努力を含めて否定しているものでは、捉え方がどうであれ、そう感じた二人、だがまだ言葉は続く
「貴様等は重大なミスを犯している!!!」
「重大な」
「ミス?」
ミスと言われても思い浮かぶ事はない、いったい何がミスなのか、改めて考えてみるも何も思いつかない、だが沖野は何か思い浮かんだのか、浮かび上がった言葉を口にした。
「もしかして、甘やかしていると?」
「ほう、自覚があるとー?」
「いや、多分だが、必要以上に過保護になってる。ウチは自由にやらせている分、それ以外が甘かったりする、特にゴルシに関しては物凄く甘いんだろう」
「あ~、あの娘よくわからないけれど、普通なら練習に参加すればメニューをこなすのだけれどそれが通じないものね~」
「そう、皆を強くするためにいつも財布の中を空っぽにしているけど、壊れないように限界以上の練習は組まないからな~」
カランとグラスの氷が音を立て、思い出すように目を細め、ハナのように遠い眼をしていた。トレーナーとしては優秀な2人、けれど彼らは優しすぎた。
「おい」
「はい」
「ポート・エレン10年物を……」
「かしこまりました」
マスターの後ろにある何百種類ある酒、その棚から一つのボトルを取り出し飲み方を聞いた。ロック?、ストレート?、それとも割るのか
「ボトルとジョッキを・・・・・・」
「・・・・ッッ」
ボトルを受け取ると、逆さにし瓶の底部分である場所に手を乗せ、まるでペットボトルのふたを開けるような感覚で瓶を切った。
(((エ~~~~~~ッッ)))
切った部分をジョッキに向け、なみなみと注いだ。そして注ぎ終わるとジョッキを持った。それを見ていたマスターはひどく驚いていた。
(飲む気!?、スコッチをジョッキで・・・ッッ、アルコール分70パーセントのスコッチをジョッキで・・・ッッ)
「いや、オーガさん、それはやばいですって」
「そうよ、死んじゃうわよ」
止めに来る2人にお構いなくといった感じで一気に飲み干すオーガ、それを見た三人は、おおおおおお~~~~~と声を出した。
「限界を超え、幾度も超えた先に手にしたい頂がある。なのに限界を超えるのは一度や二度、それ以上は越えない、いや、貴様等が超えさせないようにしているからだ」
タバコを取り出し咥え、マッチで火をつける。そして吸い始めるとみるみると先端から灰に変わっていき、フィルター部分まで灰に変わり灰皿に全て落ちた。
とんでもない量の煙がマスターに噴出され咳き込むマスター、その光景を見て口を開けるトレーナー二人
「誰もが勝利を欲するならば幾度もなく限界を超えていかなければいけない、それができないのなら夢を掴むなど、幻想にすぎん」
言いたいことを言い終えたのか、金を置いていき二人を残してバーを去った。
残された二人は再起すると軽く飲みなおし、チームメンバーのことを考えながら、練習メニューのことを考えながら帰宅した。
感想何人か書いてくれてありがとうございます、頑張っていきますんで、多分
評価も上がればモチベも上がると思いますのでお願いします。
ライス・ターボ・チケット・アマさん・マヤノ、誰にしようかが悩む・・・