最強のウマ娘と聞かれれば誰を思い浮かべる?エクリプス?シンボリルドルフ?ナリタブライアン?オルフェーヴル?トキノミノル?人の数だけ様々なウマ娘の名前が出てくるだろう。
タラレバノ話、実現することのない人々の空想話と捉えても良い、こんな議論に時間を費やしたとしても時代の変化により答えを出すことが出来ないのが結論である。
しかしだ、どうしても見たくはないか?かの地下闘技場にて17の少年がチャンピオンになったことがある事例、かき集めることが出来れば叶うのではないのか?
過去まで遡り老いたウマ娘までは厳しいが現役という点においてどのウマ娘が最強なのか知りたくはないか?知りたいだろう?知りたくないか?
「レースを観たがアレは実に面白い闘志むき出しに勝利を求めるあの姿はファイターと何ら変わりない」
「さすがじっちゃんよくわかってるじゃねーか」
「とは言えじゃ、表沙汰には出来ない、よって地下にてレースを行うことにしようと考えておる。おぬしはどうじゃ?ゴールドシップ」
「いいぜ、アタシが最強だって証明してやんよ」
「そうかそうか、それじゃあ手始めに改修工事は進めとるから後は参加者じゃの~」
「無論アタシは出るぜ」
「そうじゃ!まずはどの程度盛り上がるのかを知るためにダービーウマ娘を集めよう」
「マジで?」
「マジじゃ、成功すれば次は三冠ウマ娘、トリプルティアラウマ娘、そして世界各国から最強とふさわしいと言われるウマ娘を集めレースをする。表のレースで活躍とはまた違う裏での活躍、この勝利を持って世界最強と呼ぶにふさわしいウマ娘を輩出しよう」
「おお、すげーことになりそうだな」
この時ゴールドシップとしては自分が出たりして普段戦えないようなウマ娘とガチンコで勝負するくらいの気持ちだったのだが御老公が想像以上のことを考えていたため身震いが止まらなかった。
世間では確かにどのウマ娘が一番かを議論されることもある。勿論枠順や天候など様々な条件が重なるがそれすら関係なくかつウマ娘はいるなど、正直無駄な議論だなと観ていることはあった。
しかしこの目の前にいる老人は本気で考えている。表の世界では一生味わうことの出来ないような気持ち、最強論に終止符を打つことになるこの話、自身の魂が燃えるのを感じた。
「このレースを行うに当たって部外者への一切の説明は禁ずるわかっておるな?」
「あたりめーよじっちゃん、勿論あたしもレースに参加できるんだよな?」
「当たり前じゃ、ここでお主を出さないとなると、何をしでかされるのかわかったもんじゃあない」
湯飲みに入ったお茶を飲みつつお茶請けのようかんを食べる。何故かゴルシは取ってきたマグロをさばいて貰った刺身だがこの際どうでもよかった。
真の強者を決めるレース。勿論野良で強いウマ娘もいるかもしれないので探すことにするが果たしてどの程度の強さのウマ娘がいるのか見当も付かない。
「そういえば最近お主の学園ではここに関わりにある人間がよく顔を出してるそうじゃのう」
「え、そうなん?」
「そういば顔も知らんかったな」
今更だがそのうち関わることになっていくだろうから説明しなくてもいいだろうと御老公は考えた。
一時期は世界中からこの日本の地下に死刑囚が集まったことがあった。それと同じようにいずれ最強の名を欲しがるウマ娘は自然と己の足でこの場所へと足を運ぶことになるだろう。