昼のカフェテリア、そこでは様々なジャンルのメニューがありウマ娘は好きな料理を頼みそれを平らげていく、そんな中でもグラスワンダーとエルコンドルパサーの2人組は一緒に昼食をとっていた。
一つのテーブルに集まり仲良く食べているとグラスの向かい側のテーブルにあのオーガが座っていた。普通ならば、あの人もお昼ですかで終わるのだが、彼のテーブルには10人前はあるだろうか、ウマ娘の量並みに料理が並べられていた。ジャンルは、和・洋・中の3つであった。
「あら~、凄いですねあの量」
「ケ!本当に人間デスか?」
「それにお箸の持ち方も食べ方もきれいですね」
「う~エルには無理デス!」
「エルはその前になんにでもホットソースをかけるのをやめなさい」
「ノー、それはできません!」
手持ちのホットソースを料理にぶちまけ、そのはねたソースの一部がグラスの刺身定食にかかってしまった。
「エ~ル~?」
「ひ!しまった!グラス、ごめんデ~ス!」
「謝ってすめば切腹いらないんですよ~」
「ノーーーーーー!!!!」
眼だけが笑っていない、表情は柔らかでも底知れぬ何かがエルを襲った。それよりもオーガの方が気になり視線を戻すとすでに半分ほど平らげられており、空の皿を見て驚いたことがあった。
「!!、とても綺麗にお魚の骨がはがされています」
「ほんとデース!」
「それに身だけがない」
「!!」
そう、魚の骨には必ずと言っていいほど多少は身が残る。だがオーガの皿には身が一つもついていない魚の骨があった。ただそれだけではなかった。ウマ娘は耳がとてもいい、人間には聞こえない小さな音でも聞こえるほどにである。
「音がしない」
「音デスか~?」
「ええ、ナイフとお皿が触れるほどの音は聞こえたりしますが、それを除けば音が全くしないんです」
「ええ!!、ほんとデスか?」
「それに姿勢もとてもいい、まるで高級旅館やホテルで食事をしているようなとても素晴らしいテーブルマナーを身に付けています」
「ええ~そんな風には全然見えませんけどね~」
「ええ、人は見かけによらない、まさしく言葉通りですね」
初めてこのような美しい食べ方を見たと言わんばかりに、食い入るようにオーガを見つめるグラス、それ程にまで美しくあったのだ。
自分の料理も堪能しつつ、ちょくちょくとチラ見していると料理をすべて平らげたオーガがいた。食べ終わると手を合わせるのではなく、会釈をした。
「あれは?ごちそうさまという事でしょうか?」
「ケ?さ~よくわからないデス」
「多くの作法や技術を身に付けているのか、少し気になりますね」
「ならグラス、聞いてきたらどうデスか?」
「!、そうですね、あとで聞いて来ようと思います」
食事を終え、トレーニングも終わり少し時間があるのでオーガを探し食事の作法などを聞き出した。あまり多くは語ってはくれなかったが満足する話ではあったのでとても嬉しそうであった。
次の日の昼では教えてもらったことを思い出し実践、いつもより綺麗に食べられるようになり、またエルがソースを飛ばしてきたときはとうとう眼すら笑っていなかった。
「あああああああ、ごごごg、ごめんなさい」
「どうしましたエル?」
この時エルはグラスの後ろに般若らしき姿が見えたという。オーガから作法だけでなく仕留め方や何かを学んできたのかもしれないとスぺ達に語った。
そろそろあの人を出してみようかと、顔に傷がある人を