レイナ様に願いを~No time to wait a carriage!~ 作:汐留ライス
『まだかなプレシャス』
城ヶ崎美嘉「急に寒くなってきたよね」
喜多見柚「風邪とか気をつけなきゃだねー」
事務所でそんな話をしてるところに、着ぐるみ姿の鈴帆が登場。
上田鈴帆「冬といえば冬至! 冬至といえばカボチャ! というワケで、パンプキン鈴帆・アルティメットの登場ばい!」
そう語る鈴帆の姿はなるほど、どこをどう見ても全身パンプキン。
城ヶ崎美嘉「冬至って来月だけど……」
喜多見柚「ゆず湯は?」
もっともな指摘だけど両方ともスルー。
上田鈴帆「冬至の日にはカボチャば食べると、風邪をひかんようになるって言われちょるけん。けどこれは迷信じゃなかね、カボチャには栄養が豊富で風邪の予防には――」
小関麗奈「鈴帆……」
そのやり取りを横で見てた麗奈が一言。
小関麗奈「ハロウィンに間に合わなかったのね」
上田鈴帆「それば言うたらいけん!」
† † †
『地形効果の範囲』
ちょっと遅めの初詣に、事務所のメンバーで近くの神社へお参り。
参拝も終わって、参道を歩いてるところで奈緒が尋ねる。
神谷奈緒「そういえば、歌鈴の実家って神社だったよな?」
道明寺歌鈴「はい。忙しい時は巫女さんのお手伝いもしているんですよ」
片桐早苗「歌鈴ちゃんが巫女さん……、色々と心配になるわね」
道明寺歌鈴「それが、神社の中では噛んだり転んだりしないんですよ! えっへん!」
小関麗奈「そりゃ、境内にバナナは落ちてないでしょうし……」
バナナはともかく、確かに今も歌鈴は噛まずにしゃべっている。
神谷奈緒「じゃあ神社でライブとかやったらいいんじゃねーか?」
道明寺歌鈴「いいですね! 衣装も巫女しゃん――」
遊佐こずえ「かりんー、いま、かんだー」
見回せば、まさに鳥居から1歩踏み出たところ。
小関麗奈「ホントに神社の中だけなのね……」
道明寺歌鈴「しょんなっ! はわ、また噛んだ! ああっ、なんでこんなところにバナナの皮があひゃあああっ!!」
叫びながら石段を転げ落ちる歌鈴。それでも大ケガにならなかったのは不幸中の幸い。
そんなこんなで、今年もよい1年になりますように。
† † †
『ヘレンの道はけもの道』
クセの強いメンバーがたくさんいる事務所の中でも、ひときわ異彩を放つアイドル、それがヘレン。
本名不明、出身地は「海の向こう」。世界レベルの24歳。
安部菜々「なんていうか、謎の多い人ですよねえ」
小関麗奈「そりゃ、アンタの設定ほどわかりやすくはないでしょうよ」
安部菜々「いやいやいや、菜々のウサミン星出身は設定じゃなくて、事実ですから!」
事務所でそんな話をしてたところに、巴が割って入る。
村上巴「こんなところでグチグチ言いよっても始まらん。ちょうど向こうにおるけえ、直接聞きゃあすむ話じゃ」
そう言って、ヘレンのいるレッスンルームへずんずか歩いてく。
安部菜々「巴ちゃん、ヘレンさんに食べられちゃったりしませんかねえ」
小関麗奈「でっかいヘビじゃないんだから」
そうは言いつつも心配なので、こっそり後を追う二人。
村上巴「おう、ヘレンの姉御」
ヘレン「ヘーイ、巴! 私に用なのね?」
そりゃ用がなければ、わざわざレッスンルームまで来ない。
村上巴「事務所の若い衆が、姉御の素性を気にしよってな。差し支えなければ、聞かせてやってくれんか」
ヘレン「愚問ね」
即答する。
ヘレン「私の出身がどこであろうと、そこは常に世界の一部。いいえ、むしろ世界全てが私の出身地、すなわちワールド・イズ・ヘレン!」
村上巴「せ、世界がヘレンじゃと!?」
意味はわからないけど、勢いに圧される巴。
ヘレン「私を理解したければ、まず世界を知りなさい。なぜならヘレンとは世界であり、世界もまたヘレンなのだから。全ての道はヘレンに通ず、ヘレンは一日にしてならずよ」
村上巴「ヘレンの道……」
ただただ圧倒された巴がよろけながらレッスンルームを出ると、廊下で様子を窺ってた麗奈たちが慌てて駆け寄る。
安部菜々「だ、大丈夫ですかっ!? どこか噛まれたりしてません?」
小関麗奈「ちっちゃいヘビじゃないんだから」
そんなやり取りも耳に入ってない様子で、巴は拳を振るわせる。
村上巴「ウチは……、ウチは今まで、井の中の
安部菜々「影響されてる!」
村上巴「見よってくれヘレンの姉御、ウチもいつかきっと、姉御のおる場所までたどり着いてみせる。それが世界レベルで、ヘレンレベルじゃけえ!」
事務所の中でもひときわ異彩を放つ、謎だらけのアイドル。なのに同じアイドルたちから熱烈な支持を受ける世界レベルの存在、それがヘレン。