GATE 地球連邦軍 彼の地で 斯く戦えり 作:急行根府川(青い鳥)
第1話 連邦軍 異界に立つ
「おい、中はどうなってる?」
「真っ暗だ、何も見えねぇ」
何人かの軍人が門を覗いている。門の中は真っ暗であり、一寸先すら見えない。
「それにしてもこの門…またジオンのヤローらの仕業か?」
「さあな………ぐはあっ!」
「お、おい、大丈夫かっ!!うぐっ…!」
「司令部、聞こえますか!こ、攻撃です!何者かに攻撃を受けてます!!くそっ!」パンッパンッ
博物館から飛び出してきたかのような装備を着たヒトガタの兵、ドラゴンが飛び出していく。何人かの兵士は吹っ飛ばされ、何人かは何とか隠れる。
「なんだァ?!こいつらァ!!」
「埒があかねぇぜ!!」
「このままだと市民にまで被害が!」
「くそぉっ!」
吹き飛ばされなかった兵士達が拳銃を放つ、たくさんの人数が飛び出したため、弾は当たるが多くのヒトガタは柵を破壊して街中へと飛び出してゆく。街中ではパニックが起きていた。一年戦争の経験から市民たちは避難をし始めていたが、旧世紀の騎士のようなものやヒトガタは問答無用にドアやガラスを破壊し建物に侵入する。
そうして殺した兵や市民を積み重ね、敵の大将であろう異界人はこう言い放った。
「蛮族どもよ!よく聞くが良い!我が帝国は皇帝モルト・ソル・アウグスタスの名において、この地の征服と領有を宣言する!!」
この話はすぐさま司令室へと通達される
「くそっ…俺たちの故郷をめちゃくちゃにしてクソみてぇな旗を立てやがって…!!」
「指揮官から許可が出た!61式戦車とジム隊は準備が整い次第直ぐに発進せよとのことだ!」
「了解、全戦車隊、ジム隊に通達する。各機準備が整い次第直ちにに出撃せよ、繰り返す、各機準備が整い次第直ちに出撃せよ!」
「故郷をめちゃくちゃにされたんだ、その代償を償ってもらわなきゃなぁ!」
付近の基地から続々と61式戦車とジムが出てくる。しかし、まだ旧銀座まではかかる…その頃旧銀座では…
「軍人さん!皇居博物館だ!皇博に避難誘導してくれ!!」
「だ、誰だお前は!ここは一般人立ち入り禁止だぞ!」
「皇博は旧世紀の中世の頃は城だったんだ!だからそこに立てこもるのがちょうどいいんだ!」
「…!なるほど、了解した、上官と掛け合ってみる」
ある男が発案した皇居博物館への誘導は大成功となった。皇居博物館は旧世紀に城として建造され使用されていたということもあり、守りに関しては十分な能力を持っていた。
「先行ジム隊!まもなく来ます!続いて61式戦車も!」
「あと少しだ!踏ん張れ!!」
銃撃戦が続いている二重橋についにジムが到着する。ジムは瞬く間にドラゴンを蜂の巣にし、兵士たちを倒す。続いて61式戦車が到着し兵士を打ち払う。異世界からの侵攻は夕方までには鎮圧した。生き残った兵士は捕虜としてあくまで名目上は丁重に扱われた。しかし、多くの犠牲者が軍民問わず出ており、生き残った市民は家族の死に涙を流し、怒り狂う。
その日の出来事はその日中にダカールまで届き、緊急議会が開催された。最初は門の破壊をするという意見が多数を占めたが、あるひとりの声で彼らの意見が変わる。彼はその土地には資源や、コロニー以外の人口の移動ができるのではないかと。先の1年戦争で55億人もの人が死亡したが、それでも人口は過多と言えた。宇宙世紀は人口のはけ口を宇宙へとしたが、彼らは反旗を翻した。ならば次は同じ地面の上だ。ということである、多くの人は納得し、この土地を特別地域、特地と命名。地球連邦軍を特地へと派遣するということが決められたのであった。
ヤシマ財閥やビスト財団、ルオ商会など軒を連ねる大組織もこの件に賛成し、協力するコメントする。
皇居博物館への立て篭りを進言したのはイタミという連邦陸軍の軍人であった。彼は生粋のオタクである。この日行われていた地球圏最大の同人即売会へと行こうとしていた。しかし、旧銀座事変が起きたため、その即売会は中止となったようだ。
彼の事を一言で言うと不真面目であり、模範の対義語とも言える存在である。だが、彼はよりにもよって今回の功績によって中尉に任命されてしまったのである。
その後、臨時的に門前制圧隊が結成される。これらは沢山余ったジムと今となっては旧式になってしまった61式をかき集めたものであった。そして人員は陸軍各所から集まったのは大中小の尉官や軍曹以上の階級の者達、未知の世界に一般兵などには任せられないのだ。ジムや61式戦車が門をくぐる。門の先は闇夜であった。遠くに赤い光がゆらゆらと光っているのが見える。あれが敵陣だろうか。
「連戦で疲れるわほんと」
「しょうがねえだろ、ただでさえ軍縮気味なのにこんなのがあっちゃあなぁ」
ジムのパイロット達はそう愚痴る。無理もない、彼らは銀座事変からそのままの参加であるからだ、侵攻は夕方には収まっていたがまたいつ来るかも分からない敵に、多くの兵士の気は休まらなかった。
「…しっかし技術屋は変なのを思いつく」
「余ったジムのバルカンを沢山つけたものを武器にするとは、ある意味恐れ入ったよ」
「そもそもMSは対人向けじゃないですからね…」
ジムはジオン軍のMSに対抗して作られた武装である、対人向けではないしザクのC型のような核武装や毒ガスなんかも南極条約で装備できない。
1番小さい武装を沢山くっつけて臨時の武装にするしか対人向けには出来ないのだ。
その後、敵は第1次攻撃、第2次、第3次と攻撃を仕掛けたが、連邦の圧倒的な火力には手も足も出ずに、地に伏せていった。
「地方都市1つ…6万人もの死体の山か…」
血で赤く染った丘を見て名も知らぬ兵士がそう呟いた。
この門前の戦いでは第三次攻撃だけで数えられた限りで合計約6万人(事変まで含めると12万)もの敵軍の死者が出たらしい。それも人だけであり、ヒトガタを含めればさらに増えるという。
…翌日、中尉となったイタミは上司の部屋へと通された。
「なるほど…調査ですか…いいかもしれませんね」
「いいかもじゃない!イタミ!君が行くんだ!」
イタミはあくまでオマケみたいな中尉にである。資源調査などもこの時期には真面目に行われておらず、イタミ、ましてや連邦軍自体調査という任務自体初めてである。
「まさか、1人で行けと?」
「そんなこと言うわけないだろう。イタミ、君には臨設のMS混成深部調査部隊の第03部隊の指揮を取ってもらう。担当する地域の住民と接触し状況を把握してもらう。出来れば友好的な関係も築いてもらいたい。」
「は、はぁ…まあそう言うことなら」
こうしてイタミは第03部隊の隊長にもなってしまったのである。
その頃、帝国皇城では、連日の敗北により多く騎士や貴族が帰らぬ者となっており、閑散と葬儀を行っていた。
「これまでは予定通りと言えよう、連合諸王国軍が減れば元老院議員たちも安堵するじゃろうよ」
「しかし、『 門』より現われた敵の動向が気になります…命からがら逃げてきた貴族によりますと
「そなたも神経質になっているようだな、そう難しいことは無い、アルヌスの丘から帝都までの街を焼き払い、荒地にしてしまえば良い。いくら
「しばし税収が低下しそうですな」
皇帝もこの事を話したマルクス伯も冷淡に話す。所詮彼らにとって民衆など金を出すATMのようなものなのであろう。
「陛下!」
白絹の衣装で包み、歩み出たのはピニャ・コ・コーダ第3皇女、つまり皇帝の娘である。
彼女は安堵した表情である皇帝が連合諸王国軍の結末を存じてないようにしか見えなかった。聞くとマルクス伯は「連合諸王国軍は多くの犠牲を払ったが勝利を収めた」などという。ピニャは何を言うかと思った。連合諸王国軍だけでも6万もの兵を失ったから尚更だ。再建すると伯は言うが、そんなものを悠長に待っていたら彼らは確実に帝都へ侵攻してくるであろうと。
しかし皇帝の「お前ならどうするのだ?」という問に、彼女は何も意見を出すことは出来なかった。
皇帝は多少辟易とし、娘にこう提案した。
「ならば…アルヌスの丘の敵共の偵察をそなたが設立した『騎士団』と共に行ってくれぬか?」と。
ピニャは不満に思う、彼女は華々しい会戦をしたかった。しかし、これは最前線への偵察である。つまり死との隣合わせとなるわけである。実戦のない自分や部下達でやり遂げれるのだろうかとも思った。しかし、言ってしまったからにはやるしかない。
「どうだ。この命を受けるか?」
少し間が空き、彼女は思い立ったように顔を上げる。
「確かに承りました」
彼女はピシャリと言い放ち、儀式に則った礼をする。
「ウム、成果を期待しておるぞ」
「では父上、行って参ります。」
彼女は背を向け皇帝の間から去った…。
次回予告
第03部隊隊長になったイタミの前に現れた部下たちはどれも揃って曲者揃いであった。動き始めた03部隊は竜によって焼け落ち瓦礫と化した村で1人のエルフを救出する…。
次回 GATE 地球連邦軍 彼の地にて、斯く戦えり 「焦土とエルフ」
君は、彼の地で何を見るか?