GATE 地球連邦軍 彼の地で 斯く戦えり 作:急行根府川(青い鳥)
イタリカの街に着いたピニャは、この街が何者かに攻撃されているという事を聞いてついにアルヌスを支配するものが攻めてきたのかと奮起した。しかし、実際は巨人などは一人もおらず、ただの盗賊であった。増えてくる盗賊に対し日々撃退するだけであったが、いつしかそれだけでは防ぎ切ることが出来ず、確実にイタリカの町は疲弊して言った。そんなある日…
仮眠中であった彼女に水がかけられる。
彼女はバッと起き上がり急いで鎧を身にまとい、怒鳴る。
『な、何があった!敵襲か!?』
騎士団の1人であるグレイは
『果たして、的なのか味方なのか…ただ…』
『ただ…』
『ともかくおいでくだされ、実際見た方が良いでしょう。』
城門にたどり着いてみると、戦闘準備を終えた兵士と市民たちが城門の向こう側を隠れながら見ていた。
『姫様。こちらからだと、良く見えます。』
農夫のひとりがバリケードの隙間を譲ってくれた。
覗いてみると狭い視界の向こう側に四輪の荷車が2台。車輪が見当たらないのが1台、そして
『あれは…まさか…巨人!?』
少なくとも6体の巨人がいた。それぞれ見慣れない武器のようなものを持っている。巨人がいることにも驚いたが、よくよく見ると荷車にも馬や牛が見当たらない。攻城戦とかには荷車を馬や牛ごと覆う物ある。彼女はそれの1種だとおもった。しかし、3台とも全面を鉄でおおってるようにも見える。それに天蓋に「長弩」と「大砲」の中間に当たりそうな武装を装備している。あの中には普通に兵がいるようだ。
この世界において攻城戦というのは兵器よりも兵の数で決まる。しかし彼らの他に兵はいない。それに荷車や、巨人達も攻撃する素振りを見せないのだ。それに攻撃どころか威嚇などもしない。彼らは何しにここに来たのだろうか。
『ノーマ!?』
『いえ、彼ら以外には敵影はありません。』
尋ねたいことがわかったようですぐに答えがあった。
鉄でできた荷車…いや、『鉄甲車』の中にいるのは薄茶色の統一された服を着た兵士だ。手には武器なのか杖なのか判別し辛いものを抱えている。その険しい表情や鋭い視線などからこのモノ達が並々ならぬ力量を持った存在であることは分かる。
『何者か!?敵でないなら姿を見せよ!』
ノーマによる誰何の声が頭上の城壁から聞こえる。どんな反応が起こるかのかとこの場にいる全員が息を飲む。
しばらく待つとその車の中から一人の少女が降り立つ。歳は13から15辺りだろうか?服装や持っている杖で魔道士であることは分かる。流派は…杖の材質から推測するにリンドン派の正魔導師であることは明白だ。彼らは攻撃魔法で戦闘を行うことも可能であろう。厄介だ。
先程の襲撃では的に魔導師はいなかった。だからこそ守りきれたと言えよう。しかし、相手方に魔導師臥が加わったとなるとかなり厳しい状況になるはずだ。続いて降りてきたのは見たことない衣装をまとった16歳前後の娘だった。丈が短く、男共の目に毒な服を着ている…がそれは問題ではない。なぜなら彼女が金髪碧眼のエルフだからである。なぜならエルフは例外なく優秀な精霊使いと聞く。強力なものともなれば一軍を壊滅する力があることでも知られている。リンドン派の魔導師にエルフの精霊使い、そして巨人。こんな組み合わせならば騎士団どころか帝国軍の精鋭部隊ですら戦うのを拒むだろう。しかし、次に出てきた娘を見たピニャは、絶望した。
黒髪にフリルにフリルを重ね絹糸の刺繍に彩られた漆黒の神官服を来た彼女は見覚えがあった。
『あ…あれは、ロ…ロウリィ・マーキュリー…!』
ロウリィは死と断罪と狂気、そして戦いの神エムロイに使える使徒だった。
皇帝は国事祭典に使徒を呼び出して会談を持つことがある。従って彼女にはエムロイの使徒と謁見する機会をあったのだ。
『彼女があの噂のロウリィ・マーキュリーですか?』
『あ…ああ、見た目に騙されるなよ、あれで900歳を超える化け物だ。』
ピニャは一刻もここから早く逃げたいと考えていた。使徒、6体の巨人、魔導師、エルフの精霊使い…彼らが敵ならば薔薇騎士団全員で立ち向かっても勝ち目はないだろう。
『姫様?顔色が悪いようですが…』
『あ、ああ、だ、大丈夫だ。そ、それよりも彼らは話す耳はあるようだな…』
少し遡って、イタミ達ははどうすればいいか無線などを使って話し合っていた。
「みたところ、街の人たちも忙しそうだし、その様子じゃあ商談とは行かないだろうねぇ。何と戦ってるから知らないけど巻き込まれるのはゴメンだし。ここは我が身とキミたちの安全安心を優先したいと思うんだけど、どうだろ?」
「確かに、熱烈な歓迎っぷりっすねぇ」
とクラタが言う。クワバラは
「こちらからは手を出すな。絶対に敵対的行動に繋がるようなことはよしてくれよ」
と緊張感を含んだ口調で話す。しかしレレイはいつものような棒読み的な口調で「その提案を却下する」と告げた。
「でもさ、この城門の有様じゃあ俺たち中に入れないけど?」
「入口なら他にもある。イタリカ町は平地の城市、東西南北全てに門がある、イタミ達は待ってて欲しい。私が話をつけてくる。」
レレイが腰を上げる。それを見てテュカが『ちょっと待って』と止める。冷静に考えて戦時下の街に入ることが利益になるとは思えない。むしろ巻き込まれたりと悪影響を及ぼす可能性が高いとレレイに伝える。レレイは
『入れるかどうかは問題ではない。この場で私たちが敵ではないことを理解させておきたい。このまま立ち去れば私たちが敵だと誤認させられる可能性がある。この先ここに訪れることがあっても、ほかの街に行くにしてもその話が広がれば今後の活動に支障が出る。』
『でも、それだとあたし達の都合にこの人達を巻き込むことにならない?この人達は何も求めずに私たちを助けてくれているのよ?そんな人を危険なところに巻き混む訳には行かないでしょ?』
『だからこそ行く。私たちはイタミ達に恩を受けている。私達の都合でここまで来て、イタミ達が敵と思われたり、評判が落ちるのは私のもとめるところではない。全てはイタミ達の為。』
そう言われると頷かざるを得ないテュカである。もしもの事を考え、テュカは矢よけの加護を精霊語で唱える。最終的にレレイ、テュカ、そしてロウリィの三人が車外へと降り立ったのであった。
イタミはそれを見てすごく心配した。何となく「大人として、男として、軍人としてどーなのよ」という文字が頭の中をぐるぐる巡る。陸ガンⅡに内蔵されている個人通話用無線(F91のアレ、別にあれぐらいならこの時代でもできるだろうから出す。)をタカモトのスナカスに繋げる
「なあ、俺、どうすればいいんだ…?」
「……んぁ?なんの話し?」
「タカモト…ちゃんと話を聞いていなかったのか?」
「すまんすまん、寝ぼけててね。うーん、なんとなくは分かるけど…行けばいいんじゃないかな?知らんけど」
「はぁ、まあそう言われるよな、よし、俺も行ってくるわ、むしろ行かなきゃダメだな。よし、行ってくる。」
そう言ってイタミはMSから静かに降りて彼女らを追いかける。
ピニャは決断しなければならなかった。確固たる判断材料がないままにどうすればいいかを決めなければならないのだ。
『グレイ、どうすればいい?』
数々の戦いを戦ったグレイをしてもピニャの質問に対して明確な答えを出せなかった。
兵士や農民たちは彼女の判断を待っている。彼女の言葉1つでこの街の、兵士の、そして自分の運命が決まるのだ。
まずは、彼女達が盗賊達に組みしているのか…?
それは否…と言えたらいいのだが。理由としては盗賊に関与しているならば最初から攻撃に参加していたはず。そうすればこの街は陥落していただろう。それに彼らはこちら側の声に応じて近づいてくる。今も攻撃してくる様子もない。しかし、それならばなぜ彼女らはこの街へ来たのだろうか?…追い返すという手段もあるがそれは結果的にロウリィ達を敵に回すことになるかもしれない。それは出来れば避けたい。むしろ出来れば引き入れたいものだ。使徒、巨人、魔導師、エルフが味方に着いてくれれば心強い援軍になってくれるだろう。ピニャは兵士たちに必勝を信じさせれるほどのカリスマ性に欠けていることは痛感していた。もし勝てると思わせることが出来なければきっと住民たちは逃げるだろう。ひとりが逃げれば雪崩のようにみな逃げ出そうとするはず。もはや時間はない。こうなったら当たって砕けるまでだと心を決める。ピニャはかんぬきを引き抜くと、力強く、勢いよく、そして大きく開く。
『よく来てくれたっ!!』
鈍い音と手応えにふと我に返って見る。
ロウリィも、魔導師も、エルフもドアにあたり気絶し倒れた男に視線が注がれていた。
『……………もしかして妾?妾なのか?』
白い魔導師の少女が、黒い神官少女が、そして金髪碧眼のエルフ娘が、首をウンウンと縦に振る。
『あ〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!』
ピニャは叫んだ。
(中編に続く!)
戦ってないじゃんかって?別に問題ないのさ最終的に戦えば。
ちなみにタカモトは道中自動操縦にして寝ていました。教育型コンピュータってすごいのよ?