GATE 地球連邦軍 彼の地で 斯く戦えり 作:急行根府川(青い鳥)
さて、前回も言ったようにアルヌスの丘では基地の建設作業が急ピッチで行われている。しかし実際に見えるのは低層ビルと滑走路ぐらいであろう。見た目からはこれだけ?と思う人もいるだろうが、そう、連邦が作っている場所は地下なのだ。現在、連邦軍のジャブローのような強固な要塞を連邦は地下に拵えている最中なのだ。
ところで、連邦軍兵士がなぜ住民の手伝いをしているのかだが、それは連邦軍がとにかく協力することで、その地での優位性を確保する為であったりする。
一方、イタミ達03部隊と難民達は移動を続けていた。
「クロちゃ〜ん。どう?女の子の様子は」
「イタミ中尉…意識は回復しつつありますわ、今もうっすらと開眼しています。」
イタミはその少女を見つめる、一流の芸術師が作り上げた傑作のように見える少女、その隙間から覗く瞳はまるでアクアマリンのように思える。
イタミは見ながらこの先の困難を思う。全て安定していることは悪いことでは無いとクロカワは言うがまだ安心はできない、そして、状況は彼女のような安定は全くしていないということであった。進まない難民の列、カンカン照りの太陽、事故、苛立つ大人、増加するけが人、病人、落伍者…。
「はぁ、上手くは行かないもんだねぇ…」
イタミはため息を着く「喰う寝る遊ぶ、その合間が人生」がモットーである彼にとってこれは苦痛なことであるからだ。しかも、それがいつまで続くかも分からない。
もはや荷車がぬかるみにはまるのなんて日常茶飯事になってしまっており、それが起こる度にイタミたちはすくい上げる。最初のうちはMSが行なっていたものの、燃料の観点で問題になり、今では人力で押し出している。
難民達は思う、なぜ薄茶の人々はここまで自分たちに優しいのかと。
しかし、それでも荷車が壊れた場合は別だ。彼らにその代替部品がないことが分かれば、必要な荷物以外は燃やす。そうしなければ彼らはいつまで経ってもそこから離れようとしないからだ。
「隊長、本部からほかの人員を引き出せないんでしょうか…」
「無理だってさ、だって、ここは敵の後方にある、少数ならば気づかないかもしれないが大人数になればそうとは限らないからね…」
「成程…」
「だから俺たちが手を貸すしかできないんだよ」
既に2台エレカトラックの人員は03部隊と疲れて動けなくなった子供やけが人でいっぱいだった、しまいには上に乗っている人もいる始末である。
「もっと早く動けないもんですかねぇ、こんなのエレカの教習以来ですよ」
「まあそうカッカすんなって、上に乗ってる子達が振り落ちちゃうよ」
「ホバートラックの上にも乗ってるんですね…そういえば、さっきからカラスみたいなのが飛んでますね」
「あ、前、人がいます」
先頭をゆっくり歩くスナカスに乗ったタカモトがぽつりと言う。
「どれどれ…ゴスロリ少女?」
よくアニメで見るような服装を着た少女が立っている。
「まるで人形みたいですね…こんなカンカン照りになんで道の真ん中で突っ立ってるんだろう?」
「どうします?あの子」
「うーん、ほっとく訳にも行かないし…、よし、カツモト、ヒガシ、2人で話しかけに言ってくれないか?」
「「了解」」
カツモトとヒガシが話しかけに行く、が、相手は何も言わないのか、困った様子が見て取れる。彼女の服装はここにいる難民のような服装ではなく、むしろ現代のレイヤーのような服装に見える。彼女の前まで来ると、その子は待ちくたびれかのように服に着いた埃を払う。そしてデカい死神か何かが持ってそうな斧を軽々と持ち上げ、ホバートラックの横を歩き始める。
『あなた達、どこからいらしてぇ?』
彼女は現地の言葉を流暢に話す。どうやら彼女は特地の住民らしい。当然、まだまだ現地語が不自由なイタミ達が答えられるわけもない、辞書を見てカタコトな現地語を話すのが精一杯だ。ヒガシもカツモトも諦めた用に肩を竦めてとりあえず歩き出す。
『コダ村からだよ、お姉ちゃん』
コミュニケーションの空白を埋めたのはホバートラックの上に座っていた7歳ぐらいの男の子だった。
『ふ〜ん?この変な格好の人達はぁ?』
『よく知らないけど、助けてくれてるんだ。いい人達だよ?』
『嫌々連れてかれてるわけじゃないのねぇ?』
『うん。炎竜が出たんだ。みんなで逃げ出してきたんだよ』
イタミ達は納得してる様な感じの表情しかすることが出来なかった。東達は後方の支援に向かう。少女から情報を取るのは自分でやることにした。
『そういえばあの巨人は誰なのぉ〜?』
『あれは中に人が入ってる巨人なんだ、僕の友達があの巨人の手の上にいるよ?』
立ち止まってるスナカスの手の上にいる子が手を振っている。
『へぇ〜、どんな感じかしら?』
その少女は軽々と飛び、なんとMSの手の上まで来る。
『わあ!凄いねお姉ちゃん!』
『それほどでもないわぁ〜』
タカモトはGガンダムの東方不敗みたいな動き方をする彼女に驚いて固まってたがすぐMSのハッチを開けて顔を出す
『あの、あなたは?』
『あらぁ〜、本当に中に人がいるのね、入らせてもらうわぁ〜♪』
「あー!おやめ下さい!!!中は精密機器ですぞ!あ!それは入らないって!だから精密機器なんだってちょっと!ねぇ!やめて!ねぇ!?!」
押し問答がしばし続いたあと、結局、彼女はタカモトの膝の上、彼女の持つ斧…ハルバートは手の上に置くことになった。
「前が…見えねェ…!」
そもそもMSは特殊機(ジムトレーナーなど)を除いて単座機である。避ける隙間というものは2世代後のMSを待つ他ない。なのでこうなっているのだ。
『あら、これはぁ〜?』
『触る、ダメ。』
『 アレはぁ〜?』
『ダメ』
『喉が乾いたわぁ〜?』
『……これ、のめ』
オプション配備の水筒用小型水冷庫からペットボトルを取り出す。フツーのレモンティーだ。
彼女はフツーに口をつけて飲む。
『美味しいわねぇ♪』
彼女はそのまま全部飲んでしまった。タカモトは渋い顔をする。
『また飲ませて欲しいわぁ♪』
「も、もう嫌だ…」
結局それは夜まで続いた。夜はさすがに出てもらってエレトラで寝てもらう。
「良かったじゃねぇか、可愛い女の子が膝の上だぜ?」
「嬉しくなんかありませんよ!!!大切に飲んでたレモンティー全部飲まれたんっすよ!あのブランド数が少ないから基地の店頭に出てもすぐ売れちゃうのに!!」
「じゃあ間接キッスって訳か!よかっ…」
「全然良くないよ!!!僕はもう寝るっすよ!おやすみ!」
「珍しくキレてるなぁ」
「しょうがないですよ…みんなこんな状態でストレス溜まってるから…」
「う、ううん、そうだな…。」
それから数日が経つ。相変わらず彼らは旅を続けていた。
「クソっ、あの竜、まさかここまで追ってくるとは!!」
ホバートラックはやっと本来のスピードで飛ばしていた。何故ならば目の前には…
…あの炎竜がいたからだ。
「軍隊が怪獣と戦うのは映画だけの話だとは思ってたがっ!まさか、ここでおっぱじめることになるとはねっ!」
上に乗っていた子供たちを全員中に入れたホバートラックは荒野を疾走する。
「くうっ…!20mmじゃあ効かへんかぁ!」
カツモトはホバーに備え付けられてる20mmガトリングガンを放つ、それでもそのぐらいで小さな竜を倒せたのだから、炎竜にとっては小バエ程度だ。
「ソフィー!この子を頼む!」
「ゴローさん!?…分かりました。」
タカモトはスナカスに乗っていた子供をソフィアに託す。
「よし、行ってくる…!」
タカモトを載せたスナカスは走り出す…炎竜に、向かって。
次回予告
03部隊を襲った炎龍は火を吐き、住民を食らう。誰が見ても凄惨だと思える状況に居てもたってもいられなくなったタカモトは一人走り出す。彼が思いついた作戦は?そして、03部隊は炎竜を倒すことが出来るのか?次回!GATE 地球連邦軍 彼の地にて、斯く戦えり 「死闘、炎竜対03部隊」
君は彼の地で何を見るか?