GATE 地球連邦軍 彼の地で 斯く戦えり 作:急行根府川(青い鳥)
「僕が相手だ…!炎竜!!」
ホバー移動に移行したスナカスが脚部から外した100mmマシンガンを撃ち始める。100mmにもなればいくら巨大な竜であろうとダメージを受ける。しかしこれはあくまでも相手の注意を引きつける為のものだ。炎竜もそれだけの痛さを感じれば気づかない訳があるまい。むしろ逆鱗に触れたようだ。
「よし、標的がこっちになった!ソフィー!ケリー!2人は今のうちに住民の避難を!」
「「了解!」」
一方、イタミ達もホバートラックを走らせる。
「隊長はん!リジーナや!これを倒すにはもはやリジーナしかあらへん!」
「わ、わかった!」
イタミは積まれた備品の中をかき分け対MS重誘導弾M-101A3を取り出す。リジーナは対MS用に一年戦争初期に開発された数少ない対抗兵器である。一年戦争後も基地防衛などで使われているが、今回の特地派遣でも基地破壊などに使えるかもしれぬと全隊に配備されている。しかし、03部隊はもう既に炎竜の行動範囲から出たと思っていた、そして子供などを載せるのもあってか外してしまっていた。
「走りながら付け直すのは大変や!くっそー!」
「よし、これで取り付け完了だ!」
ササガワとカツモトが突貫で取り付ける。あとは弾を装填するだけだが…
「ぐうっ!しっぽが邪魔で近づけない!タカモト!竜をこっち側に向けるんだ!」
「り、了解…!」
荒野をなめらかにスナカスが弧を描きながら快走する。逆鱗に触れた炎竜は炎が体から吹き出したように見え、そして何かを吐き飛ばす。
「か、火炎弾か!クソっ!」
火炎弾は避けるものの、それに気を取られてマシンガンがオバヒを起こす。その後も何発か火炎弾が飛んでくるが、持ち前のホバーを使い、器用に避ける。そしてタカモトはオバヒしたマシンガンを左足に戻し、左腕部に備え付けられたバルカンを撃つ。
『ono!yuniryu!ono!』
無線から聞いた事のない女の子の声が聞こえる。その声の主はあのエルフであった。彼女は自分の目をさしながら『ono!』と連呼する。その様子を見たイタミはその意味にすぐ気がついた。
「タカモト!ササガワ!目だ!目を狙え!」
その声はスナカスを駆るタカモト、20mmガトリングを放ち続けるササガワに届く。
「「了解…!」」
スナカスが弧を描きながらホバーの後ろを通過する。知らぬうちに左目を矢で撃たれた炎竜の顔がホバートラックの目の前に来る。
「一気に行きます!カツモトさんは確実に1部位をたたき落としてください!」
ホバーモードをやめ、炎竜の顔の真横にスナカスは足を擦りながら来る。そしてスラスターを噴かせ、空へと飛び、背中に装備されていたスナイパーライフルを手に取り炎竜の真上へと到達する。
「後方の安全確認!ヨシ!リジーナ!いっけぇぇえええ!!」
リジーナが発射される。ホバートラック自体は反動でスリップしてしまうものの、上のスナカスに気を取られていた炎竜にはリジーナが発射されたことにすら気づけなかった。そしてリジーナは炎竜の右腕の付け根へと着弾する。
絶叫。したのもつかの間。
「スナイパーライフルだ!目にでも喰らいな!」
スナカスのビームライフルは顔の右半分を融解させながら右目に命中、そして地面まで貫通する。しかし炎竜もタダでは堕ちない。顔を上にあげ、さっきのよりもデカい火炎弾をライフルにお見舞する。ライフルには当たらなったものの、スナカスの肩に衝突し、バランスを崩させる。
「ぐうっ!…右の肩関節がイカれたか!」
左で引き金を握っていたスナカスは射撃を辞めることが出来たが、バランスを崩し、飛び出した反対側へと落ちる。その隙を狙ったのか目の光を失った竜はどこかへと飛び去る。残ったのは叩き落とした腕のみとなった。
「はぁ…はぁ…」
スナカスは火炎弾とバランスを崩し倒れた時に右腕の関節部分を全て破損、修理しなければ右側は使えない状態になった。そしてホバー部分も長時間使用+無理なスラスター飛びのせいで破損した。幸い、タカモトには怪我はない。
2体の巨人に連れられた難民達の多くは炎竜が苦しそうに飛び立つのを目撃した。あの炎竜が撃退されたのだ。全員はそれを見て驚愕する。数人と一体の巨人だけで炎龍の目を潰し、片腕を叩き落とすことなど自殺行為だということを知っていたからだ。しかし彼らは見事にそれを行った。しかも被害は4分の1どころか8分の1以下だということである。もはや誰も信じないレベルまで来ているが彼らはそれを見てしまったのだ。話には脚色が着くのはよくある話だが、この頃竜を撃退したという事実もどんどん広がることになる。そして聞いた人は思う 「炎竜を撃退した物は何者なのか」と。
その後難民達が行く道筋は3つに別れた。ひとつは親類を頼るもの、もうひとつは知らぬ場所で避難生活を始めるということである。しかし彼らは自分たちのことよりも、お人好しすぎる彼らの方が心配になってしまうのである。
元コダ村の住人や一緒に移動してきた他の集落の住人達は新天地などで質問攻めにあう。その質問は皆「竜が撃退されたのは本当なのか?」ということである。
1人は「炎龍の真上に飛んだ巨人が魔法を出し右目を潰した」といった。
他の人は「普段は魔法を使っているところを見た事がないが、その時手から岩を発射する魔法で竜の右腕を落とした」といった。
彼らは吟遊詩人ではない。なので語彙も少ないし喋り方も下手くそ。だがこれは彼らが当目から見たものであり、見たことは事実であった。特に上の2つの話になると皆は固唾を飲んで聞いた。その事は彼らの目から伝わり、説得力になった。そして颯爽と去る彼ら。03部隊は脚部を繰り返しながらも「薄茶の服を着た英雄」という称号を気付かぬうちに得ることになった。
最後に、3つ目の選択肢、それは03部隊について行くことである。もちろんこれはそこまで多くは無いものの、親が亡くなった子供や、怪我人病人、彼らに心を惹かれた賢者のカトーとその弟子、そして彼らについて行けばもう盗賊などの心配はないだろうと思った家族なと…合計では50名は行かないもののまあまあの数になった。もちろん、彼らだったまだ100%03部隊を信用している訳では無い。しかし、この先の生活を思うと、今はこの人達について行く方が良いと思う人が多くなるのも必然である。圧倒的な存在があれば皆その傘の中に入りたくなる物なのだ。
03部隊がアルヌスへと戻ってきた。それもまあまあな人数を連れて。
「お、おい、お前…!誰が連れてきていいと言った?」
「あれ、連れてきちゃまずかったですか?」
ポリポリと頭を搔くイタミ、彼の直属の上司であるヒガキはしばし悩んだ後、「着いてきたまえ」と命じて執務室を出た。
続々と他の偵察隊も戻ってきて、アルヌスの丘は少し騒がしくなった。それを窓の外に見ながら報告会が始まる。
会議の中心「連邦軍大将」のネームボードが置かれた机、そして少し豪華な椅子にタヌキ腹の壮年の男性が座る。そしてヤナギダと彫られたネームプレートをつけた男性が報告を始める。
「ゴップ大将…各方面に派遣した偵察隊からの第一報告がまとまりました。」
「了解した…さて」
ゴップという名の大将は報告書を見る。彼は一年戦争を生き残った数少ない大将である。彼の主な仕事は補給面や作戦であり、現地へ赴くタイプのレビル将軍とは対象的な人物であった。しかし、彼もまたいなければ連邦軍はジオンに立ち行かなくなっていただろう。それはここにいる兵士全員が分かっていることである。
「さて、これだけかな?」
「これ以外にも二三、重要な報告がありますが如何せん資料でしかありませんので…」
「成程。では堅実に進めてもらおうか。」
ゴップ自身も現地人の重要性は嫌という程わかっていた。連邦軍でも質の悪い兵士が集落を襲ったため、報復としてMSを破壊されたという報告も一年戦争中に聞くことがあったためだ。その為、実はこの特地に派遣している人々は多少の人選をしている。悪質な兵士との小競り合いが原因で大規模な衝突が起きたら溜まったものでは無いからである。
「各隊ともに言葉の点でかなり苦労しているそうです。しかし、ほとんどが平穏的な接触が出来たようですね。この辺の住人はみな「人間」と言うべき種族であり、主な産業は農林業などの第一次産業でした。500人ほどの村になればこのような生活雑貨を売るお店などもあるようですが。これがその資料です。」
そんな説明を加えながら、ヤナギダは資料を報告書の隣に置く。商品毎にカンタンな隊員のコメントも付いていて、さながらカタログのようだという印象を受ける。しかしこれは未知の土地を知る上で重要であり、これをダカールへ送ることで連邦政府の方針を決める大事な資料にもなるのである。
「あと、この土地の政治形態はまだ不明となっております。各村には村長がいて、人々をまとめているようですが。」
「成程、その村長がどのように決まっているか、だな。」
「はい。それが分かれば良いのですがね…」
「無闇に人を連れていくわけには行かぬものだからな。」
「それでなんですが…、都合の良い事に03部隊がコダ村からの難民を連れてきています。」
「ほう、確かイタミやタカモトがいた部隊だな。竜が出たとか」
「ええ、そうです。それでなんですが、コダ村の難民達をここに受け入れるというのはどうでしょうか、これならば必要な措置として内外に説明可能ですし、当人たちも拉致されたとは考えないでしょう。」
ヤナギダは説明する。アルヌスの丘近くに難民キャンプを建ててそこに一時的に住まわせる。
そうすることで現地人との交流を増やし、色々な情報を得るのである。ダカールからも連日情報をよこせと口うるさく言われているという事情も説明する。
「そうだな、よし、その案で行こうじゃないか」
報告会では、イタミの件で議論が行われ、その後にイタミは小一時間ほど、叱られたという…
次回予告 難民達を勝手に連れてきたイタミは難民達の生活を計画しなければ行けなくなる。難民達が目にするのは中世と宇宙世紀の差であった。次回!GATE 地球連邦軍 彼の地にて、斯く戦えり 「03部隊、労働」
君は彼の地で何を見るか?
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ロウリィ「ちょっと〜?私の出番が減っているわ?どうゆうことかしら〜?」
作者「あ、あとの話で出番増やすから…」
ロウリィ「早くしなさいよ〜?」ブゥン
作者「んああぁぁぁぁぁ!!!」(魔法の被弾voice)