GATE 地球連邦軍 彼の地で 斯く戦えり   作:急行根府川(青い鳥)

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遅れてしまってすみません!これも全て全選択のせいなんだ…
みんなも全選択を謝ってしまった時は気をつけよう!


第6話 03部隊、労働 前編

「イタミ、お前、わざとだろ?」

 

小一時間叱られたあと戻るために歩いていたイタミは声をかけられた、ヤナギダ中尉のようだ。

 

「何がです?」

 

年齢はイタミの方が上であるが、軍人は階級社会である。ヤナギダの方がイタミよりも中尉に早く昇進したため、序列的にはヤナギダの方が上なのである。

 

「とぼけるなって。みんなわかってんだよ。それまでは定時連絡だけは欠かさなかったお前が唐突に通信不良になって連絡出来なくなりましたって、誰が信じるんだ?大方難民達をどっかにほっぽっとけっていわれると思ったからそういうことにしたんだろ?」

 

「いやぁ、そんなことは…こっちはホラ、異世界だしぃ。電離層とか磁気嵐の都合とか、思うようにならんもんですなぁ。この世界の太陽黒点とか太陽風とかどうなってるのかなぁ…あははは…」

 

イタミは後頭部を掻きむしる。胡散臭く聞こえるが、別に信じてもらう必要は無いのだ。誰も信じなくても報告書には「通信不良で指示を受けることが出来ず、やむを得ず現場の判断で難民達を連れ帰った」となる。報告書こそが真実になり、記録として残されるのだから。

 

「ふん、全く…。ま、遅かれ早かれ地元民ととの交流は深めなきゃならんかったからな。スケジュールが前倒しになっただけで問題にもならん…が、コッチとしてはたまらんよ、段取りが狂っちまったんだからな。」

 

「いずれは俺たちが精神的にお返ししますよ。」

 

「…足りないな、大いに足りない。」

 

タバコを灰皿に押し付けうなりながら、ヤナギダは肩をすくめる。

 

「あんた、せこいですなぁ。俺に恩を着せて何をさせようと?」

 

ヤナギダは薄笑いして「ちょっと場所を変えて、話をしようか」と、腰を上げた。

 

2人は上へと向かう。もう既に日は傾いていた。ガスり切った地球圏ではもはや見ることすら叶わないような澄んだ空を太陽が紅く染めてゆく…。そんな空を見渡せる本部(仮)屋上に2人は相対していた。ヤナギダはフェンスにもたれつつ、タバコに火をつける。そして話を始めた。

 

「これまで集められた情報から見ても、この世界は宝の山だって言うことがわかった。生物のの遺伝子配列は我々の世界の生物と酷似している。恐らく姿が似ている種同士ならば、交配も可能だろう。まあそれは学者陣に任せればいいが、この世界で我々が暮らすことは十分に可能だ。現に俺たちはこの世界の大地に立ってこの世界の空気を吸っている。食い物は『門』から出しているがいずれは俺たちがここの生物を料理して食べることになるだろう。この世界には公害や環境汚染なんてものは無い。植物も多彩で豊かだ。そしてなにより、我々の世界では貴重なレアメタルやらレアアースなんてものもかなりの量が埋蔵されているとも予測されている。住民の文明レベルはもはや天と地の差で我々の方が有利だ。それが地球上に開いた事は幸運とも言えるし、厄災とも言える。」

 

「…ジオン残党のことかな?」

 

「それもある。だがさっきも言った通りこの世界の鉱物は数え切れないほどもある。今は全員が同じように賛同して物資を供給してる企業やら財団やら団体がいつ対立を起こすかもわからない。なあイタミ、この世界にはもう一度一年戦争を引き起こす程の価値があるかどうかをな」

 

「価値があったら?」

 

「物を持つものが強いのは歴史が証明してるということはお前も知っているだろう。世界大戦で物量と経済力で勝利したアメリカだってそうだし、同じく人員という物量で第三帝国を倒したソビエトだってそうだ。一年戦争だって最終的にジムの物量で押し倒した連邦だってそうだと言える。それはその国がみんなが欲しがっているものをかかえているからだ。極端な話、ここが地球上にある限り、サイド、企業、そしてジオン残党にだって量、質ともに強気に出ることが出来ると言えるんだ。」

 

イタミは肩をすくめる。

 

「ヤナギダさん、あんたがどれだけ地球連邦のことを考えているのはよくわかった。実に愛国的だね。俺も見習いたいよ。だがね、人には役割ってもんがあるでしょ?実際、今の地球圏の情勢の事を言われてもよく分からないんだよ。あくまで自分は現場の1兵士だからね。それに、今俺に重要なのは難民達の食料と寝床なんだよ、それが地球圏の情勢とどう関わるって言うんだい?」

 

「言って聞かせただろ?この世界、この土地に価値が有るのかどうを一刻も早く知りたいと。いや、違うな。どこにその価値があるのかを知りたいんだ。この世界が地球連邦管轄になるから連邦の管轄になるから分からない。だがこの土地のどこに何があるかの情報を握ってるものが圧倒的に有利になれる。お前、自分がその情報に最も近い場所にあると自覚しているのか?ほかの隊がしたのはせいぜい村でどんなものが売られているか、それに単語の語彙を増やした程度だ。だが、お前たちはこの土地の人間と信頼関係を掴んできた。どんなものがどこに埋蔵され、どこに流通しているか、その気になれば調べられる立場にあるんだぞ?」

 

「ちょっと待ってくれよ、ヤナギダさん。子供や老人に金銀財宝がどこにありますか?石油はどこにあるんですかって聞いて、答えられるとでも?俺は地理の点数は悪かったし、良い奴に聞いてもあまりあてには出来ないっていわれるわけなんだ。学校に通ってる俺たちでさえこんななんだ。教育制度のない世界の子供や老人がそんなことを知ってるわけないだろう?断言するが絶対に知らないだろうね。」

 

と思いつつも書籍を満載させた荷馬車の上に乗っていた老人と少女はどうかなと思ったイタミであった。

 

「知ってる人間を探して、情報を得ることが出来る。これは絶対的に必要な要素だ。お前が報告書を確認してるとは思わないが、既にお前の部下が面白い人を連れてきている。ホレ」

 

ヤナギダが知らないうちに持っていた物をイタミに渡す。それは03部隊の報告書のコピーだ。そこにはタカモトが先行偵察中にアルヌスへ向かう商人を見つけ自分たちに着いていかせた事が書いてあった。

 

「まあ、口頭で報告し忘れているのは部下の問題だ。今はまあそれはいい…イタミよ、近日中にあんたらは大幅な自由行動が許されることになる、それに予定の残り三体のMSも配備されるだろう。その任務がどんな名目になるかは上の能力次第だが、どんな文言が来ても最終的な目的はひとつだ。」

 

「たまらんね、全く」

 

イタミは辟易とした顔でヤナギダを見つめる。

 

「ふん…いままでは税金でのんびりさせてもらったんだ。嫌って言うなよ?せいぜい働くことだ。ちゃんとやるなら多少の融通だって効かすようにしてやる。」

 

そう言うとヤナギダはタバコを下に放り投げた。

 

数日後、『とりあえず』のテント生活をどうにかしろ(意訳)と、クロカワとクリバヤシに具申されたイタミは難民用の簡易住居を建設することを考える。いくらなんでもいつまでもテントの中で生活するのはつらいものである。最初は丘の中腹に作る予定だったが、戦闘に巻き込まれる可能性があったため、門後方2キロ地点に建設することになった。

もちろん、これはだいたいイタミが考えることになり、上のハンコを貰った時にイタミは1日寝込んだほどであった。

 

準備に時間や手間がかかるのはよくある事だが連邦軍は始めるとなったら早い。鹵獲したザクや、JrMSなどをつかって瞬く間に地をならしてコンテナ式の家が並べられていく。

 

こんな光景をレレイは口を開けて見ていることしか出来なかった。

 

「これでようやく荷車から荷物を下ろせるわい、儂はもう寝る。」

 

ほとんどやけっぱちのような口調で言い捨て、テントへ消えていく師匠にレレイは大いに同調したかった。

馬が引かないのに動く馬車。

炎竜すら撃退する魔法の杖。

アルヌスに陣どる綺麗に角張った建物、そしてその地下にあるという要塞。

光のような速度で近づいては消えてゆく巨大な鉄の怪鳥。

木を一本切り倒すのにも木こりが半日かかるというのにそれを瞬く間に倒していたり、100人でも時間がかかるのにそれを瞬間的に掘り返してしまう、更には四角い家を運んできてはどこかへ消える1つ目の巨人(モノアイ・オーガー)

はっきりいって驚き疲れていた。

知識のない子供や老人達の方が素直に驚き、感心し、受け入れている。が、自分たち賢者はそうはいかない。この理解し難い出来事にレレイの頭はもはやオーバーヒートしかけていた。

「…こんなすごい光景をを見過ごしたなんて知ったら父さんきっとガッカリするわね。後で教えてあげなきゃ…」

体調を回復したエルフの娘がこちらで貰った柔らかい布でできた上着とズボンという出で立ちで唖然と眺めている。反対側を見やれば、知らないうちにいた茶髪の商人(人間ではないと思う)が目を輝かせながら眺めていた。

とても羨ましい。レレイは見なかったことにしてベッドに潜り込みたいと思う。しかし、この道を選んだ以上、賢者として知性を持って征服しなければならないとも思った。レレイは勇気をだして前に進む。

1つ目の巨人から人が出てきて睨まれ、そしてなにか怒鳴られた。察するに「危険だから」と言っているのではないかと思えた。これほどの巨人が歩き回っているのである。もしも彼らの足元にいれば踏み潰されてしまうだろう。その危険を防ぐためにレレイに近づくことを禁じ、警告してるのだろうと。

巨人に近づくのは諦めたが、まだ違うのはあるかもしれないと、巨人から離れて辺りを見回し作業場の片隅で小さく唸りを上げ少し良い香りがする車両に近づいてみる。そしてどのような構造になっているを観察することにした。煙は上がってないが、なんとなく想像ができた。

『移動させることが出来る…竈』

それにしてもすごい発想だとレレイは思った。軍隊はもちろん、交易などでキャラバンを組み長距離の旅をする商人達も喜ぶのではないかと思うのだ。野営するにしても竈を設えるのは結構手間がかかるものだから。

 




次回予告
煙を上げない竈を見るレレイはその真実に驚く。第3部隊は様々な仕事をこなしてゆく。そして彼らは交易の為にイタリカへ向かうことになる。次回!GATE 地球連邦軍 彼の地にて、斯く戦えり 「03部隊、労働 後編」 君は彼の地で何を見るか?
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