怪力無類と壊れの双子 作:カリラシ
「おめぇら、似すぎじゃねぇか?」
実によく似た姉妹。双子であるのだから、当然と言えば当然でその背格好は正に鏡合わせ。見分けようと思えば、その髪の長さ位か。
「リコちゃん、そんなにボクらに興味あるの~?」
「興味も何も、幼馴染だしな寧ろ、
「う~ん、ボクはそう思わないなぁ。だって君、荒っぽいし」
「腰に刀差した奴に言われたかねぇなぁ」
ヘラリと笑った寧々里は、肩を竦めて見せる。
朝の登校時間。
校門をくぐったその先に待っていたのは、和洋折衷と言えば聞こえは良いが、割とカオスな校舎たち。
在校生は腰に警棒を佩いた武装少女と、それから直視をためらう事間違いなしの女装男子だった。
少女たちは皆、一様に寧々里に対して嫌悪、あるいは侮蔑。とにもかくにも好意的とは決して言えない目を向けてきていた。
その一方で、視線に晒される彼はというと、そんな事は知った事じゃないと目の前の少女を見やるばかり。
若葉色の髪色に、どこを見ているのか分からない金色の瞳。腰に佩いた白鞘拵えを数珠で留めた彼女こそ、寧々里の幼馴染である
「それで?おめぇが、直々に俺の案内でもしてくれんのか?」
「ん~、ど~しよっか~。リコちゃんは、ボクに案内してほしいの~?」
「そりゃ、おめぇ。顔馴染みの方が何かと都合が良いだろ」
「でも、リコちゃんってここに
「だったら、なんだ?ここでおめぇ、俺とやり合ってみるか?」
そう言った寧々里は、右手を体と平行に持ち上げるとゆっくりと拳を握る。
武術において、脱力は大切な技術の一つだ。だが、いま彼の右拳には万力にも勝る力が込められていた。
まるで、拳を中心として空間が握りしめられているかのような圧力。仮に、人体に直撃することになれば悲惨な結末が待っている。そんな予感をさせる拳だ。
この学園には、武術を修めた少女たちが多々いる。居るからこそ、そのただの暴力の化身のような拳の危険性が肌で感じ取れていた。
高まる緊張感、眠目もまた鯉口へと手を掛けその目を若干細めている。
「―――――止めよっか」
「だな」
だが、両者は激突せず、空気は弛緩していく。
握られていた拳は解かれ、鯉口に掛けられていた手は下ろされる。そして、校門を背負う形で立っていた寧々里がのんびりとした足取りで彼女へと歩みを進めた。
「案内してくれよ、
「………君は僕を
「まあ、その辺はおめぇらの問題だからな。俺は踏み込まねぇよ……ただ、」
そこで一度言葉を切り、彼は真っすぐに眠目を見下ろした。
「俺が、おめぇらの味方であることは昔から変わらねぇ。それだけは、忘れんなよ」
「………うん」
ニッと笑う寧々里につられる様にしてか、眠目もまた若干の笑みを浮かべる。
これは、自由を愛する男よりも前にやって来た転校生の話。