バッドエンド色が強いので、注意してください。
今作は、バッドエンド色が相当強いです。苦手な方はブラウザバック推奨!!
グロテスクな表現は極力控えていますが、文体だけでもダメな方は気を付けてください。
あ、誕生日SSです。
それでは、どうぞ。
ここに来て、もうどれだけ月日が経っただろうか。
幾多の血を見てきた。流してきた。
幾多の命を奪ってきた。奪われてきた。
それでも、俺はまだここに立っている。
深い森の中で、暗い闇の中で、答えを見つけられないまま、ずっと戦い続けている。
ガイア、ガーディアン。
揺るがない二極の世界では分かり合うことなど不可能で、俺は今日も剣を握る。
俺がガーディアンに所属することを決めてから、今日でもう、10年ほどだ。
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風祭近郊の森の中。
俺たちは、包囲されていた。
鍵を巡った騒動は、数年前にガーディアン側の鍵の破壊の成功で終わったはずだった。
しかし、それで終わるような戦いなら、こんな因果はとっくに切れている。
鍵の有無にかかわらず、俺たちはずっと戦い続けているのだ。
そして今・・・人生何度目かのピンチを迎えている。
部隊のほとんどは全滅。モニター監視に回っていたはずの今宮でさえも、こちら側に来ている始末。
そこに西九条が合流して、今はこの三人だけがここで生き残っている。
「救援が来る様子は?」
「ないわ。江坂さんたちも、別の場所で足止めを食らっているみたい」
「まさか地竜レベルを起こされるとはね・・・。どーするよ、天王寺」
「どうするもなにも、まず真正面から戦ったら負けるのは確実だ」
もっとも、俺が命を全てなげうって、この体に流れる血を力に変えれば、倒せないことはないかもしれないが。
今少なくとも言えることは、戦おうと思えば、この三人の誰かが死ぬのは確実だという事。
戦闘に情は挟みたくないが・・・それは嫌だった。
そんなことが顔に出ていたのか、今宮はこれ見よがしに茶々を入れる。
「何、誰も死んでほしくないとか言い出すわけ? そりゃないわ、天王寺」
「まだ何も言ってない」
「いーや、言ってるね。顔が語ってる」
今宮は、頑なに俺の言葉を否定した。
「これまで散っていった奴も俺たちも、結局は同じ単位なわけ。たかだか一人分の命なのよ。そんなのに情を映すって、おたく、いつからそんな悠長なこと言っていられる身分になったわけ?」
分かっている。今宮の言葉はもっともだ。
だからもし・・・ここで死ぬなら、それは俺がいいって思ってる。
もう、何のために生きているのかが分からなくなっていた。ただ、ガーディアンとして、人々の暮らしと明日を守るために精一杯になっていて。
俺の幸せなんてどこにもない。もう、やることすらないから。
だから、それを伝える。
「・・・今宮、西九条、話がある」
「何?」
「なんよ?」
「地竜は・・・俺が相手をする。だから、その間に二人は江坂さんの部隊へ合流してくれ」
「・・・は?」
「おたく、本気で言ってんの? 大体、真向から地竜に立ち向かえば勝てないって言ったのは」
「俺だ。・・・でも、それは俺が命を投げうたなければ、の話だけど」
俺の言葉を聞いて、西九条も今宮も顔をひきつらせた。
「おたく、まさか・・・」
「ああ。・・・ここで犠牲になるのは、俺だ」
「ちょっと待ってよ! そんな急に・・・」
「西九条」
俺が鋭い目つきと物言わぬ雰囲気で西九条をけん制する。こういう時だからこそ、感情的な行動は意味をなさないから。
ポイントオブノーリターン。
自分の身体を書き換えて、俺は先へ進める。
それはもちろん、自身の生命力と引き換えに。
実際、ここまでかなりの数身体強化を重ねてきた。いずれにしても、そう長くはもたない身体だ。
だから、未来を創るのは俺じゃなくていい。そういう話だ。
「・・・いいのかよ」
「構わない。・・・それに、俺がこう言えるのは、お前ら二人だからなんだよ」
同期三人組として、幾多の戦場を潜り抜けてきた。
気が付けば、他人の面倒を見れるような年齢になっていた。
友達なんて簡単な言葉じゃ収まらない。・・・それ以上の強いつながり、仲間と呼べるこいつらだからこそ、俺は託したいと思った。
だから。
「今宮、なんだかんだお前には馬鹿にされっぱなしだったけど、悪くなかった。気を許せる時間を作ってくれて、ありがとうな」
「何を・・・」
「西九条。・・・今度は、戦場に向かう後任の指導なんかじゃなくて、立派な生徒を育て上げる先生になれるといいな」
「待ってよ天王寺、それってまるで」
「ああ。・・・遺言みたいなもんだよ」
はっきりと言う。
そう、分かっている。俺はもう、生きて帰ることは出来ない。
悔しいけど、涙は出なかった。
こいつらなら、託してもいいと思ったから。
俺は立ち上がって、地竜が佇んでいるところまで向かっていく。
「天王寺!」
「・・・止めろって言っても、聞かないぞ」
「ちげーよ! ほれ、受け取れ!」
そう言うと、今宮は何かを俺の方に投げつけた。これは・・・
「手りゅう弾だよ。ちっぽけだけどよ、俺からの誕生日プレゼントだと思え! ほら、おたくいつか今日が誕生日だって言ってただろ?」
「・・・悪い。ありがとな」
「んじゃ、精一杯暴れてこいよ! じゃあな」
今宮と西九条は、俺に背を向けて別方向へ走っていく。
いよいよ、俺の周りには誰もいなくなった。
・・・誕生日か。
これから散ろうとする命が、生まれてきたことを祝われるなんて、不思議なものだ。
「・・・ははっ」
そのちぐはぐさに笑いが込み上げてくる。俺が今戦いに向かおうとしていることがちっぽけに思えて仕方がない。
が、行く。
「・・・さて、命の華、散らしてやりますか」
体全身に力を籠める。想像するのは常に最強の自分。
体全身に巡る血が、急沸騰したように熱くなる。
「っ・・・!!」
その痛みを一心に受け止めて、俺は立ち上がる。
狙う相手は目の前の絶望、ただ一匹。
今俺は、引き返せない場所までたどり着いた。
「さあ来いよ、地竜。来いよ・・・ガイアぁあああああ!!!」
絶叫と共に、俺は駆けだす。
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戦いは、熾烈を極めた。
自分の体内で生成した大型の剣でその羽を刻んでは、お返しとばかりに俺の身体は食われていく。
最初は、目がつぶれた。
左手が食い破られた。
膝を砕かれ、立ち上がるのが難しくなった。
それでも、攻撃をやめない。
そして・・・俺は力尽きて、その場に倒れた。
動かせるのはもう、右腕しか残っていない。代わりと言っては何だが、地竜も瀕死だ。
「くそ・・・あと一息だってのに・・・」
体が暴発するように痛む。リライトの代償だ。
声にならない叫び声。誰の耳にも届くことはない。
地に足を着いた地竜は俺の方へ近づいてくる。
「・・・ここまでか」
その時、上着のポケットから一つ何かがポロリと転がり落ちてきた。
これは・・・今宮から貰った、手りゅう弾だった。
「・・・そういう、ことかよ」
このプレゼントはきっと、運命みたいなもんだったんだな。
俺は迷わずに、ピンを抜く。
ここで散ってもいい命だ。
なんせもう、俺には後悔がない。
誕生日、か・・・。そういや、
あいつから祝われたのは初めてだったな。
・・・十分だよ。これ以上は。
「じゃあな・・・みんな」
そして、瞬く間に俺の身体は、爆ぜた。
===
もし、違う選択があったとしたら。
それは、どこで別れるのだろうか。
答えはまだ出ない。・・・こんな人生、幸せとは程遠くて。
だから・・・やり直すんだ。
俺は、次のドアを開く・・・・・・。
・・・はい、というわけで、今作の世界線は
〇terra世界線において、若かりし頃篝を見逃し、同期世代で大人になった後でガーディアンとして生き続けた世界線
です。
なんでこんな作品思いついたんでしょうね・・・自分でもドン引きです。
けど、書いててぞくぞくしました。うーん、採用!w
といったところで、今回はこの辺で。
感想、評価等お待ちしております。