…ちなみに筆者の料理スキルは低いので、
詳細な描写などはありませーん(弱)。
メイプルと別れたランチは、急いでイズの工房へ戻った。
「お待たせしました!ちょっとメイプルと話してて…」
「大丈夫よー。って、もう呼び捨てしてるのね、仲良くなったの?」
「いえ、実は」
ランチがメイプルとの先ほどの話をかいつまんで説明する。
「リアルの知り合いだったの。びっくりね。」
「はい、私も驚きました。あと、もう一人友達が始めると思います。
その子もここに連れてきていいです?」
「お客さんは大歓迎よー」
「ありがとうございます」
「さて、それでランチちゃんはどうしたの?」
「あ、はい。この辺で、料理とか食べ物売ってるところってあります?」
「料理や食べ物、そうねぇ。前に話をしたレストランと、あとはアイテム屋さんくらい?」
「ありがとうございます。いろんな料理・食べ物を食べたくて。」
「食べるの大好きなのねぇ。」
「はい!大好きです!あ、でもそれだけじゃないんですけど」
「何かあったの?そういえば、可愛い格好してたものね」
「はい。ダンジョンで食べ比べして手に入れました。ちょっと待ってくださいね」
そういうと、ランチはユニーク装備に変更する。
「わぁ。パティシエの格好ね。可愛いわ!」
「えへへ。ありがとうございます。実は、この装備のスキルで料理が作れるらしいんです」
「あ、そうなのね。食べ物を作るスキルは、生産系のスキルにもあった気がするわ」
「そうなんですね。ただ、このスキルは食べた物しか作れなくて…」
「だから、いろんなものを食べて、レパートリーを増やしたいんです!」
「なるほど。食べた物しか作れないのはちょっと不便かもしれないわね。材料も揃えないと」
ユニークシリーズのスキルにしてはあまりパッとしない。
世間に出回っているスキルのほうが高性能というのは、どうなのだろうか。
そんなイズの考えは次のランチの言葉で消えさった。
「あ、材料は1種類しかないんで、揃えるのはそんな難しくないかもです。【料理の素】っていうんですが」
「え?りょ、料理の素?そんなアイテムあったかしら…」
「ちょっと待ってくださいね。こんなのです。」
インベントリから料理の素を取り出した。
見た目は虹色の小麦粉のようなアイテムがテーブルに置かれる。
「…ねえランチちゃん、そのアイテム、1つ売ってもらうことはできないかしら?」
「あ、よければ差し上げますよ。いっぱいあるんで」
「じゃ、お言葉に甘えて…」
「はい。どうぞ。」
「あ、やっぱり、私じゃ扱えないわ。…普通のアイテムじゃないわね。」
譲り受けた「料理の素」に、イズが生産系スキルを使ってみる。
しかし、スキル使用時に表示される作成物一覧が出てこなかった。
料理なども作るイズが扱えないということは、生産専門職でも扱えない可能性が高い。
「え?料理の素って特別なアイテムなんですか?」
「そうね…。ねえランチちゃん、良かったら料理を作ってみてくれないかしら?」
「はい、良いですよ」
「調理場は工房の奥にあるから、使ってもらっていいわ。」
「本当ですか、ありがとうございます!」
調理場へ向かうランチ。一人残ったイズは、手元の「料理の素」について考えていた。
「専用素材から作られる料理か…。多分このゲームの「一般的な料理」とは違いそうね…。」
このゲームの料理は、現状嗜好品の域を出ない。
食べられるし、美味しく作られたものは実際美味しいが、
ステータスアップなどの恩恵は無い。
恩恵の内容にもよるが、唯一無二のアイテムができる可能性がある。
ましてやそれを再現できる場合は。
「…完全に生産職じゃない。というか、錬金術師に近いわ…」
出来るものによってはゲーム全体に影響を与える可能性もある。
思わず調理場を見るイズだった。
「おー、なるほど。料理の素を消費して、食べ物が出来上がるんだねー」
そんなことはつゆ知らず、ランチは楽しく料理していた。
アイテムから料理の素を選択すると、作成できる料理が表示された。
「まずは・・・サンドイッチで。具は…レタス・ハムのやつと~、玉子で!」
すると、料理の素が消費され、サンドイッチが目の前に2つあらわれた。
「おお!できた!って、飲み物はまだ出せないや…。ま、いっか。追々食べよう、というか飲もう」
出来たサンドイッチを持ってイズの所へ戻る。
「イズさーん、とりあえずサンドイッチ作ってみました!レタス・ハムと、玉子、どっちがいいです?」
「え、もう?そ、そうね。じゃあ玉子をいただくわ」
「はい、これです」
食べる前にまずは鑑定をするイズ。ついでにランチが持っている方のサンドイッチも鑑定する。
【サンドイッチ】
食べ物。食べると美味しい。
付与効果:ダメージ軽減 10分間 5%
【サンドイッチ】
食べ物。食べると美味しい。
付与効果:攻撃力アップ 10分間 5%
(ある意味予想通りだけど…これは…)
食べてみると、普通に玉子が挟まれたサンドイッチだった。
少量のマヨネーズで和えられていて、塩気が美味しい。
「美味しいわ!」
「ありがとうございます!うん、こっちも美味しい♪」
笑顔でサンドイッチをほおばるランチ。とても幸せそうだ。
そんな様子を見て微笑むイズだったが、確認したいことは山ほどあった。
「ご馳走様。美味しかったわ、ありがとう」
「ごちそうさま。良ければまた作りますね。一緒に食べましょう」
「ええ、またお願いしたいわ。ちなみに、同じ料理って作れるの?」
「はい。一度食べた料理なら、材料があれば何度でも作れるみたいです」
「それなら、さっきの玉子サンドイッチをもう1つ作ってくれないかしら?」
「わかりました!ちょっと待ってくださいね。作ってきます!ついでに私のも作ろっと!」
そういうと調理場に駆けていく。
暫くして、お皿を二つ持ったランチが戻ってきた。
「はい!どうぞ!」
【サンドイッチ】
食べ物。食べると美味しい。
付与効果:攻撃力アップ 10分間 5%
(…付与効果、同じだわ。完全再現できるのね…)
「じゃあ、早速いただいてもいいかしら?」
「どうぞ!ふふ、気に入ってもらえてうれしいです。私も食べよっと」
二人でサンドイッチをほおばる。
イズは、食べながら、付与効果の変化を見ていた。
食べ終わったと同時に、付与効果の効果時間が10分にリセットされた。
(ああ、さすがに重複はしないのね。…そりゃそうよね)
これで2個食べると5+5で10%アップとかだったら、バランスブレイカーである。
ただ、これでもかなり強い。上昇率はそこそこだが、10分間恩恵を受けられるうえ、
試してはいないが、おそらく魔法などのバフと重複するだろう。
一人だけ別のバフ枠を持っているようなものだ。
また、このゲームの料理(というか食べ物全般)はアイテムとして保持できる。
普通は嗜好品だがランチの作る料理は違う。バフアイテムである。
そしてすべては「料理の素」から作れると言っていた。
料理の素の入手難度にもよるが…それはもはや錬金術師である。
「ねえ、ランチちゃん。ちょっとお話させてもらってもいいかしら?美味しい紅茶でも飲みながら」
「はい!ぜひお願いします!」
「じゃあ、奥で待っててもらえるかしら。準備出来たらすぐ行くわ」
「わかりました!じゃあ、何かお茶請け作っておきますね!」
「ありがとう、お願いするわ」
奥へ向かうランチを見ながら、お店の閉店準備をするイズ。
色々話したいことがあった。
(今後も、もっとゲームを楽しんでもらいたいものね)
少し微笑みながら、真剣な目で奥へと向かうイズの姿があった。
そんなわけでイズさん真面目モードです。
生産職のイズさんなら放っておけないかなと思います。
次回はちょっとだけ真面目なお話ですー。