「あ、イズさん。ホットケーキ作ってみました!」
「ありがとう。ふふ、食べ過ぎちゃいそうね」
「大丈夫です!いくら食べてもタダです!お財布も!カロリーも!」
胸を張るランチ。
ホットケーキにはハチミツとバターがかかっていて、
とろけたバターがハチミツと混ざってトロトロ流れていた。
とても美味しそうだ。
そしてやはり鑑定すると付与効果が付いていた。
【ホットケーキ】
食べ物。食べると美味しい。
付与効果:状態異常抵抗アップ 10分間 10%
「じゃ、紅茶を入れるわね。お店やってる知り合いから分けてもらったの」
「ありがとうございます。今度、そのお店も教えてもらえますか?」
「ええ、良いわよ。美味しいスイーツのお店よ」
「わぁ♪楽しみです!」
「じゃあ、いただきながらお話させてもらいましょうか」
「はい。いただきまーす」
紅茶を飲みながら、ホットケーキを食べる。
ランチにとって至福の時間が過ぎていく。
イズとしても楽しい時間だが、本題は今後の話だった。
「じゃあ、ランチちゃん。ちょっと真面目な話になっちゃうけど。良かったら聞いてね」
楽しく食べていたランチだが、イズがそう言うので思わず見ると、目が真剣だった。
これは、きちんと聞いておいた方がよさそう。そう思ったランチはちゃんとイズと向き合った。
「ありがとう。じゃあ、まず単刀直入に言うけど、貴女のスキルはあまり人に見せない方が良いわ」
「え?食べることですか?」
「ううん、料理のスキルね。あと、料理の素も見せない方が良いと思うわ」
「料理スキルですか」
「そうね。美味しいものを作れる良いスキル。だけど、規格外のスキルでもあるわ」
「規格外・・・?」
「ええ。作った料理に【付与効果】ってついていたの気づいた?」
「はい。何か食べると良い効果があるようです。美味しい上に良い効果があるって、いいですよねー」
「そう、そこなのよ。」
「そこ?」
「このゲームの普通の料理には【付与効果】なんてないの。多分、貴女の料理が唯一無二よ」
「そ、そうなんですか?」
「ええ、少なくとも私が知っている限りは、貴女の料理だけよ」
ランチは自分が作る料理しか見たことがなかったから、その辺りの感覚は分からなかった。
言われてみれば、イズが淹れてくれた紅茶に付与効果はついていなかった。
「あとは…ちょっとまってね…1つ確かめたいことがあるから。」
そういうと、イズは自分のインベントリを開いてアイテムを探す。
そして、ポーションを1つ取り出し、ランチの前に置いた。
「今、このポーションを使ってみてもらえる?お代はホットケーキで」
「は、はい。じゃあ早速…」
ランチがポーションを使うと、光とともにポーションは消え、
ランチのステータスに1つバフが追加された。
【状態異常抵抗アップ 10分間 15%】
【付与効果:状態異常抵抗アップ 10分間 10%】
「あ、もう1つ状態異常抵抗アップが追加されました」
「やっぱり…。普通のバフと別の枠なのね…。これは…」
思わず唸るイズ。
考えていた通り、別のバフ枠として扱われている。
重ねがけではなく別枠なので、バフ解除も独立している…
もしくは、下手すると解除不可の可能性がある。
「ランチちゃん、やっぱりこの【付与効果】は凄いものだわ。
普通のバフ枠と別に付与されるなんて聞いたことがない」
「この2つかかってるのが凄いってことです?」
「そう。広まれば、貴女の料理を求める人が殺到するかもしれない。
あまり愉快なことにはならないと思うわ…」
「だから、貴女が信頼する人にだけ、スキルを見せるようにした方が良いわ」
「なるほど…。わかりました。気を付けます」
思わず背筋を正すランチ。
食べるものを自由に作り出すのがとても良いと思っていたが、
まさかそんなすごいスキルだとは考えていなかった。
「ええ、話を聞いてくれてありがとう。私も協力するから、何かあれば言ってちょうだい。」
「こちらこそありがとうございました。またこのお礼はいずれ」
「ふふ、じゃあ、また何か作って頂戴。今度はコーヒーでも用意して待っているわ」
「はい!それじゃあ、また!お邪魔しました!」
「またいらっしゃい。」
料理を平らげたランチは、お礼を言ってイズの店を後にした。
一方そのころ、とある掲示板では大盾使いのクロムが、
楽しそうにスレを建てていた。
名前:名無しの大盾使い
大盾の少女とフレンド登録したw
そして、パティシエの少女もフレンド登録したw
名前:名無しの斧使い
は?
名前:名無しの槍使い
どうやって?
名前:名無しの剣使い
犯罪?
名前:名無しの弓使い
通報?
名前:名無しの大盾使い
まてまて、違うからな。
まとめるわ。
名前:名無しの斧使い
とりあえず、現状許される要素がない。
…しかし、確か前にあいつはクロムって言ってたな…。ぬぬぬ。
名前:名無しの剣使い
いや、我らの力を結集すれば、クロムとて。
名前:名無しの槍使い
今こそ立ち上がるべきだ!
名前:名無しの大盾使い
だから待てってw
とりあえず経緯だ。
まず、大盾の少女には普通に声かけられたw
名前:名無しの斧使い
コミュスキル持ちか!(現実)
名前:名無しの大盾使い
大盾なのは、痛いのは嫌だから防御力を上げたかったらしい。
めっちゃ明るい良い子だったw
んで、自分の大盾がカッコいいって言われて、
作った生産職のプレイヤーを紹介してたんだ。
そこに、パティシエの少女もやってきた。
生産職のプレイヤーと既に知り合いだったみたいで、
俺と大盾少女でフレンド登録ってなった時に一緒に登録したw
パティシエの少女とはほとんど話できてないが、
礼儀も正しいし、とてもいい子だった。
名前:名無しの斧使い
こっちもか!
名前:名無しの大盾使い
あ、あと、南の森の巨大少女はやっぱりパティシエの子だった。
スキル使ったら大きくなったらしい。
名前:名無しの弓使い
…そんなスキルあったかな
名前:名無しの大盾使い
…いや、分からんが。使ったら大きくなったのは事実らしい。
名前:名無しの斧使い
まあ、イベントで色々見れるだろ
名前:名無しの槍使い
そだな。あー楽しみ!
名前:名無しの弓使い
上位めざしたいな
名前:名無しの剣使い
じゃあ、今後もイベント頑張りつつ少女たちを見守る方向で良いかな?
名前:名無しの斧使い
おー!
名前:名無しの槍使い
おー!
名前:名無しの弓使い
おー!
名前:名無しの大盾使い
おー!
謎の盛り上がりを見せている掲示板をよそに、
メイプルとランチは大会に向けて色々と準備を進めていっていた。
イズさんの、ためになるお話と、掲示板でしたー。
次回はイベント前の最後の準備、そしてメイプルとランチが本格的に交流しますー。