食べるのが大好きなので、全てをいただきます   作:にゃもー

19 / 84
ランチさん、初めてのガチバトルですー。



美咲と強敵

「ごちそうさまでした。美味しかったー」

 

森の中での食事(対象:料理)を終えたランチは、

幸せな気分で次のことを考えていた。

 

ちなみに、今回のメニューは以下の通り。

 

【野菜サラダ フレンチドレッシング】

  食べ物。食べると美味しい。

  付与効果:状態異常回復アップ 10分間 5%

 

【鶏肉のソテー 玉ねぎソース】

  食べ物。食べると美味しい。

  付与効果:状態異常耐性アップ 10分間 5%

 

【バターロール】

  食べ物。食べると美味しい。

  付与効果:HPアップ 20分間 3%

 

【オニオンスープ】

  飲み物。飲むと美味しい。

  付与効果:ダメージ軽減 10分間 5%

 

「(もむもむ…)」

 

そして、相変わらずごはんの時以外は、飴を舐めている。

この飴が強力な効果をもたらしていることをランチは気づいていなかった。

 

 

 

「このあたりか?」

 

「んう?」

 

そんなランチのもとに、斧使いのドラグがやってきた。

 

「嬢ちゃん…。可愛い格好だが、さっき霧が出てたのに心当たりあるかい?」

 

「え?霧の中に居たんですか?」

 

「ああ。なんか嫌な予感したからスキルで払ったけどよ。」

 

「あ、そうか。追い散らされたらダメなんだ…」

 

「ってことで、やっぱアンタが出した本人か。

 …まあ、今この辺で生き残ってる時点で他には考えられなさそうだが」

 

「ええと…。」

 

「ま、会っちまったものは仕方ない。悪いがやらせてもらうぜ!」

 

「わわわっ」

 

斧を構えて突っ込んでくるドラグ。

その速度は今まで出会ったどのモンスターやプレイヤーよりも早い。

 

「【グランドランス】!」

 

「うわあっ!?」

 

そして、ドラグは斧をランチの足元へたたきつける。

次の瞬間、ランチの足元から岩が隆起し、ランチを跳ね上げた。

 

大きく飛ばされるランチ。落下ダメージと相まって凄まじいダメージエフェクトが出る。

 

「ううっ、凄い…。今までのどんな相手よりも凄い衝撃だった…」

 

「嬢ちゃんも大したもんだ。今のをモロに喰らって死なないなんてな」

 

「本気で行くぜ!」

 

「ど、どうしよ!と、とりあえず!」

 

大きな斧が振りかぶられるのを見て、捕まえようと手をかざすランチ。

 

(大きいし、ちょっと怖いけど…今までもできたから多分大丈夫!)

 

「…?【パワーアックス】!」

 

すると、ドラグは普通に振りかぶった攻撃から突然スキルを放つ。

斧の軌道が変化し、ランチの手をすり抜けて攻撃が直撃する。

 

「きゃあああ!?」

 

スキルに付与された【ノックバック】の効果で、一気に吹き飛ばされるランチ。

ダメージエフェクトも先ほどの比ではない量が噴き出ている。

 

「っつ。なんかしようとしたな、アンタ」

 

「え、わ、分かるの…?」

 

「何したいかは分からんが…。嫌な感じがした。」

 

ランチは自分の手の動きだけで、相手が警戒して避けたことに驚愕していた。

 

「というか、俺の技を2回受けてあのダメージ量で死んでない。…油断せず行くぜ!」

 

改めて斧を構えるドラグ。

 

「うわっ!」

 

「あうっ!」

 

その後も何度か攻撃を受けるランチ。

捕まえようとすると、【ノックバック】を付与されて距離を離されていた。

…しかし、ランチがやられる気配は無かった。

 

「なあアンタ…。何で死なないんだよ。」

 

「こう言っちゃなんだが、俺の攻撃は現状このゲームでもトップクラスの威力だ」

 

「あれだけ喰らえば、大盾とかの相手でも普通に倒せるんだがな…」

 

ちなみに、ランチのHPは現在ほぼ満タンだったりする。

ドラグの攻撃は、いくらランチでも大きくHPを削られてしまう。

 

本人が豪語する通り、そこら辺のプレイヤーとは格が違う威力。

普通のプレイヤーなら一撃で数回倒されているダメージをもらっている。

 

しかし、飴を舐めていることで【生命循環】が発動するランチは、

ほぼ一撃で倒さないと立ちどころにHPが回復してしまう。

 

そんなランチを、ドラグは警戒しながら考えていた。

 

(さてどうするか…。高威力攻撃で一気に倒すしかないか)

 

ランチもどうするか考えていた。

 

(どうしよう?掴もうと思っても、また今みたいに距離を離されちゃうかも…)

(といっても…【食神の霧】は散らせば避けられることがバレてるし…)

(【ノックバック】だっけ。うう、厄介だなぁ…。…あ、そういえば前に…)

 

何かに気が付いたのか、インベントリをあさるランチ。

すぐに目的のものは見つかった。

 

(よし!これで!)

 

「おっと、何かする気だな。悪いがさせねえぜ!」

 

「はっ?!うわっ!」

 

再度【ノックバック】で大ダメージと距離を取られるランチ。

しかし、今回ばかりは距離を取ったことがランチにとって助けになる。

 

「今の隙に!いただきます!」

 

【オレンジジュース】

  飲み物。飲むと美味しい。

  付与効果:ノックバック無効 3分間 100%

 

取り出したジュースを一気飲みするランチ。

飲み物を作っている際にできたレアな効果を持つ一品だった。

 

「何だ?ポーションか?まあいい。次で最後だ!」

 

何らかのバフを積んだと考えて警戒を強めるドラグ。

 

「【バーサーク】!」

 

ドラグの体が赤いオーラに包まれる。

攻撃力を劇的に上げる、ドラグの切り札。

 

そのまま突撃したドラグは、先ほどと同じスキルでランチを攻撃する。

 

「【パワーアックス】!」

 

「せーの!うわあっ?!」

 

それを待っていたランチ。斧の刃先を掴むような形で手を置く。

刃先が手に触れた瞬間、今までにない凄まじい衝撃がランチを襲った。

体が隠れるほどのダメージエフェクトが飛び散る。

 

「なっ?!」

 

しびれるような衝撃を受けながらも、【ノックバック】を無効化したランチは、

押し出されることもなく、ドラグの斧を掴むことに成功していた。

 

「やった!ふう。大変だった…。」

 

「くっ!う、動かせねぇ!なんだこれ!?」

 

斧を必死で動かそうとするが、スキルの効果でびくともしない。

 

「じゃあ今回は…。【調味料】!」

 

「な、なんだ?!例の霧か?!やべぇ!」

 

白い粉が舞うのを見て、さらに力を入れるがやはりびくともしない。

 

「味は…。チョコレート! じゃ、いただきまーす」

 

「いや待て!それは食べもんじゃねぇよ!」

 

「美味しくいただきます!」

 

「いただくな!?」

 

「大丈夫、ちょっとだけ。ちょっとだけだから!」

 

斧を引き寄せて、齧るランチ。斧の刃先が一部消滅した。

それを見て本気で焦るドラグ。

 

「うん。わりとビターな感じ。イケるね!」

 

「逝くな?!俺の武器を食べないでくれ!」

 

「あ、大丈夫ですよ。すぐ戻ってきますから」

 

「そうか。それなら安心。…じゃねぇ!やめろぉ!」

 

もがくドラグ。蹴りなどで遠ざけようとするが全く効いていない。

攻撃とみなされているのかダメージは入っているが、

【ノックバック】を無効化したランチを遠ざける術はなかった。

 

「ごちそうさま!美味しかったです!」

 

「お、俺の武器が…」

 

「じゃあ…」

 

呆然としているドラグの肩当を掴むランチ。

 

「はっ?!まさか鎧とかもか?!」

 

「大丈夫です!こっちもちょっとだけだから!」

 

「やべぇ!!何か…って、スキル封印だと?!ちくしょう!」

 

鎧が動かせないため、完全に身動きが取れないドラグ。

スキルも封じられた今、やれることは皆無だった。

とりあえずもがいてみるが状況は変わらなかった。

 

そんなドラグが見ている前で、ボウルを取り出すランチ。

 

「うーん、かなりHP減ってるな…。凄いです…」

 

「何だろうな、褒められてもまったく嬉しくないんだが…」

 

わりと諦めたドラグは、ため息とともにそう言った。

 

「じゃあ、行きまーす。【食神の霧】! 消費HPは…10000!」

 

「…10000だと!?」

 

目を見開くドラグ。

 

現状、HPは多くて3桁の後半くらいのはず。

10000などというHPは聞いたこともなかった。

 

しかも、自分の攻撃をあれだけ受けていて、しかもバーサーク付きの

一撃を受けてなおそれだけ消費できるHPが余っていたということだ。

 

(そもそも相手しちゃいけない奴だったか…)

 

ひそかにドラグがため息をつく中、霧が発動した。

今度は、森の中を一様に霧が埋め尽くした。

 

「うわっ?!なんだこれ?!」

 

「ま、またかよ!」

 

「逃げろって、周囲全部霧だ!」

 

そして、当然、森の中で戦っているプレイヤーも巻き込まれる。

 

「それじゃ、【食材集合】!」

 

ランチのスキル発動とともに、ドラグの体が光りだす。

 

「あー。負けか。仕方ねぇ。嬢ちゃん、次会ったときは勝つぜ!」

 

「次も食べますよー。…出来ればもう会いたくないですが」

 

「じゃあな」

 

他のプレイヤーも含めて、ボウルの中に転移される。

 

「うわあああ!!」

 

「なんだこれ!!」

 

「ランチちゃん万歳!」

 

先ほどの霧を警戒して、近寄っていないプレイヤーも多く、

そこまで巻き込まれた人数は多くなかったが、

それでも100人近いプレイヤーが巻き込まれた。

(一部ちょっと違うプレイヤーも居た)

 

「…さて、早く片付けよう。」

 

再び巨大ランチが森に現れる。今度は木々を遥かに上回るほど大きい。

 

「ぎゃああ!!!」

 

「ひいぃぃ!!」

 

「武器がぁ!!」

 

「防具が!!」

 

「ありがとうございます!ありがとうございます!」

 

ボウルの中が泡だて器でかき混ぜられる。

阿鼻叫喚(所々歓喜)の中でプレイヤーたちが消えていった。

 

  【食材の素を、 183 個手に入れました】

 

元の大きさに戻るランチ。

 

「うん。なんとかなった!食べれば何とかなるんだよ!」

 

「しっかし、強かったなーさっきの人。武器も10回くらい食べないと消えなかったし…」

 

先ほどの戦闘を思い出すランチ。トッププレイヤーであることは知る由もなかった。

 

「さて、じゃあちょっと移動してみようかな」

 

てくてく歩いていくランチ。後には誰も居ない森が残された。

 

なお、森の中が危険なことは今回の件でイベント参加者にも伝わり、

この後イベント終了まで、森の中での戦闘は殆ど発生しなかったという。

 




そんなわけでドラグさんとのガチバトルでしたー。
ランチさんもかなりの苦戦を強いられますが、何とか勝ちました。

ランチさんは特殊なプレイヤースキルとかは無かったりします。
ただし、ゲームは続けていくと慣れていきます。

次回はちょっとドジしつつイベントを走り切るランチさんですー。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。