おなじみの二人も出てきますー。
「おはよー!」
「おはよう」
さわやかな朝の挨拶が、澄み切った空にこだまする。
…といってもお嬢様とかではなく普通の友達だけど。
通学路で、楓と合流する。彼女、本条 楓 も私の親友だ。
明るくて楽しく、ちょっと変なところもあるけれど、
食べられなかったころから変わらず接してくれていた。
「今日は午後体育だったよねー。ちょっとやだなぁ…」
『大変だよね。…まあ、ご飯食べた後だから、丁度いいんだけど』
何気ない話をしながら、歩いていく。
「腹ごなし?」
『うん、それもあるんだけど…』
悩んでいることを思い出してちょっとうつむく私。
楓が心配して覗き込んでくれる。
「何かあったの?」
『まあ、ちょっと乙女的な悩みというか・・・』
「おはよう、楓!美咲!」
話をしようとしたところで、理沙が合流してきた。
「おはよ、理沙」
「おはよう」
そのまま通学路を進みながらお話は続く。
「何の話してたの?」
「今日は午後一体育だねーって話だよ。」
「あー。今日ってドッジボールだっけ。全部避けてみせる!」
『理沙なら本当にやりそうだね…』
この中で唯一体育を楽しみにしている意気込む理沙を見て、
ちょっとあきれたように言う。
取ることも前提になっているドッジボールで全部避けるなんて、
普通は中々できないけれど、理沙は違う。
持ち前の集中力と反射神経で、数々のゲームでタイトルを取っている理沙は、
リアルでも運動能力が凄まじい。きっと言葉通り全部避けてしまうのだろう。
しかし… と思っていたら楓から突っ込みが。
「理沙ー、運動もいいけど、お勉強大丈夫?というかお母さん大丈夫?」
「う”っ…大丈夫じゃないんだよぉ~~」
意気込みはどこへやら。突然シオシオってうずくまる理沙がいた。
『昨日チャット来てたけど、怒られたんだっけ…?』
「そうなんだけど、それだけじゃ済まなかったんだよね…」
『何かあったの?』
「実は…次のテストで良い点とるまでゲーム禁止されて…」
「『あ~…』」
思わずハモって声が出てしまう。
「うあー!!すごいやりたいゲームあるのに!」
『そうなの?また何か大会とか?』
悶える理沙を放っておくと遅刻するので、引っ張り起こしながら聞いてみる。
「ううん、VRMMOで凄いゲームでるんだよ!」
先ほどのシオシオから一転キラキラで説明する理沙。
あ、ちょっと長くなるかも…と思ったので、歩きながら話すことにした。
VRMMOは何年か前から出てきたゲームだ。
MMOというジャンルはかなり前からあると聞いているけれど、
これはVRマシンで仮想世界にダイブして現実のように動けるのが最大の特徴だ。
「NewWorldOnlineっていって、今までとは比較にならないくらいリアルなんだ!」
「風の感覚とか細かく再現されていて、噂では『味覚も再現』されてるんだって!」
「ふーん、凄いんだねー」
楓がちょっとわかってない風に同意する。しかし、私はそうではなかった。
触ったことがないので内容はよくわからなかったが、理沙の次の言葉だけは別だった。
『味覚も?!ど、どんな感じなの?!』
思わず理沙の肩を掴む。
突然のことに若干引き気味の理沙は、しかし知っていることを教えてくれた。
「み、美咲? う、うん。なんでもゲームの中で料理したり食べたりできるんだけど」
「食べると実際に味や触感を感じられるらしいよ。もちろん、実際にお腹にはたまらないけれど…」
『そうなんだ…!それならもしかしたら…!』
興奮気味に理沙の話を聞く。
「ど、どうしたの?でも興味持ってくれてるのはうれしいかも」
『だって!それなら食べても食べてもカロリーないんだよね?!』
「あ、うん。あーそうか、確かにそうだよね。美咲的にはそこかぁ…」
うん。大ヒットなのだ。なぜなら…
「…もしかしてさっき言ってた乙女的な悩みって…」
『うん…』
色々察した楓が聞いてくるので、私は力なく同意する。
そう、私の最近の悩みは「食べ過ぎによるカロリー過多」だったりする。
物が食べられるようになった私は、人一倍食べるのが大好きになった。
といっても食べないと辛いとかではなく、単に食べるのが大好きなのだ。
…しかし、食べれば当然栄養になる。
なので、カロリーの少ないものを食べたりしているのだが、限界はある。
特に最近は体が成長してきて食べる量も多くなってきている。
そういえばちょっと二の腕を見てみると(これ以上イケナイ。コワイ
なので、「美味しく食べられるけどカロリーにならない食べ物あったらなぁ」
とか夢想してたりしたのだが、そのゲームはまさにドンピシャな気がした。
『ちょっと、調べてみようかな…』
「お、美咲がやる気に!うれしいけど、ますますゲーム禁止がつらいー!」
「美咲もゲームやるの?」
『ううん、やったことは無いんだけど、さっきの話でとても興味が』
ゲーム機などをそろえるのが大変そうだけど、貯めてたお小遣いで行けるかな?
そんなことを考えていると、楓もやる気が上がったみたい。
「そっかー。じゃ、私もやってみようかな」
「ホントに?!後で楓にも押し付…勧めたいなって思ってたんだけど、嬉しいな!」
「…押し付け?」
「ううん、何でもないよ!」
「もー、理沙ったら」
そんなこんなで学校へ。
授業を受けながらも、私はさっき聞いたゲームの話が頭から離れられなかった。
(思う存分食べられるなんて、素敵すぎる!)
(まずはお家帰って、それから買いに行こう!)
そして授業も終わり、私は早速ゲームをプレイするべく動き出した。
そんなわけで、人とはちょっと違う理由からゲームに興味を持った美咲さんでした。
まだ原作的には始まってなかったりしますー。
次回は、美咲さん初ゲームですー。