色々ありますよー。
「いやー、最近なかなか充実してるねー」
ゲーム開始時から、何だかんだと、毎日ログインしているランチ。
あれからスキルを使って集合をかけるのは、洞窟の中などに限定していた。
また、料理の素を使って大量の料理を作り出していた。
…残念ながらスタッフによるメンテナンスはサリーの入れ知恵の後だったので、
有用なレア効果を持つ料理が、大量にランチのインベントリの中に納まっていた。
「サリーさまさまだねっ!MP増やしたら凄い良くなったし!」
なお、現在のランチのステータスは以下のとおりである。
name:ランチ
Lv :33
HP :3640(+1000) (戦闘時:37120)
MP :110(+10) (戦闘時: 960)
STR :0
VIT :0
AGI :0
DEX :0
INT :0
装備
頭 :食神のシェフハット
左手:食神のボウル
右手:食神のウィスク
体 :食神のコックコート
装飾:食神のコックタイ
:空欄
:空欄
スキル
【超大物食らい】【暴食】【双身】
【食材集合】【相対成長】【食材分割】
【食神の霧】【食材観察】【料理生成】
【生命循環】【口腔浄化】【捕食の手】
【MP強化小】
【麻痺耐性大】【毒耐性大】
戦闘時のMPはそこらの魔法使いよりも多い。
また、そのうち8割以上は次の戦闘時に再度増えるため、実質使い放題に近かった。
実質使い放題に近かった。
ただ、普通のプレイヤーとはその用途が違っていた。
「【調味料】使い放題だよー!微妙な味加減もできるようになったし!」
モンスターなどを食べるとき、調味料で味を調えることが常にできるようになったのだ。
色々食べて調味料のレパートリーを増やしたランチは、職人のような味調整が出来るようになった。
「さて、今日からイベントだなー。メイプルとサリーはどこだろ?」
周りを見渡すランチ。この後、第2回イベントが開催される。
現実2時間でゲーム内7日間、時間加速がある初のイベントで、パーティも組める。
ランチは、メイプル・サリーと一緒にパーティを組む予定だった。
「ランチー!」
すると、横から声がかかる。振り向くとメイプル、そしてサリーがいた。
「あ、メイプル!サリー! こんばんはー。見た目は昼だけど」
「まあ、今から7日間あるわけだし。」
「そうだね。どんなイベントなのか楽しみ!」
3人とも、この日のためにレベル上げやアイテム集めに勤しんできた。
初めてパーティを組んでのイベントであり、サリーはイベント自体が初、
テンションはMAXだった。
「色々回りたいねー」
「色々戦いたいな」
「色々食べたいなー」
…思いはそれぞれだったが。
「あ、クロムさんだ!おーい!」
暫く待っていると、メイプルがクロムに気が付き、声をかけた。
「お、メイプル、ランチ。っと、そっちはえーと」
「サリーです。メイプルとランチの友達です」
「サリーちゃんか。俺はクロム、大盾やってる。よろしくな」
「最初のころ、色々教えてもらったんだよ!」
【がぉ~! まもなく、第2回イベントのカウントダウンが始まるドラ~!】
「っと、始まるな」
【今回のイベントは探索型! 目玉は移転先のフィールドに散らばる、300枚の銀のメダルだよ!
これを10枚集めることで金のメダルに! 金のメダルはイベント終了後、スキルやアイテム装備品などに交換できるドラ~!】
第1回のイベントでも出てきたマスコットのドラぞうが、
イベントの説明をし始める。
「ん?金のメダル?」
「うん、私も思った」
そんな説明に反応するランチ。メイプルも同じことを考える。
【前回イベントの十位以内の方は、金のメダルを既に一枚所持しているよ!
プレイヤーキルして、奪い取るも良し。我関せずと、探索に励むも良しドラ~!】
「俺も前回9位だったから、メダルは持ってる。取られないようにしないとな」
【死亡しても落とすのはメダルだけ! 装備品は落とさないので、安心するドラ!
メダルを落とすのは、プレイヤーに倒された時のみ! 安心して探索に励むドラ!
死亡後はそれぞれの転移時初期地点にリスポーンするドラ~!!】
「なるほど、モンスターとは割と気軽に戦えるか。メダルが手に入るとそうでもないけど…」
「装備は食べても良いってことか」
「違うよ?!」
イベントの特性を考えるサリーと、相変わらずのランチ。
【今回の期間は、ゲーム内期間で7日、ゲーム外での時間経過は、時間を加速させているためたった2時間ドラ!
フィールド内にはモンスターの来ないポイントが幾つもあるから、それを活用すればいいドラ!
イベント中にログアウトしちゃうと、再参加できないから気を付けるドラ!】
【それではカウントダウン! 5!4!3!2!1! それじゃあみんな! いっぱい楽しんでくるドラ~!】
「じゃあ、頑張ろう!」
「うん!」
「はーい!」
「じゃ、またな。」
「クロムさんも頑張ってください!」
そして、みんなが転移陣に包まれた。
3人が転移した先は草原。
遠くまで広がる一面の草。
周りは山や森など豊かな自然が囲んでいた。
「すごーい!!」
「壮大だねー」
「イベントだけあるねー。」
ゴブリンなどを倒しつつ進む3人。
「うん、凄いんだけど…」
「草原…だね」
中々に草原が続いていた。
「え?」
そんな中、消えたゴブリンに気が付くサリー。
付近を探索してみると洞窟があった。
「入ってみる?」
「もちろん!」
「はーい」
3人で階段を降りていくと、大量のゴブリンが襲ってきた。
「メイプル!【悪食】はまだ使わないで!」
「分かった!」
装備を変更するメイプル。
生産職のイズに作ってもらった、【白雪】を装備する。
「あ、じゃあ今回は私に任せてー」
一方、ランチはスキルを発動させようとしていた。
「【食神の霧】!消費HPは…10000!」
一瞬で、洞窟全体が霧に包まれる。
…ちなみに、霧は地形を貫通しないが、
洞窟の入り口側は開けているので、
その先は数十mに渡って霧が発生していた。
「うわっ!真っ白だ!」
「これ、10秒触れたらダメなんだっけ…」
びっくりするメイプルと、スキルの効果を聞いていたためか、
若干遠い目をするサリー。
「どうやって触れないようにするんだろ…」
試しに武器を振り回してみると霧がかき混ぜられた。
しかし、一帯が霧で周りに散らないため、意味がなかった。
洞窟の中など閉鎖的なところではどうしようもない気がした。
「…うん、まあいいや。基本私は食らうことは無いだろうし」
「じゃあ、【食材集合】!」
そんな間にランチは次のスキルを発動させていた。
食材が集まることで一気に大きくなるランチ。
しかし、洞窟を貫いて大きくなることは無かった。
「ふふふ、洞窟の中なら一定以上大きくならない!
周りからも見えないから目立たない!」
サリーのアドバイスの後、洞窟でスキルを使っていて気付いたランチ。
「ばっちりだよ。ありがとう、サリー!」
「どういたしまして」
自分のアドバイスが役に立ったのはうれしいが、
小さめとはいえ洞窟いっぱいの大きさのランチから言われると圧が凄かった。
「じゃ、混ぜよう」
(ぎゃあああ!!!)
(またかよおお!!!)
【料理の素を、102 個 手に入れた】
「ん?今なんか聞こえたような…メッセージかな」
そして、かき混ぜてアイテム化するランチ。
…その中に、たまたま草原に居たプレイヤー数人が巻き込まれていたが、
大きくなりきらない分、集めたものが相対的に小さくなっているため、
その悲鳴には結局気づかないままだった。
「道中はランチが活躍してくれたし、ボスは私たちで頑張るよ」
「うん、分かった」
ボス部屋を開きながら話す二人。ボスは大きなゴブリンだった。
強力な攻撃を放ってくるはずのボスだが、サリーの回避と
【カバームーブ】で機動力を得たメイプルの敵ではなかった。
「おー、メダル2枚!」
「2枚か…。どうしよ」
「あ、じゃあ二人で分けていいよー」
「え、それじゃ悪いよ」
「私は食べられれば良いからねー。あ、じゃあ代わりに今度メイプルとサリーの武器を」
「「ダメだからね!?」」
思わずツッコミがハモる二人。
たまに親友に向ける目ではない目で見られている気がする。
「残念。でも、メダルはホントに2人で持ってていいよ。食べ物とか素材は欲しいかも」
「分かった。じゃ、そうするね。ありがと、ランチ」
「ありがとう!美味しそうなものとか見つけたら教えるね!」
「うん!」
ダンジョンを出る3人。次は森に向かって歩き出した。
「…行くんじゃなかった」
そして、無事にホラーな森でスキルなどをゲットした3人。
1人以外はとても上機嫌だった。
「そっか、そういえばサリーってお化け苦手だったっけ」
「あー。そうだね。昔っからだよね」
「あれは…無理。」
ぐったりするサリーだったが、色々見て回るうちに元気が出ていた。
「不思議だよねー。雪山なのに寒くない!」
「まあ、モンスターも出るし」
「おさるさんは割とおいしかったです」
その後、色々ありつつも雪山の頂上まで向かうランチたち。
「ん?誰かいるな…」
「えっ?」
そんな時、反対側から数人のメンバーが登ってきた。
「クロムさん!」
「お、メイプル、ランチ、サリーちゃん」
「さっきぶりですー」
「…」
「っと、やり合う気は無い。勝てる気もしないし」
一人警戒するサリーに、クロムが両手を上げる。
「ただ、魔法陣は取られちまったか。ま、次を探すさ」
「……」
「?どうしたの?」
「あのさ、二人とも、ここはクロムさん達に譲ってあげていい?」
「メイプル?うん、私は良いけど」
「…。メイプル、良いの?」
「うん。今までお世話になってるし」
「なら、オッケー!」
「私もー」
そういって道を開ける3人。
「良いのか?」
「はい。」
「ありがとな。…良いものあっても恨みっこなしだぜ」
「大丈夫です!」
そういって魔法陣で転移するクロムたち。
「良かったのメイプル?」
「うん。ごめんね、わがまま聞いてもらって」
「私は良いよー」
「私も。メイプルがいいなら、いいよ。って、ランチ何してんの?」
「え、せっかくだから山頂でご飯かなーと」
そんなことを言いつつ、ごはんの準備をしようとしているランチ。
パアッ!
「!?」
「え?」
「あれ、魔法陣がまた光ってる」
すると、数分もたたないうち、魔法陣が再度光り出した。
「…これは…。アイテムとるだけだったか即やられたか…前者なら、魔法陣復活しないよね…」
「じゃあ、ボスがいる…?」
「クロムさんが一気にやられちゃったのかな。凄いね」
気にかかることをサラっというランチだった。
「どうする?」
「…」
無言で二人を見、頷くメイプル。
「分かった!」
「ご飯だね!」
ずっこける二人。
「もしもしランチさん?」
半目で問いかけるサリーだったが、ランチは別にふざけてはいなかった。
「私が作った料理で、強くなってから行こう!」
「…あ、なるほど。一理ある。でも、また誰か来るかもしれないから、早めに」
「分かった。さっと食べられるものが良いね」
そうして取り出したのは、様々な具が挟まった大量のサンドイッチだった。
「さあ食べよう!」
「美味しそう!いただきます!」
「美味しそう。…そして強そう」
【サンドイッチ BLT】
食べ物。食べると美味しい。
付与効果:STRアップ 10分間 5%
【サンドイッチ 玉子】
食べ物。食べると美味しい。
付与効果:VITアップ 10分間 5%
【サンドイッチ ツナサラダ】
食べ物。食べると美味しい。
付与効果:INTアップ 10分間 5%
【サンドイッチ ハム】
食べ物。食べると美味しい。
付与効果:状態抵抗アップ 10分間 10%
【サンドイッチ チキン】
食べ物。食べると美味しい。
付与効果:状態回復アップ 10分間 10%
【タピオカミルクティー】
飲み物。飲むと美味しい。
付与効果:HPアップ 10分間 10%
各ステータスアップに状態異常対策にHPアップ。
レアなものもあるが、相手が分からないので、
誰相手でも役に立ちそうなもので揃えていた。
「さあ、いっぱい食べたところで行こう!」
「うん。スキルも回復できるものは回復した」
「こっちもスキル残ってる」
「料理いっぱいだよー」
準備万端。3人は魔法陣をくぐった。
イベント序盤でしたー。
ランチさんは相変わらずですー。
次は、あの難敵に挑みますー。