食べるのが大好きなので、全てをいただきます   作:にゃもー

28 / 84
ランチさんサプライズですー。



美咲と真紅の少女

 

「さて、どうしようか?」

 

銀翼を倒した後、3人は森の中、川のほとりに出ていた。

 

「とりあえず歩いてみよう!何かあるかも!」

 

「そうだねー。そういえば、玉子どうするの?」

 

「あー…これも孵したいな。落ち着けるところが良さそう」

 

そういいながら歩いていると、道が途切れ切り立った崖が現れた。

 

「この下なら誰も来なさそう…でも、私はともかく皆で降りれないか…」

 

「んー・・・。・・・あ、私は一人なら何とかなりそう!」

 

「私もかな。ちょっと私は時間かかるかもだけど。後で合流で良い?」

 

「うん、大丈夫。じゃあ、私たちは先に行っているね

 あ、ランチさ、もしできれば、この子たちが倒せるような

 モンスターとか捕まえて来てくれると嬉しい」

 

「なるほど。わかった。捕まえてくるね。降りたら個チャするー」

 

「ありがと。メイプルもついてきてね」

 

「うん!」

 

そういうと、サリーは崖下へ颯爽と降りて行った。

 

「じゃ、ちょっと私は森の中に行ってくるね」

 

「うん。後でね。【ヴェノムカプセル】!」

 

「はーい。後でー。って、うわっ」

 

そして、メイプルは毒に包まれた。

さすがのランチもメイプルの毒をまともに浴びると

ダメージを受けるので下がっておく。

 

「いくよー!!」

 

そのまま崖下にダイブするメイプル。

 

「…うんまあいっか」

 

色々言いたいことはあるがランチも森の中に入っていた。

 

 

 

「さて、ちょっとは集まったかな。やっぱ霧が無いと大変だなー」

 

ランチは森の中、モンスターを集めようとしていた。

ただし、霧は出さず、普通に出たモンスターを倒していた。

 

「二人にお土産も持って帰らないとだし」

 

ランチが持って帰ろうとしているのは、卵が孵った後に

レベルアップするための餌となるモンスターだった。

 

ランチの場合、相手の武器を食べてスキル封印できるため、

餌を作るのに最適で、すでに何体か確保している。

(横でビクビクしている数体の可哀想なモンスターがそれである)

 

「狼狽えるな!」

 

「ん?なんだろ?」

 

大きな声が聞こえて思わず振り返るランチ。

近くに行ってみる。

 

「確かにこのあたりのモンスターは強い!しかし、お前たちならやれるはずだ!」

 

「見失うな!周りと協力し、一致団結して倒すんだ!」

 

「ミィ様!ありがとうございます!」

 

「ミィ様の言う通りに、みんなで協力するんだ!」

 

「おう!守りは任せとけ!」

 

「支援する!」

 

「行くわよ!」

 

そこでは、赤い衣装に身を包んだプレイヤー達が複数のモンスターと戦っていた。

しかし、人数はプレイヤーの方が多いが、押され気味の展開になっている。

 

特殊な戦い方をするランチは気づいていないが、

この森のモンスターはかなり強い部類に入る。

 

劣勢に陥りそうな状況だが、真ん中にいるプレイヤーが叱咤激励し、

状況が徐々に盛り返しつつあった。

そのプレイヤーは、ひと際赤い衣装に身を包む少女だった。

 

(そういえば…サリーが言ってたっけ。【炎帝】って人がいるって)

 

「良し!さすが我らが【炎帝の国】の一員だ!」

 

「ありがとうございます!」

 

「では行け!吉報を期待する!」

 

「はい!」

 

ついに戦っていたモンスターはすべて倒された。

プレイヤー達は少女に跪いて頭を垂れた後、

言われるがままに周りへと散っていった。

 

(カッコいい!ミィさんていうのか。凄いなー。カリスマってあんなのなのかなー)

 

感心しながら見ていたランチだったが、

一人になった少女の様子がおかしいことに気が付いた。

 

「…はぁ。皆行ったかな。…うう、これいつまで続くんだろ…」

 

(…あれ、なんか雰囲気が。)

 

先ほどまでの威厳はどこへやら。

涙目の少女はしゃがみ込みながらつぶやき始めた。

 

「最初にかっこつけたから…。あー、私のばかー」

 

(あー、演技だったのかな。…って、今これ見てるのマズくないかな…?)

(バレないようにしないと…)

 

うじうじ悶絶する少女の姿は先ほどからは想像もつかず、

明らかに見てはいけない場面に遭遇していると気づいたランチ。

バレないようにじっとしている。…しかし。

 

「わっ!」

 

横から現れたモンスターによってそれは破られることになる。

とりあえず食べて対処するランチ。

 

「だ、誰っ?!」

 

しかし、思わず声が漏れてしまい、少女が劇的に反応する。

そんな少女と目が合ったランチ。

 

「あー、えーと。ど、どうも。」

 

「み…見てたの…?み、見てたんだよね…?」

 

「あ、いや、その。う、ううん見てないよ!」

 

とっさに口にするランチ。ヤバい雰囲気が立ち込めている。

 

「そ、そっか。…ところでさっき一緒に居た女の人どっち行ったか分かる?」

 

「えっ?あっちの方だったよ。…あっ!」

 

「…見てたんだよね。」

 

「えーと…」

 

誘導尋問に引っかかるランチ。

 

「……~~~~~っうあああああ!!!!」

「っ………」

 

これ以上ないほど悶えだし、そのままうつむいて動かなくなる少女。

 

「あのその…って、うわっ!」

 

ユラリと体を起こし、こちらを見つめる少女と目が合うランチ。

と、同時に炎がランチを襲う。なんとか当たらずに済んだ。

 

 

 

「燃やす」

 

焦点がうつろなまま、しかしランチを見据えて離さない少女は、一言言った。

無感情のような、これ以上ない感情的なような、抑揚のない声だった。

そして少女がスキルを発動し、炎に包まれた。

 

(ヤバい!色々ヤバい!)

 

少女の全力が、ランチを襲う。

 

「【炎帝】!【炎槍】!」

 

「うわっ!」

 

巨大な炎の槍がランチをめがけて飛んでくる。

何とかつかんだが、爆発して大量のダメージエフェクトを出すとともに、

一気に後退させられる。

 

(だ、ダメージも凄い…。以前戦った魔法使いの人とはけた違いだ…)

 

現在のランチのHPを目に見えて削ってくる。

そして何より…

 

「燃えろ!燃えろぉぉぉぉ!!!うあああああ!!!」

 

気合が凄い。

素の姿を見られた恥ずかしさからの猛攻は、

少女の全力中の全力を出させるものになっていた。

 

(ど、どうしよう…。なんとか止められないかな…)

 

少女の攻撃を食らいつつ考えるが、

攻撃が激しすぎて近づくことすらままならなかった。

 

(よ、よし。とりあえず食べよう!そうすればスキルが使えなくなるはず!)

 

ようやく冷静さを取り戻しつつあるランチは、

まず相手のスキルを掴んで食べることを考えた。

 

(あの槍はダメだから…。炎の弾の方だね!)

 

槍でノックバックを食らいつつ、炎の球が来るのを待つ。

ちなみに、ノックバックされたまま逃げようとしたが逃がしてくれなかった。

 

「えいっ!うわっ、よ、よし。一個だけつかめた!」

 

「なっ!弾を壊さずにつかんだ!?」

 

大ダメージを受けながらも、何とか弾の1つを掴むことに成功した。

 

「いただきまーす!」

 

「いただかないで!?」

 

言葉むなしく食べられる炎弾。

衝撃的な光景だったのか、少女が思わず素に戻った。

 

「グレープフルーツ!」

 

「何が!?って、え?」

 

謎の感想に突っ込む少女だったが、

すぐに自身の変化に気づいて呆けた声を上げる。

少女から立ち上っていた炎が消えたのだ。

 

「え、ナニコレ…?炎が…。す、スキル封印?あ、スキル使えない!?」

 

「ふぅ…何とかなった…かな?」

 

焦りまくる少女と、一息つくランチ。

 

少女はランチと自分の武器などを何度も見返した後、

やはりスキルが使えないことを知り、大きく肩を落とした。

 

「あ、あのー。落ち着きました?」

 

そこへ声をかけるランチ。

顔を向ける少女の目は、落ち着きを取り戻したようだった。

 

「…」

 

「覗いちゃってごめんなさい。そんなつもりはなかったんだけど」

 

「…」

 

見られたことを思い出した少女は、うつむいて顔を震わせていた。

何となく、そのままだとまたマズイことになりそうと感じたランチは、

慌てて話しかける。

 

「あ、あのあの!だ、大丈夫です。誰にも言いませんから!」

 

思わずランチの方を向く少女。

ランチは勢いのまままくし立てる。

 

「そ、そうだ!おやつ!おやつ食べましょう!何か好きなものあります!?」

 

「え、食べる…?」

 

「はい!私食べるの大好きなんです!料理もいっぱい持ってますよ!」

 

「好きなものって何かあります!?」

 

「え、えーと。メロンパン…じゃ、なくて、えーと」

 

思わず答えた少女は、慌てて言い直そうとしている。

 

「あ、メロンパンありますよ!はい!」

 

すかさず渡すランチ。

 

【メロンパン】

  食べ物。食べると美味しい。

  付与効果:HP増加 10分間 5%

 

「わぁ、美味しそう。って、付与効果…?」

 

「あ、えーと。その。…ちょっとお話していいです?」

 

「…うん。じゃ、あそこで…」

 

飲み物が出される。

森の切り株へ座っての、プチお茶会が始まった。

 

 

「ごちそうさま。美味しかった」

 

「良かったです。私も美味しかったー」

 

食べ終わって人心地。

ランチも同じメロンパンを食べていた。

中にクリームなどが入っていない、プレーンなものだ。

 

「改めて…私はランチって言います。」

 

「私はミィだよ。って、まさか、前回5位の…?」

 

「あ、はい。そうです。ミィ…さんは、前回4位の方…ですよね?」

 

「うん。あ、ミィでいいよ」

 

「じゃあ、ミィ。私もランチで良いよ」

 

「うん、ランチ。」

 

サリーに聞いておいてよかった。と思いつつ話すランチ。

ミィはすっかり素に戻っていた。

 

「なるほど…、演技したらそれが続いちゃったんだ…」

 

「うん。結構大きくなっちゃって、いまさら止められなくてね…」

 

うつむくミィだったが、少し気になることがあって顔を上げる。

 

「…ところで、この【付与効果】って…」

 

「あ。」

 

あまり人に言ってはいけないと言われていたことを思い出したランチ。

 

「それは私の装備のスキルなんだ」

 

「そういえばその装備ってパティシエの…なるほど」

 

「出来れば、【付与効果】は内緒にしてもらえると助かる」

 

「うん。わかった。大丈夫だよ」

 

「ありがとう!」

 

満面の笑みに、笑顔で返すミィ。そしてふと気づく。

 

「…あ、スキル戻ってる」

 

ギクッとするランチ。この距離だと回避も何もできない。

 

「え、えーと、ここで戦うと大変なことになっちゃうかなーとか」

 

「…それは私が負けるってこと?」

 

ちょっとムッとして言い返すミィ。

しかし事態はそんなレベルではなかった。

 

「4位と5位の戦いになるから、すごく目立つかなーと。

 色々話題になるときっかけとか気になる人が出てきたりとか」

 

きっかけとなった出来事を思い出して青ざめるミィ。

 

「そ、それはヤダ」

 

「な、なので、ここは休戦のままでどう…かな…?」

 

「分かった…。はぁ…どうせもうバレちゃったしなぁ…」

 

ここでランチを倒しても事態が好転しないことにようやく気付いたミィ。

 

「もし良ければ、フレンド登録しません?」

 

「あ、うん。」

 

フレンド登録をした

 

「じゃあ、そろそろ皆戻ってくるかもしれないから。メロンパン美味しかったよ」

「…それに、久々に演技なしで話ができて楽しかった。ありがとう」

 

「私も楽かった!また、メロンパン食べよ!」

 

「うん。またね。」

 

分かれる二人。

暫くすると、森の中からミィの勇ましい声が聞こえてきた。

 

「頑張れ、ミィ」

 

心の中で応援しつつ、モンスターを集めるランチだった。




ということで、ミィ(素)との遭遇でしたー。

次回も少女同士の戦いが?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。