食べるのが大好きなので、全てをいただきます   作:にゃもー

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お時間開いてごめんなさいー。

新スキルと新装備のお披露目ですー。


美咲と新装備

【幻獣の卵(灰)】

  温めると孵化する

 

「んー、とりあえず温めておけばいいのかな」

 

海皇を撃破したランチは、カナデと会った砂浜まで戻ってきていた。

 

「色々面白そうだなー。…うん、アレはちょっと予想外だったけど」

 

振り返って、青い海と身に着けているペンダントを交互に見る。

 

「水中用の装備だったんだね…。」

 

 

 

祠を出たランチは帰るためにそのまま海に潜ったのだが、

潜ってしばらくすると、足に違和感があることに気が付いた。

 

「うん?足が動かせない?なんだろ?ってええっ!?」

 

バタ足をしようとしても足が思うように動かない。

そして自分の足を見てびっくり。思わず泳ぎも止まる。

 

まず、ランチはパティシエの格好ではなくなっていた。

 

腰から下は衣服が消え、全て青色のウロコに覆われていた。

両足の先は魚のヒレになっている。足全体が大きなヒレになった形。

上半身は白い貝殻で構成されたビキニタイプの水着のようになっていた。

 

「なんかどこかで見たような姿になってる!?」

 

叫ぶランチの通り、まるっきり人魚の姿になっている。

それは装備している【海皇のペンダント】に隠されていたギミックだった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「ど、どして?とりあえず祠の所に戻ってみよう…。わわっ!」

 

両足を一気に動かすような感覚で水を蹴ると、一気に加速した。

明らかに普通の泳ぎの速度ではない。すぐに祠のある岸まで着いた。

 

そして水から上がると体の周りが光り、パティシエの格好に戻った。

 

「もしかしてこのペンダント…」

 

試しに装備を外して水に入ると格好は変わらなかった。

もう一度装備して水に入ると、見事に人魚の姿へと変わった。

 

「そういうことかぁ…。このペンダント着けて水に入ると格好が変わるのか…」

 

「ちょっとこの格好は恥ずかしいかも…」

 

水中でもじもじするランチ。

鮮やかな黒髪に出る所は出ているプロポーションもあり、

恥じるどころかとてつもなく魅力的な姿になっているが、

さすがに衆目にさらすのは抵抗があった。

 

「まあ今は誰も居ないから良いか。海の中だと速そうだし。動きに慣れとこ」

 

そして再び両足で水を切ると、一気に加速していく。

 

「なるほど、足をバタつかせると速くなるんだ。」

 

そのまま体をくの字に折るようにかがむと、速度が落ちていく。

 

「こうすると遅くなると…。曲がるのは手の動きなんだねー」

 

暫く海の中を遊泳するランチ。

…本人は気づいていないがその速度は魚でもなかなか出せないレベルであり、

海岸近くのプレイヤーから海にモンスターが居ると誤解されていた。

 

 

「慣れるとそんなに難しくないかも」

 

泳ぎを確かめつつ砂浜へ戻ってきたランチは、そのまま近くの森へ移動した。

切り株に腰を据えて、卵を取り出していたのだった。

 

卵を手で持ちつつ、ペンダントを再度見るランチ。

 

「…まあ、普段は水に入ることは無いから、つけてても大丈夫かな。綺麗だし」

 

ちなみにペンダントを付けると、陸に居る時も【水無効】【炎半減】という、

プレイヤーによってはこれだけで詰みかねないスキルが発動している。

 

「あ、でもこの【封鎖海域】って周りを海にするんだっけ」

 

「…うん、まあ玉子が孵ったらとりあえず試してみようかな」

 

卵を見るが、今のところ孵る気配は無かった。

ちょっと暇になったので、二人へメッセージを入れておく。

 

<[ランチ]イカ食べたよー>

 

<[サリー]えっ…?勝ったの…?>

 

<[ランチ]うん!お肉と卵貰えた!あ、あとペンダントも>

 

<[サリー]お肉…。って、ペンダントも気になるけど、卵?私たちがもらったような?>

 

<[ランチ]そうだね。今温めてるー。温めてたら孵るのかな?>

 

<[メイプル]私たちはそうだったよ!>

 

<[ランチ]じゃあ、とりあえず卵が孵るのを待とうかな>

 

<[メイプル]分かった!ランチの相棒に会えるの楽しみにしてるね!>

 

<[サリー]私たちは、メダル集めが一段落したから、落ち着ける洞窟を探してる。>

 

<[ランチ]はーい。場所分かったら教えてー>

 

<[メイプル]うん!>

 

メッセージを打っていると、近くの木がガサガサ音を立てた。

 

<[ランチ]あ、誰か来たかも。いったん終わるね>

 

<[メイプル]うん!気を付けて!>

 

<[サリー]卵は仕舞った方がいい!誰も持ってないと思うし、取られる可能性もある!>

 

<[ランチ]はーい。ありがとー>

 

心配してくれる2人にお礼を言いつつ、

メッセージウィンドウを消して卵をしまう。

 

すると、女性二人のプレイヤーがランチの前に現れた。

各々、槍と剣を持っている。

 

「貴方は前回ランカーの…。行きますわよ!勝負!」

 

「はい、お姉さま!」

 

そう言うと、2人で突進してくる。

立ち上がってわりとのんびり構えるランチ。

 

「えーとどうしよう。あ、じゃあ早速使ってみよう!【封鎖海域】!」

 

「えっ!?」

 

「はっ!?」

 

次の瞬間、ランチの周囲30mが地形を無視して深海へと置き換わる。

同時に、ランチの姿が人魚へと変じる。

 

「す、水中!?いったい何が!?」

 

「い、息が!」

 

2人のプレイヤーは突然放り込まれた水中でパニックになっていた。

 

「お、落ち着きなさい!とにかく相手を倒すのよ!」

 

「わ、分かりました!」

 

何とか立ち直り、武器を構えなおす。

しかし、水中での戦闘など全く想定していなかったため、

とりあえずランチの方へ泳いで近づくしかない二人だった。

 

「さて、ここからどうしよう。とりあえず、食べられるか試してみようかな」

 

対して、ランチは足ヒレで水を蹴り加速する。

泳いで近づいてくる二人を一気に追い越し、

槍のプレイヤーの背後へ回る。

 

「は、速い!?」

 

「お、追いつけません!」

 

後ろに回られたことは分かるが、

あまりに速い(というか水中の二人が遅い)ため、

ランチの動きを目で追うのがやっとだった。

 

「よーし。捕まえた!いただきまーす!」

 

「え?いや!私の槍食べないで!?」

 

ロクに抵抗もできないまま水中で槍を掴むと、

そのまま先っぽから食べ始めるランチ。

 

「う、動けない!」

 

「お姉さま!このおっ!」

 

恐怖の顔を浮かべるプレイヤーを見たもう一人のプレイヤーが、

何とかランチに一撃を入れるべく必死に泳いで近づいてくる。

 

「きゃあっ?!」

 

「あ、やっぱり相手を掴んだまま動けるんだね」

 

しかし、武器を掴んだままのランチが足ヒレを動かすと、

掴まれていたプレイヤーごと一気に遠ざかっていった。

 

「お姉さま!って、私も息が…!」

 

そして、二人は窒息の危機も訪れようとしていた。

なお、ランチは水中制限が無効のため窒息することは無い。

 

「大丈夫!ちょっとだけだから!」

 

「なにが!?」

 

「ごちそうさま!」

 

「武器が…。って、スキル封印?!」

 

武器を食べられてスキル封印される。そしてここは水中。

明らかにどうにもならない状況へ追い込まれた。

 

「このあとどうしよ?もう一人の武器も?」

 

「まだあるの…。あの子の武器は食べないであげて欲しいわ…」

 

「うーん。わかりました!じゃあ…あれ?」

 

ほぼ諦めたプレイヤーから懇願され、

剣のプレイヤーの武器を食べることは止めたランチ。

じゃあどうしようと考えていると、1つのことに気が付く。

 

「スキルが元通り使える。そうか、装備が外れてるわけじゃないんだね」

 

「じゃあ…【食神の霧】!消費HPは…10000!」

 

「10000!?って、きゃあ!」

 

「一面真っ白に!」

 

驚く二人をよそに水の色が一面白色へ染まった。

地上と違い、水中で発動した場合水そのものが霧と同じ効果を持っていた。

 

「何も見えないな…」

 

「えぇっ…貴女自身も見えないの…?」

 

びっくりするプレイヤー。

 

「はい。まあ大丈夫なんですが。お二人とも、ごめんなさーい。【食材集合】!」

 

泡だて器とボウルと取り出し、お決まりのスキルを使うランチ。

すると、二人のプレイヤーから光が出て、そのままボウルの中へ集まった。

 

…そして、実は封鎖海域を超えて瞬時に発生した霧は、

近場の他のプレイヤー数人を巻き込んでボウルの中へと集めた。

 

「あれ?他にも何人か集まってる?もしかして霧は外にも出てたのかな?」

 

水が透明になったのでボウルの中を見ると10人くらいのプレイヤーが集まっていた。

同時に、ランチの大きさは海域ギリギリまで大きくなっていた。

 

「で、でっかい人魚!?パティシエの子じゃないのか!?」

 

「っていうか水中!?しかも麻痺が!」

 

「どうしようもない…」

 

中であわてるプレイヤー達だがもはやどうにもならなかった。

 

「じゃ、行きまーす」

 

「きゃあああ!!!」

 

「ぎゃあああ!!!」

 

「うわあ!!!」

 

泡だて器でかき混ぜられて消えていくプレイヤー達。

 

【料理の素を、15個 手に入れた】

 

後にはアイテムだけが残った。

 

 

 

「あ、これで解除できるのかな」

 

スキルの効果を確かめたランチは、

ウィンドウに追加されていたスキル解除を押すと、

海域が瞬時に消滅し、元の位置に元の格好でランチが戻った。

 

「うん。水中でも今まで通りできるんだねー。1日3回までだから気を付けないと」

 

「人魚になっちゃうのはちょっと恥ずかしいけど…。必要な時だけ使おう、うん」

 

「あ、水中でモンスター食べると味とか変わるのかな。後でやってみよ」

 

姿を気にしつつも、楽しそうなランチ。

…実際巻き込まれたプレイヤーはランチの姿を気にしている場合ではないが。

 

まず水中のため放っておくと窒息する。

【潜水X】を持っていれば窒息は回避できるが、問題は【食神の霧】である。

 

霧と違って周囲の水全てに触れてはダメなので、対応方法はほぼ無いに等しい。

唯一の方法はランチを倒すことだが、HP40000近い状態で水中を自在に泳ぐランチを

霧発動までに倒すことができるか?という問題が立ちはだかる。

 

巻き込まれた時点でトッププレイヤーでも抵抗は難しい規格外のスキル。

今後も強敵の戦いで大活躍することとなるが、今のランチにはわからなかった。

 




ということで新装備(というか新衣装)のお披露目でしたー。
水中なので水中らしい見た目になりますー。

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