食べるのが大好きなので、全てをいただきます   作:にゃもー

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今回はわりと残酷な描写があるのでお気を付けをー。

卵ー。


美咲とモンスター

 

<[ランチ]終わったー>

 

<[メイプル]無事で何より!こっちも良さそうなとこ見つけたよ!>

 

<[サリー]周りとか見て、落ち着けそうなら場所連絡するね>

 

<[ランチ]はーい>

 

メイプル、サリーとチャットしながら卵を温めるランチ。

 

「さて、そろそろ2時間か。一旦仕舞った方がいいんだったっけ」

 

卵を地面に置くランチ。すると、何かが割れる音が卵から響いた。

 

「なんか音が…って、卵にヒビが!」

 

置いた時に割ったのかと焦るランチ。

しかし、よく見ると中から外に割れており、

段々ヒビが大きくなっていった。

 

「あ、もしかして生まれる?」

 

すると、卵が完全に割れ、中からモンスターが現れた。

 

「わああっ!!可愛いーーー!!」

 

思わず声を上げるランチ。

 

そこには、身長40cmほどの小さな灰色の子犬が居た。

そして、卵が光を放ち、そこには1つの指輪が残された。

 

「もふもふだー。可愛いー!」

 

指輪を拾い、子犬を抱きかかえる。

目は真っ黒、そして口には子犬とは思えないような

立派な犬歯が生えている。何でも噛み切れそうだ。

 

「指輪は…装備すればこの子と一緒に遊べるのかな」

 

【絆の架け橋】

装備している間、一部モンスターとの共闘が可能。

共闘可能モンスターは指輪1つにつき1匹。

モンスターは死亡時に睡眠状態となり指輪の中に戻り、

1日召喚できない。

 

早速装備すると、子犬のステータスが見えるようになる。

 

「あ、ステータス見れる。どれどれ…」

 

name:<UNKNOWN>

Lv :1

HP :160

MP :10

STR :24

VIT :30

AGI :30

DEX :50

INT :40

 

スキル

【食らいつき】

 

「食らいつくのは良いことだね」

 

とりあえずスキルを見たランチ。

 

「あ、名前が無い。」

 

名前の所をタップすると名づけることができた。

 

「よし、君の名前は【ディナー】だよ!」

 

(わふわふ♪)

 

「あはは!くすぐったいよ!」

 

名前を気に入ったのか、ランチの顔を舐める子犬ことディナー。

 

一通り堪能した後、二人へチャットを送る。

 

<[ランチ]生まれたー。灰色の子犬ー。可愛いよ!>

 

<[メイプル]えー!!見たいー!絶対可愛いよね!>

 

<[サリー]私も見たいな。合流しない? 今の場所良さげだから>

 

<[メイプル]うん!ぜひ!場所はここだよー!>

 

<[ランチ]分かったー。向かうー>

 

<[サリー]近くに来たら連絡して>

 

<[ランチ]はーい。またねー>

 

「よーし、じゃあディナーのレベル上げしながら行こう」

 

子犬と一緒の散歩感覚で、ディナーを連れて歩き出すランチ。

暫くして認識を改めることになるとは考えていなかった。

 

 

 

(わうっ!)

 

現れたモンスターにディナーが噛みつく。

 

「よーし頑張れ!武器は無いから安心だよ!」

 

モンスターはランチが武器を食べているので安心だ。

…モンスターから見たらたまったものではないか。

 

<共闘モンスターのレベルが上がりました>

 

「あ、上がった。わーい」

 

name:ディナー

Lv :2

HP :185

MP :10

STR :30

VIT :30

AGI :38

DEX :50

INT :40

 

 

スキル

【食らいつき】【休眠】【覚醒】

 

【休眠】

指令に応じて指輪内で睡眠状態になる。

睡眠状態になるとHP/MPが回復する。

真の姿の状態で使うと仮の姿へ戻る。

 

【覚醒】

指令に応じて指輪から出てくる。

出てきた状態で使用すると真の姿を現す。

 

「【休眠】と【覚醒】か。早速やってみるかな」

 

「ディナー、【休眠】!」

 

休眠を使うと、ディナーの姿が薄れ、

指輪に吸い込まれるようなエフェクトが出た。

 

「おお!指輪の中に入れるんだね。危険な時とかは入ってもらうことも出来そう」

 

「じゃあ、ディナー、【覚醒】!」

 

覚醒を使うと、元の場所へディナーが現れた。

 

「なるほどー。って、この状態でも【覚醒】が使える?」

 

「なんか姿が変わる?とりあえず、ディナー、【覚醒】!ってうわっ!」

 

次の瞬間、ディナーから光が出たと思うと、ディナーの姿が変わる。

 

「うわあ…。おっきい!凄い!カッコいいよディナー!」

 

そこには大きな灰色の狼が居た。

身の丈2mに届こうかという体躯は、フサフサの灰色の毛で覆われている。

鋭い黒色の瞳と、何をも喰らえるような大きな口に鋭い牙、

ステータスも本当のものに変わる。

 

name:ディナー(覚醒)

Lv :2

HP :950

MP :10

STR :150

VIT :35

AGI :190

DEX :55

INT :45

 

(あおおおぉぉぉぉ……!!)

 

ディナーは、真の姿を解放できたことを喜ぶかのように、天へ向かって吠えた。

 

「な、なんだ今の遠吠え…」

 

「狼…?近くにモンスターでも出るのか?!」

 

…近くのプレイヤー達を怯えさせながら。

ちなみに抱いた危機感は、ある意味この上なく正しいものだった。

 

そして、そのまま伏せの体制を取り、ランチの方を向く。

 

「ん?あ、もしかして乗せてくれたりする?」

 

(わふわふ!)

 

「わーい!ありがとう!じゃあ早速!」

 

ランチがディナーの背中に乗ると、ディナーは起き上がる。

 

「うわっ!結構高い。凄いねディナー!」

 

(わう?)

 

「ん?…んー、ああどっち行くか決めないといけないのかな」

 

「じゃ、あっちだね!メイプルやサリーがいる方へ!」

 

(わうっ!)

 

走り出すディナー。

強靭な四肢から繰り出される走りは、

そこらのプレイヤーを軽く凌駕する速度でランチを運んでいく。

 

 

 

「あ、ディナーストップ!!」

 

暫く森を走っていると、急に人影が見えたので慌てて止めるランチ。

しかし、狼はすぐには止まれない。

ディナーの進行方向に居たプレイヤーが突進を受けて吹き飛ばされる。

 

「ぎゃあああ!!!」

 

「うおわっ!?な、なんだ!?」

 

「も、モンスター!?さっき鳴いてたのこいつか!」

 

「上に女の子座ってる!」

 

一瞬でプレイヤー達の中心へ躍り出る形となったランチ。

 

「間に合わなかった…。ごめんなさいー」

 

とりあえず謝ってみるランチだったが、

仲間を吹き飛ばされたプレイヤー達は、

問答無用で武器を構えて襲ってくる。

(実際はプレイヤー側が奇襲を受けているのだが)

 

「くそっ!こいつ!行くぞ!」

 

「仕方ない!うりゃあ!」

 

「えいっ!」

 

(わううっ!)

 

一旦止まってしまっているディナーにそれを避ける術はなく、

ダメージエフェクトが飛び散る。

 

「あ、ディナー!!ダメだよそんなことしちゃ!」

 

「お前が言うなぁぁ!!」

 

プレイヤーからの叫びを返されるランチ。

しかし、ランチはその時次の行動に移っていた。

 

「しょうがない!ディナー、【休眠】!って、もう一回か。【休眠】!」

 

ディナーの姿が掻き消える。同時にランチがスキルを発動する。

 

「【食神の霧】!消費HPは…10000!」

 

周囲100mが霧に包まれる。

 

「うわっ!霧だ!」

 

「あ、この子、ランカーの!!」

 

「ヤバい!」

 

不幸にも相対したプレイヤー達は霧の対応策を持っていなかった。

 

「よーし、【食材集合】!」

 

周囲100mから、巻き込まれたプレイヤーも含めて数十人がボウルに集められた。

 

「ぎゃああ!!」

 

「またかよぉぉぉ!!」

 

「酷い交通事故だ…。またかき混ぜか…。あれ結構辛いんだよなぁ…」

 

ボウルに集められたプレイヤー達。

一部プレイヤーはあきらめの境地に達していた。

 

「…あ、そっか。それ出来るのかも」

 

一方巨大なランチは、いつも通り泡だて器を取り出したところで少し止まる。

ちょっとした(悪魔のような)考えが浮かんできた。

 

「ディナー、【覚醒】×2!」

 

次の瞬間、巨大な狼が空中に現れ、そのままボウルの側面へ着地した。

そのまま猛スピードで降りてくるディナー。

 

「え?狼!?」

 

「ま、まさか…!」

 

「やべぇ!って、逃げられねぇ!」

 

その姿を見て青ざめるプレイヤー達。

 

「うん。…じゃあちょっと気乗りしないけど、ディナー【食らいつき】行ってみよう!」

 

…そして悪夢が始まった。

 

「まじかぁ!!?ぎゃああああ!!!!!」

 

「くるなあぁぁぁぁ!!うぎゃああ!!!」

 

「麻痺だから抵抗できねぇ!!」

 

麻痺して動けないプレイヤー達に次々【食らいつく】ディナー。

STRの高さも相まって、どんどんプレイヤーが光となって消えていく。

 

「あ、麻痺が解けた!とりあえずこいつを倒せば!」

 

「行くぞ!みんなで攻撃だ!」

 

だが、全員を食らいつくす前に10人程度のプレイヤーの麻痺が解けた。

 

「あ、麻痺解けてる。じゃあ、泡だて器で…」

 

「ぎゃああ!!」

 

「うわああ!!!」

 

(わうわう!?)

 

それを見たランチは、ボウルの中を泡だて器でかき混ぜる。

ディナーを倒そうと取り囲んでいたプレイヤー達がバラバラになった。

 

ディナー自身も泡だて器が当たって驚いているが、

【絆の架け橋】でつながっているディナーにはダメージが無い。

 

「ごめんねディナー、ちょっと大変と思うけど少し我慢してね」

 

「あああ!!武器があ!!」

 

「防具が!!」

 

なすすべなく、武器や防具が消滅していく。

 

「よーし。じゃあ、ディナー、【食らいつき】!」

 

「ぎゃあああ!!!!」

 

「うぎゃああ!!!」

 

「ひでぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

プレイヤー達は、なすすべなく食らわれた。

 

<共闘モンスターのレベルが上がりました>

 

「うん。ばっちり!…ちょっとアレな光景だった気もするけど」

 

ディナーの攻撃タイムは、さすがのランチも若干目をそらしていた。

プレイヤー側は逸らすことも出来ず喰われていたりするが。

 

麻痺で動けないところに巨大な狼が現れて自分を食べようとするのは、

現実世界ではほぼあり得ないレベルの恐怖だったりする。

一部のプレイヤーにトラウマを植え付けつつ、戦闘は終わった。

 

「よーし、じゃあ行こうかディナー!」

 

(がうっ!)

 

再び伏せの体制をとるディナーにランチがまたがると、

そのまま疾風のように走るディナーの姿があった。

 




そんなわけで、【狼】の卵が孵りました。

お気づきの方も多いかと思いますが、
とある何でも食らう狼さんがモデルですー。

次回は、第2回イベントのクライマックスですー。
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