第4回イベント開幕ですー。
「さて、皆準備は良い?」
「うん!」
「はーい」
「ああ」
「OKだ」
「僕も大丈夫」
「頑張りましょうね」
「「頑張ります!」」
ギルドホームの中、サリーの呼びかけに各々が答える。
第4回イベントの告知から数日。
【楓の木】のメンバーは来るイベントに備えて
可能な限り準備を続けてきた。
そして開始まであと10分、いよいよイベントが始まろうとしていた。
なお、相変わらずテーブルの上はお菓子であふれていた。
「じゃあ、最終確認。」
サリーが皆を見渡して、話をする。
「イベントの概要は渡したメモにまとめてる。
忘れちゃったり分からなくなったら見てみて」
「うん。ありがと、サリー!」
メイプルがサリーに何度目か分からないお礼を言う。
メモには以下のような内容が書かれていた。
======<第4回イベント ギルド対抗戦>======
全5日間。
時間加速あり。
ログアウトした場合再参戦不可。
オーブを奪い合い、オーブ保持により獲得するポイントを競う。
規模分け
50人以上…大規模ギルド
20~50人…中規模ギルド
20人未満…小規模ギルド
オーブ保持
中・大規模ギルド…6時間ごとに1ポイント
小規模ギルド …6時間ごとに2ポイント
オーブ奪取
奪取側…自軍に持ち帰り3時間防衛で2ポイント
被奪取側…3時間奪取し続けられると以下の通り
相手が小規模…マイナス3ポイント
相手が中規模…マイナス2ポイント
相手が大規模…マイナス1ポイント
被奪取側は奪取されたオーブの位置が常に分かる。
3時間経過してポイントになるとオーブは元の位置に戻る。
オーブ奪還
被奪取側が3時間以外に奪還した場合は、
奪取側・被奪取側ともにポイント増減なし
デスペナルティ
1回死亡…ステータス 5% ダウン
2回死亡…ステータス10% ダウン(累計 15%)
3回死亡…ステータス15% ダウン(累計 30%)
4回死亡…ステータス20% ダウン(累計 50%)
5回死亡…リタイア
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「カスミ、クロムさん、私、そしてランチは出撃。オーブを取ってくるよ」
「心得た!」
「上手くやるさ!」
「頑張りまーす。うん、美味しい!」
「ラ・ン・チ?」
返事をしつつ幸せそうにケーキを食べるランチの頬を、
掴んでぐりぐりするサリー。
「いひゃいいひゃい!ひゃめてぇ」
「まったく…。ランチはかなり重要な戦力なんだから、しっかりしてよ。」
「うう…。イベント前の緊張をほぐそうと思ったのに」
「せめてお菓子から目を離して言おうね」
「まあまあ。ランチも頑張ってくれるって言ってるし」
長引きそうだったのでメイプルが止めに入る。
「うん、分かってるって。周りを霧で確認してくれば良いんだよね?」
「そこはちゃんと聞いてるんだね…。うん。近場の把握は任せた」
「あとでみんなに伝えるね」
「お願い。んで、カスミとクロムさんと私は暫く一緒に行動したいと思う。」
「防衛は、メイプル、ユイ、マイ、カナデ、イズさんでお願い」
「うん!守ってみせるよ!」
「「頑張ります!」」
「何でも大丈夫だよ」
「分かったわ。あ、アイテム配らないと!」
「あ。私も色々料理渡しておくね!」
そして、各々に持てるだけの回復アイテムと、大量の料理が手渡される。
「…俺たち小規模ギルドだよな」
「気にすると負けだと思う」
「うちはバックも頼もしすぎるな…」
「ゴールドもいっぱいあるし、まだまだ作れるから足りなくなったら言ってね」
「料理もまだまだあるよー!」
若干遠い目をしているフロント陣営だった。
「あ、通知が来た!いよいよ始まるね!」
「よし!じゃあ行こう!目指すは10位以内!」
「「「「「「「「「おー!」」」」」」」」」
そして転移が始まる。
収まった時、皆は洞窟の中に居た。
「ここが私たちの拠点かー!」
部屋の真ん中には緑のオーブがある。
そして、オーブの先には2つ、オーブの手前には1つの道があった。
「先の部屋は特に何もない部屋だった」
「もう1つの部屋は水場があるな。」
「じゃあ、手前の道が外に続く道だね!」
「よし!じゃあ早速行こう!」
「おお!」
「心得た!」
「行ってきまーす」
「じゃランチ、お願いね」
「はーい。一通り回ったら拠点に戻るね」
「うん。私たちも暫くしたら戻るから」
「よーし。ディナー、【覚醒】×2!」
巨大化ディナーにまたがったランチ。
「行こう!」
(わおおおおおん!!)
掛け声とともに、まるでそれが戦いの狼煙で
あるかのような、甲高い鳴き声が辺りにこだました。
そのまま疾風のように駆けるディナー。
あっという間にサリーたちからは見えなくなる。
「凄まじいな…。下手なプレイヤーより強いんじゃないか…」
「私も欲しくなってくるな」
「きっと先の層で手に入りますよ。さあ今は!」
「ああ!」
「行くぞ!」
そして、周りのプレイヤーを狩りに鬼たちが動き出した。
「よーし、この辺かな。【食神の霧】!消費HPは10000!」
森の端近くまで進んだランチは、霧を発動させる。
半径100mまで広がった霧は、いくつかのギルドを射程に捕らえていた。
「うわっ!霧だ!」
「まずい!この霧は触れ続けちゃだめだ!」
「ちっ!【旋風槍】!」
巻き込まれたギルドのメンバーが慌てて対処をする。
しかし、突然霧に包まれ、全員が全員対処できるものではない。
「な、ナニコレ?!【食材】って!」
「ヤバい!例のパティシエの子か!」
「近くにいるってことか!?」
「えーと、ココとココと…」
次にランチは、【食材観察】を使うことで候補となる【食材】の
場所を地図に映し出し、マークしていった。
「近くには3か所かな?よーし。じゃあ終わったから【食材集合】!」
「あああああああ!!!」
「うわあああ!」
「きゃああ!!!」
巨大ランチが出現する。
「よーし混ぜるよー」
「ぎゃああ!!!」
「くそぉ!こんなんで1デスかよぉ!」
「止めてぇ!!」
【料理の素を 62 個手に入れた】
「うん。まあまあ。じゃあ次へー。行くよディナー!」
ディナーへ乗り、次の場所へ向かうランチ。
それは今出していた霧がギリギリ届かない場所だ。
「次はここかな。」
再度霧の準備をするランチ。
それはサリーの依頼によるものだった。
近場のギルドの位置把握とデス数増加の為、
ランチは拠点からある程度離れた場所を回っていた。
「あの霧は万人が対処できるものじゃない。
必ず何人か引っかかるはずだから、
引っかかった場所をマークしておいて!
そこがギルドの場所!」
と説明するサリーの言葉は完全に正しく、
どのギルドも大少差はあれど何人かは巻き込まれていた。
それは、ランチが持つマップにギルドの場所がマークされ、
【楓の木】に場所がバレてしまうということでもある。
後で化け物が大挙して押し寄せることとなる哀れなギルドたちは、
しかし今はいきなりギルドメンバーを葬ってくれた相手を
躍起になって探していた。
「あ!いたぞ!あそこだ!」
「パティシエの格好!」
「見つけたぞ!」
そして、比較的近い小規模ギルドのメンバーがランチを捕捉する。
何人かが霧の犠牲になって1デスを食らってしまったが、
まだまだステータス低下は誤差の範囲。
先ほどのお返しにと、素早く駆け寄って周りを囲む。
対してランチはディナーに乗ったままこう命令した。
「見つかっちゃった。よーし、ディナー、ご飯タイムだ!」
(あおおおおおお!!!)
周りのプレイヤーをすべて吹き飛ばすかのような咆哮をあげるディナー。
かくして、ランチ・ディナーの戦いが幕を開けた。
ということで、第4回イベント開幕ですー。
一旦ランチさんは単独行動。
ディナーも強くなっていますー。
次回は激しく動くイベントでのランチさんですー。