イベント進んでいきますー。
「ひぃ!!ひぃ!!」
「だ、ダメだココは!」
「逃げよう!早く!」
「うん?なんか洞窟から誰か出てくる?」
中規模ギルドを壊滅させたランチは、自分の拠点へオーブを置きに戻ってきた。
洞窟の入り口に来たところで、中から声が聞こえてきた。
それは【楓の木】(というかサリー)にオーブを取られたギルドのメンバー。
大挙してやってきたがメイプル達相手に壊滅し、敗走しているところだった。
「うわっ!?狼!?」
「げっ!挟み撃ちか!」
「攻撃してその隙に逃げるんだ!」
逃げて来てようやく外が見えたと思ったら、その入り口をふさぐ大狼。
そして横に立つパティシエな少女。
彼らは敗走中に運悪くランチとかち合ってしまったのだ。
相手がだれか分かった彼らは、絶望しながらも狼へ立ち向かった。
「あー。侵入者かな。じゃあ、ディナー、【食らいつき】!」
(あおおおおおお!!)
戦意を底から挫くかのような遠吠えを放ち、
ディナーは真ん中のプレイヤーへ突進する。
「くそっ!やれぇ!」
「おおっ!!!」
魔法と矢、剣の攻撃がディナーを襲うが、
【食らいつき】中であるディナーは攻撃を無効化する。
「き、効いてない!?ぎゃああ!!!」
「ああああ!!!」
「くるなあ!!!」
一人、また一人と食べられ、誰も居なくなった。
「ディナー、お疲れ様!戻ろう」
(わうっ)
「あ、ランチ!おかえり!」
「ただいまー。オーブ取ってきたよー」
「おおーー!!」
「「さすがです!」」
オーブはメイプルの守護下へ入った。
「ということは、また攻めてくるわね」
「はい。多分来ると思いますー」
「多分?」
ランチは一旦奥に下がり、大量のデザートや料理を出してから戻ってきた。
防衛メンバー用のおやつだった。
「例の【銀翼の魂】ってスキル使ったら皆倒しちゃったから、追ってこないかも?」
「あ!お肉食べた時のスキルだ!どんなの?」
「あの鳥さんの口からレーザーだった」
「あれかぁ!あれはヤバいよね!」
うんうんとうなずくメイプル。
【銀翼】の強さは実際にスキルを受けたメイプルが一番よく知っている。
そしてわりと聞き捨てならないことを言ったメイプルにイズが訪ねる。
「…ヤバいって、メイプルちゃんでも…?」
「はい。第2回イベントで戦ったモンスターのスキルなんですが、
多分【悪食】なかったらやられていたかも」
それを聞いたイズは良い感じの笑顔になってランチをまじまじと見る。
「?なんか食べます?」
「…ああ、そうね。いただこうかしら」
「何でもいいですよー。奥のテーブルにもいっぱい出しておきました!
皆の分ももちろんあるよ!」
「ほんと!ありがと、ランチ!」
「「ありがとうございます!!」」
はしゃぐ皆を若干遠い目で見ているイズ。
(間違いなくヤバいわね…。ランチちゃんそんなスキルあったのね…)
「メイプル、いる?」
「あ、サリー!」
しばらくするとサリーが戻ってくる。
「サリー、おかえりー」
「ただいま。早速だけど、オーブ受け取って。」
「うん。わ、またこんなに。凄い!」
「また奪ってる感じだから取り返しに来ると思う。」
「相変わらず信じがたいことしてるね…」
カナデがあきれたようにつぶやく。
本イベントの争奪戦は基本的にギルド対ギルドの潰しあい。
今しがた各地で行われている戦闘でも、
大抵は戦力差で相手ギルドを壊滅させ、
オーブを奪う(もしくは守る)ようなことになっている。
そんな中、大勢のプレイヤーが守る中、
僅かな隙を見逃さずにオーブを掠め取るサリーの手腕は、
他のプレイヤーにはまねできないようなものだった。
殆ど消耗なしにオーブを奪取できる代わりに、
相手も消耗が無いので奪い返しに来られてしまう。
しかし、そのオーブはメイプルの手に渡ってしまった。
こうなると奪還は不可能に近くなってくる。
「ああ。まったくだな」
「こちらもオーブを持ってきたぞ。メイプル、頼む」
洞窟の出口側からも声がかかる。
一瞬警戒するがそれはカスミとクロムだった。
二人もプレイヤー殲滅がてら近くのギルドのオーブを奪取してきた。
「結構オーブ溜まったねー」
「暫くは奪い返しに来るギルドが多そうだな」
「防衛はお願い。私はもう一回行ってくる」
奪ったオーブをメイプルに渡したサリーは、
すぐにまた出発しようとする。
「まーまーサリー。少し休憩しない?」
「ランチ、ありがと。でも、今のうちに少しでもオーブを取りたいんだ」
「んー、じゃあ私も出るよ。手分けしていこ。
だから、休憩ー。いや、作戦会議、作戦会議で」
「おやつを取り出しながら言われてもね。…でもうん、分かった」
「ちょうど皆揃ったからな。少し整理するのも良いんじゃないか」
「ああ。」
「じゃあ、皆でちょっとお話しよう!」
「「はい!」」
「奥だと取り返しに来たか分からないし、ココの方が良いかな」
「じゃ、ここで。色々出すよー」
「お茶入れるわねー」
地面の上に敷かれたシートに、色とりどりのお菓子が並べられる。
紅茶・コーヒーも準備され、午後のティータイムが始まった。
途中、オーブを取り返しに来た不幸なギルドが幾つか壊滅させられつつ、
作戦会議のようなお茶会も終了した。
「よし!じゃあ行ってくる!」
「うん。私もー。」
「俺もだ」
「私もクロムに同行するわね。」
「ボクも出てくるよ。籠ってばっかりだしね」
「私もだ。周りのプレイヤーを狩ろう」
「分担はさっきの通りで!守りは、メイプル、ユイ、マイ、お願いね」
「もちろんだよ!」
「「頑張ります!!」」
そして、メンバーたちは各方向へ散っていった。
「【グランドランス】!」
「【多重詠唱】!」
ところかわって平野にある神殿跡のような場所。
そこではオーブを奪いに来た何十人のプレイヤー達が、
たった二人のプレイヤーに壊滅させられていた。
「あー暴れた!」
「人使い荒いよねー!!猪突猛進すぎないー!?」
「わりいわりい。でもお前の支援があるなら大丈夫だろ?」
「もー。ごまかされないんだからねー」
戦闘態勢を解く二人。
【集う聖剣】の主力プレイヤー、ドラグとフレデリカだった。
斧系のトッププレイヤーと言われているドラグと、
キャスター系のトッププレイヤーと言われているフレデリカ。
二人が前後衛を務める状況では、数の差は問題にならなかった。
「ま、これで防衛は問題ないだろ」
「そーだねー。あとはペイン達がオーブどれだけ取ってきてくれるかだねー」
「油断は出来ねぇがな。ヤバそうなギルドもいくつかあるだろ」
「…【楓の木】とか?」
「あー。そこもなー。次は勝ちてぇな」
「そっか。第1回で戦ってるんだったっけ。ランチだっけ?」
「ああ。斧を止められて食べられたからな…よく覚えてるぜ」
「それは…。まあ今度は他のメンバーもいるし、負けないっしょ」
「だな。次は勝つぜ!」
秘かに執念を燃やすドラグ。
現トップギルド【集う聖剣】もまた、【楓の木】を特別視していた。
知らないところで大きなうねりができる中、イベントは進んでいた。
ということで、【集う聖剣】のお二人ですー。
全体的に【楓の木】への警戒度が原作より高かったりしますー。
次回は、各地へ散ったメンバーが活躍しますー。