食べるのが大好きなので、全てをいただきます   作:にゃもー

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お時間開いてごめんなさいー。

サリーのピンチからの大脱出なるか?


美咲と大脱出

 

掛け声とともにサリーの前に着地した影。

 

「おわぁ!?」

 

「なっ!?」

 

それは、ドラグの攻撃を弾き、フレデリカの攻撃を受け止める。

 

「「メイプル!?」」

 

サリーとフレデリカの声がハモる。

黒の鎧と純白の羽がサリーの視界いっぱいに広がった。

 

「やらせない!絶対に!!」

 

「シロップ!【覚醒】!【城壁】!」

 

それは【身捧ぐ慈愛】を展開させつつ空から落ちてきたメイプルだった。

前を見据えたまま、即座にシロップを呼び出し、土の防壁を展開。

遅れて届いた周囲のプレイヤーからの魔法攻撃を遮断する。

 

「どうやってここに…?」

 

「話はあと!ユイとマイを置いてきちゃったから、すぐ戻らないと!」

 

「分かった!」

 

「悪いが、逃がすわけにゃいかねぇな!【グランドランス】!」

 

「きゃああ!?」

 

土の壁に守られつつスキルを展開しようとしていた二人は、

しかし地面から突き出た土の槍に弾き飛ばされる。

 

【身捧ぐ慈愛】のおかげでダメージはないが、

メイプルが展開しようとしていたスキルが中断される。

 

「メイプル!オーブを!」

 

耐性が崩されたまま、サリーはメイプルにオーブを渡そうとする。

 

「させないよー!!【多重風刃】!」

 

しかし、意図を察したフレデリカのスキルが襲う。

通常ではありえない数の風の刃が二人を近づけさせなかった。

 

「皆!貫通攻撃主体で!」

 

「はっ!」

 

「承知しました!」

 

フレデリカの号令で、逃げられない状態にしたメイプルとサリーに、

様々なスキルがぶつかる。

 

「うううっ!」

 

それは二人にぶつかり貫通ダメージをメイプルへ蓄積させる。

 

「メイプル!解除して!このままじゃ二人ともやられちゃう!」

 

「だめぇっ!!!解除したら、サリーが!!くっ!【毒竜】!」

 

「それは見たことあるな!【バーンアックス】!!」

 

起死回生を狙って放つメイプルの【毒竜】も、

ドラグの【バーンアックス】にかき消される。

 

本来、そう簡単に相殺できるスキルではないが、

トッププレイヤーたるドラグが放つスキルは【毒竜】にも匹敵していた。

 

 

「…メイプル、逃げて。私のことは良いから!」

 

状況の不利を察したサリーは、意を決したようにメイプルへ叫ぶ。

 

サリーが万全であれば、この状況でもなんとかできる自信はあった。

メイプルと一緒であれば。しかし、今の疲弊したサリーでは何もできなかった。

 

「だめだよ!」

 

サリーを守る位置に陣取っていたメイプルは、思わず振り返る。

そこには、強い意志でメイプルを見つめるサリーがあった」

 

「このままじゃ、二人ともやられちゃう。下手するとユイ、マイまで…。

何より、メイプルがやられるのは、嫌!」

 

「サリー…」

 

「できればオーブを渡したいけど、無理みたい。ごめんね…」

 

そこまで聞いたメイプルは、しかしその場を離脱しなかった。

一度目を閉じ、サリーに笑いかける。

 

「…私も、サリーがやられちゃうのは嫌!」

 

「メイプル…」

 

「絶対にあきらめない!サリーを守って、ユイ、マイ、皆も守るよ!」

 

改めて前に向き直り、周りを囲む強敵たちを見据えた。

 

 

 

「良い口上だー。いやー、お姉さん感動しちゃったよー。

 だ・け・ど、残念ながら、覆らないよー」

 

「あー。完全に悪役だな俺たち」

 

やり取りを聞いていたフレデリカがにっこり笑って二人を見る。

苦笑いしながらドラグも見ていた。

 

そうしながらも、包囲の輪は狭まっていた。

 

「じゃ、終わらせてもらうよー。【多重障壁】!」

 

「しゃーねえ。これも勝負だからな!【バーサーク】!」

 

フレデリカのスキルで、囲んでいたプレイヤー達に防壁が張られる。

同時に、ドラグが攻撃力を劇的に上げるスキルを使用。

包囲をさらに狭めるように間合いを詰めてくる。

 

「どうしよう…。他に何か!何でもいい!」

 

トッププレイヤー二人に、周りには100に届こうかという相手ギルドのメンバー。

絶望的な状況だったが、メイプルはあきらめず何か方法が無いか考えていた。

 

幾つかの切り札スキルを切れば、何とかなるかもしれない。

しかし、今すべてを見せるのは避けたい。

そんな想いもあり、メイプルは打つ手を考えられずにいた。

 

「行くぜぇ!」

 

「いけー!」

 

とうとう目の前に迫ったドラグ、そしてメンバーたち。

迫り来る攻撃にメイプルは思わず目を瞑る。そして…

 

 

「【食神の霧】!」

 

 

全ては白い霧に包まれた。

 

「おわあ!?」

 

「こ、これは、ランチぃ!?」

 

攻撃をしようとしていたドラグ、フレデリカの視界が白に染まる。

 

「ディナー、まっすぐー。そこに二人がいるよー!」

 

(あおおおおおおおおおっ!!)

 

そして、焦る二人に呼応するかのように、夜の森に咆哮が響き渡った。

 

「まずい!全員霧を散らせ!」

 

「触れてると食べられるよー!!急いで!」

 

攻撃を中断し、慌ててスキルなどで霧を散らそうとするメンバーたち。

突然の事態にも慌てず対応するその姿は、さすがトップギルトといえる。

しかし、さすがにメイプル達への注視を維持することはできなかった。

 

「今の隙に…!メイプル、少しでもいいから、動いて!」

 

「うん!」

 

その間に、重い体を引きずってサリーは必死に動く。

今の状況なら、少しでも動けば相手は場所を見失う。

 

「確か、ランチは【暗視】を持ってたはず…。

 ランチなら、この中でも私たちのことを見つけてくれる!」

 

果たしてその考えは合っていた。

ランチがメイプル達のもとへ到達する。

ディナーから降りたランチが急いで駆け寄ってくる。

 

「サリー!無事かな!?」

 

「「ランチ!!」」

 

「あれ、メイプルも?そっか、助けに来たんだね」

 

「うん!ランチが来てくれてよかった!」

 

「ホントに。敵の攻撃が激しすぎて、私たちだけじゃ逃げられなくて…」

 

「うん。ユイとマイを置いてきちゃったし、早く帰らないと!」

 

「霧で混乱してる今がチャンス。なんとか包囲網を突破しないと」

 

「あー。なるほど。」

 

状況を理解したランチは、敵であるフレデリカ達の方を見る。

今も各自がスキルで周囲の霧を晴らそうとしていて、

フレデリカ達の近くはかなり見えるようになっていた。

 

「メイプルはサリーを連れて逃げられる?」

 

「う、うん。【機械神】で飛んでくから大丈夫だよ!」

 

「じゃあ、ここは任せてー。メイプルはサリーを連れてすぐ帰って大丈夫だよー」

 

「ランチ!?」

 

「そ、それじゃランチがやられちゃうよ!私はランチがやられちゃうのもやだよ!?」

 

「大丈夫大丈夫ー。アレなら何とかなると思うー。むしろ巻き込まれないようにしてねー」

 

慌てるメイプルだったが、ランチはいつも通りの感じで返す。

そこに真剣な表情でサリーが訪ねた。

 

「ランチ…信じていいんだよね?」

 

「うん」

 

「…分かった。メイプル、離脱しよう!」

 

「…そうだね。私もランチを信じる!」

 

「じゃあ、霧が晴れる前に、急いで離脱してほしいな」

 

「分かった。【砲身展開】!」

 

「サリー、どのへんに居る?」

 

「あー。そうか。二人は周りが見えないんだね。

ちょっとまって、サリー連れてくるから」

 

何とか立ち上がっているサリーに肩を貸して、

メイプルのもとへ連れていくランチ。

 

「あ、一応私の持ってるオーブ預かってくれる?」

 

「あ、うん。確かに受け取ったよ(柔らかいなぁ)」

 

既に動けないサリーは、ランチの何かを堪能しつつ運ばれていった。

ランチが集めたオーブはすべてサリーへと渡される。

 

「よーし。じゃあ、行くよサリー!」

 

「うん。って、どうするの?…まさか!」

 

「いっけぇ!!」

 

あぁぁぁ…というサリーの叫び声が急激に遠ざかる。

メイプルは全砲身を地面に向けて一斉射したのだ。

 

反動で、サリーを抱きかかえたメイプルは一気に上空へ。

 

「もいっちょ!!」

 

空に上がったメイプルは、そのままギルドの方へ突っ込んでいった。

 

 

 

「【食神の霧】解除!」

 

「うわっ!急に晴れた!」

 

「ちっ、メイプル達は逃げたか!」

 

ランチがスキルを解除したことで霧が晴れる。

そこにはメイプル達はおらず、ディナーとランチだけがそこに居た。

 

「あー!悔しい!せっかくもうちょっとだったのにー!

 こうなったら、邪魔してきた子を倒しちゃうよー!」

 

「ちょっと待て。あいつは普通じゃねぇ。下手に攻撃すればスキルを封印されるぞ」

 

「ぇぇ…。じゃあどうすればいいのよー?」

 

「そうだな…。手でつかんで止めて食うことでスキル封印されたから…」

 

「なるほどー。じゃあ、囲んで一気に倒しちゃおう!」

 

そしてフレデリカの号令のもと、

メンバーたちはランチを囲むように移動する。

 

周囲全てを何重もの包囲に囲まれたランチ。

一見絶望的な状況だが、これはランチ相手はNGの選択でもある。

 

「じゃあ、ディナー、ありがとね。【休眠】×2!」

 

ディナーが指輪に戻る。

それを見たメンバー達の中には、

諦めたのかと自分たちの勝利を確信するものも居た。

 

それが誤りであることを知るのはすぐだった。

 

「【封鎖海域】!」

 

ランチの周囲30mが瞬時に変化する。

 

「わあぁ!?」

 

「なんだと!?」

 

「ああああああ!」

 

「うわあぁ!?」

 

周囲を囲っていたメンバーのほぼすべてが深海へと捕らわれた。

そこには、マーメイドに姿を変えたランチが居た。

 

「水中ぅ!?」

 

「こんなスキルが!」

 

「ど、どうすれば!?」

 

「フレデリカ様!」

 

「と、とにかく攻撃ー!炎は無理だから、風とか雷とかで!」

 

「【グランドランス】!って、ダメか!土が無いからスキルが発動しねぇ!」

 

「【ウィンドカッター】!」

 

「【ライトニング】!」

 

「わわっ!うあっ!そ、そっか、雷とかは来ちゃうんだね」

 

さすがは精鋭だけあり、想定外極まりないこの状況でも

個人個人が通りそうなスキルを選んで攻撃してくる。

 

それを見たランチは更に一計を案じる。

 

「じゃあ、これで行こうかな。【食神の霧】!」

 

海域の中が白色に染まる。

 

「マジか!?」

 

「うわー。これは…」

 

「な、何も見えません!」

 

「敵はどこだよ!?」

 

完全にランチの姿を見失うメンバー達。

対して【暗視】を持つランチは全員の姿が見えている。

 

「じゃあ…。あの人だね!」

 

ランチが水中を泳ぐ。

この状態で高速移動するランチを止められるものはいなかった。

 

「これじゃどうしようもないぜ!窒息しちまう!」

 

「こ、こーなったら!皆、可能なら各自離脱して!」

 

「だ、ダメです!端の壁は破壊できません!」

 

「マジかよ…」

 

「せ、せめて!!ドレッドーお願いー」

 

既に逃げられないと察したフレデリカが最後の悪あがきをかける。

その悪あがきが終わった時、フレデリカは自分が持つ杖が動く感覚があった。

 

「えっ?ら、ランチ!?えっ?動けない?え?」

 

「よーし!じゃ、いただきまーす。何となくこの杖は美味しい気が」

 

思わず素で返すフレデリカ。

見ると、杖がランチに掴まれていた。

同時に、身動きが取れなくなる。

 

「いやいやいや、食べ物じゃないからね!?」

 

「大丈夫です!美味しくいただきます!」

 

「やめてぇ!!!」

 

自分の武器にランチの口が近づくのをなすすべなく見ているフレデリカ。

 

「あむっ。うん!カスタードクリーム!」

 

「なんでさ!?」

 

「今までの武器で一番おいしいかも!ありがとうございます!」

 

「そんなお礼要らない!やめてよぉ!!」

 

「ああ…見えねえが今食べられてるのか…」

 

いつもは考えられない悲痛なフレデリカの声を聴いて、

第1回イベントを思い出して色々察した顔になるドラグだった。

 

「紫の宝石は葡萄だね!白はバニラアイス!リボンは苺だ!」

 

「あああぁぁ…私の武器が…」

 

「美味しかったです!ありがとうございます!」

 

「嬉しくないありがとうだよー…」

 

食べ終わったランチを絶望的な顔で見るフレデリカ。

 

「なっ…ヤバいだろ?」

 

「ヤバいっていうか…その、なんていうか…」

 

意気消沈するフレデリカを同情の目で見つめるドラグ。

 

「フレデリカ様ぁ…!!」

 

「【集う聖剣】に栄光あれ…!」

 

そして、水中関連のスキルを持たないメンバーたちが窒息でやられ始める。

 

「あ、ドラグさんの武器も食べないと」

 

「止めろ!フレデリカのだけでいいだろ!?味ついてないって言ってただろ!?」

 

「大丈夫、味は変えれますから!」

 

「大丈夫じゃねぇ!」

 

結局ドラグの武器もビスケットとして食べられた。

 

「私も持たない。スキル封印されてるし、これは…負けだね…」

 

「ああ…。だが!」

 

「そー!次は、負けないよー!!」

 

ドラグ、フレデリカの二人は戦意MAXな目のまま、

窒息してエフェクトとなり散っていった。

 

 

「【封鎖海域】解除!」

 

全メンバーが倒れた後、ランチはスキルを解除する。

 

「よーし、じゃあすぐに帰ろう!ディナー、【覚醒】×2!」

 

ディナーに乗ったランチはまっすぐに自分のギルドを目指す。

 

「メイプル達間に合ったかな?」

 

メイプル達を追いかけるかのように、ディナーは最速で駆け抜けていく。

途中で何人か弾いたのはご愛敬だった。

 

「フレデリカさんの武器も美味しかったなー」

 

ディナーの上でランチは先ほどの戦闘を思い出す。

味は全体的にパフェのような感じにまとまっていた。

 

「もしかして、その為に見た目がデザインされていたのかな?」

 

明らかにその用途ではないが、結果として美味しかったということだった。

 

「サリーのはソーダ味だったか。やっぱり、色々食べてみる必要があるねー」

 

改めてやるべきことを考えてギルドに戻るランチだった。

 

 

「ったく、人使い荒いぜ。…ま、情報正しけりゃ、行く価値はあらぁな」

 

そしてそのギルドには、フレデリカの悪あがきが迫ろうとしていた。

 





ということで、救世主ランチのおやつタイムでしたー。

ちなみに、アニメのフレデリカが武器持ってるところで停止して、
ガン見しながら書いてますー(謎)。

次回は、フレデリカの悪だくみと、さらに進むイベントですー。
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