ギルド最大のピンチですー。
「メイプルさん、間に合ったかな…?」
「マップだとサリーさんと一緒にいるみたい。大丈夫じゃないかな。」
「どうやって向かったのかな?」
「分かんない。でもすぐ戻ってくれそう」
拠点では、ユイとマイがオーブの前で防衛していた。
「あ、メイプルさ…!?」
その時、入り口から音が聞こえた。
メイプルと思って振り返った二人に見えたのは、
【集う聖剣】のプレイヤー、ドレッドの姿だった。
「ったく。フレデリカのやつ人使いが荒いな。
…でも、ま、ホントにメイプルもランチも居ないようだな。」
メイプルやランチが居るとオーブ奪取どころか生き残りもままならない。
そんな理由で襲撃を控えていたが、居ないとなれば襲うしかない。
「お嬢ちゃん方。気の毒だが、手加減は無しで行くぜ!!」
ゆっくりと部屋に入ってきたドレッドは、静かに短剣を構える。
「お姉ちゃん!やるよ!!」
「っ!皆に連絡を!!」
対するユイとマイも武器を構え、【ドーピングシード】でSTRを上昇させる。
「【飛撃】!」
「【ダブルスタンプ】!」
「はっ!当たらねぇなぁ」
ユイがスキルで攻撃するが、
ドレッドは身のこなしだけで回避し、
一気に距離を詰めてくる。
「わっ!!」
「お姉ちゃん!大丈夫!?」
「う、うん!何とか!」
「ちっ。もう1回だ。次で仕舞よ」
ドレッドの攻撃を何とか回避するマイ。
サリーと同じ短剣使いのため、慣れていたのが幸いした。
そして、再び迫るドレッドに向かって、
なんとマイは自ら装備していた大槌を投げつける。
「えいっ!!」
「当たらねえ!」
ジャンプで回避するドレッド。
着地後、今度こそはと迫るドレッドに悪寒が走る。
「っ!?なんだ!?」
「【飛撃】!」
「しまっ!?がぁっ!!」
振り向いたドレッドが見たのは、
2つの大槌でスキルを放つユイの姿。
マイが持っていたのはユイの大槌。
投げたのは当てるためではなくユイに渡すため。
ドレッドが想定していなかった範囲のスキルが発動する。
それでも直撃は避けたドレッドだったが、
衝撃波は避けきれず壁に縫い付けられた。
「私達、半人前だから…」
「二人合わせて…」
「「一人前の貴方を倒すよ!!」」
ユイとマイだからこそできる、隠し玉だった。
「ホントえぐい奴ばっかだな…」
「嘘!?死んでない!?」
しかし、ドレッドは死なない。
ユイとマイが放つ攻撃は到底耐え切れない威力だが、
今まで積み上げたスキルがドレッドを守った。
「【神速】!!」
「えっ!?消え!?」
「まずは一人!」
「ああっ!!」
スキルを使ったドレッドが一瞬で接近しマイを切り裂く。
「終わりだ!」
「うあっ!」
そして返す刀でユイを切り裂いた。
二人が耐えきれるはずもなく地に伏せる。
次の瞬間、入り口が爆ぜた。
「ユイちゃん!!マイちゃん!!」
「!?メイプル!おい、恨むぞフレデリカ…!」
そこには、サリーを抱えたメイプルが立っていた。
「メイプルさん!」
「あとは、お願いします…!!」
消えゆく直前のユイ、マイは確かにその姿を見た。
そして、最後を託し、消えていった。
ユイとマイの援護には間に合わなかった。
しかし、二人が稼いだ時間はメイプルへとつながった。
消える二人を見たメイプルは、少しの間目を瞑り、
そしてまっすぐにドレッドを見据えた。
「【身捧ぐ慈愛】!」
「!!範囲防御か!?」
「シロップ、【大自然】!」
「【捕食者】!」
「なんだそりゃ!?ちぃ!!」
見たことのないスキルを一気に連発するメイプル。
シロップにナイフを投げるも戦局は覆せなかった。
「おーけー…。次は皆と来るぜ、アンタらを倒しにな!!」
捨て台詞を残し、ドレッドは捕食された。
「何度来ても、返り討ちです!」
ランチが与えた移動の時間。
ユイとマイが必死に考え稼いだ時間。
メイプルは余すことなく活用しオーブを守った。
【楓の木】の危機はこうして回避された。
「戻ったよー」
襲撃から暫くして、ランチが戻ってくる。
同時に、ユイとマイも復活する。
「ごめんね、間に合わなかった…」
「いいえ、まだ1回死んだだけですし。お役に立てて良かったです!」
「最後、メイプルさんの姿が見えたの、嬉しかったです!」
メイプルとサリーが謝るが、ユイもマイも気にしていなかった。
むしろ役に立ててとても嬉しい二人だった。
「何とかなったんだねー。良かった。ユイちゃん、マイちゃんも頑張ったんだねー」
「「はい!」」
「ありがとー」
二人をなでなでするランチ。
「「えへへ」」
「ご褒美だよー。これ食べてゆっくり休んでねー」
【ポテトチップス】
食べ物。食べると美味しい。
付与効果:STR上昇 10分間 5%
【コーラ】
飲み物。飲むと美味しい。
付与効果:HP上昇 10分間 5%
「ユイちゃんにはこれー」
【ハンバーガー】
食べ物。食べると美味しい。
付与効果:状態異常抵抗アップ 10分間 10%
【コーラ】
飲み物。飲むと美味しい。
付与効果:STR上昇 10分間 5%
二人の好物が入ったおやつを差し出すランチ。
「わあ!!ありがとうございます!」
「いただきます!」
嬉しそうに受け取り、奥へ向かう二人。
見送りながら、メイプルは振り返ってサリーの頬をむにむにする。
「サリー、頑張り過ぎだよ」
「ご、ごめん。なるべく多くの所に行きたくて…」
「次からはちゃんと休憩してからにしてね」
「はい、気を付けます」
色々迷惑をかけたためか殊勝なサリーだった。
そんなサリーの頭をなでなでするランチ。
「そーそー。ちゃんと食べて休まないと倒れちゃうよー。
次やったらちょっとお仕置きしちゃうかもしれないからねー」
「お、お仕置き?ちなみに何を…」
「うーん。昔の私のお話を披露する感じかな。」
「それは…」
サリーが黙る。
物が食べられなかった頃の彼女の話。
勿論、サリーはその頃の彼女も知っている。
しかしそれは表向きの話。
何に苦労して、歯を食いしばっていたのかは分からない。
出来ればそんなことは思い出してほしくなかった。
次は気を付けようと、サリーは決意する。
…が、ランチは言葉を続ける。
「病院で、看護師さんから色々聞かせてもらったんだ。」
「えっ…?」
「深夜のお仕事中のちょっと不思議なお話とか」
「いやぁぁぁ!?」
その言葉に今までの決意はすべて吹き飛んだ。
言葉を濁しているが大体オチは見えてしまっている。
具体的な話を聞く前だが既に恐慌状態のサリー。
「だから気を付けて欲しいな♪」
「はい!!」
笑顔のランチに、直立不動で返事をするサリーだった。
「無事でよかった!」
「ああ。心配したぞ」
「ユイちゃん、マイちゃんが頑張ってくれたのね」
他のメンバーも拠点へ戻ってくる。
1日目の終わり、全メンバーが拠点へと揃った。
ちなみにテーブルの上は、ランチが出した料理で満たされている。
「皆戻ってきた!無事でよかった!」
「よし。早速だけど、カナデ。お願いが」
「うん。なんだろ」
「これを覚えて、皆に伝えて欲しいの」
そして、サリーが出したのはマップだった。
「うわっ!すげぇ!!」
クロムが思わず声を出す。
今回のフィールドの外周すべてでマッピングがされていた。
それはギルドの位置。
サリーが1日目の最初から走りっぱなしで集めた情報だった。
ランチが集めた近場の情報を合わせれば、
ほぼ全域のギルドの位置が判明したことになる。
「了解。覚えたよ。必ず僕が皆に伝えるよ」
「ありがと。メイプル、プランBでお願い」
「分かった!頑張るよ!」
「私は、少し休む…ね…」
「サリー!?」
「限界を超えたのね。奥で休ませてあげましょう」
イベント2日目。
プランB、またの名を「メイプル解放策」が発動されようとしていた。
ということで何とか撃退。
ドレッドさんにリベンジ心を植え付けました。
次回はメイプルが暴れますー。
ランチも頑張りますー。