食べるのが大好きなので、全てをいただきます   作:にゃもー

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お時間また空いてごめんなさいー。

第4回イベントも進みますー。



美咲と覚悟

「ふう。ようやく朝だな」

 

「ああ。夜襲が無いだけで楽なもんだ。また夜は夜襲あるんだろうなぁ。」

 

「あと4日か。頑張ろうぜ」

 

「ええ」

 

朝の薄い日差しの中、わりとのんびりした空気が流れているギルド。

 

「敵襲!!敵は一人だ!」

 

「一人だと舐めやがって…げっ!?」

 

「あれは!!」

 

一人と聞いて気楽に振り返った面々は一様に顔をこわばらせた。

 

黒い鎧。白い翼。金色の輪。

メイプルが静かに歩いてきていた。

 

「め、メイプル…!」

 

「ま、守るぞ!!」

 

「陣形を!魔法撃って!」

 

「おお!!」

 

慌てて陣形を整え、後衛のメンバーがメイプルにスキルを放つ。

 

「【捕食者】!」

 

しかし、意に介さないメイプルは本日から解禁したスキルを発動。

 

「なんだそりゃ!?」

 

「モンスター!?」

 

「ちくしょう、攻撃が効かねぇ!!ぎゃああ!!」

 

ギルドを守るメンバーはなすすべなく食べられていった。

不意に遭遇するモンスターはNWOならよくある話だが、

遭遇したモンスターに攻撃しても1ダメージも与えられないのは違う。

 

ダメージを与えられない見た目も凶悪なモンスター達に襲われたメンバーの心は折れた。

 

「「オーブは貰います!」」

 

そして、残っていたメンバーはユイとマイに全員一撃で粉砕された。

 

「よーし、オーブゲット!次へ行こう!」

 

シロップに乗った3人は次のギルドを目指す。

 

 

 

「狂乱の夜が終わり、悪魔が野へ放たれた…」

 

「何言ってんだ?」

 

「ああ、コレか?」

 

ところ変わって外の世界。

人が増えつつある観戦ルーム。

 

イベント内で5回やられてリタイアした

メンバーも観戦ルームへ来ることになっており、

1日目の激闘によって死亡回数を重ねてしまった

一部のプレイヤーは既にここに送られてきていた。

 

「なんだこの醜悪な化け物は…メイプルちゃんが出してるのか?」

 

「多分。なんかけしかけてるし。」

 

「皆食われてるぞ。絵面がひどすぎる」

 

モニタには先ほどから近くのギルドを襲撃するメイプルの姿が映っていた。

 

「あと、メイプルと一緒にいる小さい子達、あれおかしくないか?」

 

「相手プレイヤー大体一撃だな。攻撃力がおかしい」

 

「そもそも大槌2本持ちの時点でおかしい」

 

「【楓の木】にまともなプレイヤーは居ないのか?」

 

小・中規模ギルドにとってメイプルの襲撃は死と等しい。

周りのギルドを壊滅させ、次々にオーブを取ってくるメイプルだった。

 

「気になったんだが、メイプルちゃん達さ、移動に迷いが無いよな?

 次のギルドに最短距離で向かってる気がする」

 

「1日目にランチちゃんが周りのギルドの位置見つけて教えたからじゃないか?」

 

「そんなことしてたのかよ!」

 

「霧で引っかかるプレイヤーの場所をマッピングしてたように見えた」

 

「何度も霧が出るわりには襲撃もなかったようだし、

 変だと思ってたんだが、そういうことか…。」

 

1日目の夜襲でデス数を使い果たしたプレイヤーが唸る。

実際、ランチが集めたマップに記されたギルドの位置は完全に一致しており、

メイプルは迷うことなく次のギルドへ向かうことができていた。

 

「じゃあ、周囲のギルドはもう襲撃を止められないってことか…」

 

「位置バレてるからな。向かってくるメイプルちゃん達をどうにかするしか」

 

「無理だな」

 

「あとは先に【楓の木】を倒す」

 

「もっと無理だな」

 

「どうあがいても絶望」

 

「オーブ取られた後も厳しいよな。取り返すったって相手アレだからな…」

 

モニタには、数十の攻撃をものともせず【毒竜】を打つメイプルの姿。

一旦全ての攻撃を受けたうえで、【捕食者】で蹂躙するスタイル。

近場のギルド全ての心を折るに十分な内容だった。

 

 

 

「誰も来ないね」

 

「まあ。分からんでもないな…」

 

そんな【楓の木】では防衛メンバーが暇していた。

 

デス数が増えていることもあって

近場のギルドが【楓の木】を襲うことは無かった。

 

また、サリーが持ち帰ったオーブも既にポイントへ変わっており、

防衛メンバーは特にやることが無かった。

 

「よーし、ご飯にしましょう!」

 

「うん、ランチちゃん。既に3回目よ?」

 

メイプルを解放した代わりに、ランチがギルドを守っていた。

そして、ランチとイズは、料理やアイテムを補充していた。

 

1日目に使用した回復アイテムを中心に補充を進める。

ランチは皆の好物を中心に補充していた。

 

そして、オーブ前の広場にはイズが用意した机の上に、

様々な料理が並べられていた。

 

「【付与効果】でパワーアップですよ、パワーアップ!」

 

「まあそれもあるんだけれどね」

 

全ての料理には【付与効果】が付いており、

防衛メンバーは必要に応じて付与効果でステータスをアップさせている。

ここに【ドーピングシード】も加わった状態で戦いに入る。

 

「やることが無いのは確かだな。誰か出てくるか?」

 

「ふむ。なら私が行く。近場の相手を斬り伏せてくるとしよう」

 

「カスミ、これ持っていってー」

 

【どら焼き】

  食べ物。食べると美味しい。

  付与効果:STRアップ 10分間 5%

 

【どら焼き(カスタード)】

  食べ物。食べると美味しい。

  付与効果:VITアップ 10分間 5%

 

【緑茶】

  飲み物。飲むと美味しい。

  付与効果:VITアップ 10分間 5%

 

「ああ。ありがとう。む、カスタードか。」

 

「あ、苦手でした…?」

 

「いや。どら焼きにカスタードというのが、どうもな…粒餡だろう」

 

「あー。分かります。王道だすねー。美味しいです」

 

「うむ。あのしっとりした感じが良いんだ。カスタードは何かふわふわしていて…」

 

「まーまー。カスタードも美味しいよ。ものはお試しでー」

 

「…そうだな。試してみるのも悪くない。ありがたくいただこう」

 

「いってらっしゃーい」

 

おやつをもってカスミは出かけていった。

 

 

 

一方そのころ、メイプル達は順調にギルドを襲撃してまわっていた。

 

「さて、次はどこだっけ?」

 

「次は…【炎帝の国】です!」

 

「おー。ついに。大変そうだなぁ」

 

昨日のギルドでの会話を思い出すメイプル。

 

 

 

「【炎帝の国】は戦うことも辞さないってことか…」

 

「聞いたのが他ならぬシンからだからな。そうとしか思えん」

 

シンと戦ったカスミからもたらされた情報は衝撃的なものだった。

 

「あの、シンさんって…?」

 

NWOまわりの事情にあまり詳しくないユイが訪ねる。

 

「ああ、シンは第1回イベント7位の奴だ。

 崩して分裂させた剣で戦うことから【崩剣】と言われている」

 

「そして、ギルド【炎帝の国】の幹部の一人。だよね」

 

「幹部!?偉い人なんですね…。そのシンさんが言ってたってことは…」

 

「…【炎帝の国】は本気だろうな。」

 

驚きながら話すユイに、カスミが気づかわし気に賛同する。

 

それはランチを思ってのこと。

ランチが【炎帝の国】のミィやミザリーとフレンドなのは知っているからだ。

 

「皆、良いかな?」

 

そんな緊張が漂う空気の中、サリーが皆を見渡して話し出す。

 

「私は、プランBの中で【炎帝の国】に攻め込むべきと思ってる。どうかな?」

 

最後に、サリーはランチをまっすぐ見て肝となることを一気にしゃべる。

 

「私は良いと思う…んだけど…」

 

メイプルも賛同しつつランチを見ながら声が小さくなる。

そして、皆が注目する中、ランチが静かに顔を上げた。

 

「…うん。私も賛成。向こうも本気なんだし、ちゃんとしないとね」

 

「ランチ…。ありがと。うん、やるからには本気でやるよ!メイプル!」

 

「うん!皆も、力貸してね!」

 

「ああ!もちろんだ!」

 

「「はい!」」

 

「問われるまでもない。シンとの決着もあるしな」

 

「僕も微力ながら協力するよ。」

 

「私も頑張るわ」

 

(目標は、ミィとミザリーの武器かな。

 プランBだっけ?の時はお留守番だからまだ無理かなー?

 あ、シンさんはまだ見てないけどどんな武器なんだろ?)

 

最終的なランチの目標にはもちろん誰も気が付いていない。

 

「じゃあ、その時はよろしくね、メイプル!」

 

「もちろんだよ!頑張る!」

 

 

 

「…じゃあ、行こ!」

 

「「はい!」」

 

皆の想いを乗せて、3人を載せたシロップが行く。

 

「亀が!亀が空を飛んできます!」

 

その様子は、【炎帝の国】の守備隊にも届いていた。

 

「亀?…ってことは…」

 

「…来てしまいましたか。」

 

報告を聞いた【炎帝の国】幹部、マルクスとミザリーの顔が曇る。

マルクスはメイプル襲来に怯えてのことだったが、

ミザリーは心の底では【楓の木】と戦いたいとは思っておらず、

戦うこともないかと期待もしていただけに、

亀が迫ってくる光景を何とも言えない思いで見つめていた。

 

(ランチさん、ここでは相対すると決めたようですね。

 それなら、私もいい加減覚悟を決めましょう!)

 

ミィへメッセージを送ると、すぐ返事が来た。

それを見ながらまっすぐ前を見て話す。

 

「行きましょう、マルクス」

 

「分かった…行くよ…。ミィには連絡した?」

 

「はい。すぐ戻るとのことです」

 

「良かった…僕らは時間を稼げばいいんだね」

 

そして亀が消え、メイプル、ユイ、マイの3人が降り立った。

現在10位以内に入るトップギルド同士の戦いが始まろうとしていた。

…お互い必要以上の戦意を携えて。

 




ということで、(必要かはさておき)覚悟の回でしたー。

次回は【楓の木】と【炎帝の国】の激突ですー。
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