食べるのが大好きなので、全てをいただきます   作:にゃもー

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お時間開いてごめんなさいー。

久々のランチさんー。


美咲と動く巨人

 

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「サリー!!」

 

「メイプル!」

 

「ユイちゃんとマイちゃんも居るねー。」

 

森の中、【楓の木】のメンバーのうち、イズ、カナデを除く7人が集まっている。

【炎帝の国】を崩したあと周りのギルドも襲っていたメイプル、ユイ、マイ、

メイプルと別れた後は単独で近くの敵を切り捨てていたカスミ、

同じく近くの敵を倒していたサリー、

サリーの要請で出てきたランチ、クロム。

 

「これはティータイムしかないね!」

 

「うん、ランチ。…まあいっか。情報交換も必要か」

 

一堂に会したメンバーは今まで得た情報を交換する。

無論、即席の木の椅子でのティータイムも欠かさない。

 

「そっか…。やっぱり少なくなってるね、オーブ」

 

「ごめんね、【炎帝の国】のオーブ見つからなくて…」

 

「近くのギルドにも行ってみたんですけど…」

 

「2つしかなかったです…」

 

メイプル達が申し訳なさそうにオーブを出す。

 

「かなりの敵を倒したが、オーブを持っている奴は居なかったな」

 

「拠点には結構敵が来たぜ。オーブを狙いに」

 

「やっぱり少ないから…。うちと知らないところも来てるのかな。大丈夫だった?」

 

「…ああ。」

 

「なんかあった…?」

 

拠点での防衛戦を思い出し、遠い目をして話すクロム。

 

むろん苦戦したという話ではない。

クロムの防御にイズのアイテム、カナデの魔法が加わると、

大抵の相手はなすすべなくやられている。

 

…そして

 

「私は入り口辺りに居て、出てくる人をディナーが食べてた」

 

「…あえて中に入れて、倒して逃げてくる相手に立ちふさがってな…」

 

「うわぁ…」

 

ぼろぼろにやられて心が折れたプレイヤー達は、

誰も居なかったはずの入り口をふさぐ大きな狼に

絶望しながら食べられていった。

 

襲撃者の生存率は今のところ0%である。

 

「あれはもう絶対襲ってこないと思うぞ」

 

「…うん。効果的だと思うんだけど、誰が考えたの」

 

そのエグい作戦?

 

という文字が言外に隠れていた。

 

「ランチの話を聞いたイズが考案してたぞ」

 

「イズさん…」

 

「昨日、戻ってる時に偶然洞窟から出てくる人と会った話だねー」

 

「…よし!とにかくあまり襲撃がなさそうならチャンス!一気に攻めよう!

 拠点の防衛はこのままイズとカナデに任せて、全員で攻めるよ!」

 

「早くも勝負どころか…」

 

「メイプルは、ランチ、カスミ、クロムと一緒にギルドを襲撃!オーブを優先して!」

 

「うん!」

 

「はーい」

 

「心得た」

 

「分かった」

 

「シロップに乗って行こう!お願いシロップ!【巨大化】!」

 

集まった4人はシロップに乗っていく。

 

「ユイ、マイは私と来て!」

 

「「分かりました!」」

 

そしてユイ、マイはサリーと一緒になる。

 

「あ、サリー、おやつだよー。ユイちゃんマイちゃんも!」

 

離れる前にお菓子と飲み物をサリーに渡すランチ。

3人分手渡しておく。

 

【エクレア(カスタード)】

  食べ物。食べると美味しい。

  付与効果:STRアップ 10分間 5%

 

【ミルフィーユ】

  食べ物。食べると美味しい。

  付与効果:STRアップ 10分間 5%

 

【フルーツケーキ】

  食べ物。食べると美味しい。

  付与効果:STRアップ 10分間 5%

 

【レモンティー】

  飲み物。飲むと美味しい。

  付与効果:DEXアップ 10分間 5%

 

【レモンティー】

  飲み物。飲むと美味しい。

  付与効果:STRアップ 10分間 5%

 

【ミルクティー】

  飲み物。飲むと美味しい。

  付与効果:DEXアップ 10分間 5%

 

「良いバフ効果だ(強いなぁ…)。ありがと、ランチ。」

 

「「ありがとうございます!」」

 

「どういたしましてー。あ、バフとかは気にしないで食べたい時や休憩で食べてねー。」

 

「もちろんこっちの皆の分もあるよー」

 

「あ、ああ。休憩の時にいただこうか」

 

「そうだな。」

 

「よーし、おやつも持ったし、行こう!」

 

メイプルがえいえいおーしながら浮き上がっていく。

同時にサリーたちも動き出していく。

時間は2日目の夕方に差し掛かろうとしていた。

 

 

「くっ!攻撃が当たらねぇ!」

 

「ちくしょう!って、ぎゃああ!!?」

 

サリーたちの襲撃を受けたギルドは大混乱に陥っていた。

 

「【ダブルスタンプ】!」

 

「あああああっ!!!」

 

「ぎゃああ!!」

 

混乱したところに届くのは、ユイとマイの致命の一撃である。

 

「アイツらを狙え!やべぇ!がっ?!」

 

そして、ユイとマイを警戒したところにサリーの刃がヌルっと入る。

 

「「オーブは貰います!」」

 

防衛メンバーは半分何が起きたか分からず蹴散らされ、

オーブはサリーたちの手に収まる。

 

「よし、次行こう!動きもよくなってきた!」

 

「はい!」

 

「ありがとうございます!」

 

サリーは、ユイとマイに戦い方を教えながらギルドを襲撃している。

既に夜に差し掛かろうとするフィールド。闇はサリーに味方する。

近くのギルドで音もなく忍び寄って破壊を振りまく襲撃者が相次いだ。

 

 

 

「マジか…」

 

「やるしかないんだよなぁ…」

 

一方そのころ、呆然として空を見上げる、とあるギルドの面々が居た。

そこには巨大な亀が居た。

 

1層や2層で話題になっているその亀に、誰が乗っているかは明白であり、

この後訪れる未来を考えてげんなりする防衛メンバーだった。

 

「め、メイプル、本当にやるのか?」

 

「これはさすがに結構怖いかも…」

 

「いや、普通だからなそれが」

 

「うん!行くよー!!」

 

そして、亀の上では4人がダイブする直前だった。

メイプルの掛け声でみんなが空へと舞う。

 

「【身捧ぐ慈愛】!」

 

「わぁぁぁ…」

 

「め、メイプルは何とも思わないのか!?」

 

「現実では無理だけど…ここでは絶対痛くないから!」

 

「うん、そうなんだけどねー」

 

大きな音を立てて着地する。

 

メイプルは素のVITで、

他のメンバーは【身捧ぐ慈愛】でダメージはない。

(無事な墜落ともいう)

 

「うわぁぁぁ!!降りてきた!」

 

「いや、あれは落ちて来たんだろ!?」

 

「どうでもいい!守るんだ!」

 

第1回イベント10位に入る4人が、光り輝きながら落ちてきた。

相手ギルドにとっては悪夢としか言いようがない状況である。

混乱しながらもなんとか迎撃態勢を整える。

 

「よーし、行くよー!」

 

「ああ!」

 

「おお!」

 

「はーい。ディナー、【覚醒】×2!」

 

クロムとカスミが駆けだし、ディナーも突貫する。

 

「あああ!!」

 

「ぎゃあ!!!」

 

「やめろぉぉ!!あああ!!」

 

「畜生!皆、【防御貫通】だ!」

 

切られたり斬られたり食べられたりしながらも、

何とか反撃を試みるメンバー達。

 

対メイプル用に【防御貫通】が必要なのは

すでに広く知れ渡っていて、このギルドにも

何人かスキルを保持しているメンバーがいた。

 

「うあっ!」

 

「メイプル!」

 

「くっ、なるべく喰らわないようにしねぇと!」

 

「だ、大丈夫。」

 

人数差によってどうしても攻撃を食らってしまい、

そのダメージはメイプルへと還る。

 

やられはしないものの、苦手な痛みが来て戸惑うメイプルの肩に、

ランチが手を載せた。

 

「んー、じゃあメイプル、【比翼連理】!」

 

「えっ?」

 

ランチがスキルを発動すると、

メイプルの左の羽が薄い緑に包まれた。

同時に、ランチの右肩から透明な羽が現れる。

 

「これでHPが増えてるから、痛みも減るんじゃないかな」

 

言っているそばからダメージが来る。

しかし、ランチと共有した後のHPから見れば、

微々たるものであるため痛みもほとんど感じなかった。

 

「っ、ほ、ホントだ。大丈夫!」

 

「うん。じゃあ、あとは皆食べるだけだねー」

 

「うーん、それはどうかな…。でも、ありがとう、ランチ!」

 

「どーいたしまして。…おっと!」

 

二人が会話していると剣が振りかざされる。

反射的に避けたランチは、そのまま相手の剣を掴んだ。

 

「くっ!避けるとは!って、動かせねぇ!?」

 

「味しなさそうだなぁ。【調味料】!醤油味!」

 

「なんだそりゃ!!あああ!!食べるなぁ!!」

 

「大丈夫です!後で戻ってきます!ちょっとだけです!」

 

「そんな問題かよぉ!!!」

 

絶望のまなざしで叫ぶ剣士だが、どうすることもできなかった。

 

「おおお…ホントに武器も食べられるんだね。美味しいの?」

 

「うん!【調味料】で味が変わるから」

 

そして、それを見ていたメイプルがふと考える。

 

「…私も食べられるのかな?」

 

「あー。どうなんだろう。やってみる?」

 

「うん。ごめんね、剣士さん。いただきます」

 

「あー。うん。好きにしてくれ…」

 

諦めた剣士の剣を齧ろうとするメイプル。

とても鈍く硬い音がした。

 

「あううう…。やっぱり無理みたい…。」

 

「残念。他の人は食べられないんだね。じゃ、食べちゃうね」

 

「うん。」

 

「…一思いにやってくれ。ぎゃあああ!!!?」

 

武器を無くし、スキル封印された剣士は、

諦め気味に言った中で後ろからディナーに食べられた。

 

「あ、ディナー。頑張ってるね。よしよし」

 

(わうわう♪)

 

「あとちょっとだからゴー!」

 

(わう!)

 

なでなでされたディナーは上機嫌で獲物を求めていく。

 

暫くすると、相手ギルドの防衛が居なくなった。

クロムとカスミも戻ってくる。

 

「全員倒したようだな。」

 

「ああ。オーブを貰って帰ろう」

 

「よーしディナー。おやつだよー。」

 

【干し()

  食べ物。食べると美味しい。

  付与効果:HP回復 10秒に1回 1% 3分

 

(わふわふ)

 

「じゃ、【休眠】×2!」

 

オーブを奪取した4人はシロップに乗って去った。

後には、遅れてたどり着いた攻撃組が、

オーブもメンバーも居なくなったギルドを呆然と見ていた。

 

 

「おやつだよ~!」

 

シロップの上で和菓子が広がる。

 

【どら焼き】

  食べ物。食べると美味しい。

  付与効果:STRアップ 10分間 5%

 

饅頭(粒あん)

  食べ物。食べると美味しい。

  付与効果:DEXアップ 10分間 5%

 

串団子(みたらし)

  食べ物。食べると美味しい。

  付与効果:VITアップ 10分間 5%

 

【羊羹】

  食べ物。食べると美味しい。

  付与効果:状態異常回復アップ 10分間 15%

 

【緑茶】

  飲み物。飲むと美味しい。

  付与効果:AGIアップ 10分間 5%

  付与効果:状態異常抵抗アップ 10分間 10%

  付与効果:HP回復アップ 10分間 10%

  付与効果:MP回復アップ 10分間 10%

 

「…どら焼きを貰って良いか?」

 

「ああ。じゃあ俺は羊羹を」

 

「私串団子で!」

 

「はーい。お代わりもあるよー」

 

次の目的地まで、おやつを楽しむ4人。

 

「上手くいったな。【防御貫通】が来たときはヒヤっとしたが」

 

「少し喰らってしまった。すまん、メイプル」

 

「大丈夫!ランチも守ってくれたからあんまり痛くなかったし!」

 

「そうか。良かった。…ん?ランチが守る?」

 

「あ、うん。私のスキルをメイプルにかけておいたんだ」

 

改めて【比翼連理】の効果を説明するランチ。

内容を聞くとクロムとカスミが天を仰ぐ。

 

「…いやそれ、どうやって倒すんだ?」

 

「【割合ダメージ】くらいしかないだろう…」

 

「そうだな。しかし、確かサリーが皆に【割合ダメージ】のスキルを教えてなかったか?」

 

「…そうだったな。考えてみると、私もスキルの一覧を覚えている」

 

若干遠い目になる二人。

 

「サリーが避け方とか教えてくれましたねー」

 

「覚えてないスキルなのに、そっくりに技を出せるからね!すごいよサリーは!」

 

メイプルがやや得意そうに言う。

 

ランチの【比翼連理】を受けたメイプルはHPが5桁を超えてしまう。

【防御貫通】をいくら当ててもどうしようもないため、

後は【割合ダメージ】スキルしかない。

 

そしてメイプル自身にも脅威となる【割合ダメージ】のスキルは、

元々サリーも強く警戒していた。

 

メンバー全員にモーションなどを見せて実際に避けたり受けたりさせるなど、

そのスキルだけは食らわないように言い含めていた。

 

これらのスキルはモーションが固定されているため、

事前に警戒されていると当てることは難しい。

 

ランチが加わるとより鉄壁な布陣となる【楓の木】だった。

 

 

おやつも終わってまったりしている中、メイプルがふと気が付いた。

 

「…私何もしてない!?」

 

「【身捧ぐ慈愛】で守ってくれてただろ」

 

「ああ。防御を考えなくて良いのは助かる」

 

「ディナーもいっぱい食べれて嬉しそうだったよー」

 

「うーん。それはそれで大盾って感じがするんだけど…

 次はもうちょっと自分も戦おう!」

 

次のギルドは、毒に沈んだ。

 

 

ところ変わってオーブの前。

4人のメンバーが話をしていた。

 

「…さて、そろそろ頃合いかな」

 

「あーまあ。怠いが、借りは返してもらうかな。」

 

「ふっふっふー。今度はやられないよー」

 

「いよいよか!腕が鳴るぜ!」

 

白と青、騎士の鎧をまとったプレイヤー「ペイン」は、

静かに他の3人へ話しかける。

 

「ああ。今夜。【楓の木】を攻める」

 

残りの3人の顔も獰猛な笑顔に染まる。

3人とも何らかの形で【楓の木】にやられているため、

リベンジとしてはこの上ない機会だった。

 

「具体的にどーするの?」

 

「ああ。あいつら、相手するか?俺ならしないぞ」

 

「そうだな。【楓の木】側は戦いに応じるメリットは薄い」

 

「なら奇襲か?俺たちだけなら結構早くいけると思うが」

 

「それも考えたさ。しかし、せっかくだ。皆で招待しようじゃないか」

 

楽しそうに言うペインに目をむく3人。

それはすなわち、トップギルドたる【集う聖剣】の全戦力を、

【楓の木】にぶつけるということでもあった。

 

10人も居ない小規模ギルドと、

現在NWO最大級のギルドの激突。

 

本来ならば勝負にすらならない戦いだが、

そう簡単に行かないことは皆承知していた。

 

「…まじー?全員で行くの?」

 

「オーブ的には美味しくないぜ。メンバーが納得するかねぇ?」

 

「納得してもらうさ。これからな。」

 

ふっと笑ったペインは、そのままギルドメンバーの居る広間へと降りていく。

 

 

皆!聞いてくれ!

 

ざわついていたギルドが一瞬で静まる。

 

俺たち【集う聖剣】は、今からギルド【楓の木】を攻める!

 

そして再びざわめきが起こる。

 なぜそんなギルドを

 やられたから

 勝負になるのか

 

様々な声を聞いた上でペインは続ける。

 

【楓の木】には借りがある!

 

うちの大事なメンバー、フレデリカ、ドラグ、ドレッドがやられた借りだ!

 

先ほどまでとは比較にならないざわめきが起こる。

やられた3人は全員が全員トッププレイヤー。

各メンバーは倒されたこと自体が信じれられない様子だった。

 

そして!かの【炎帝の国】もまた、【楓の木】に崩された!

 

矢継ぎ早に振り向けられる情報に言葉を失うメンバー達。

そして【楓の木】の脅威が膨らんでいく。

 

ペインは、そのまま声を張り上げる。

滅多にないことだけにメンバーは聞き入っている。

 

今の結果から、我々【集う聖剣】が今回イベント1位になることは

 

揺るぎない!

 

皆の奮闘のおかげだ!ありがとう!

 

大きな拍手が舞う

 

残るは!我々【集う聖剣】が最強になること!

 

俺はそれが見たい!

 

そのために【楓の木】を倒したい!

 

皆、力を貸してほしい!

 

次の瞬間、ギルドが揺れる。

メンバーの声が周りを揺らした。

 

決行は今夜!日が変わると同時、全力で【楓の木】を攻略する!

 

おおおおおお!!!!

 

大興奮の中、静かにペインは中央のオーブの所へ戻る。

そこにギルドマスターを迎える3人の姿があった。

 

「ふぅ」

 

「お疲れー。いやー熱いねー。お姉さん感動しちゃったよー」

 

「あれ言われたらやるしかないよなぁ」

 

「ま、何とかなんじゃね」

 

「何とかするさ。具体的な作戦を説明するよ」

 

そういって話すペインの目には、強い光が宿っている。

最強のプレイヤーが率いる最強のギルドが動き出した。

 

 

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ということで、ペインさん達が動き出しましたー。

ランチさんは相変わらずですが、
秘かに初めてのメイプルとの共同作業ですー。
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