食べるのが大好きなので、全てをいただきます   作:にゃもー

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お時間開いてごめんなさいー。
リアルの方が大変で中々進まなかったですー。

引き続き激闘が続きますー。


美咲と仲間の奮闘

 

「うーん、どうしよう」

 

ランチが周りを見ながらつぶやく。

周囲では【楓の木】のメンバーが必死に【集う聖剣】の猛攻をしのいでいた。

 

 

「ふっ…!」

 

「おっと!ち、やっぱヤバい奴だったか。」

 

「貴方には言われたくないですけどね!」

 

サリーはドレッドと対峙していた。

ドレッドはサリーの攻撃を受け流し、サリーはドレッドの攻撃をかわす。

攻撃を互いに繰り出しているが、今のところ全く当たっていなかった。

 

「ま、アンタ抑えてりゃ後はペインが何とかするだろ」

 

「それはどうですかね!相手は、メイプルだ!」

 

(メイプル!お願い生き残って…!)

 

内心の焦りを隠し、挑発を返すサリー。

目の前の敵も強大なサリーはメイプルの無事を祈りつつ戦いに集中する。

 

 

「おらぁ!」

 

(わう!!)

 

一方、ドラグにはディナーが立ちはだかる。

一撃を貰うディナーだが、【食らいつき】の最中でダメージはなかった。

 

「マジか!危ねぇ!」

 

そのまま突っ込んでくるディナーの【食らいつき】を何とか回避する。

先ほどまでの戦いで、ディナーに食べられたギルドメンバーが

軒並み一撃で葬られていたのを見ていたドラグは、

たとえ自分でも攻撃を食らえば無事では済まないことは理解できていた。

 

(シャレになんねぇな。一応、階層ボスでも俺は一人で倒せるんだが…)

 

ディナーは攻撃手段が【食らいつき】しかない非常に特殊なモンスター。

シロップのような砲撃や拘束スキル、朧のような炎や幻惑スキルなどもない。

ディナーに出来ることは近づいて食らいつくことだけだ。

 

しかしその牙は神すら食らう。

能力もスキルもすべては相手を食らうために存在する。

 

狙われたターゲットが逃げ切るのは不可能に近い。

対応できているだけでもドラグの強さがうかがい知れる。

 

「しゃあねぇ。他はペイン達に任せるか。俺は狼退治だ!」

 

(わおおおおおん!!!!)

 

改めて斧を構えるドラグに、答えるかのように吠えるディナー。

戦いは続いていた。

 

 

「行くぞ、メイプル!」

 

「ペ、ペインさん!!」

 

そして、地上へ落とされたメイプルにはペインが肉薄する。

 

「メイプルちゃん!」

 

「悪いが邪魔はさせない!皆!!」

 

「はっ!【ウィンドカッター】!」

 

「【ディスペルマジック】!」

 

イズとカナデが援護に行こうとするが、

間を【集う聖剣】のメンバーに阻まれる。

 

「【ハヤブサ斬り】!」

 

「【簡易シールド】!くっ、近づけないわ!」

 

「出し惜しみはナシだ!【爆炎】!」

 

「え、炎帝のスキル!?」

 

「うわぁぁ!!」

 

そして、対峙するメンバーもまた精鋭揃い。

カナデは温存していた高位スキルを迷わず解き放つ。

 

【炎帝】ミィの同じスキルが解き放たれ、

【集う聖剣】のメンバーたちが吹き飛ばされる。

しかし、その間を縫うように次のメンバーが入ってくる。

 

「行かせない!」

 

「これじゃあキリが無い!」

 

「クロム達は!?」

 

「あっち!凌ぐのが精いっぱいみたい!」

 

メイプルの援護に行けないことを歯がゆく思いつつも、

目の前の戦いに専念せざるを得ないイズとカナデ。

そして、それはクロム、カスミ、ユイ、マイも同じだった。

 

 

 

「ユイ!マイ!大丈夫か!?」

 

「は、はい!クロムさんのおかげで!」

 

「何とか大丈夫です!」

 

ランチの目の前ではクロム達4人が一丸となって

【集う聖剣】メンバーの攻撃を凌いでいた。

 

カスミが前に出てけん制しつつ、

ユイとマイの攻撃を本命として当てる。

クロムは3人の援護をしていた。

 

即席とは思えない連携だったが、

それでも【集う聖剣】の精鋭相手だと 

押し込まれてしまう。

 

「このままではマズいぞ!」

 

「分かってるんだが、目の前もきつくてな!」

 

ギリギリ耐え忍んでいるが、

1つの選択ミスで瓦解するような状況が続く。

 

「打開できるか!?」

 

「メイプルちゃんかランチちゃんに期待だな!」

 

現状唯一フリーになっているランチを見るクロム。

そこには顔をあげて何かをしようとしている姿が見えた。

 

 

 

「何かできることあるかなー」

 

ディナーを繰り出したランチは、

自分のスキルなどを見直していた。

 

「霧は…出しても防がれちゃったし、

 今出すとサリーたちも見えなくなって危ないかな。」

 

「【封鎖海域】はフレデリカさんのスキルが…あれ?」

 

そして気が付く。【封鎖海域】が使えることに。

 

フレデリカの【封魔陣】はフィールド効果を抑えるスキル。

 

しかし、【封鎖海域】は地形自体を【深海】へ変えるスキル。

そして【深海】そのものが通常の生命を否定する未踏の世界だ。

あらゆる魔を封じる結界も、世界は妨げられなかった。

 

「よし、じゃあこれかなー。」

 

やることを決めたランチは、他のメンバーにメッセージを送る

 

<[ランチ]今から【封鎖海域】使うよー。水の中になるよー。>

 

<[ランチ]みんなが混乱すると思うから、その間に色々よろしくー>

 

激闘中の皆から返事はなかったが、

メッセージは受け取っているように見えた。

それを確認したランチは、満を持して【封鎖海域】を発動する。

 

「行くよー。【封鎖海域】!」

 

次の瞬間、ランチの周囲30mが地形を無視して【深海】へと置き換わる。

 

 

 

「うっそぉ!?それ発動できるのー!?」

 

それに最も驚いたのは、スキルに巻き込まれた【集う聖剣】のメンバーではなく、

離れたところで【封魔陣】を展開するフレデリカだった。

 

「マジかー。でも【封魔陣】も解除できないよねー。メイプルちゃん居るし…」

 

信じられない思いで目の前の水球を見るフレデリカ。

【封魔陣】を使ったのはメイプルの【身捧ぐ慈愛】を封じるためだったが、

同時にランチの【封鎖海域】も封じることが狙いだった。

まさか【封魔陣】を貫通してスキルを発動されるとは思っていなかった。

 

しかし、メイプルの【身捧ぐ慈愛】を封じている以上、【封魔陣】は解除できない。

 

(アレあると貫通攻撃しかできないしねー…)

 

「ペインードレッドードラグーみんなー頑張ってー」

 

フレデリカは、【封魔陣】を維持しつつ、皆を応援するのだった。

 

 

 

「マジか!?水中だと!?」

 

(今だ…!)

 

そして、水中になって最も戦局が変化したのはサリーとドレッドの戦いだった。

 

メッセージであらかじめ知っていたサリーと、何も知らないドレッド。

水中に変化した瞬間、それはドレッド側に隙を生んだ。

 

「【超加速】!」

 

サリーは即座に水中の動きへと変じ、スキルを発動させる。

元々持つ【水泳X】【潜水X】も合わさって、ドレッドの背後へと回り込む。

 

「【ダブルスラッシュ】!」

 

「がっ!?」

 

ドレッドの無防備な背中が切り裂かれ、大量のエフェクトが出る。

 

「【パワースラッシュ】!」

 

「ぐあ!?」

 

畳みかけるような攻撃。ドレッドのHPを一気に削り切る。

 

「くそ!知ってたか!?だが死なねぇぜ!」

 

「生存スキル…!まずい!」

 

しかしドレッドは生きている。ユイとマイの時にも発動させた即死回避スキル。

それは逆に攻撃をしたサリーの隙を生むことにつながった。

 

「お返しだぜ!あばよ!」

 

「くっ!」

 

ドレッドの短剣がサリーを切り裂いた。

サリーは真っ二つになって…水へと溶ける。

 

「なんだと!?」

 

「私のとっておき【蜃気楼】、いかがでした?」

 

そして再びドレッドの背後。

回り込んだ笑顔のサリーから種明かしが告げられる。

 

一閃

 

今度こそドレッドのHPはゼロになった。

 

「あー。はいはいまた負けたよ。だがアンタに負けたわけじゃないからな!」

 

「…ええそうですね。今回はランチのおかげです」

 

「また挑むぜ!」

 

「望むところです!」

 

ドレッドはサリーに再戦を誓い、消えていった。

 

「よし!これで!!」

 

サリーはドレッドが消えたことを確実に見届けた後、

周りを助けるべく動こうとした。

 

「きゃああああああ!!?」

 

「!?メイプルーー!」

 

そこに響き渡る特大の悲鳴。

 

振り返ってサリーが見たのは、

ペインの剣戟を食らってしまったメイプルが、

大量のダメージエフェクトを散らし、

吹き飛ばされている姿だった。

 

蒼い水の中、全員がその声を聞き動き出した。

 




ということで、ランチのスキル発動ですー。
メイプル頑張ったけどペイン相手だと厳しかった。

次回はいよいよ決着ですー(多分)

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