食べるのが大好きなので、全てをいただきます   作:にゃもー

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お時間開いてごめんなさいー。

激闘の後、色々状況が変化しますー。



美咲と次の作戦

 

皆が注目する【集う聖剣】と【楓の木】の全面対決が終わり、

外部でも色々な話が飛び交っていた。

 

<観戦室>

 

「終わったかぁ。凄かったな…」

 

「ああ。多分今回のイベント最大の戦いじゃないか?」

 

「マジ凄かった!」

 

「リアタイで見れたの最高だった!ここにいてよかったぜ」

 

観戦室では、観戦者とリタイヤしたプレイヤーが、

先ほどの戦いについて興奮気味に語り合っていた。

一方、驚愕を顔に浮かべている者たちも居た。

 

「しっかし…ペイン達が負けるとはなぁ…」

 

「ああ。信じられん。【集う聖剣】の全力だったはずなんだが…」

 

「まあ…やっぱメイプルちゃんとランチちゃんだよな」

 

「ランチちゃんはあの水球がヤバいな。あれで形勢逆転しただろ」

 

一様に語られるのはメイプルとランチの異常性だった。

 

「フレデリカのスキルか何かで、メイプルちゃんの天使の翼とかが消えたから、

 さすがにヤバいか?と思ったらでっかい水球だもんな」

 

「さらっとやってるが、フレデリカのスキルも普通じゃない気がする」

 

「ああ。巨大な魔法陣が出てたし、詠唱してたもんな。【多重封魔陣】だっけ?」

 

「詠唱が必要なスキルは初めて聞いた気がする」

 

「そういえば、【炎帝】もメイプルちゃんと戦った時そんなの使ってたな」

 

「どっちもトップランカーのキャスターだし、超高位の魔法スキルってことか…」

 

フレデリカが放った【多重封魔陣】も異常性を際立たせていた。

スキルは基本的にスキル名を放つか特定の動作で発動することが多い。

詠唱などの儀式的な準備が必要なスキルは、一般的には知られていなかった。

 

「そしてそれを普通に破るメイプルちゃんとランチちゃん」

 

「メイプルちゃんが化け物になってペインを食べたのが一番謎だったが…」

 

「あれなぁ。人間やめたよなぁ」

 

「水球から放り出された次の瞬間、目の前にいたプレイヤーが化け物になりました」

 

「意味が分からない。そりゃペインでも対応できないだろ」

 

ペインが食べられたシーンを思い出して嘆息する観戦者たち。

実際、水球が無くなるときのワープ、メイプルの【暴虐】、

どちらか片方であればペインは対応していた可能性はあるが、

立て続けに押し付けられた状態では反応しきれなかったというところがあった。

 

「つか、ツッコミどころが多すぎて、何回か見直さないと理解できん」

 

「それな。常に見どころシーンしかない。あの狼とか」

 

「空から爆撃してたのもあったな」

 

「イベント後のまとめに期待。今はイベント追いかけるだけでいっぱいだ。」

 

モニタへと目を移すプレイヤー達。

そこには激化する戦闘に参加するギルドが多く映っていた。

 

「更に戦闘が激しくなってるな」

 

「もう中規模ギルドもボロボロなところが結構あるぞ」

 

「小規模はほぼ壊滅か。…1か所除いて」

 

「その1か所はどうしてるんだ?」

 

「拠点に戻った後、動きはないみたいだ」

 

「【集う聖剣】も拠点に戻ったみたいだな」

 

「さすがに休憩中か…。あの激闘の後だもんな」

 

「まあ、戦闘は進んでるからな。すぐ出てくるんじゃないか」

 

激闘の中に、【集う聖剣】と【楓の木】のメンバーは居ない。

大方の予想通り、2つのギルドは休憩がてら今後の動きを話していた。

 

 

 

「お夜食だよー!」

 

【集う聖剣】との激闘の傷を癒すべく、拠点に戻った【楓の木】のメンバー。

ランチは早速料理をいっぱい出していた。

 

「うん、ランチ。ご飯食べに戻ってきたんじゃないからね」

 

「まあ良いじゃない。少しは休まないと持たないわ」

 

「まあなぁ。凄い戦いだったからな…」

 

イズのフォローにクロムが思わずつぶやく。

 

「ああ。全員無事なのは奇跡だ」

 

「みんな頑張ってくれたおかげだね」

 

オーブのある部屋のさらに奥、休憩なども出来る部屋に

全員が集まっていた。ご飯を食べながら、サリーが話し出す。

 

「勝ったは勝ったんだけど…。予定は完全に狂っちゃったな」

 

「すべてのスキルを使わされたからな…」

 

「うん。メイプルとランチの切り札は全部バレちゃったと思う」

 

見渡すとギルドメンバーに交じって巨大な化け物も居る。

【暴虐】で変身したメイプルだった。

 

「あ、あの…元に戻らないんですか?」

 

1日1回しか変身できないから、もったいなくって

 

「うーん、お肉とかの方が良い?」

 

ううん。中身は私だし、普通で良いよ!

 

「はーい」

 

料理を口に放り込むメイプル。

 

「そ、それで食べれてるんですか?」

 

美味しいよ!

 

「まだまだあるよー!」

 

見た目は口に放り込んでいるように見えるが、

化け物姿で器用に食べるメイプルだった。

 

「…うん。それで、いい機会だから次のステップに進もうと思う」

 

「次のステップ?」

 

「そう!うちは今10位以内だけど、大規模ギルドには数ではかなわない」

 

「今のままだと、数で逆転されるということか…」

 

「だから、打って出る!メイプルもせっかく【暴虐】状態だしね」

 

「なるほどね。オーブを取られると逆転されるわけだから…」

 

「そもそもオーブを取られなければ良いのね」

 

「うん。主に中規模ギルドを、全滅させる!」

 

「わかった。ただ、少し休んでからの方がいいだろうな」

 

「それもそうですね…。さすがにキツいか」

 

言っているサリー自身も、そう思うくらいには疲労がたまっていた。

 

「よーし!じゃあこのあと1時間くらい休憩してから行かない?」

 

ランチが追加の料理を出しながら提案する。

 

そだね!じゃあ!1時間後に出発で!

 

メイプルの号令で、皆が銘々に休憩を始める。

 

「あ、じゃあ…ディナー!【覚醒】×2!」

 

そんななか、ランチはディナーを呼び出した。

 

「誰か来たら食べてあげてねー」

 

(わおおおお!!)

 

ディナーがオーブの部屋の入り口に陣取った。

休憩中に入ってきた何人かの哀れなプレイヤーが食べられた。

 

 

 

 

一方、【集う聖剣】では体制の立て直しが図られていた。

 

「もおお!!悔しいーーー!!」

 

そんな中、フレデリカが地団太を踏んでいる。

 

「あんな小さいギルドに何度も何度も!

しかも!メイプルとランチのスキル!あれほとんど反則だよー!」

 

「反則じゃないさ。どこかで見つけてきたスキルなんだろう」

 

「まあなぁ。ランチの方はマジで意味が分からねぇが」

 

「…武器は食べるものじゃねえんだよ!」

 

「…思い出させないでよー」

 

思い出したドラグも怒っていた。

更に思い出したフレデリカは悲しんでいた。

 

「にしても、あんま悔しそうじゃねえな」

 

「悔しいは悔しいさ。ただ、借りを返すのは今回じゃなくて良いと思ってる」

 

「だなー。どーせ1位はうちで確定だ。焦ることは無いな」

 

「そ、そーだね!イベントでは勝ってるもん!うんうん!」

 

順位表を見ながら答えるペイン。

直近は対【楓の木】戦にすべてを費やしていて、

オーブの奪取は一時的に止まっていた。

しかしそれでも現在の【集う聖剣】は1位だった。

 

「ペインさん!伝令です!」

 

「…なるほど。分かった。ありがとう」

 

「うん?どした?」

 

「…どうも、面白いことになってるようだ」

 

ペインが顔をあげる。

その先、遠くでいくつかの光が瞬いた。

 

 

 

それはとある中規模ギルドで唐突に始まった。

 

「…すげーペースでギルドつぶれてるぞ」

 

「ヤバいな。中規模ギルドも壊滅してるとこがある」

 

「いつ来てもおかしくないな。」

 

その時、草むらからガサっという音が聞こえた。

 

(…!)

 

(ああ!)

 

お互い無言で頷き、警戒しながら近づく二人のプレイヤー。

草むらに近づいた二人が見たものは大きな黒い口だった。

 

「は!?」

 

「うわあ!?」

 

そしてそれが最後に見た光景となった。

 

行くよー!!

 

見張りを食べた【暴虐】状態のメイプルが号令をかける。

 

「おお!!」

 

「行くぜ!」

 

「皆!一人も逃がしちゃダメ!全員きっちり全滅させるよ!」

 

メイプルの背中から皆が飛び出し、周りのプレイヤーを攻撃する。

 

「行くよーディナー!皆に【食らいつき】!」

 

ランチはディナーに乗りながら近くの相手に突進する。

 

「うわあ!?」

 

周りのプレイヤーを跳ね飛ばしつつ、

ディナーはそのままターゲットに食らいつく。

 

「何が!?ぎゃ!」

 

ターゲットにされたプレイヤーは瞬時に食べられ、

周りのプレイヤーはサリーたちに倒された。

 

「よし!オーブ消えた!次!」

 

そして、最後のプレイヤーを倒すとオーブが台座ごと消滅する。

相手ギルドの全滅を確認したサリーたちは、またメイプルに乗って去っていく。

 

 

 

「次はそこのギルドだけど…相当警戒してるね…」

 

「さすがに真正面からは厳しそうだな」

 

次のギルドは先ほどと異なり、オーブの周りに陣形を組んで守っていた。

人数的には攻めにも人を割いているだろうが、それでも数十人で守っている。

 

どうしよう?行っちゃう?

 

「そうだなぁ…」

 

「んー。じゃあこんなのどうかな?」

 

悩むサリーを見たランチがちょっとした作戦を提案する。

 

「…あー。それは有効そうだなぁ」

 

「よーし、じゃあ行くよー。メイプル、見えなくなるけど言う通り走ってねー」

 

りょうかーい

 

次の瞬間、辺りが白い霧に包まれた。

 

 

「なんだ!?」

 

「白い霧!ランチだ!霧を晴らせ!」

 

「どこかから来るぞ!警戒しろ!」

 

霧に包まれたギルドメンバーが一気に対応を開始する。

かなり練度が高いメンバーばかりで、次々に霧を晴らしてくる。

 

ぎゃああ!!

 

うわあ!

 

「どうした!?何があった!?」

 

そんな中、1つの方向から悲鳴が聞こえてくる。

状況を尋ねるが返事が返ってこない。

 

「ち!何が!?」

 

「霧が晴れるぞ!」

 

そしてそんな中、霧が急激に晴れていく。

 

「よし!周りを確認!…なっ!?」

 

次の瞬間、指揮するプレイヤーが見たのは、

目の前に現れた黒い化け物とプレイヤーだった。

 

いっけぇ!!

 

「おお!」

 

「倒す!」

 

「「行きます!!」」

 

陣形の真っただ中に【暴虐】状態のメイプルが突っ込んでいた。

そして周りを囲むように【楓の木】メンバーが降り立っている。

 

【楓の木】のメンバーたちは、霧が晴れた瞬間、

周りのプレイヤーへ手当たり次第に襲い掛かる。

 

「ぎゃああ!!?」

 

「くそっ!あああ!」

 

「な、何が!?」

 

混乱冷めやらぬ相手ギルドに、奇襲を対応する術はなかった。

陣形を崩されたまま各地で撃破されていく。

 

「よし!全滅確認!次行くよ!」

 

「ああ!」

 

ほどなくギルドは全滅。

オーブの消滅を確認したメイプル達は、次へと向かった。

 

「上手くいったねー」

 

「ああ。…ちょっと可哀想になるが」

 

「霧が出て、晴れたらメイプルがこんにちわだからなぁ」

 

ランチがしたことは、【食神の霧】を出した後、

【暗視】を使ってメイプルを誘導しただけだった。

 

しかし、その結果誰にも気づかれず相手の陣形の

真っただ中にメイプルが出現することとなった。

 

霧自体もきちんと対応しなければいけないので、

この奇襲をまともに対応できるギルドはなかった。

 

次はどこに行けばいいの?

 

「そうだなぁ」

 

そんな時、走っているメイプルのはるか先で、閃光と炎が爆発する。

 

「な、なんですか?」

 

「大規模戦闘が起こっているようだな」

 

「あ!あっちは【炎帝の国】ですよ!」

 

「ということは…メイプル!【炎帝の国】に向かって!」

 

おっけー!

 

メイプルが進路を変更する。

その足はかつて激闘を繰り広げた【炎帝の国】へ向かっていた。

 

 

そしてその一切情けも容赦もない戦いに、

観戦席でも戦慄が広がっていた。

 

「…ああ。相手を全滅させる方向か」

 

「数じゃ勝てないから、逆に大規模ギルドがオーブを取りにくくするか」

 

「確かに有効そうだな。【楓の木】は今の順位が固定されれば10位以内だ」

 

「…多分これ、上位ギルド便乗する気がする。」

 

「ああ。固定されるならその方が楽だ。…ってペイン達だ」

 

暁の中、戦場に白い閃光が伸びる。

ペイン達もスキル全快で戦っていた。

 

「便乗してるなー。これ相当戦闘が激しくなるぞ」

 

「【炎帝の国】も人が集まってるな。常に戦闘してる」

 

「ミザリーが居るとはいえ、あれじゃあ…」

 

「ってか、メイプルも向かってね?」

 

「ああ…。戦場に化け物が征く」

 

「初見対応無理だと思うわ」

 

「ああ。俺も会ったらフリーズする自信はある。特に今回対人戦だしな」

 

明らかに対人戦で迫ってくるべきではないメイプルの姿に、

ため息が出る観戦者たちだった。

 

 

そして【炎帝の国】では、オーブを中心に激しい戦いが繰り広げられていた。

 

「【炎帝】!」

 

「ぎゃあ!!」

 

「あああ!」

 

襲い掛かるプレイヤー達をミィが撃破する。

 

「おおお!」

 

「行くぞ!取り返せ!」

 

次の瞬間、別のプレイヤー達が殺到する。

自分たちのオーブを取り返すために。

 

【炎帝の国】は全方位から襲撃を受けていた。

理由はミィが各方面からオーブを奪取していたからだ。

 

「【楓の木】襲撃で大変な目にあったけど…」

 

「あれからここまで盛り返すのは、さすがミィですね」

 

「その分、凄い数の襲撃だけど…」

 

「ええ。このままだと、さすがに厳しいかもしれませんね…」

 

そんな中、前線で戦うミィに1つの情報が届く。

 

「ええ…嘘でしょ…ナイナイ…」

 

思わず素に戻るほどの内容がそこに記されていた。

 

<メイプルと思われる化け物が接近中>

 

【炎帝の国】の戦いは最終局面を迎えようとしていた。

 




ということで、皆が次に向けて動き出しましたー。

次回は再び【炎帝の国】での戦いですー。
ミィがまた頑張る(適当)。
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