色々構想とか練ってました。
大規模戦場でみんな頑張りますー
「そうですか…メイプルが…」
「俺、カスミにも負けてるんだけどなぁ…」
「とても…つらい…」
メイプル襲撃の報は直ちに【炎帝の国】幹部メンバーに伝えられた。
話を聞いたミザリー、シンがため息をつき、マルクスがへたり込む。
「この数に加えて【楓の木】が来ると…」
凄まじい数の敵に襲われているこの状況。
突出した相手が居ないからこそ持ちこたえられていた。
そこに状況を簡単に壊してきそうな相手の襲来である。
今までの情報を整理したミィは冷静に、しかし大きく叫んだ。
「…どうせ全滅だ!一人でも多く巻き込むぞ!」
「おおお!!!」
「ミィ様ぁ!!!」
ミィの号令とともに、覚悟完了したメンバー達が四方へ散る。
「ほーら。ミィもああ言ってることだしさ」
「分かったよ。行くよ。」
「最後まで頑張りましょう!」
幹部メンバー達もバラバラに陣取り、絶え間なく襲う敵を倒していく。
全員が一騎当千たる力を持っている幹部メンバーによって、
押されているメンバーが一気に盛り返す。
「【炎帝】!!」
中でもミィの炎はすさまじく、一発で襲ってきている敵ギルドのほとんどを
殲滅するほどのものだった。
「えんて…!MP切れか…!」
…しかし限界は訪れる。
「回復アイテムも尽きた。ここまでか…」
ミィは静かに武器を下すと、向かってくる敵を静かに眺めていた。
そしてミィは四方を囲まれる。
囲んだ側のプレイヤー達も、ミィの超火力を警戒してすぐには襲ってこない。
しかし、何もしてこないミィをみて、一人の槍使いが前に出る。
「いくぞ【炎帝】!その命貰ったぁ!!!」
ここで仕留めれば大金星。
かの【炎帝】を倒したという名声を夢見てミィに突進する。
「ぎゃあああ!!?」
「はぁ!?」
…そしてミィへ届く一歩手前で、大きな黒い化け物に踏みつぶされた。
「な、なんだ!?」
「も、モンスターか!?」
唐突に表れた化け物に戸惑う間に、化け物の口へ桃色の光が集まる。
次の瞬間、ミィを除いた全敵プレイヤーへ桃色のレーザーが降り注いだ。
「ぎゃあああ!!」
「ああああ!!!」
そして、ミィだけをのこし化け物は去っていった。
「な…なにアレ…も、もうヤダ…」
「とんでもない化け物でしたね…」
「!?あ、ああ。だ、だが結果的には助けられたようだ」
思わず素に戻りそうになるミィだったが、ミザリーが来て慌てて【炎帝】に戻る。
「【楓の木】が助けてくれたってのか?」
「そんな甘い連中でもないと思うが…。ん?マルクス、横にある荷物はなんだ?」
「え?あ、これか。なんだろこれ」
「さっきまで化け物が居たところに落ちていますね…」
そこには昔ながらの風呂敷が落ちていた。
開けてみると、大量の料理が入っていた。
同時に、ミィへメッセージが届いた。
<[ランチ]おすそわけだよー!頑張ってー!>
「…ランチからのようだな。」
「ランチから?もしかしてこの料理が?」
「なんで料理を…?この前のお詫びとかでしょうか?」
「分からん…。何にせよチャンスだ。この料理を使えばバフとは別に【付与効果】が得られる。
この状態ならまだまだ戦えるはずだ」
「おっけぇ!!」
「やれるだけやるさ!」
「もうひと頑張りですね!」
その後、体勢を立て直した【炎帝の国】は最後のスパートに向けて
全員が全力を振り絞ることになる。
あぶなかったぁ!ミィさん達まで倒しちゃうところだった!
ミィさん達は倒しちゃいけないんだもんね!
「うん。他のギルドをどんどん攻撃して貰わないと!」
一方、敵を一掃した化け物ことメイプルは、
全員を載せて次の大規模戦場へ向かっていた。
そしてランチはメイプルが去った後、
料理アイテムをいくつかミィ達の近くに置いていた。
「ミィ達も元気だったねー。お料理楽しんでくれるかなー」
「うん?ランチ、ミィに料理アイテムあげたの?」
「うん!ミィやミザリーの大好きな料理も入れておいたよー!」
「な ん で 敵 ギ ル ド に あ げ て る の ?」
「いひゃいいひゃい!!」
そしてそのことがバレてサリーにほっぺを上下されていた。
「うう…差し入れだったのに…」
「だ か ら 敵 ギ ル ド な の」
「分かった!ごめん!分かったからにじり寄るのは止めようサリー!
そ、それに他のギルドを攻撃してもらうんなら役に立つと思うよ!」
「まったく…。」
目が座ったサリーが迫ってくるのを見て慌てて弁解するランチだった。
しかし、実際ミィ達に渡した料理は炎強化などの付与効果を持つ
有用なものばかりで、今しがた暴れている【炎帝の国】の大きな助けとなっていた。
「きゃあ!」
「大きな光だね。あれは…」
走っているメイプルの斜め前に、大きな光の柱が伸びる。
巨大な純白の光線を放つプレイヤーに心当たりがあった。
「ペインさんだ!」
「このあたり、凄い戦闘が起きてそう!よし、ここでひと暴れするよ!」
よーし皆いけー!!
「よっしゃ!」
「斬る!」
「「行きます!!」」
「ディナー!【覚醒】×2!食べるよー!」
戦場に【楓の木】が加わる。
地獄が始まった。
「じゃあさっき話してたのやってみるよ!ランチ!お願い!」
「はーい。【食神の霧】!」
辺りが一気に霧へ包まれる。
「ランチか!?」
「あー。手はず通りいくぞー」
「巻き込まれないようにねー」
即座に対応する【集う聖剣】の面々。
そして、他のプレイヤー達も伊達に今まで残ってはいない。
「マジか!散らせ!」
「ダメな奴は近くの奴に寄れ!」
「目の前の奴だけでも把握しとけ!」
混乱しながらも状況を即座に把握、対応していく。
…しかし、【楓の木】の目的は霧自体ではない。
「朧!【影分身】!」
「【ファントムワールド】!」
霧の中でサリーとカナデがスキルを発動する。
霧の中の黒い塊が一気に体積を増す。
「よーし。【食神の霧】解除!」
そして霧が晴れる。そこに居たのは…
「はぁ!!?」
「マジか!」
「いやいやいや!!」
戦場の真っただ中に突然現れた7体の化け物だった。
ごー!
化け物たちは一気に暴れ始める。
「ぎゃああ!!!」
「ああああ!来るなぁ!!」
「地獄だぁ!!」
霧が晴れて突然化け物に囲まれている状況で、
冷静に行動できるプレイヤーはさすがに少なかった。
大暴れする化け物に食われ、一気に数を減らしていく。
「なんだありゃ…」
「ああ…増えるのかアイツ…」
「やっぱ反則だと思うんだよねー」
「…新しいスキルや装備でも、探してみるかな」
【集う聖剣】の面々が黙示録のような光景を見て呟いていた。
7体の化け物が1体に戻るころ、辺りは閑散としていた。
しかし、周りのプレイヤー達は大きすぎる代償を払いながらも、
相手がメイプルと看破し、【貫通攻撃】を主体に攻撃してくる。
【暴虐】も無敵ではない。メイプルは元の姿に戻されていた。
「よし!出てきた!」
「畳みかけろ!落ちてきた時が最後だ!」
「…霧!?」
「ぎゃああ!!?」
ちなみに、落ちてくるメイプルを狙おうとしていたプレイヤー達は、
念のため再度張られたランチの霧で周りが見えなくなる中、
【機械神】から無差別爆撃を行うメイプルによって殲滅されていた。
「よーし、次行くよー!!」
「次はどこだ!?」
「あっち!人が集まってる!」
「皆おやつだよー」
上位の大規模ギルドが他をせん滅しようとして集まった戦場。
それは今までにない規模の戦場を作り出していた。
辺りをせん滅しても、すぐ近くにはまた戦いがあった。
メイプル達はお団子やおせんべいを食べつつ次の戦いへ乱入する。
「め、メイプルだ!!」
「霧が出るぞ!」
「お、おやつ食いながら来やがった!」
片手に武器、もう片手にお菓子をもって【楓の木】が襲ってくる。
油断しているとみたプレイヤー達が殺到する。
「ぎゃああ!!」
「気をつけろ!あの菓子バフ効果があるって聞いたぞ!」
「なんだそのチートおやつは!?」
しかし、むろんそんなことは無い。
【付与効果】を盛りに盛った【楓の木】のメンバーが、
周りのプレイヤーをなぎ倒していく。
「霧はオトリだ!本体狙え!!」
一方、霧がある程度すぐに解除されると読んで、
霧を無視するものも現れた。
良い読みなのだが彼らには誤算があった。
「あ、今回はいっぱい引っかかってる。じゃあ、【食材集合】!」
「ぎゃああ!!!!」
「あああ!!!」
ランチは霧に引っかかった人数で解除するかを決めていたのだった。
今回は多くかかったため、戦場に巨大ランチが現れて混ぜていく。
「ひでぇ!!」
「地獄過ぎる…って、後ろ!」
「は!?あああ!!?」
メイプル達に気を取られていたプレイヤー達が後ろを見て絶望する。
「【炎帝】!!」
「いくぜ!【崩剣】!」
次の瞬間、辺りのプレイヤー達が一瞬で壊滅する。
そこ立っていたのは【炎帝の国】のミィとシンにギルドメンバー達。
「よし!引き続き行くぞ!」
「おおお!!」
「最後までミィ様に着いていきます!!」
大規模襲撃を凌ぎ切った彼女らは、今の順位を固定させようと、
最後の奮闘を重ねていた。
「シン、最後まで頼むぞ」
「ああ!皆に顔向けできるよう頑張るさ!」
既にギルドメンバーの殆どが脱落していた。
マルクスとミザリーでさえも、乱戦の中で5デスに到達し脱落した。
残るメンバーで戦場を駆ける。
しかし、限界は訪れつつあった。
「ミィ様!万歳!」
ギルドメンバーたちが脱落していく。
「…ミィ!後は任せるぜ!!」
「シン!…ありがとう!よくやってくれた!」
そして、常に十人以上を相手に持ちこたえていたシンも、
MP切れによりついに崩れる。
「…MP切れか。私ももうすぐか。」
戦場でただ一人になったミィは、ふっと我に返った。
「…頑張れたかな。多分順位も10位以内だし。うん。」
【炎帝】で周囲を焼き払いながらも、ミィは一人笑った。
巨大ギルドのマスターとして慕ってくれる皆を率いて挑んだ今回の戦い。
メイプル襲撃など色々ある中、皆を鼓舞し結果を残せた。
これなら、近く訪れる最後の時にも、笑っていられそうだとミィは思った。
「…MP切れたか。ここまでかぁ」
そしてついにその時は訪れた。
スキルを放たなくなったミィに対して、
周りのプレイヤーが警戒しつつも襲い掛かってくる。
その光景を見ながら最後にミィはふと思い出した。
「…そういえば、あそこにランチも居るのかな。」
それは、先ほどの大規模防衛戦。
「結局会えなかったけど、頑張って。差し入れ美味しかったよ」
絶体絶命の時にメイプルと思われる化け物に助けられ、
その後置いてあった差し入れのことだった。
差し入れをみんなで食べながら、最後まで頑張ることを決めたのだった。
その最後が訪れた。
「【炎帝】ミィ!その首もらったぁ!」
剣使いのプレイヤーがミィを切り裂こうとし、
「ぎゃああ!!?」
「えっ?」
横から突進してきた何かに吹き飛ばされた。
「ミィ!」
「ランチ!」
ディナーに乗ったランチが全力で駆けてきたのだ。
「【食神の霧】!」
そしてすぐにスキルを発動する。
ミィに向かってきたプレイヤーは全員それどころではなくなった。
そして、ディナーから降りたランチがミィに近づいてくる。
「とりあえずこれあげるねー」
【メロンパン】
食べ物。食べると美味しい。
付与効果:INTアップ 10分間 5%
まずはおやつを渡すランチ。
「あ、美味しそう。差し入れもありがとね。」
「どういたしましてー。」
そしてミィは、ランチが乗ってきたディナーを見て呟く。
「…そっか。ランチにやられるなら、それも良いかな」
「うん?あ、ミィが居そうだったから来てみただけだよ。できれば戦いたくないな」
「そ、そうなの?私も戦う気は無いよ。…もう戦えないしね」
「え?何かあったの?」
「MP切れちゃったから。回復アイテムも尽きたし。ここまでだね」
ミィは晴れやかな顔でそうつぶやいた。やり切った顔だった。
対して、ランチは自分のインベントリからアイテムを取り出す。
「そっか…。じゃあ、これあげるね」
「え…これは…。いいの?私敵ギルドのマスターだよ?」
それはMPポーション。ミィにとって生命線となるアイテムだった。
普通は利敵行為になるが、今の戦場だと状況は異なっていた。
MPさえあれば、ミィは今からでも幾多の敵を葬ることができる。
それは、ギルドを早めに殲滅したい【楓の木】の考えとも一致していた。
「うん。だから他の人にはナイショでー。いっぱい倒して欲しいな」
「…わかった。ありがと。もう少しやってみる」
「うん。頑張って。じゃあ、私も他の皆と合流しなきゃ」
アイテムを渡すと、再びディナーに乗って元の所へ戻ろうとするランチ。
「ランチ!」
「うん?」
「敵同士ではあるけど…会えて嬉しかったよ!」
「うん!私も!またご飯食べようねー!」
笑顔で去っていくランチ。
「ランチ…ありがと。…さて、行こうか!」
ミィは暫しランチを見送った後、【炎帝】にもどった。
「霧が晴れるぞ!」
「【炎帝】はどうなった!?」
「【炎帝】!」
「ぎゃああ!?」
霧が晴れた瞬間、周りのプレイヤーは炎に沈んだ。
その後もミィは一人で各戦場を転々とし、殲滅し続けた。
その凄まじい気迫と戦果は、内外に【炎帝】の神髄を知らしめることとなる。
「毒がぁ!!?」
「げぇっ!ペイン!?ぎゃあ!!」
一方、【楓の木】や【集う聖剣】のメンバーも戦場を駆けまわる。
光、炎、毒、あらゆるものが飛び交う地獄の戦場は、
中・大規模ギルドの大半が潰れるまで続いた。
その様子は、観戦者やスタッフにも伝わっていた。
<観戦室>
「地獄過ぎる…」
「順位を固定させるためなんだろうな…上位ギルド皆乗っかってるぞ」
「あの中に居たら秒で死ぬ自信がある」
「実際、あの場に居る奴らは全員今まで残ってる猛者なんだがな」
「化け物たちが駆逐していってる」
観戦室からは複数の戦場が見えているが、
いずれもトップランカーの誰かが暴れている光景が見えた。
「これでほぼ終わりか…。1位は【集う聖剣】かな」
「他も大体決まったか。ほぼ大規模ギルドだな」
「異彩を放つ小規模ギルドが1つ入っているわけですが」
「【炎帝の国】と【集う聖剣】に勝ったギルドだがな」
「マジで信じられん。全員が全員おかしいぞあそこは」
「まあなぁ。あの大槌使いとかランカー以外も全員異常枠だと思うわ」
ランキング表を見ながら皆が色々と話している。
刻一刻と進む状況に、話題は尽きなかった。
しかし、それもようやく静かさを見せ始める。
「あ、戦いがほとんど起こらなくなったな」
「これで、終わりかな。いや、すげぇ戦いだった!」
「見れてよかった!」
しかし、観戦席ではいつまでもイベントの話が続けられていた。
<スタッフルーム>
「これは終わったかな…」
「ああ。残るギルドは全部10位以内だ」
「これ以上戦う意味は無いか…。あと2日あるんだがな…」
「殺意高いな!?」
スタッフルームでも、終了の雰囲気が出ていた。
「【楓の木】に引っ掻き回された感がある」
「…分かってはいるんだがな。どうしようもない」
「…メイプル、また弱体化考えるか?」
【楓の木】の対応に苦慮するスタッフ達だが、
そこにリーダーの「黒」が静かに告げる。
「いや…。もういいかなと思ってる」
「それは何でです?」
「既にメイプルはNWOの看板プレイヤーの一人だ。」
「確かに…。メイプルを見て参入するプレイヤーも多いようです」
「今さら彼女を弱くしても、だれも幸せにならない」
「となると…。見守る感じですか?」
「ああ。意識しなければ、ただの可愛いプレイヤーだ」
「…ちなみにランチはどうします?」
「…ランチは必要に応じて調整していく」
皆が納得しかけたところで「赤」が確認を取ると、
それまでとは一転して「黒」が告げた。
「アイツが残したものがベースだから今後も何があるか分からん」
「既に手が付けられないレベルですからねぇ…」
「何かスキルを取ったとかあれば教えてくれ」
「分かりました!」
「…さて、後は見どころを編集して動画にまとめるか」
「ほとんど【楓の木】映ってるが…。特にメイプルとランチ」
「抜きで編集は無理」
「分かってる。…あとは、残っているギルドがやっぱ中心になるな」
「あといくつ残ってるんだ?」
「7つだな。【集う聖剣】はほぼ健在。【炎帝の国】も残ってるな」
「【炎帝の国】?大規模襲撃でボロボロにされてなかったか?」
「ああ。見てみたが、既にマスターのミィしか残っていないな」
「【炎帝】か。今何してるんだ?」
「休んでるんじゃないですかね?…えっ?」
興味本位で【炎帝】ミィの様子を見たスタッフが思わず声を出す。
「どうした?」
「【炎帝】が【楓の木】の拠点に入っていきました…」
「は?」
「なんだと?」
再びスタッフルームがざわめき始める。
そんな中、ミィは【楓の木】拠点に通じる洞窟の中を静かに歩いていた。
ということで、大規模戦場が終わりイベント一段落ですー。
ちょっと動いている人も居ますが。
次回はミィが【楓の木】へご訪問ー。