リアルの方がトラブっていて中々進めませんでした。
この後も暫く続くのであまり頻繁には更新できないかもです。
「【放電】!」
「きゃあ!?」
「お姉ちゃん!」
純白の雷撃が少女たち、ユイとマイを襲う。
しかし、顔をゆがめるのは放った側の少女ベルベットだった。
「くっ!これも効かないっすか!?」
「行きます!!」
雷撃を受けたはずのユイとマイは少し慌てたものの、
勢いを止めずに大槌を振り下ろそうとしている。
その威力を受ければどうなるか、今までの戦いでベルベットはよく理解していた。
「まずっ!」
「【星の鎖】」
「えっ?!体が!」
「う、動かない!」
大槌がベルベットに届こうとする前に、ベルベットの横に控えるヒナタがスキルを放つと、
ユイとマイの動きが一気に鈍った。そこを逃すベルベットではない。
「ナイス!今っす!【雷槍】!」
「お姉ちゃん!アレあたっちゃだめ!」
「で、でも!」
きっちり【貫通攻撃】で狙うベルベット。
動きが鈍くなったユイとマイにそれを避ける術はない。
「【カバー】!おいおい、簡単には通さないぜ!」
「「クロムさん!」」
しかし、直前にクロムの大盾が【雷槍】を受け止める。
「良い反応っす!貴方も強いっすね!」
「さあな!俺はただの・・・大盾だよ!」
挑戦的な笑みでクロムを見るベルベット。
しかし内心は焦りもあった。
(マズイっす!私とヒナタがここで足止めされているということは・・・)
「ほーら、いっぱい落とすわよー」
「いくよ!【光砲】!」
「食べちゃうよー!」
「ぎゃあああ!!!」
「うわあああ!!」
視界の端では爆発や閃光や火炎が炸裂するのが見えていた。
それと同時に、ギルドメンバーがどんどんやられていくのが分かる。
thunder stormは強豪だが出来て日が浅い。
それでもここまで生き残れたのはベルベットとヒナタの存在が大きい。
他のギルドメンバーももちろん強力なプレイヤーが多いが、
二人はトッププレイヤーとも互する隔絶した力を持っている。
それゆえ、二人が抑えられる状況では、
他に【楓の木】のメンバーを止められるようなプレイヤーはいなかった。
「ヒナタ!行くっすよ!出し惜しみなしでいくっす!」
「【過剰氷結】」
ベルベットの言葉を聞くや否やのタイミングでヒナタがスキルを放つ。
戦場のすべてを真っ白な霜が覆いだす。
「【コキュートス】」
そして次のスキルを放った瞬間、【楓の木】のメンバーに劇的な変化が訪れる。
「なっ!?」
「う、動けない!?まずい!」
霜に覆われたメンバー達は一気に動きが鈍くなり、
殆ど身動きが取れない状態となった。
「い、今だ!皆貫通攻撃だ!」
「お、おお!!【ディフェンスブレイク】!」
「【アーマーピアッシング】!」
「【炎槍】!」
「きゃあああ!」
身動きが取れなくなったメンバーに貫通攻撃が放たれる。
成す術もなく食らったダメージはメイプルに渡り、ダメージエフェクトを散らせる。
「このままダメージを与え続けるっす!」
「分かりました!」
持てるすべてのスキルを【楓の木】にぶつける。
メイプルからは大量のダメージエフェクトが出ていた。
「・・・なんで死なないっすか!?」
「何か・・・誰かが支援している。・・・えっ?」
しかしメイプルは死なない。
既にHPが多めのプレイヤーでも死にかねないエフェクトが出ているにもかかわらず。
その理由を考えていたヒナタが思わず声をあげる。周りを覆う霜が消えていた。
時は少し戻る。
ヒナタのスキルが発動した時、メイプルは元の姿に戻っていた。
【暴虐】状態では貫通攻撃を避けきれず、
散々暴れはしたが最終的にHPをゼロにされていた。
そして、メイプルの近くにはディナーに乗ったランチが居た。
前回の戦闘から、メイプルとランチは行動を共にしている。
いざというときはランチの【比翼連理】でメイプルを守るためだった。
【比翼連理】でランチのHPをメイプルに分け与える効果は、
メイプルの【身捧ぐ慈愛】との相性があまりに高い。
誰も動けない状態となっても戦線が崩壊しない理由でもあった。
更に1つ決定的なことがあった。
「うーん、動けない・・・。凄いスキルだなぁ」
「そだね。あ、メイプル、なんか食べる?」
「さ、さすがに今は・・・ってランチ動けてない!?」
「え、あ、そだね。動けるや。なんでだろう?」
ヒナタのスキルを受けているにもかかわらず、ランチは動いていた。
まったく状態異常にかかっていない。
一見意味不明の状況だがメイプルにはわかりやすい心当たりがあった。
「そ、その角とか尻尾じゃないかなぁ・・・。」
「あー。そっか。前に取った【魔神】がそうかも。」
そんなランチは頭に漆黒の巻き角を2本生やしていた。
そして、腰のあたりからは漆黒の尾が生えている。
尾の先は♠のような形になっている。
どちらもランチが【魔神】を取得した際に生えてきたもので、
ランチの意思で出し入れ等は出来ない状態だった。
「この氷、何とかなんないかなぁ。むー」
「んー、じゃあ食べてみようか」
「え、なにを?」
「この霜というか氷。メイプル、ちょっとごめんね」
【魔神】の効果でヒナタのスキルを無効化したランチは、
そう言うとメイプルに近づき、その手を取った。
「あむっ」
「ひゃっ!」
そして、その手を甘噛みし、表面に張られた氷をはがすように口で巻き取った。
次の瞬間、辺りの霜と氷が一気に消滅する。
「スキルが・・解除された・・・?皆さん、気を付けて・・・!」
「な、ヒナタのスキルが破られた!?」
「【スキル封印】までされています・・・。ごめんなさい・・・」
【楓の木】を襲っていた行動阻害が消滅した。
いち早く察知したサリーが一気に攻撃を仕掛ける。
「ぎゃああ!!」
「な、なんでこいつらいきなり動けるように!?」
「いまだ!一気に倒せ!」
「行くぞ!」
相手が動けないと思っていたところの奇襲に、メンバーがさらにやられていく。
「くっ!皆が!こ、こうなったら私も行くっす!」
それを見たベルベットは切り札を斬る決断をする。
「【過剰蓄電】!」
「きゃあ!!?」
「おわぁ!?」
ベルベットがスキルを放った次の瞬間、辺りに落雷が降り注ぐ。
そしてベルベットの胸元の黄色い宝石が電撃を放ち、落雷が一気に太さを増す。
それはすでに雷撃ではなくなりつつあった。
ベルベットを中心として、巨大な輝く柱が出現する。
「やべぇぞ!」
クロムが思わず声を出す。ベルベットの最も近くに居たクロムは
柱に飲み込まれており、継続ダメージを受け続けていた。
<[サリー]撤退!ランチ、霧をおねがい!>
「よーし。【食神の霧】!消費HPは20000!」
それを見たサリーから即座に撤退の指示が来る。
メイプルにもダメージが入り続けているのを見ての判断だった。
「霧が!」
ランチが張った霧はthunder stormをすべて覆う。
ベルベットの周囲だけは一瞬で霧が晴らされるが、
そもそも光の柱で見えないので一緒だった。
「よし!全員手はず通りに!」
「シロップ、【巨大化】!」
「爆弾行くわよ!」
「皆早く乗って!」
「【サイコキネシス】!」
【楓の木】のメンバーは素早くメイプルのもとに集まり、
巨大化したシロップへ乗り込む。
「逃がさないっすよ!!」
それをむざむざ逃がすベルベットではない。
雷撃で白い柱となったベルベットなら追いかけるだけで攻撃になる。
しかし、霧に包まれている周囲の姿は分からなかった。
「どこっすか!?ヒナタ、分かるっすか!?」
「すみません、スキル封印されていて・・・」
「申し訳ありません!我々も霧を晴らすのが手いっぱいで!」
「くっ、仕方ないっす」
「霧の対応まで考えての襲撃のようですね・・・」
そして、霧が消えるころ、【楓の木】の姿はなかった。
「・・・逃げられたようっすね」
「はい・・・。私のスキル封印も解除されましたので・・・」
白い柱から、少女へ戻ったベルベットは落ち着かせるようにそういった。
ヒナタも謎のスキル封印から解放された。
「・・・あああ!!何なんすかもおおお!!」
「災難でした・・・」
そして一息ついたベルベットが叫んだ。
ヒナタも思わず座り込む。
「でも、これからも大変かもしれません」
「え、どういうことっすかヒナタ?もしかしてリベンジするっすか?」
「それも・・・良いかもしれませんが・・・」
それも良いと思うベルベットだった。
さすがにここまでやられて黙っていることはできない。
しかし、ヒナタが気にするのは別のことだった。
「この調子で【楓の木】が他のギルドを・・・襲うなら」
「他のギルドもやる気になるかも・・・黙っていても襲われる・・・わけですし」
「・・・・・・マジっすか」
それを聞いたベルベットが思わず唸る。
「仕方ないっす・・・。戦いに備えるっすよ!皆さん!」
「多分まだ襲われることもあります。警戒してください」
そしてthunder stormが戦闘態勢を整える。
全ての戦いが終わって静かになった戦場に、再び火が灯り始めていた。
ということでベルベットさん頑張りました。
次回は別のギルドへお邪魔(襲撃)しますー。