(また色々あって遅れましたー)
ちょっとだけ戦いから離れますー。
「ふう。」
「だれだ!?って、サリーか。」
夜の帳の中、洞窟の前に駆けてきたサリーが、立ち止まって一息つく。
洞窟の前に立っていた人物が警戒しながら声をかける。
しかし、すぐに警戒は解かれた。
「カスミ。警戒お疲れ。行ってきたよ」
「そうか。サリーもお疲れだったな。入って休むといい」
「うん。」
カスミと話をした後、サリーは洞窟へと入っていく。
「あ、サリー。おかえり!」
「ただいま、メイプル。ちゃんと置いてきたよ」
奥の部屋では【楓の木】のメンバーが銘々過ごしていた。
メイプルとランチが声をかける。
「うん。ありがとう、サリー!」
「おやつだよー」
「ありがと。」
【シュークリーム】
食べ物。食べると美味しい。
付与効果:AGIアップ 10分間 5%
サリーもランチからおやつを受け取ると近くに腰を下ろした。
「あとは、明日になるのを待つだけだね!」
「色々襲っちゃったから反撃は警戒する必要あるけどね」
「・・・まあ完全な不意打ちだからな。どこも大混乱だった。
まともに対応してきたのは【ラピッドファイア】くらいか。」
「普通攻めてくるとは思いませんからね・・・」
今日の戦いを思い出すクロムとサリー。
【楓の木】は4日目の朝から残存しているギルドに襲撃をかけていた。
ここまで残っている大規模ギルド相手なので真正面から激突することはせず、
奇襲をかけて一定時間で離脱することを繰り返す。
【ラピッドファイア】との戦闘でスキルなどをかなり使用させられたため、
全てのギルドを回ることはできなかったが、【集う聖剣】以外はすべて奇襲を受けていた。
「皆、ごめんねー。私のワガママに。」
「ううん!皆でやろうって決めたんだから、良いんだよ!」
「ああ、どうせ待っていても暇なだけだし、アリといえはアリだと思う」
申し訳なさそうに言うランチに皆が返していく。
「まあ、さすがに昨日はびっくりしたけどね、色々と・・・」
サリーは襲撃のきっかけとなった昨日の出来事を思い出していた。
「終わったか・・・」
「これで【炎帝の国】は全滅です・・・」
「ミィさん・・・」
【楓の木】拠点から少し離れた丘で、メンバー達は座っているランチを見ていた。
ランチは、先ほど自らの口で最期を迎えさせた、ミィのことを考えていた。
(空の上でみんなの活躍を見ているね・・・。か・・・)
(この後、どうしようかな。戦いは終わっちゃったけど、ミィの言葉には応えたいかな)
(・・・うん。そうだね。もうちょっと、頑張ってみようか!)
そして、ランチは立ち上がり、ギルドメンバーの方へ歩いていく。
「ランチお疲れ!ミィさん凄かったね!」
「ああ。鬼気迫るものだった。さすが【炎帝】だ。」
「ランチ、大丈夫?」
「うん。ありがとー。とりあえず帰ろー」
「うん!」
拠点へと帰る中、ランチはいくつかのことを考えていた。
「メイプル、ちょっといいかな」
「ん?どうしたのランチ?おかわりなら間に合ってるよ!」
「うん。それはいつでも言ってねー。」
拠点へと戻り、皆がランチが用意したおやつを食べながら過ごしている。
そんな中、ランチがメイプルに話しかける。
「えっ!?まだ戦うの?」
「ん?どうしたのメイプル?」
「何かあったの?」
「なんだ?」
思わず声をあげるメイプルに、他のメンバもつられて集まってくる。
「う、うん。ランチが、この後他のギルドのとこへ行くって・・・」
「えっ?」
「どういうことだ?もう戦闘は終わっただろう?」
「うん。そうなんだけど、ミィがね」
そして、ランチはミィとの話をみんなに伝えた。
「もう少し、活躍してみようかなって。
あ、でもみんなに付き合ってもらうのはちょっと申し訳ないし、
私一人で行こうかなーて思っている。どうかな、メイプル?」
ランチはミィとの最後の戦いで、「活躍を見ている」と言われたことを思い出していた。
すでに情勢が決していて戦う意味がないことは、サリーから教えてもらっていた。
だが、ランチは少しだけならミィの言っていたことに答えも良いかなと思っていた。
そもそも何もなければ後2日まったりと過ごすだけだ。
(まだ見てない美味しい武器もあるかも)
ランチならではの理由もあり、本人としては戦うつもりでいた。
もちろん戦う意味がないことは理解していて、ギルドメンバーを巻き込むつもりはない。
たとえやられても影響はないため、一人で行こうとしていたが、
ギルドマスターでもあるメイプルには話をしようとしていたのだ。
「ランチ・・・。分かったよ。けど、今の話だと許可できない!」
「メイプル?だめかな?」
許可してもらえると思っていたランチは意外そうに話しかける。
そんなランチにメイプルは笑顔で返した。
「うん!行くなら、私も行くから!」
「メイプル!?」
「ランチ一人を行かせられないから!それに、よく考えたらまだ対戦していないギルドもあるんだよね。」
「うん。今生き残っているギルド5つのうち、ちゃんと戦ったのは【集う聖剣】だけだね。」
カナデがギルド一覧を見ながら答える。
今回生き残ったのは6ギルドで、【楓の木】以外はすべて大規模ギルドだった。
大規模ギルドゆえにメンバーも多く、個別の戦いは何度も発生していると思われるが、
ギルド自体との戦いは一度もないところばかりだった。
「それなら、一回戦ってみるのもありかなーとか」
「・・・確かにこのあと2日どうするのか。とは思ったが」
「まあ、何もやることが無いからなぁ・・・。」
「アイテムとお金は余裕があるわよ。ランチちゃんのおかげね」
「僕もかなり減ったけど魔導書は残ってる。」
「「私たちも大丈夫です!」」
「まあ。私も回復したし、行くことはできるけど・・・」
皆の方向が傾いていく中、サリーはメイプルとランチに向き直る。
「メイプル、ランチ、いいの?この後の戦いは本当にどうなるか分からない。
相手も今まで生き残ってたトップギルドばっかりだ。」
そこまで言うとサリーは真剣な目で二人を見た。
「・・・もしかしたら、またメンバーがやられちゃうかもしれない。
それどころか一度もやられていないメイプルやランチまで・・・」
「それでも、行くの?」
「うん。私は、やられていないことはこだわってないよー。食べられればー」
「それに大丈夫!私達なら!今度こそ皆を守るよ!」
「・・・わかった。確かに、他のギルドを見れる貴重な機会だしね。私も行く!」
「「私たちも!頑張ります!」」
「まあ、やることがないよりは、良いか?」
「わりと面白そうではあるか」
「分かったわ。私も大丈夫よ。ただ、もう少し休んでからにしないかしら?準備もあるわ」
「そうだね。僕ももう少し魔導書庫を増やしたい。」
「分かった。じゃあ、今日の朝からでどうかな?」
「じゃあ、それで!本日の朝から他のギルドへ遊びに行きます!」
今までの話をまとめて、メイプルが号令を出す。
各ギルドを混沌に陥れる大襲撃が決まった瞬間だった。
「はーい。皆、ありがとうー」
「遊びに・・・。相手から見るとちょっと違いそうだが」
「だいぶ違うな」
「よーし、それなら頑張らないと!サリー、またよろしくね!」
「うん。もちろん!どこから攻めるとか考えておくから」
「サリーありがと。私も頑張って食べるよー」
【楓の木】のメンバーは朝まで休憩した後、戦いに赴いた。
そして今に至る。
4日目の深夜、5日目にかかろうとしていた。
「さて、そろそろ他のギルドに伝わったころかな」
「はい。周囲を探索すればわかるところに置いておきましたから」
「どうなることやら・・・」
昼間にさんざん襲撃をかけた【楓の木】によって、
各ギルドは厳戒態勢を敷いていた。
その中をすり抜けて、サリーは各ギルドに接近し、ある土産を置いていた。
「すべては、明日の朝か・・・。」
「さすがに今までのようにはいかないだろうな」
「ああ、集まったところは全力の大勢だ。しかも複数だからな」
土産は特に罠などがあるわけではない。
しかし、受け取った各ギルドを大騒ぎに巻き込んでいた。
「マジか・・・」
「あー。そう来たか。」
手紙を受け取った【掲示板の民】のメンバーは、
今後の動きについて話を重ねていた。
「まったく、いつも私たちの予想の斜め上を行ってくれますね」
「お前の言ってたことは合ってたってことか」
「そうですね・・・。この手紙を見る限りでは」
「さて・・・どう思う?」
とある剣使いが皆に尋ねる。
それは受け取った手紙に対するリアクションのことだった。
「そうだな・・・。まあ、乗るんでアリじゃないか?」
「お祭りには参加せざるを得んだろう」
「賛成」
彼らの決定はそのままギルドに伝播していく。
何だかんだで実力者となっていた彼らの言葉は大きかった。
「あー。そうくるんすか」
「手紙に書かれていたのは以上です・・・。」
【thunder storm】も届いていた手紙を受け取っていた。
「どうしますか?」
「・・・やるしかないっす!あれだけやられたっすから!それに・・・」
ギルドマスターのベルベットが抑えられないように叫んだ。
「あったら、面白そうとは思ってたっすから!やるなら乗るしかないっす!」
「分かりました。確かに、こんな機会はないかもしれません」
「皆さん!全力で行くっすよ!」
ギルドメンバーが大声で応じる。時間は刻一刻と過ぎていた。
「やれやれ。そうきたか」
「なかなか振り回してくれるものです」
【ラピッドファイア】では既に準備が進んでいた。
「どうしますか?今から出ることもできますが?」
「はは、ウィル、分かっているだろう?」
「ええ。そうですね。野暮というものです」
「ああ。乗ろうじゃないか、お誘いに。」
「やるからには、楽しみましょう」
二人が準備を進める横には、手紙が置いてあった。
「まじか、まだやるのかよ・・・」
「やる気満々だな。」
【集う聖剣】では、【楓の木】襲撃の報が伝えられ
騒ぎが大きくなる中、ドレッドとドラグが呆れながら話をしていた。
「えー。そうきたー?」
「ああ。どうやら本気らしい。」
「どうする?ペイン?」
「お誘いには乗ろうじゃないか。借りもあるしね」
「借りを返すのは今じゃないんじゃないのか?」
「返せるなら、早めに返したほうが良いだろう?」
「一理ある。」
「わかったー。がんばるー」
「すげぇ戦いになりそうだな!」
「ああ。ただ、今回の戦いは必須ではない。皆に無理強いは出来ないな」
そう言うと、ペインは声を張り上げる。
明日の正午!草原で最後の戦いがある!
だが、我々のギルドが1位なのは確定している!戦いは必須ではない!
恐らく全ギルドが集結する戦いだ!
それでもかまわないというものだけ!ついてきてくれ!
それを聞いたメンバたちから凄まじい歓声が響くのを聞くペイン。
その手に握られていた手紙には、こんな文字が躍っていた。
この手紙はすべてのギルドに送られています。
得るものはなく、起こるのは単なる戦いです。
それでも良い人たちだけ、来てください。
ということで、ランチさん頑張ってます。
次回はお祭りですー。