「ん、丁度時間も夜だね!…森の中だからちょっと怖いけど…行ってみよう!」
周りはすでに暗くなっていた。
薄暗い森の中、そびえ立つ塔へ入っていく。
月明りだけが入る塔の中には、石の階段があり、塔の上部へ延びていた。
どんどん上がっていくランチ。暫く上がると階段は外に続いていた。
「おおーっ!すごいきれい!」
「それに、葉っぱの階段なんて面白ーい」
森、草原、湖、見渡す方向でいろいろな景色が目に飛び込んでくる。
それらはすべて月明りに照らされて、幻想的な光景を醸し出していた。
そして、外に伸びる階段は、丸太に緑の葉っぱを渡して作られていた。
空に浮いた岩を葉っぱの階段がつないでいる。
「さて、そろそろなのかな?」
階段を上っていくと、やがて頂上へたどり着いた。
「あ、これだ!前になんか話が出てたやつ!」
頂上には、木のテーブルと、切り株が2つ置いてある。
テーブルの上には、食器やナプキン、そして火のついていないローソクがあった。
「なんか、面白いものが食べられるとか!楽しみっ!」
今日の目的はこれだった。
街の情報で南の森の中にレストランがあることを聞いたランチは、
すぐに行ってみようと思い立ち、そのまま南の森へ向かったのだった。
「とりあえず、座ってみよっと。…わわっ!すごい!」
椅子のうちの1つに座る。
次の瞬間、ローソクに灯りがともり、周りを星のような光が包む。
そして、グラスとお皿に料理が盛られていった。
「おおー、夜空が飲み物になってる!」
グラスには夜空が積もっていた。空と同じく星がきらめている。
「こっちは、灯りが食べ物になってる!」
お皿には、ローソクの灯りと夜空から届いた、
輝く色とりどりのボールが乗っていた。
本日のメニュー
【小さな大空・完成】
どうぞお召し上がりください。
「どちらも凄い面白い!来てよかった!」
「それじゃあ、いただきまーす」
…通常のイベントだと【完成】の文字はつかないのだが、
早速食べようとしているランチは知る由もなかった。
「あむっ。んー、なんか不思議な味。でも悪くないねっ!」
「飲み物は…なんかパチパチする不思議な味。これもおいしい!」
楽しく味わいながら食べていく。
「ごちそうさまでした! ん?」
食べ終わったランチの手元に、手紙が降ってくる。
【おかげさまで今回は成功しました。ご賞味ありがとうございました】
「えっ、失敗することもあるんだ…。ちょっとびっくり」
ちなみに成功する確率のほうがはるかに低いのだが、
失敗したところを見ていないランチにはわからなかった。
【スキル 調味料 を取得しました】
手紙を読み終わってしばらくすると、スキル取得音が聞こえた。
「あれ、スキルが取れちゃった。何か気になるスキル名だねっ」
早速スキルの内容を確認する。
【調味料(ちょうみりょう)】
白い粉を両手に生成する。粉をかけた対象の味・食感を、
プレイヤーの指定したものに変更する。
味・食感は、プレイヤーが食べたことがある食材・料理に限られる。
消費
MP(5/回)
取得条件
暴食を取得した状態で、星空のレストランで成功した料理を食べる。
「おおっ!これで味がないものとか、苦くて食べられないものとかも美味しく食べられる!」
戦闘には全く役に立たないスキルだが、ランチ的には大満足だった。
すると、もう1枚手紙が舞い降りてきた。
【食べるのが大好きなあなたへ。プレゼントをお受け取りください】
「プレゼント?って、なんかテーブルの下が光ってる?」
手紙を読むと同時に、木のテーブルの下から光が漏れていた。
近づいてテーブルをどけようとすると、テーブルが上にスライドした。
「これってスライド式だったんだ。あ、下に行けそうな道がある」
スライドしてできた空間には、下に進む階段が見えている。
丁度、テーブルの母体となる木の幹の中に入っていく格好だ。
「これは行ってみるしかないよね!」
早速階段を下っていくランチ。
一方そのころ、とある場所で悲鳴が上がっていた。
<スタッフルーム>
「あああああああああ!」
「うわぁっ!今度は何だよ!」
再び「赤」が叫びだした。
何か嫌な予感がした周りのメンバーが集まってくる。
「木のレストランで成功が出た!」
「お、あたり引いた奴が出たのか。ラッキーだな。」
「まあ手に入るスキルも戦闘には役に立たないし、単にラッキーだな」
イベント内容を思い出してほっこりするスタッフ。
「で、なんで叫んだんだ?珍しいが変なイベントでもないだろ?」
「そうだな、アイツが作ったにしては………もしかして」
イベントを作った相手を思い浮かべながら、嫌な予感が確信に変わっていく。
「成功を引いたのは、例の【暴食】とった子だ。木の幹の中に入っていった」
「は?」
「は?」
他のスタッフが、ぽかーんとする。
木の上にはレストランがあるが、木の幹の中には何もない。
スタッフの共通見解…というか、最初から想定すらしていない。
しかし、今改めて見ると中に部屋があった。
「いやいやいやいや、いつできたんだよ!?」
「…多分、イベント発生をトリガーにして生成されていると思う」
「マジか…」
「いったい何のイベント仕込んでるんだ…?」
入っていたプレイヤー、ランチをモニタリングし始めるスタッフ。
そこにはヨクワカラナイ光景が広がっていた。
ということで、レストランのイベントでした。
ランチさん的にはこのイベントは外せません。
次回はオリジナルイベントへ挑みますー。