食べるのが大好きなので、全てをいただきます   作:にゃもー

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とてもお時間開いてごめんなさいー。

いよいよ大パーティですー。


食べるの大好きです!

<スタッフルーム>

 

宇宙空間のようなスペースにマスコット姿のアバターたちが動き回っていた。

 

「さーて、イベントの後処理も終わったし、一段落かな」

 

「そうだな。色々あり過ぎたが何とか終わったな。」

 

NewWorldOnlineのスタッフたる彼らは、大きなイベントを終えて一安心していた。

 

「あー、そいえば来期からだれか新人が来るとか」

 

「ほー?どんな奴なんだろ。楽しい奴だといいな」

 

「ああ。次は4層もあるし人が増えるのは助かる。・・・もっと居てもいいよ?」

 

「それは知らん。ま、暫く何も起らんだろうし、今のうちに準備するか」

 

今までで一番大きな規模、かつ【楓の木】が大暴れしたおかげで、

内外共に大注目されたイベントとなったが、終わってしまえば過去イベント。

次のコンテンツやイベントに向けて作業を続けるスタッフ達だが、

うち一人が何かを見つける。

 

「・・・なんか人集まってるが?」

 

「なぬ?」

 

「なんだ?」

 

見てみると、ちょうど【炎帝の国】がある草原の近くに人がどんどん集まっている。

そして集まっているメンバーにはある特徴があった。

 

「近くの【炎帝の国】が集まってるのか?ギルドのイベントか?」

 

「…いや、【集う聖剣】のメンバーも居る。何か器具を準備してるな。」

 

【炎帝の国】が広大な草原に大量の台を設置していっていた。

【集う聖剣】は四角い透明な箱を台の横へ置き、そこに黒い塊を入れていた。

 

「他は…【thunder storm】と【ラピッドファイア】か?」

 

「おそらく他のギルドも居るぞ。多分あれは【掲示板の民】か。あとは【おさんぽ隊】?」

 

「…イベントの生き残りギルドが集まってきてる?」

 

その特徴に気づいたメンバー達がざわつき始める。

このメンバーが集まって発生したこと、それはイベント最後の大騒ぎ、

1000人単位でのバトルロイヤルだったからだ。

 

「まてまて。またやる気か?」

 

「いや、なんか戦う感じではなさそうだな。いったい何だ?」

 

「ん?なんか食器が並べられてないか…?」

 

「そうだな…。皿にコップにナイフ・フォーク…。何だ?」

 

「…あの黒い奴、もしかして炭じゃないか?」

 

「そういえばそんなアイテムあったな。焚火に使う用に用意した奴か」

 

「…まさか」

 

そう言っている中、一通りの機材が並び終わる。

次の瞬間、【炎帝】ミィのスキルによりすべての黒い塊こと木炭に

一斉に炎が灯される。

 

「うわ!?」

 

「…一気に火が付いた。…そんな用途じゃないっての!」

 

「あ、ランチが台の上に色々置いていってます。…あれは第3回イベントの肉アイテムじゃないか?」

 

「他に野菜とかいっぱい。…明らかに焼き肉の材料なんですがそれは」

 

「…まさかあの規模でバーベキューとかやろうとしてるか…?」

 

そしてランチが配り終えた次の瞬間、ボンッという音共に台の上で煙が出た。

煙が晴れた後、全ての台は大量の肉で溢れていた。

 

「今度は肉が!すごい量だぞ!?」

 

「あー、あの肉アイテムを最大量で出したのか…。確か数人分出せたもんな…」

 

「これ、大丈夫ですかね…?」

 

「まあ、他に居る奴らが集まってるだけだから負荷とかは大丈夫だろうが…」

 

「広いフィールドなので問題はなさそうです!」

 

「言うまでもないが全員注目だ!色々注視しておいてくれ!」

 

「はい!」

 

そしてスタッフ達が見守る中、大パーティが開催されようとしていた。

 

 

 

「爽快だな」

 

「うん、凄いね。1000人じゃ効かないよ」

 

カスミとカナデが草原を見渡しながらつぶやいている。

普段はだだっ広い草原だが、今だけは様々なものでひしめき合っていた。

 

「よーし、これで最後かな。」

 

「ランチー。飲み物もオッケー!」

 

「はーい、ありがとメイプルー」

 

「ランチ、他もオッケーっぽい。メイプル、そろそろよろしく」

 

「うん。行くよー!」

 

中央には【楓の木】が陣取っており、野菜や他の料理、飲み物などが

どの方向からも取れるようにドーナツ状で配置されていた。

そして、準備を終えたメンバー達が中央に集まっていく。

 

 

「いや、凄いっすね!」

 

「はい。ここまで本格的だとは・・・。この規模は現実だと難しいかもしれません」

 

「楽しみっす!」

 

そして囲むように何百ものテーブルが置かれ、

6つのギルドがギルドごとにテーブルを囲んでいた。

台上には肉がこれでもかと乗せられている。

 

「始めたばかりなのにホントに退屈しないね」

 

「ええ。今日は楽しんでいきましょう」

 

料理や飲み物などもいきわたり、準備万端といった様子だ。

 

「いやー。ホントにやるんだねー」

 

「話聞いた時は、マジか!?と思ったが…」

 

「さすが【楓の木】といったところか」

 

「ま、いいんじゃねぇの?美味そうだし」

 

各ギルドも準備を終え、開始を待つばかり。

 

「ミィ、準備が整ったみたいです」

 

「ああ。皆もご苦労だった。」

 

「とんでもないね・・・逆の端なんて小さくて見えないよ・・・」

 

「でかい祭りになりそうだ!」

 

そんなギルド達が見守る中、中央から大きな音が聞こえる。

全員が見上げる中、メイプルが打ち上げた砲撃が空中で大きな花火となった。

 

同時に、全員の目の前にモニターが表示され、パティシエ姿のランチが映し出される。

 

≪みなさーん!こんにちはー!【楓の木】のランチですー≫

 

≪今日はお集りありがとー!皆でいっぱい食べましょー!≫

 

≪乾杯ー!≫

 

ジュースの入ったグラスを掲げるランチに、全員が続いた。

 

「早っ!」

 

「まあ、ランチらしい気も。」

 

「よっしゃ!食べるぜ!」

 

「色々話も出来ればいいですね」

 

「リアルオフも大事だよな!」

 

そして、大規模焼肉パーティが開始された。

 

 

 

 

「美味しいーー!」

 

「うん!美味しいね!」

 

「ホント美味しいよね。…色々ツッコミどころはあるけど」

 

ランチとメイプル、そしてサリーが舌鼓を打つ。

お皿には各々が最適な状態に焼いた、

分厚い牛カルビと牛ロースステーキが並ぶ。

 

「無茶苦茶だよね。便利だけど」

 

「まあ、美味しいから良いわぁ」

 

「「美味しいです!!」」

 

ステータス画面を見ながらカナデがつぶやいていた。

ステータス画面で焼き加減がリアルタイムに見られる。

という、謎のサポートシステムのおかげで誰でも好きな焼き加減にできる。

また、キャンセルすることで焼き加減が戻ったりもした。

 

「相変わらず良い味だ。」

 

「ホントな。これ慣れると逆にヤバそうだよなぁ」

 

「下手な高級店より上だと思うぞ。正直信じられんレベルだ」

 

「まあ、食うが。他の食材も美味いんだよなぁこれが」

 

野菜などの他の食べ物、飲み物は【楓の木】を中心に各ギルドが用意した。

中でもランチの料理は方々に配られ、その美味しさと能力が話題になっていた。

 

「美味しいっす!」

 

「はい。とても。…何か強化されていますが」

 

「確かにバフかかってるっすね。」

 

「このバフ…普通のバフと違う枠ですね。こんなものがあるなんて…」

 

「【楓の木】は凄いっすね。次こそ負けないっすよ!」

 

「はい。勿論です」

 

【thunder storm】のベルベットとヒナタ、

 

「いや、良い味だね。肉の方はちょっと驚くレベルだ」

 

「はい。正直お目にかかることはめったにないものかと。」

 

「…で、【付与効果】か」

 

「しかも複数、あまり見ないものまでありますね。ランチさんも要警戒です」

 

「いうまでもなく。まあ、次は負けないようにするさ」

 

「ええ。次こそは」

 

【ラピッドファイア】のウィルバートとリリーもまたその一人だった。

 

 

 

「よーし、次は一旦ご飯かなー。」

 

そんなランチはお肉を食べまくった後、炒飯に手を出していた。

こちらは秘かに【楓の木】にしか置いていない、イズ謹製のものだった。

 

「私は飲み物を取ってくるね。」

 

「はーい。んぐんぐ。美味しい♪」

 

「あー、食べてるねー。まったく、あれだけ食べてまだ飽きないのー?」

 

「んむ?」

 

メイプルが飲み物を取りに行っている間に、フレデリカがやってきた。

 

「あ、フレデリカさん。その節はありがとうございましたー。美味しかったです!」

 

「…うん。まったく嬉しくないけどありがと。」

 

野菜中心に食べるフレデリカが思わず声をあげた。

 

「あー。今回は【楓の木】にやられたなー。サリーちゃんも倒せなかったし」

 

「ダメですよー。サリーはメイプルと私が守ってますから」

 

「ホントにねー。正直、普段は守る必要もなくない?めちゃめちゃ避けるし」

 

「はい!サリーは昔っから凄いんですよー。どんなゲームも上手なんです」

 

嬉しそうに話すランチ。サリーの凄さは知っているつもりだが、

やはり他の人に手放しで褒められると嬉しいものがあった。

 

「だからこそチャンスだったんだけどなー。普段は何も寄せ付けなさそうだし…」

 

「そうでもないですよー。サリーは普段から優しいし、実は可愛いんですよー」

 

「えー。どう見てもクールな感じなんだけど―。追い詰めてもそうだったし」

 

「そんなことないです!ほら!」

 

ちょっと興奮したランチが1枚の写真をフレデリカに見せた。

そこには、ツインテールに白いブラウス、フリフリのスカートを着て

少し恥ずかしそうにしているサリーが映っていた。

 

「あらー。これはこれは。可愛いねー」

 

「でしょー?」

 

「サリーちゃんもこんな格好するんだねー。意外ー」

 

「可愛いんですよー。モジモジしてるとこもまた可愛いんだー」

 

「あ、フレデリカさんだ。…って、あれ?それって前に3層の街に行った時の?」

 

戻ってきたメイプルがその写真を見て気が付く。

第四回イベント直後に3人で街へ遊びに行った時、

服飾関連の店で3人が色々試した時のものだった。

 

「そーだよー。サリー可愛いよねー」

 

「うん!可愛かった!でもよく撮ってたね。恥ずかしがってすぐ変えちゃったのに」

 

「………………………」

 

そんな3人の脇に音もなく何かが滑り込んでいたが誰も気づかなかった。

 

「可愛かったからねー。あんまりこういうカッコしてくれないし」

 

「だねー。…あれ、でもそれってサリー知っ…」

 

「………………………………………………」

 

そこまで言ったメイプルの言葉が途切れる。

ランチが見ると若干怯えた顔で少し後ずさろうとしていた。

 

「どうしたのメイプりゅ!?いひゃいいひゃい!!」

 

「んー?って、うわっ!サリーちゃん!」

 

「なんで撮ってるのかな?な ん で 撮 っ て る の か な!?」

 

音も気配もなくランチの背後に忍び寄ったサリーが、

ランチのほっぺを静かに掴んで激しく上下していた。

 

「いひゃいいひゃい!いひゃいーーー!!ひゃめてへーーー」

 

「け  し  な  さ  い」

 

「ひゃいーーー」

 

ほっぺ上下はランチが写真を消すまで続いた。

 

「…で、フレデリカさんは何か見たかしら?」

 

「見てないでありまーす!」

 

振り返った般若のサリーを見たフレデリカは脱兎のごとく逃げていった。

 

「うう…可愛かったの…いやうん。何でもないよ?」

 

一瞬で目の前に迫ったサリーを前に大人しくなるランチ。

ほっぺはヒリヒリしていた。

 

「…よろしい。まったく、油断も隙も無いんだから」

 

「サリー可愛かったよ!またやろうね!」

 

「う、…まあその場だけなら。その場!だけならね!」

 

「うん。分かった。分かったからにじり寄るのは止めようサリー」

 

再度目の前に迫ったサリーに宣言するランチだった。

ちなみに他の秘蔵写真がバレるのはまた後の話である。

 

 

「ランチ!」

 

「あ、ミィ!」

 

そんなことをしていると、【炎帝の国】のミィがやってきた。

手にはお肉が乗った皿とジュースが収まっている。

 

「お誘いありがとうね。美味しいよ。」

 

「うん、楽しんでくれると嬉しいな。皆もねー!」

 

「ええ、楽しんでいますよ。とても美味しいですから」

 

「冗談抜きに美味いんだよな。」

 

「…ちょっと怖くなるくらいにね」

 

ミザリー、マルクス、シンも銘々に料理を持っていた。

 

「お誘いを貰った時はさすがに驚きましたが…なるほど、第3回イベントの」

 

「うん!お肉だよー!いっぱいあるからたくさん食べてね!」

 

「ダントツ1位は伊達じゃないってことか。ありがたくいただいてるぜ」

 

「代わりに今度武器食べさせてくださいねー」

 

「ははは。それは遠慮したいな」

 

「あ、ミィの武器も美味しかったよ。ありがと」

 

「…ありがと?なのか?」

 

思わず【炎帝】モードに戻るミィだった。

 

「そういえばランチ。その角と尻尾は大丈夫なんですか?」

 

「うん?ああ、特にはー。仕舞えないけど邪魔にはならないよー。」

 

「それってやっぱり…」

 

「あーうん。ミィ食べた後にスキル取れたら生えてきたんだよね。」

 

「そっか…。変なこと頼んじゃってゴメンね」

 

「大丈夫だよー。今も美味しく食べてるし!」

 

「なら良かった。でも、次は負けないよ!メイプルにも!ランチにも!」

 

「受けて立ちます!」

 

「次も美味しくいただきます!」

 

ミィの言葉に笑顔で返すメイプルとランチだった。

周囲から見ると久々のお姫様モードということで

多いに盛り上がっていたがそれはそれだった。

 

後に、NWO全体でもダントツの規模となる【炎帝の国】は

静かに声をあげようとしていた。

 

 

 

「しっかしどれも美味いな。いつまでも食べられそうだ」

 

「そうですねぇ。まったくお誘いが来たときは何かと思いましたが」

 

「ああ、参加してよかったぜ!美味い!」

 

「やべぇ。うめぇ」

 

「やべぇ。うめぇ」

 

同じく舌鼓を打っているクロムのもとに、【掲示板の民】の面々がやってくる。

全員肉オンリーだった。

 

「お?あー、お前らか。おつ。…なんか語彙が無くなってるやつが居るが」

 

「あー。あいつらは肉があまりに美味くて呆けてるだけだ」

 

「ホントに美味しいですからね。ランチちゃんに感謝です」

 

「本人も楽しそうにしてたぜ。メイプルちゃんもな」

 

「ランチちゃんといえば…角と尻尾生えたままだな…」

 

「あーあれか…。まあまた掲示板で話するわ」

 

「そうですね。その話は掲示板こそがふさわしいです」

 

「だな!じゃ、またな!」

 

「ああ。またな。」

 

「肉、うめぇ」

 

「飯、うめぇ」

 

そしてメンバーは去っていった。

彼らはすぐに会うだろう。とある掲示板で。

 

 

 

「さーて、お次はアイスかなー」

 

「お邪魔するっす!」

 

「こんにちわ…」

 

「あ、いらっしゃい。えーと…ベルベットさんと…ヒナタさんですよね?」

 

「覚えてくれて嬉しいっす。」

 

「はい。そちらはメイプルさんとランチさんですよね?」

 

「そうですー。あ、今度武器食べさせてくださいねー」

 

「ぶ、武器…?よくわかりませんが、戦うなら負けません。」

 

「はい!イベントではやられたけど、次は負けないっすよ!」

 

「こちらこそ!次はもっと硬くなるよ!」

 

即座に返してくるメイプルに思わず笑顔を返すベルベットだった。

彼女らが属する【thunder storm】は全ギルドでもトップクラスのギルドとして、

そして二人はどちらも唯一無二と言えるプレイヤーへと成長していくこととなる。

 

 

 

「やぁ、失礼するよ」

 

「あ、リリィさん。どうもー。食べてますー?」

 

「はは。先ほどまでいただいていたよ。お腹いっぱいさ」

 

「イベントではお世話になりました。」

 

入れ替わりで来たのは【ラピッドファイア】のウィルバートとリリィだった。

 

 

「こちらこそ!あ、今度武器食べさせてねー」

 

「ははは。それは遠慮しておこうか」

 

「まったく、あの大規模戦の後に来るとは思わなかったさ。まあ、次は負けないがね」

 

「万全の状態でお相手いたします」

 

「こちらこそ!」

 

「それでは、今日はこれくらいで失礼するよ」

 

「お誘いありがとうございます。美味でした。」

 

「いえいえー。また美味しいもの食べましょうねー」

 

二人が去っていく。いずれ各イベントで主力中の主力となってくる二人である。

 

 

 

「ふー。食べたねー。」

 

「そうだねー。」

 

「さすがに2時間食べっぱなしだとね。」

 

イベントから2時間。皆の食べっぷりも落ち着いてきた。

 

「失礼するよ」

 

「あ、ペインさん!」

 

「こんにちわー。食べましたー?」

 

「ああ!美味かったぜ!」

 

「ま、良かったんじゃねえの?」

 

「私もご相伴に預かったよ。本当に美味しかった。」

 

「良かったですー。またやりましょー。あ、武器もいただきまーす」

 

「ダメだろ!」

 

「多分ペインさんの武器も美味しいと思うんですよー」

 

「はは。誉め言葉とは思うが遠慮しておこうかな。さて…」

 

ペインが静かにメイプルの方へ向き直った。

 

「次は、勝たせてもらうよ」

 

「負けません!」

 

「またいただきまーす」

 

勝利宣言に返すメイプルは楽しそうだった。

ランチはいつも通りである。

 

「鍛えなおして、また戦おう。」

 

「ま、次はどーにかなるだろ」

 

「またな!」

 

ペイン達も戻っていった。

【集う聖剣】は今後精鋭の集うギルドとして洗練されていくこととなる。

 

 

 

「さて、そろそろ終わりかな。どうする?」

 

「いっぱい食べたねー」

 

「はーい。じゃあ…」

 

そう言うとウィンドウを開いたランチが大きな声で話す。

 

≪みなさーん!美味しかったですか―?≫

 

大きな歓声が起こるのを確認してランチが続けた。

 

≪今日はここまででーす。ありがとうございましたー!≫

 

≪またやりましょうねー!≫

 

会場は1000人以上の拍手の渦に包まれた。

 

≪ではみなさん!お疲れ様でしたー!≫

 

拍手の中で、テーブルや焼き肉の台が消えていく。

そして拍手冷めやらぬ中、全員が消えていった。

第4回イベントの、本当の最後が終わった。

 

 

<スタッフルーム>

 

「終わったようです」

 

「ん。そうだな。」

 

静かになったスタッフルームで突然声が上がる。

 

「楽しすぎるだろ!?ずるい!」

 

「まー。あれは参加したかったかもなー。」

 

「ここばかりは裏方で残念だと思う」

 

そこには今まで繰り広げられていたお祭りの余韻に浸るスタッフ達が居た。

ちなみにアバターの周囲には食べ物や飲み物が漂っている。

 

「まあ、色々参考にはなったな」

 

リーダーの『黒』が話をする。

 

「ええ。今後のイベントに使えそうですよ」

 

「こういった戦闘以外のイベントもいいかもなー」

 

「まあ、まずは第四層だな」

 

「ああ。色々用意してるからな。少し時間空けるがいいだろ」

 

イベントが終わっても、休息はないかのようにアバターたちが動き回る。

今後さらに大規模にカオスになっていくNWOの片鱗が見えていた。

 

 

 

そして・・・

 

 

 

 

「んーーーっ!美味しい!」

 

翌朝、いつも通り起きた美咲が美味しそうにご飯を食べていた。

トーストにハムエッグとサラダ、そこに紅茶が添えられている。

シンプルだが朝にはとても嬉しい一品ばかりだ。

笑顔でトーストにハムエッグを載せてはぐはぐ食べていく。

 

「相変わらず楽しそうに食べるなぁ、美咲は」

 

「うん!食べるのは大好きだからね!」

 

「最近は少し食べる量が減ったかしら?」

 

「あーうん。でも大丈夫!ゲームでも食べてるからね!」

 

得意顔で話す美咲に父母が少し困惑しつつも嬉しそうな顔で返す。

 

「ゲームでも?凄いな…」

 

「うん!すごいんだよ!美味しいんだよ!」

 

「あらあら。楽しそうでよかったわ。」

 

そのまま満面の笑みでトーストを平らげた美咲は、

制服に着替えて玄関へ向かう。

 

「じゃあ、行ってきまーす」

 

「はい。いってらっしゃい」

 

「気をつけてな」

 

「はーい」

 

外は晴れ渡っていた。

 

 

「おはよー、楓、理沙」

 

「おはよー美咲!」

 

「美咲、おはよう」

 

そしていつも通り、楓と理沙と合流する。

通学路を歩き出す3人の話題はもちろんNWOの話だ。

 

「昨日は楽しかったね!」

 

「まあ、楽しかったかな。良い戦いができたし」

 

「他のギルドの人たちも凄かったもんね!」

 

第4回イベントを思い出す3人。

最初から最後まで激戦だった4回イベント。

既に方々で話題となっており、なんとイベントだけを

考察したコラムや生地まで出るほどに注目されていた。

 

「うん!いっぱい食べれたよ!」

 

「うんまあ、美咲はそんな感じで良いか。あ、写真はもう許さないからね?」

 

「…はーい」

 

一瞬しおらしくなる美咲だった。

 

「今度は次の階層かな」

 

「楽しみだなぁ!どんなのになるんだろ!色々探索したいよね!」

 

「うん。ギルドメンバーも強くなってるし、もっと強くならないとね」

 

楽な戦いは1つもなかったといえる。

今後も周りのギルドは強くなっていくため、

自分たちもさらに強くなる必要があった。

 

「そのためにはもっと見て回らないとね!」

 

「そうだね。楽しんでいきたいしね。私ももっと強くなる!」

 

「うん!私ももっともっと硬くなるよ!」

 

「楓はもう大丈夫な気もするけど…らしいかな!」

 

「美咲はどう?」

 

「私?もちろん」

 

聞かれた美咲はくるっと回って満面の笑みで答えた。

 

「もーっともっと、食べるよー!!!」

 

今回のイベントで一気に注目度が上がった楓、理沙、美咲の3人。

今後もNWOの看板プレイヤーとして活躍を重ねることとなる。

 

そして、美咲が新しい力を得て、更に更に食を極めることとなるのも、

また先の話である。




ということで、第四回イベントが終わって一段落となりましたー。
今まで読んでくださった皆様、ありがとうございましたー。
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