食べるのが大好きなので、全てをいただきます   作:にゃもー

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既に忘れている人も多そうですがご無沙汰ですー

外伝発売めでたい!

こちらでは4層ですー


美咲とあーん

「はい、じゃああーん」

 

「あ、あーん・・・ちょ、ちょっと恥ずかしいです・・・」

 

「しっかりお姉ちゃん!」

 

雷鳴がとどろく荒野、巨大な竜の前でランチがマイにお菓子を食べさせていた。

気が抜けることこの上ない光景だが立派な戦闘準備だった。

 

【プリン・EX】

  食べ物。食べると美味しい。

  付与効果:STRアップ 10分間 10%

 

【ミルクチョコ・EX】

  飲み物。飲むと美味しい。

  付与効果:STRアップ 10分間 10%

 

【あーん】の効果で更に倍になるため、マイは40%のSTRアップを得ている。

これは通常のプレイヤー1人分以上の攻撃力アップを意味する。

ちなみにユイも同じものを先ほど食べさせてもらっていた。

 

「よーし!じゃあ作戦通りいくよ!」

 

「おう!」

 

「「頑張ります!」」

 

「あ、ああ!」

 

片やメイプルは【機械神】の姿で、肩にはサラシを巻いたカスミが乗っていた。

いつもの方法で一気に飛び立ったメイプルと、刀を抜くカスミが竜に迫る。

 

【紫幻刀】!

 

【毒蛇(ヒドラ)】!

 

強力な雷を放つ竜は、しかしすべてを無効化するメイプルにより何もできず、

刀と毒と弾で一気に体力を削られ、地面に落下する。

 

「いまよ!」

 

「やれぇ!!」

 

【【飛撃】】!

 

そして落下してきた竜は、バフを盛りに盛ったマイとユイの一撃を受け、

形態などもお構いなしに一撃で撃破されていた。

 

「やったみたいだな」

 

「…凄すぎるな」

 

「ちょっとバフを盛り過ぎたかも」

 

「あるだけ使っちゃったわ」

 

「私も試してみたいスキルあったしなぁ」

 

恐らく届きさえすれば体力満タンからでも一撃死しうる攻撃が、

単なる汎用スキルに過ぎない点で、マイとユイも異常性が際立ち始めていた。

 

そしてメイプルが下りてくるのをランチが迎えに行った。

 

「はーい!迎えに来たよー!」

 

「ありがとランチ!上手くいったよ!」

 

「凄かったねー。…さぁさぁ、カスミも♪」

 

「わわっ!?」

 

「・・・何してるのランチ?」

 

「抱っこだよー」

 

小さいカスミをランチが抱っこしていた。

後ろから抱き抱え、時々頭をナデナデする姿は大変愛らしいが、

当のカスミは真っ赤な顔で唇を引き結んでいた。

 

「・・・あー、そういえば、第四層で小さい女の子をランチが抱えている姿が、

 方々で目撃されている話があったな」

 

「うん!この状態のカスミは戦えないからね!効果が切れるまで守ってあげないと!」

 

「・・・」

 

頭をナデナデしながらうきうきで答えるランチと、微動だにしないカスミ。

ものすごく恥ずかしそうで、普段のカスミなら抵抗しそうだが、なぜか一切抵抗はしていない。

 

「カスミちゃん、何かあったのかしら?」

 

「わ、私は・・・悪魔に魂を売ってしまったんだ・・・」

 

ちょっと気になったイズが聞くと、カスミは絞り出すように答えた。

 

「そ、そうなのね」

 

「ああ・・・笑ってくれ。欲望に負けた私を・・・」

 

「大丈夫!皆ハッピーだよー!ちゃんと守ってあげるからねー♪」

 

ランチだけが笑っていた。

カスミとランチの間に何があったか知るものはいない。

 

しかしカスミの部屋には骨董品など色々なものが更に増えていて、

最近カスミとランチが一緒に行動することが多いのは事実だった。

 

「お、これが【竜の逆鱗】か!」

 

そしてボスが消えた後にはアイテムが残されていた。

 

「【天の雫】は手に入れてるから、あと1つかな。」

 

「さ、最後もボスが守っている。こっちは鬼のモンスターらしい」

 

ランチに抱っこされたカスミが恥ずかしそうにしながら答える。

 

「少し早いし、そこも行くか?」

 

「良いんじゃないかしら。アイテムもまだあるわよ」

 

「どんな相手なんだ?」

 

「地上に居るタイプで、攻撃がだんだん変わっていくらしいぞ」

 

「あー。。。地上かぁ」

 

サリーが少し遠い目をしてつぶやく。

先ほどの光景を見ていればどうなるかは明白だった。

 

【【ダブルスタンプ】】!!

 

鬼のモンスターは開始10秒で消えた。

 

「知ってた」

 

「でしょうねぇ」

 

「…うん、拾の鳥居の情報は任せておけ」

 

 

 

「ええと・・・カスミ何かあったのかな?」

 

数日後、ギルドホームで沈んでいるカスミの姿がった。

 

「ああ、何でも拾の鳥居のボスに勝てないらしい。」

 

「そ、そんなに強いの?カスミだって強いのに」

 

思わずメイプルがつぶやく。

実際、カスミは全プレイヤーでも上から数えた方が早い強さを持つ。

そんなカスミが手も足も出ない常設モンスターなど今までは居なかった。

 

「というか、まだ誰も攻略できてないみたい。

なんか相手に合わせて使う武器を変えるらしいよ。

杖が一番いけそうだとか何とか」

 

「それは大変そうだね…。サリーももうすぐ何だっけ?」

 

「うん。あと少しなんだけど…さすがに勝てない勝負はしないかな…」

 

「やっほー」

 

そんなことを言っているとランチがやってくる。

 

「あ、ランチ、やっほー」

 

「遅かったけど、どこか行ってたの?」

 

「うん!ミィと一緒に捌層行ってた。おかげで捌層終わったよー」

 

おまけでその後にふわふわふれあいルームに行ったが、

それは口に出さない優しいランチであった。

 

「おー!ランチも拾層行けるようになったんだ!」

 

「うん!せっかくだからちょっと行ってみようかなー」

 

その言葉にぴくッとするカスミ。

 

「…私も行こう。できれば付与効果ありで試したい」

 

「良いよー。いっぱいあーんしてあげるね!」

 

「あ、ああ。」

 

少し戸惑いながらも頼もしい支援を受けられるので少し期待するカスミ。

自作料理+【あーん】の効果が乗った【付与効果】の強さは、

HPなどは80%、STRなどは40%アップの効果を持つ破格のもの。

 

また、一対一では行動キャンセル効果がある【Waitless】の存在が大きい。

サリーなどは【Waitless】ありだと万が一にも攻撃を当てることは出来なそうな

状態になりつつあった。

 

「じゃあ早速行こう!」

 

「ああ!」

 

意気揚々と進む二人だった。

 

 

 

「おーここが拾の鳥居ー」

 

「ああ。といっても他の鳥居と違って先に町などがあるわけではないがな。」

 

4層の最終ステージ。拾の鳥居の先へ到着した。

進むと腕を上下に振っている謎の巨大人形が待ち構える。

 

「早速入ろう。準備は良いか?」

 

「うん!いろいろ揃えて来たよ!カスミ好みのものばっかり!」

 

「ああ、それは楽しみだ。だが、今回は付与効果の方が重要でな…」

 

「大丈夫!教えてもらったものは全部そろってるよー」

 

「頼もしい。で、では頼む」

 

「はーい」

 

人形の前の広場でランチがマットを広げると、

カスミがやや戸惑いがちに座り込む。

 

そしてランチが料理を並べ始める。

 

「じゃあ行くよー。【あーん】!」

 

「う、うむ。あーん・・・」

 

【どらやき(あんこ)・EX】

  食べ物。食べると美味しい。

  付与効果:HPアップ 10分間 20%

 

【どらやき(カスタード)・EX】

  食べ物。食べると美味しい。

  付与効果:VITアップ 10分間 10%

 

【だんご・EX】

  食べ物。食べると美味しい。

  付与効果:ダメージ軽減 10分間 10%

 

【緑茶・EX】

  飲み物。飲むと美味しい。

  付与効果:STRアップ 10分間 10%

 

カスミの好きな和風で付与効果も今回の戦いに備えていた。

【あーん】の効果で2倍になるためかなりの戦力アップとなる。

 

「ま、まて!飲み物は難しいだろ!」

 

「大丈夫!こうすれば!」

 

「わわ!!」

 

ランチがカスミに近づき、頭と肩を持って抱き寄せる。

そのまま膝上にあおむけに寝かせて片腕で背中を支えた。

 

「待て待て!ここまでする必要は!」

 

「大丈夫!任せてー」

 

そう言うと湯のみをカスミに近づけてゆっくり傾ける。

 

「んんむ!(美味い…)」

 

カスミはゆっくりと口に付けられた緑茶を飲んだ。

わりと介護に近い状態だが見た目はとても絵になった。

 

 

「よーし!終わり!」

 

「あ、ああ。ありがとうな、ランチ。すまんがココからは一人になる。必ず勝ってみせる!」

 

「頑張れ!ちっちゃくなっても守ってあげるからね!」

 

「・・・ああ」

 

そう言うとカスミは人形の間に立つ。

光が集まり、カスミの姿を包み込んでいく。

 

「あれ?」

 

…そして、ランチの姿も包まれる。

 

 

「ふう、さて…ってランチ!?」

 

「あ、カスミ。なんか私も来ちゃった」

 

「なぜだ?ここに来れるのは一度に一人だけのはず・・・」

 

よく来たなニンゲン!!

 

また楽しませてくれよ!

 

「って、来たな!次は勝つ!」

 

越えの方向に振り替えると、着流しを着た白髪の老人が居た。

よく見ると牙が生えており、人間ではないと分かる。

 

カスミは何度か戦っていて、勝手知ったるとばかりに刀を抜いた。

しかし違和感がある。いつもなら武器に呼応して相手も武器を取るはずが、

もう一人召喚されているランチの方を見ていた。

 

…ほう、ニンゲンではないものも交じっているか…

 

面白い!特別な宴になりそうだ!

 

そう言うと、老人は気合とともに青い炎に包まれる。

炎が晴れた先には刀を持ち、角の生えた姿の鬼が居た。

 

「うん?私?」

 

「な、なんだと?変身するのは聞いてないぞ!?」

 

行くぞ!

 

戸惑うカスミをよそに、鬼と化した老人が迫っていた。




ランチはわりとフリーダムに生きていますー
次回は強力なボスとの戦いですー
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