眠り姫(♂)にとって、子作りは貴族の義務に入りますか?   作:尾張のらねこ

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【前日譚】シンシアとユニスの学園生活

 

 

 

 

実は穏やかで優しいユニスは学園の一定層の女子に結構モテる。

顔立ちも優しげで、美少年やイケメンではないが、時折出る穏やかな笑顔に惹かれた少女は両手の指に余る。

 

例えば、図書委員をするような控えめでおとなしく真面目に勉学に励むようなタイプ。

なにかの折に、ユニスが手伝いを申し出たとしよう。

即落ちである。

というか実在している。学園の図書室はユニスファンクラブ会員率が高い。

 

 

シンシアという愛する婚約者がいることは知れ渡っているというのに、なぜそうも簡単に恋に落ちるのか。

いるからこそ、というのもあるのだが。

 

ユニスは婚約者を蔑ろにして、他の恋にうつつを抜かすような男性ではない。

ゆえに、安心して恋の対象にできるとも言える。もし本気になってしまっても、間違いが起きることはありえないのだから。

 

妬かないというわけではないが、実害がない窓越しの恋ならば、シンシアもあえて咎めるようなこともない。

若き日の淡い恋の思い出として心に秘めたままどこかに嫁げば、その家との取引の際に幾ばくかの有利さを伯爵家にもたらすかも知れないのだ。

ユニスに自領をちょっとだけ良く思ってほしいという当主夫人の思惑として。

 

貴族社会の人間関係の好悪というものは馬鹿にならない。

 

 

ではシンシアが積極的に干渉していく恋とはなにか?

 

愛するユニスへの実害、そしてシンシアという婚約者への害意である。

魔導士として魔獣や対人の実戦経験を積んでいるシンシアは、実力行使をためらうことなどない。

 

殺意には殺意を。理不尽には理不尽を。

 

 

駆け出しから手練まで、数多の暗殺者が幾度となくシンシアの命を狙った。すべて失敗したが。

大多数はシンシアの反撃で殺され、ごく一部の上位のものは生き残り王国に忠誠を誓い許された。

 

その身の美しさに、手に入れんと触手を伸ばす貴族や破落戸は多かった。

直接女性の尊厳を犯さんとした者は、男性機能を潰された。そのような者の子孫など、王国には不要だった。

搦手を用いようとした者は、なぜか半年以内に没落した。まわりには迷惑を及ぼさず、綺麗サッパリと。

 

 

魔導士シンシアは、王国の調停者である。

現王や王妃の信頼は絶大で、噂では犯罪捜査権や殺人許可証を与えているとも言われている。

なにそれかっこいい。

ユニスは羨んだ。

 

 

ユニスの感情には陰がない。

嫉妬をすることがない。たとえ婚約者が優秀で、男が劣るなんてとバカにされたとしても。

「そんな優秀な婚約者を持てる僕は幸せです」

そう本心から嬉しそうに惚気けるユニスを前にして、それ以上なにを言えというのか。

シンシアは彼の幼馴染であることに感謝した。

 

 

 

 

 

 





追加を書こうとしたのかそれとも推敲時に削除したぶんなのか記憶から抜けててさっぱりなんですが、手元の下書きを漁っていたら出てきましたので短いですが追加しておきます。
(2022/02/14)
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