―――侑視点―――
侑「いや~、それにしても仮面ライダーが9人も揃うと、何かこう・・・壮観だね!」
陽哉「あはは、何か照れくさいな・・・・」
碧映「だね・・・・えっと、改めて仮面ライダーオーズこと桜坂碧映です!しずく共々よろしくね!同好会の皆さん!」
彼方「しずくちゃんのお兄さん、何だか明るくなったねぇ~」
かすみ「あれが本来の碧映お兄さんですよ」
今日は陽達仮面ライダー最後の1人、仮面ライダーオーズこと桜坂碧映さんが正式に仲間入りしたことで、お祝いをしようということになり今現在、同好会の部室でお菓子パーティーが開かれていた。
そんな中、果林さんが陽達仮面ライダーへ向けこんな疑問を放ってきた。
果林「・・・ところで、ずっと気になっていたのだけれど」
勇真「どうしたの?果林姉ぇ?」
果林「いや、改めて思ったんだけど・・・・貴方達って、何なの?」
そして果林さんのこの発言で、部室内の空気が一気に変わる。
せつ菜「何なのって果林さん・・・・太陽君達は仮面ライダーですよ?」
果林「そうじゃないわよ。」
侑「じゃあ、どういうことなんですか?」
果林「ずっと不思議に思ってたの・・・・貴方達仮面ライダーは、私達の前で初めて変身した時“全て思い出した”とかそれに関連することを言っていたわよね?それって仮面ライダーであったことを忘れていたってことよね?・・・・でも、勇真とは小さい頃からずっと近くにいるけど、勇真が私の前で変身したことなんて無いわよ?」
しずく「言われてみれば、そうですね・・・・私もお兄様がオーズに変身したところを見たことがありません・・・・」
エマ「私は紘君とは高校生になってから知り合ったけど、確かに紘君が変身してるところを見たこと無いかも・・・・」
彼方「・・・・彼方ちゃんも、そーくんが変身したとこ~今まで見たこと無いかもぉ~」
果林さんの言葉を聞いて、同好会の皆は次々に思い返したことを話していく。いつしか私達の視線は陽達に向けられ、仮面ライダーの皆は困った様に顔を見合わせている。そして、ついに陽が意を決した様に口を開く。
果林「教えてくれるかしら?貴方達は何者?ディヴェンジャーって何?どうして急に現れたの?」
陽哉「・・・・そう、ですね。話しましょう、俺達のこと。」
雷羽「おい、セイバー・・・」
陽哉「同好会の皆にはいつも助けてもらってる。ずっと黙ってる訳にもいかないだろ?」
雷羽「そうだけどさ・・・・」
陽哉「・・・・大丈夫。」
雷羽君が何か言いかけたのを止め、陽は話を続けていく・・・・。。
陽哉「まず、結論から言うと・・・・俺達仮面ライダーと、そしてディヴェンジャーは・・・・・この世界の者ではありません。」
歩夢「え、それってどういうこと・・・・?」
侑「全然話しが見えないんだけど・・・・・」
陽哉「えっと・・・・皆がいるこの世界とは別に、複数の世界があって、俺達はその中の1つにいたんだ。」
せつ菜「それはつまり、パラレルワールドの様なもの・・・・ということでしょうか?」
陽哉「あぁうん、そんな感じ!」
かすみ「・・・・ぜんっぜんわからないんですけど・・・・・」
果林「同じく・・・・・」
陽の話にかすみちゃんと果林さんが頭に?マークを浮かべていると、龍兎君が陽の代わりに前へ出て来た。
龍兎「じゃあ、ここからは俺が。・・・璃奈、璃奈ちゃんボードに使ってるスケッチブックの白紙のページ1枚貰っていい?」
璃奈「うん。・・・はい、どうぞ。」
龍兎「ありがと!・・・・さて」
璃奈ちゃんからスケッチブックの白紙のページを1枚受け取った龍兎君は、それを横向きにし真ん中に縦線を1本入れ、その縦線を挟んで右と左に1つずつ〇を書くと、左にA右にBと書いて私達に見えやすい様にその紙を向けて私達が質問をしたらその都度答えるといった感じで説明を始めてくれた。
龍兎「まずは、今俺達がいるこの世界・・・つまり、貴女達の世界をA、俺達が元々いた世界をBとします。この2つに限らず、世界とは1つだけではなく複数存在します。」
かすみ「この真ん中の縦線は何?」
龍兎「これは空間の壁。これがあるから、世界と世界は繋がることは無く、それぞれ独立した別々の空間となってる。」
エマ「空間の・・・壁?」
龍兎「空間の壁は、世界と世界を隔てる神秘の壁。何人もこの壁を破壊することは出来ません。例え、俺達仮面ライダーやディヴェンジャーであっても・・・・。」
歩夢「・・・・・じゃあ、その空間の壁が無くなると、どうなるの?」
龍兎「・・・・この空間の壁が無くなると、世界と世界は融合し、互いを異物と判断した世界同士は・・・・消滅します。」
せつ菜「消滅・・・・それをさせない為に、守護を?」
龍兎「えぇ、ここにいる俺達と、俺達以外の仲間の仮面ライダー達で空間の壁を守っていたんです」
かすみ「えっ!?仮面ライダーって雷羽達以外にもいたの!?」
雷羽「あぁ、いた。それも数え切れないほどに・・・・」
エマ「じゃあ、その人達ももしかしたらこっちの世界にいるの?」
鉱輝「いいや、いねぇ。俺達以外・・・・死んじまったからな・・・・」
侑「死んだって・・・・な、何があったの・・・・・?」
私は震える声で陽に聞く。すると、陽を初め仮面ライダーの皆が下唇を噛み、悔しそうな表情になる。・・・・そして、陽が静かに語り出す。
陽哉「・・・・あれは、俺達がいつも通り空間の壁を守っている時のことだった・・・・。ある日、ゼウーデスって奴が大量のディヴェンジャーを連れて攻めてきたんだ。」
歩夢「ゼウー・・・デス?」
陽哉「ゼウーデスってのは俺達が今まで倒してきた怪人達の怨念の集合体で、厄介な力を持った奴なんだ」
しずく「厄介な力・・・ですか?」
陽哉「俺達が倒した怪人の魂を蘇らせる力・・・・しかも、他の怪人の魂と融合させて蘇らせることも出来るんだ」
歩夢「それって・・・・!」
陽哉「・・・・そう、皆もよく知るディヴェンジャーはこのゼウーデスって奴が作り出していたんだ。」
果林「前に言ってたとある奴っていうのがそのゼウーデスなのね?」
陽哉「えぇ。・・・それから俺達仮面ライダーとゼウーデス率いるディヴェンジャーの軍勢とで大規模な戦いが繰り広げられました。・・・・俺達は必至に戦いましたが、1人、また1人と仲間が倒れていき・・・・最後にはここにいる俺達9人だけが残りました。」
しずく「・・・・お兄様が前に言っていたのは、このことだったんですね・・・・」
碧映「・・・・うん。」
陽哉「俺達9人は、後1歩のところまでゼウーデスを追い詰めることが出来たんだけど・・・・」
雷羽「・・・・・奴は、最後に悪あがきをしてきたんだ。」
かすみ「悪あがきって・・・・・?」
陽哉「奴は俺達にやられる直前に空間の壁に穴を開けたんだ。」
彼方「ちょっと待って~?空間の壁って、破壊とは出来ないんじゃなかった~?」
走介「普段はな・・・・だが、空間の壁を破壊・・・もしくは穴を開ける方法が1つだけある」
せつ菜「その方法とは・・・・・?」
太陽「・・・・その世界の“鍵”となる者を消すんだ。」
太陽君のその言葉に、私達同好会メンバーは戦慄する・・・・。
愛「消すって・・・・まさか、殺すってこと?」
天弥「あぁ・・・・まぁ、そう・・・・だな。」
璃奈「・・・・その鍵って何なの?」
龍兎「鍵は空間の壁を維持する為のその世界の象徴となる存在のこと。そして、世界によって人数が違い、1人のとこもあれば20人以上なんてのもある。」
果林「じゃあもしかして、貴方達の世界の鍵って・・・・」
勇真「・・・・僕達、仮面ライダーだよ。」
陽哉「俺達仮面ライダーの数が減ったから、俺達の世界の壁が維持できなくなり、そこをゼウーデスに突かれたんだ」
侑「じゃあ、陽達はそれでこっちの世界に?」
陽哉「あぁ・・・・と言っても、ただこっちに来れた訳じゃない。」
歩夢「・・・・どう言うこと?」
陽哉「空間の壁が無くなると、世界が消滅するって言っただろ?あれは、空間の壁の中に“空間の狭間”という灰色の空間が原因なんだ。この空間の狭間には特殊な力があって、1つは全ての物質を飲み込む強力な引力。そして2つ目はあらゆる存在を消滅させる力。・・・・・俺達はゼウーデスの攻撃でこの空間の狭間に飲み込まれ・・・・・肉体が消滅した。」
同好会メンバー「「「「「「「「「「えぇっ!?肉体が消滅っ!?」」」」」」」」」」
歩夢「そ、それって・・・・陽君達も死んだってこと?」
陽哉「うん、まぁ・・・。」
侑「嘘・・・・・」
かすみ「信じられません・・・・」
せつ菜「簡単には受け入れられることではありませんが・・・・でも、それなら太陽君達はどうやってこちらの世界へ?陽哉さんの話では、空間の狭間というところはあらゆる存在を消滅させるほどの力があるのですよね?」
陽哉「・・・・ちょっと、これを見てほしいんだけど・・・・・」
そう言うと陽を初め、仮面ライダーの全員が各々のバックの中から色んな形の・・・・石?を取り出し、机の上に置いていく。
陽達が置いた石を私達が不思議そうに眺めていると、陽が説明してくれた。
かすみ「何ですかこの石?雷羽も皆さんも、こんなの集める趣味があったんですか?」
雷羽「いや、違ぇよ・・・・」
歩夢「陽君が取り出した石、ライドブックに似てるけど・・・・ちょっと分厚いのばかり・・・・」
陽哉「これは、俺達仮面ライダーのパワーアップアイテムだ。」
侑「ていうことは、この4つの石もライドブックってこと?」
陽哉「あぁ!」
果林「・・・眼魂にしては、これだけ大き過ぎないかしら?」
勇真「それはベルトとして使うんだよ、果林姉ぇ!」
エマ「・・・・でも、これと紘君達がこっちの世界に来た理由と、どう関係してるの?」
陽哉「このパワーアップアイテムの力を使って、魂だけはギリギリ守り抜き・・・・この世界に流れ着きました。だけど、空間の狭間から抜け出す時の衝撃で記憶が飛んでしまったみたいで・・・・」
せつ菜「・・・・なるほど、つまり皆さんはこの世界に転生する際、記憶が飛んでしまい・・・・再度仮面ライダーのアイテムを手にしたことで記憶が戻った・・・・と、こういうことですか?」
陽哉「うん、まぁ・・・そんな感じかな。」
侑「・・・・・・」
知らなかった。まさか陽や仮面ライダーの皆にそんな過去があったなんて・・・・。少し、ほんの少しだけ、陽のことを考えると不思議な気持ちになったのを実感した。けど、私はこの気持ちが何なのか分からず、振り払う様にふと思ったことを口にする。
侑「そう言えば・・・・その、陽達を空間の狭間に飛ばしたゼウーデスって奴はどうなったの?」
陽哉「う~ん・・・ディヴェンジャーがこの世界に現れたから、奴もこっちの世界に来てるんだろうけど・・・・どうやって来たのかまではわからないかな。」
雷羽「・・・・案外、他の怪人達の魂を犠牲にしてこっちに来たのかもなぁ~。」
陽哉「あり得るかもな・・・。あ、兎に角!皆は俺達が守るから安心して!」
侑「頼りにしてるよー!陽!」
歩夢「でも、あまり無理しないでね・・・・?」
陽哉「・・・・あぁ!」
こうして、仮面ライダーの皆の過去を聞いた私達は、少しだけ複雑な空気になっちゃったけど、その後はその空気をかき消す様に部室でパーティーの続きをし、家に帰ったのは夜の7時をちょっと過ぎたくらいで・・・・めちゃくちゃ親に怒られた。
―――陽哉視点―――
歩夢と侑を家に送った後、仮面ライダーだけで再び集まっていた。
天弥「・・・・つーか、愛達にほんとのこと言わなくてよかったのかよー?」
龍兎「大体は本当のことだけど・・・・まぁ、あれ以上は璃奈達も混乱するでしょ。」
走介「・・・・まぁ、いずれは話さないといけないだろうけど、今はこれでいいのかもな」
そう、俺達はまだ侑達に隠してることがある・・・・それを侑達に話す時は、きっと・・・・。と、そこで話を変える為、俺はあることをビルドに尋ねる。
陽哉「・・・・そういえばビルド、少し前から調べてたあれはわかったのか?」
龍兎「確信はまだ持てない・・・・が、ほぼ確定だと思う。」
鉱輝「おいおい、何の話だよ?」
走介「俺も聞いてないな・・・・」
勇真「僕にも教えてくださいよ!」
天弥「仲間外れは無しだぜ~?」
碧映「ま、ライダーは助け合いでしょ?」
太陽「あ、そっか。鎧武達はまだ記憶を取り戻してない時だったっけ・・・。実は少し前からビルドに頼んでたことがあってさ」
走介「頼んでたこと・・・・?」
雷羽「この世界の象徴・・・・鍵についてだ。」
ゼロワンのその言葉に、オーズ・フォーゼ・鎧武・ドライブ・ゴーストの5人の空気が変わる。
紘輝「それか・・・・」
勇真「それで、何かわかったんですか?」
龍兎「それを今から言うよ。・・・・・この世界の象徴は、スクールアイドルで間違いない。そして、その中でも鍵の可能性が最も高い存在、それは・・・・恐らく、虹ヶ咲スクールアイドル同好会のメンバー全員だと思う。」
ビルドのその言葉に、俺達は驚ろきを隠せないでいる。それもそのはず、まさかこの世界の鍵の可能性があるのが、侑達全員だなんて。
走介「で、でも・・・・まだ完全に決まった訳じゃないんだろ?」
龍兎「あぁ、確定じゃない・・・・けど、合ってると思う。」
太陽「そう思う根拠は?」
龍兎「皆も不思議に思ってただろ?ディヴェンジャーが現れるところに、大体ニジガクのメンバーがいること。」
勇真「それは・・・・確かに」
龍兎「鍵は悪を引き付ける・・・・それに当てはめると、璃奈達が一番鍵の可能性が高い。」
雷羽「それはそうだけどさ・・・・」
龍兎「・・・・まぁ、他の可能性もあるかもしれないし、もうちょっと調べてみるよ。」
ビルドの言葉を聞きながら、俺は疑問に思ったことを口にする。
陽哉「・・・・もし、侑達が鍵だったとして・・・・・ゼウーデス側はそのことに気付いているのか?」
龍兎「・・・・正直向こうもまだ気づいてないだろう・・・・が、気づくのは時間の問題だろうな。」
俺はその言葉を聞き、ある決心をする。
陽哉「そっか・・・・なら、絶対に侑達を守らないとな!」
陽哉以外の仮面ライダー「「「「「「「「・・・・あぁ(はい!)!!!!」」」」」」」」
こうして、俺達は決意を新たに、この先の戦いへの覚悟を決める。
―――カザリ視点―――
カザリ「・・・・はぁ~あ。まさかあの軍勢で撤退に追い込まれるなんてねぇ~」
都内にあるとある豪邸で、僕が物思いにふけっていると・・・・僕の背後から誰かが近づく足音が聞こえ、僕は背後に目をやることなく、その足音の主に声を掛けた。
カザリ「・・・・何の様?」
???「・・・・やぁカザリ君、ご機嫌斜めだったかな?」
カザリ「別に。それより質問に答えなよ・・・・何の様?あいつ等なら心配しなくても僕が倒すよ。」
???「それは頼もしい限りだけど、次は彼に任せたくてね。」
足音の主の言葉に、僕が振り向くと・・・・そこには誰もおらず、代わりに足音の主の左手に小さな本が1冊、右手に濃い紫と濃い緑色をした禍々しい剣が握られていた。
カザリ「・・・・彼って、その本と剣のこと?」
???「あぁそうさ。・・・・まぁ、見ててくれ。」
そう言うと、足音の主の手から本が浮かび上がり、本から漏れ出た闇が人型に形成されていく・・・・その人型が完全に形を成すと、足音の主はその怪人に話しかけた。
???「・・・・なんだぁ?ここは・・・・?俺はあの時本ごと消滅したはずだが?」
???「やぁデザスト君。君の本は私の力で修復させたよ・・・・少し、パワーアップさせたけどね」
デザスト「・・・・ふ~ん、で?俺がお前に協力するとかおもってんのか?」
???「この世界にいる仮面ライダーを倒してほしい・・・・それも9人だ。」
デザスト「ははっ!9人!そんなにいんのかよ!・・・・その中に炎の剣士はいるんだろうな?」
???「もちろんさ・・・・そこで、君にはパワーアップさせた君自身の本とこの剣を使ってほしい。」
そう言うと、足音の主は右手に持っていた禍々しい剣を差し出した。本から出現した怪人・・・・デザストは、その剣を握ると、ニタッと笑った。
デザスト「・・・・ははっ!こいつはマジかよ!何でこの剣がここにあるのか知らねぇが・・・・いいぜ、やってやるよ!」
???「よろしく頼むよ、デザスト君。」
僕は、2人の会話を聞きながら・・・・また空に視線を移した。
ちょっと、今回出て来た単語について説明します。
空間の壁・・・・パラレルワールドごとに存在する目に見えない神秘の壁。これを破壊されると、空間の狭間が世界に広がりパラレルワールド同士が引き合い、消滅してしまいます。(仮面ライダーやディヴェンジャーには見えます)
空間の狭間・・・・空間の壁の中にある灰色の空間。強大な力があり、1つはあらゆる物質を引き寄せる強力な引力、そしてもう1つはあらゆる存在を消滅する力。空間の壁は、この空間の狭間を抑え込む為のシャッターみたいな物だと思ってください。
鍵・・・・あらゆるパラレルワールドに存在する空間の壁を維持する装置だと思ってください。この鍵に選ばれる者は、その世界の象徴といえる存在で、1人の世界もあれば50人なんて世界もあります。この鍵が消滅すると、空間の壁が維持できなくなり、中の空間の狭間が抑え込めなくなってしまいます。
こんな感じですかね。ちなみに次回から2話分くらい、本編とは関係ないギャグ回を挟みます!
次回【第15話 雷羽教官による追試対策プログラム!】