「…ふぅ」
静寂が支配しているこの執務室
変わりのない書類の山
ここはロドス、通称『ロドスアイランド製薬』
致死率100%の死の病『鉱石病』に特化した製薬である
しかしこれは表向きだ
実際は『レユニオン・ムーブメント』と言う感染者の言わばデモの様なものに対抗する組織
…ここまでしか知らない
どうやら俺はここのドクターだったらしい
悲しい事なのか嬉しい事なのか俺は記憶喪失になってしまった
そう、何一つ前の事なんて覚えてない
日記の一つや二つ、あるいは何かしらの情報も無いのかと調べてみても結局は何一つ見つからず…前の俺はどんな人だったのか分からないが今では割といい生活を送っている
沢山の友情やら色々な事を経験したからな
「ドクター、失礼します」
「ん」
少しノック音がなり姿を表した少女、名前はアーミヤ
頭にうさ耳が生えている、身長は約140cm台と少し小さめだがここロドスのCEO、つまりトップの人だ
…悲しい事にこの子も鉱石病に感染している
こんな小さな子が
「書類を受け取りに来ました」
「あぁ、ありがとう…そこにあるのをお願いしてもいいか?」
「はい!分かりました」
アーミヤは俺が処理した書類の束を持って部屋から出ていこうとしたが…
「あ、そういえばドクター?ケルシー先生が呼んでいましたよ?」
「ケルシーが?分かったすぐに向かう」
椅子から立ち上がりやや早歩きでケルシーの元へ向かう
コンコンと扉をノックする
「ケルシー?アーミヤに呼ばれてきたんだが…」
「入れ」
入れと言われたので中に入る
ケルシー、医療オペレーターの1人…と言うかアーミヤ同様ロドスのトップに入る1人
冷たい態度は取ってくるが根は優しいので特に問題は無い
しかし、ケルシーは記憶喪失になる前の俺を知っているらしいが…聞いても答えてはくれない返ってくるのは『後悔するぞ?』とか『まだ知る必要は無い』でバッサリ切られて会話が終了させられる
まぁいずれか分かることだろう
「んで、今日はどうしたんだ?」
「…」
「…重い内容か?」
「いや、少し呆れているだけだ」
「俺にか?」
「いいや…」
ケルシーは歯切れが悪そうだ
「とりあえず要件だけ聞かせてくれ」
「…ドクターは料理が出来るか?」
「はい?」
「料理は出来るかと聞いているんだ」
予想外の質問に俺は素っ頓狂な反応をする
「まぁ…グムやマッターホルン、ジェイに聞いたりして練習とかしてたな、今じゃいい趣味になっているよ」
「その料理はブレイズに食わせたか?」
「食わせたって言い方は…まぁいいや、食べさせたな」
「やっぱりか…」
何だ?ブレイズがまた何かやらかしたのか?
前は…禁酒させられて合成コールを食べたんだよな
そこまでして酒が飲みたいか…?
「…貴様がブレイズに料理を振舞ったせいかオペレーターの大半が料理を食べたいを言い出したぞ?」
「何故?」
「おそらくブレイズが広めたんだろう…」
いや料理なら好きな時に作ればいいし…
だがそれくらいじゃ問題にならないんじゃないか?
「それでだ、以前アンケートを取ったのは知っているか?」
「あぁ、ロドスの宿舎や食堂、訓練室の不備やら不満やら調査する奴だな」
「そこの最後に自由項目をつけたんだが…」
「だが…どうなったんだ?」
「大半…いや全てのオペレーターが『ドクターの料理が食べたい』だったんだ」
「…」
何も反応が出来なかった
アンケートに書くくらい食いたいのかよ
てか、そうなったらさっき会ったアーミヤもそう書いてたって事か!?
「そして…ここからかなり話がややこしくなる。クロージャがそのアンケートを面白く思ったのかロドスの空き部屋1つを改造し新しい食堂を作ったんだ」
「…」
嫌な予感がする
「…まさかとは思うが俺がそこを運営しろとは言うまいな?」
「…現実は非情だな」
「はぁ…」
予感は的中したようだ、最悪な方向でな
「それにもう企画書も来ている」
そういうとケルシーはこちらに1つの書類を渡した
「新たな食堂の設立…なお現在の食堂より小さいためその場所はカフェとして設立…この場所はオペレーターの任務の疲れを癒す場として使用する事とする、なお料理人はドクターが相応しいと思われる…」
「…」
「なぁケルシー拒否権はあるのか?」
「…三日三晩、貴様に思いを寄せているオペレーター全員が押しかけてきてもいいなら」
一瞬考えたが最悪な未来しか来ないので俺は静かにその書類にサインした…
「ハロードクター!」
「…」
俺はクロージャの頭を思いっきり掴んだ
購買部の1人、月パスやら菓子やらレーションやらを売買している場所
しかし今回ばかりは怒っていいだろう
「ちょ、ちょっと出会い頭のアイアンクローはやめてー!」
「貴様ァ…!」
「わ、悪かったよ!悪ふざけしたのは!でも、ドクターだってオペレーターの疲れとか癒したいとか思わないの?」
「思うけど今は書類仕事と睡眠で精一杯だ」
「え?でも最近はレユニオンの動きも鈍くなってきたんじゃ…」
「どっかの誰かさんの始末書を書いているからな」
「うっ…」
「…いい加減俺をグッズとして売買するのはやめてくれ、オペレーター達が俺のイラストが入った抱き枕とか持ってたら俺が泣きたくなるし二度とあの悲劇を見たくない」
そう、この悪ふざけも今回が初めてという訳では無い
前回は抱き枕、前々回は秘書になれる券、前前々回は…これ以上は思い出したくない
特に秘書になれる券だ、これがヤバかった
この紙切れ1つでロドス内で戦争が起きた
シルバーアッシュとイグゼキュターが殴りあったり
テキサスとラップランドが死ぬギリギリまで切りあったり
スカジとへラグがぶつかってロドスの一部が消し飛んだりとまぁヤバかった
最終的にその戦争は俺がその券を破って終幕となった
…破った後悲痛な叫び声が聞こえた気がしたがな
「んで、俺がここで店をやればいいのか?」
「話が分かるようで助かるよー!」
「だが書類や指揮はどうする?」
「それはね!PRTSの知能を上げて書類仕事に適用出来るようになったんだ!」
「ほぉ…?」
「ま、待ってアイアンクローの準備はしないで!今回のは大丈夫だから!」
「前回サーマルEXに書類仕事の機能を搭載した結果書類の大半を燃やし尽くしたから信用出来ねぇよ…それで?書類仕事はPRTSが処理出来るようになったからここで働けと?」
「と言っても完全に出来るわけじゃないから少しは書類仕事もドクターにやってもらわなきゃいけないけどね…」
「共同作業か…あの量を?」
「そこら辺は…ほら!ドクターが分裂する薬とか作れば」
「ぶっ飛ばすぞ」
「ご、ごめん!」
「…はぁ、わかったよ。午前は書類、午後は店それでいいか?」
「ありがとう!ドクター!」
やるしかない…か
「んでメニューは?」
「え?」
「だからメニュー、レシピとかあるんだろう?」
「…それは、シェフの気まぐれで」
「もう少し考えてから行動しろ…!」
「痛い痛い!!ごめん!」
そうしてドクター兼料理人としての生活が始まった…
語彙力の低さや誤字脱字が目立っている可能性がありますが暖かい目で見守っててください
番外編は必要か、不必要か
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いる
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いらない