うん……タイキの言動の書き方難しい。普段まったく書かない上にタイキも馴染みがないからマジで難しい。それはそれとして、タイキには軽率にスズカに抱き着いて、スズカにその豊満な胸を存分に押し付けて欲しいと思う今日この頃です。
放課後のトレセン学園。勉強を終えたウマ娘達が思い思いの時を過ごすこの時間。スズカは普段と変わることなく、学園の外に走りに行く為にジャージに着替えようと寮に向かっていた。
「スズカさん! スズカさん! 大変ですよ!」
そんな彼女を呼び止めたのはフクキタルであった。
「どうしたの? フクキタル」
「大変です! 先程スズカさんの事を占ってみたら、今日は柔らかい二つの丸い物体に襲われると出ました! 今日は外に出ずに自室に居るのが吉です!」
「そう、わかったわ」
フクキタルの忠告を軽く聞き流し、スズカは寮に向かう。フクキタルが占いと称して突拍子もない事を言い出すのはいつもの事であり、スズカは真面目に取り合うつもりはなかった。そして、自室でジャージに着替えた彼女は学園の外へ向かおうと廊下を静かに走っていると。
「Ohhhh! 探しましたよスズカ!」
廊下の先から走ってきたのはタイキであった。スズカは避ける間もなく、そのままタイキと正面から衝突。彼女の豊満な胸に自分の顔から突っ込む形になった。
「スズカー! 捕まえましたよー!」
「ムー! ムー!」
豊満な胸に顔が埋まり、抱きしめられたスズカに逃げる術はなく、彼女は必死に暴れる。その甲斐もあってか、少ししてタイキはスズカを開放した。
「はー……はー……タ、タイキ。何の用なの?」
「スズカー、私の耳の中を見て欲しいんデース。耳の中がゴワゴワして、とても気になりマース」
そう言ってタイキは自分の耳をスズカの方に向ける。とは言え、タイキより背の低いスズカでは外側しか見えないのだが。
「えっと……タイキ、そう言うのは保健室で見てもらうほうが早いと思うんだけど」
「そんな事言わずに見てくだサーイ! お願いしマース!」
そこまで言われてはスズカとしても無理に断る気にもなれず、彼女は結局自室でタイキの耳を見る事になった。スペシャルウィークはちょうど外出中なのでスズカとしても遠慮なくタイキを部屋の中に入れられる。
「それじゃぁタイキ、ちょっと屈んでね。えーと、スマホのライトで見えるかな……?」
「ohー、早く見てくだサーイ」
タイキに急かされ、スズカはなんとかタイキの耳の中を見る。そして、穴の中に点在するいくつかの耳垢を見つけた。
「んー……これ、耳垢が固まってるみたいね。これぐらいなら私でも取れるから、耳かきしちゃいましょうか」
「ワッツ!? 耳かきって何ですか!?」
「え……? ほら、これで耳の中を掃除するのよ」
引き出しから取り出した耳かきを見せスズカ。だが、それを見たタイキは不安そうにスズカを見上げた。
「その……スズカ。それは怖いデース。そんな、耳の中にそんな物を入れるなんて、聞いた事がありまセーン」
「え? 嘘。耳かきぐらいなら……あ」
そこでスズカは気づいた。タイキはアメリカのウマ娘である事を。
「もしかして……アメリカでは耳かきって無いの?」
「耳かきなんてありまセーン! 耳の中にそんな棒を差し込むなんて……!」
「んー……大丈夫よ? 私もフクキタルにやってもらった事あるし……多分タイキの耳の中がゴワゴワするのって耳の中耳垢が原因だから、それが無くなればスッキリすると思うし……」
スズカがそう言うと、タイキは不安そうながらもスズカの眼を見つめる。
「本当……デスカー?」
「うん。それとも、タイキは私の事が信用できないの?」
不安そうにしているタイキの目を見ながらスズカが尋ねると、タイキは激しく首を横に振る。
「No! スズカの事は信用していマース!」
「そう。じゃぁ、やっていきましょうね。ほら、ここに頭を置いて頂戴」
ベッドに座り、自分の膝を叩くスズカ。それに誘われてタイキは緊張しながらもスズカの膝に頭を乗せた。
「えーっと……うん、改めて見ても結構汚れてるわね。今から耳かきを入れるから、動いちゃダメだからね」
「oh……は、早くお願いしマース」
スズカはタイキの耳に顔を近づけ、慎重に耳かきを差し入れる。手前の黄色い塊に匙を引っ掻け、何度か動かす。
カリ……カリ……
グッ……ベリツ……
耳かきの感触で耳垢の様子を確認すると、そこまでしつこくへばりついている様子はなく、何度か掻いていけば問題なく取れる。そう感じたスズカは少し力を入れて耳垢を剥がしにかかる。
「NO! スズカ、痛いです!」
「あ、ご、ごめんなさい」
力を入れた途端にタイキが大声を上げる。慌てて耳かきを引き抜き、スズカは様子を伺う。
「えっと……タイキ、大丈夫? そんなに痛かった?」
「んー……ごめんなさい、少し大げさに言ってしまいマシター。次はもうちょっと我慢しマース」
涙目ながらも続きを促すタイキ。それを確認して、スズカは再度耳かきを差し込んでいく。
「タイキ、私を信用して……体の力を抜いて……ほら、耳かきを動かすとカリカリって音がするでしょ? この音を聞いていると気持ち良くなるし……耳かきが剥がれるのも、慣れると気持ち良く感じるの」
「ほ、本当デスカー?」
「ええ。だから力を抜いて……ね」
半信半疑ながらもタイキは力を抜き、スズカを見つめる。その視線を感じながらスズカは耳かきを再開させた。
カリカリカリ……カリカリカリ……
カリカリカリ……カリカリカリ……
改めて耳かきが動き、タイキの耳垢を掻き取ろうとする。だが、タイキは未だに体に力を入れ、手を握りしめている。
「あ、剥がれかけてきた。もうちょっとだから、我慢してね、タイキ」
「ワ、ワカリマシター」
スズカは耳かきを動かし、剥がれかけてきた部分に耳かきの匙を潜り込ませる。そして、そのままテコの原理で一気に引き剥がした。
「Oh! い……痛かったデス……」
「ご、ごめんなさい。でも、少しは耳の違和感がなくなったんじゃないかしら?」
スズカに問われ、タイキは少しの間耳の感覚に集中し、それから頷いた。
「確かに……違和感が少し減ってマース」
「そう、良かったわ。それじゃぁ耳掃除を続けて行くから、おとなしくしててね」
ガリガリガリ……ベリッ……
カリカリカリ……ベリベリッ……
スズカはタイキの様子を見ながら耳かきを動かし、耳垢を掻き出していく。耳垢が剥がされるたびにタイキは体を固くし、手を握り締めるが、それでも止めるようには言ってこないので、スズカはそのまま耳かきを続けていく。
「カリカリカリ……カリカリカリ……ん、これで目ぼしい耳垢は全部取れたかしら。どう? 違和感はまだある?」
「No……耳の中がゴソゴソする感覚は無くなりまシター。スズカ、ありがとうゴザイマース」
自分の耳に意識を集中させ、違和感が無くなってる事を確認したタイキは笑顔でスズカにお礼を述べる。
「うん、良かった。それじゃぁ、耳の中にローションを塗ってケアをするから、もうちょっとこのままで居てね」
そう言って、スズカは耳かきを横に置き、代わりに綿棒にタップリのローションを付けると、タイキの耳の中、耳垢のあった場所を重点的に塗っていく。
「oh……冷たいデース」
「ちょっと我慢してねタイキ」
体を震わせるタイキの頭を撫でながらローションを塗り続けるスズカ。程なくしてローションを塗り終えると、そのままタイキの耳に顔を近づけ。
「ふ~……ふ~……」
「What!?」
息を吹きかけられたタイキの体が跳ねあがり、危うくスズカの額に激突しそうになる。
「ちょ、危ないわよタイキ」
「デ、デモ、突然あんな事をされたら驚きマース」
「耳かきの後に息を吹きかけるのはお約束だから、次は我慢して頂戴」
涙目のタイキにそう言いつつ、スズカは再び耳かきを手に取り、タイキの反対側の耳に差し込んでいく。
カリカリ……カリカリ……
カリカリ……カリカリ……
軽い音と共に耳垢が擦られ、剥がされていく。反対側の耳のほうは最初程汚れてはいないようだが、片方だけ耳掃除をするというのはスズカにとって中途半端なものなのだ。
「タイキ、ほら、こっちの耳の中も綺麗になっていくわ。このまま全部綺麗にしちゃうから、我慢しててね」
「が、がんばりマース」
タイキの耳の中にカリカリ……ペリッと耳垢を掃除する音が木霊する。初めての耳掃除ではあるが、既に片方の耳掃除を終えているおかげか、タイキの体に篭る力は僅かばかりに弱まっている。
「カリカリカリ……カリカリカリ……ん、こっちはそんなに汚れてないし、このままささっと掃除しちゃうわね。カリカリカリ……」
「なんだか……不思議な気分になってきマシター。痛いのに、気持ちいいデース……」
タイキの様子にスズカは過度に気を使う必要はもうないと判断し、耳かきを続けていき、程なくして汚れを全て取り終えると、再びローションを塗り、最後に息を吹きかけた。
「ふ~……ふ~……はい、これで終わりよ。どう? もう耳の違和感はない?」
「ハーイ! すっかり良くなりマシター! ありがとうございマース」
そう言うとタイキはスズカの膝枕から頭を上げ、自分の耳を動かす。違和感を感じさせないその動きに、スズカは達成感を覚えるのだった。
翌日、教室でフクキタルとスズカが話をしていた。
「ムム……スズカさん、今日も柔らかい二つの丸い物に襲われます! それもすぐにです!」
「また? フクキタル、丸い物っていったい……」
「ハーイスズカー! 元気にしてマスカー!」
突然隣からスズカに抱き着いたタイキによって、スズカの顔はタイキの胸に完全に埋没する。
「あれから調子がとてもいいデース! 耳かきをしてくれてありがとうございマース!」
「むぐ……! わ、わかったから……離れて……!」
なんとか強引にタイキを引き離すスズカ。それでもタイキは笑顔を浮かべたままスズカに抱き着こうとする。
「スズカ、また耳かきをお願いしマース、気持ち良かったデース」
「耳かきはやりすぎると耳の中が余計に痛んじゃうから、日を空けないといけないの。しばらくは耳垢もできないから……次にやるのは一か月ぐらい後にして頂戴」
「oh……残念ですが、仕方ありまセーン」
スズカの言葉にタイキは残念そうに呟き、肩を落としながら教室を後にした。
「ムムゥ……タイキさんは嵐のように去っていきましたね」
「そうね。ふぅ……ん?」
タイキが去った後、彼女をの事を語り合う中、ふとスズカはフクキタルの胸に視線が行く。あまり目立たないが、フジキセキ寮長ともタメを張れる程のサイズであるフクキタルの胸。そして、それを上回るタイキの胸はまさに丸いと言えるだろう。
「……少しぐらい、フクキタルの占いを信じても良いかもしれないわね」
「ムム! スズカさん、ついにシラオキ様の事を信じてくれるのですね! ではでは、こちらの開運グッズを……!」
「あ、そう言うのは要らないから」
スズカの言葉にどこからか取り出した開運グッズを差し出すフクキタル。しかしスズカはそれをすげなく断るのだった。