ウマ娘耳かき小説   作:雨宮季弥99

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ビワハヤヒデで耳かき(地の文あり)を書きました。お姉ちゃんなビワハヤヒデの髪の毛に顔を埋めて、仕方がないやつだな。と満更でもない表情をされるのは多分一度はやってみたいことだと思います。

追記
体調不良のせいか普段より起きる時間がお遅くなり、投稿が遅くなりました。ごめんなさい。


ビワハヤヒデ(地の文あり)

私の名前はビワハヤヒデ。菊花賞を始めとして、中、長距離のレースで戦績を納めているウマ娘だ。

 

 同期のタイシンやチケットと共にBNWと呼称されたりしているが……私は未だ未熟だ。妹のブライアンは三冠を達成し、今もなお圧倒的な実力を示している。ブライアンの姉として、私は胸を張る事ができるだろうか……?

 

 こんな私だが、幸いトレーナー君には恵まれたと言えるだろう。こんな私を支えてくれて、人バ一体、二人三脚で歩んでくれた彼には常に感謝していると言える。

 

 ……だが、たまに頭が大きいとか、フサフサと言って髪に顔を埋めようとしてくるのはどうにかならないだろうか。私の頭は別に大きくないし、髪に顔を埋めるのは……疲れているのは仕方ないとはいえ、もっと雰囲気という物を考えてくれないだろうか。

 

 ……はぁ、あまりトレーナー君の事を考え続けていても仕方ないな。さて、チケットの為に勉強の教え方を考えなければ……理論では赤点は回避できるはず……なんだが……。

 

 そうやって私はミーティングルームでプリントと睨めっこをしている。さぁ、チケットが留年なんてなったら笑い話にもならない、なんとかいい勉強法を考えなくては……。

 

「ハヤヒデ~……」

 

「わっ!? ト、トレーナー君!?」

 

 突然後ろから抱き着かれ、思わず後ろを振り向くと、そこには疲れた顔をしたトレーナー君が居た。

 

「あ~……ハヤヒデに抱き着くと癒される……マジで癒される……」

 

「ちょ……だから……いきなり抱き着くのは止めろと言っているだろう!」

 

 トレーナー君を引き剥がして顔色を見てみる……ああ、これは本当に疲れた時の顔だな。

 

「……トレーナー君、今回も疲れているのか? 今度はどうしたんだ?」

 

「ハヤヒデの事でメディアであれこれしたり書類をあれこれしたり……なまじ功績を出したからって親や親戚から見合いの話が出たりで……」

 

 なるほど、トレーナー君は私が初めての担当ウマ娘であり、まだまだ経験が不足している中で色々な事を処理しなければいけないが故の疲れか。それに……見合いと言うのは少々気になる。これは後で話を聞かなければならないが、その為にもまずはトレーナー君が疲れたままにしておくわけにはいかないな。

 

「わかった、疲れているのだなトレーナー君。さぁ、こっちに来たまえ」

 

 私は仮眠用のベッドにトレーナー君の手を引いていき、そのまま自分の膝枕に寝かせる。他のウマ娘の担当トレーナーは大体この体勢になるまでにひと悶着あるらしいが……そう言う点ではトレーナー君はやりやすいな。素直で良い事だと私は思うぞ。

 

「ふむ……このまま寝てもらうのも悪くはないが……やはりここの掃除をしていこうじゃないか」

 

 横になって良く見えるトレーナー君の耳はそこそこ汚れていたので、ちょうどいいから一緒に掃除をしてしまおう。今回は近くにあるのが耳かきしかないが……次はもっと道具を用意してからやってあげよう。

 

「さて、耳の汚れをと……。ああ、トレーナー君の体調を表しているかのようだな」

 

 目に映るトレーナー君の耳は汚れと同時に肌荒れも所処に見られる。これは疲労によるものだろう。私の為にこれだけ頑張ってくれているのだと思うと、嬉しさと申し訳なさを感じてしまう。

 

「さて……では始めよう。まずは少しでも疲れを取れるように……耳のマッサージからしていこうか」

 

 トレーナー君の耳を摘まみ、上から順番にツボを刺激していく。人間の耳は私達とは違う構造をしているが……事前に勉強をしていて良かったな。

 

「上から順番に……やはり目の疲れや不眠解消等、疲労に関する物を押して行くべきだな。グリグリ……ギュッギュ……モミモミ……ふむ、どうかな? 効果を感じれるだろうか?」

 

「ああ……あー……これ、良いなぁ。気持ち良い。眠くなってくる……」

 

 うーん……これは、思った以上にトレーナー君に疲れが溜まっているようだな。数日は自主練に勤しんで、トレーナー君には休養を取って……いや、目を離していると何をするかわからないし、私が一緒に居るほうが良いか。

 

「ほら、トレーナー君。寝るにはまだ早いぞ。耳かきをしている間に寝られてしまうと、途中で寝返りされてしまうかもしれないだろ。それは困るから、なんとか起きていてくれたまえ」

 

 トレーナー君の肩を揺らしながらそう言うと、トレーナー君はこくこくと頷いたが……注意しないといけないな。

 

「それじゃぁ行くぞ……まずは外側からの掃除をしていこう」

 

 トレーナー君の耳はマッサージのおかげで少し汗を流しているので、それで浮き上がった粉を掃除していく。

 

「ゴシゴシゴシ……ザリザリザリ……ほら、まだ寝るなと言っているだろう。頬を引っ張られたいか?」

 

「いや、ちょ……勘弁してくれ」

 

 トレーナー君の頬を軽く摘まんで引っ張ってみると、慌ててしっかりと目を見開いてくれた。このままなんとか頑張ってほしい。

 

「サリサリサリ……カリカリカリ……うん、この辺りにしておこう」

 

 どうも時間をかけているとトレーナー君が本当に寝てしまうか。もう少しやっても良いのだが、仕方がない。

 

「それでは中の掃除をしていくから……ガリガリガリ……」

 

 ガリガリガリ……ガリガリガリ……

 

 ガリガリガリ……ガリガリガリ……

 

 我ながら単調だと思うが、事細かく時間をかけてやっていてはトレーナー君のほうが限界に達してしまう。その為、余計な部分は掻かず、ひたすら汚れを掻き出していく。

 

「ガリガリガリ……ベリッ……ベリッ……」

 

 汚れ方は特に目立つようなものではないな。場合によっては完全に詰まっていたり、耳垢が強烈にへばりついているせいで剥がした拍子に皮膚を傷つける場合もあるが……そう言う心配が無いのはありがたい。

 

「ガリガリ……ガリガリ……この辺りにしておこうか」

 

 やはり時間をかけているとトレーナー君が寝てしまいそうだ。反応も薄くなってきているし……まだ汚れは残っているが、致し方ないな。

 

「ふ~……ふ~……」

 

「うっ……ふぅ」

 

 トレーナー君の耳の中に息を吹きかけると多少目が覚めたのか、閉じかけていた瞼が開いた。

 

「ほら、トレーナー君。引っくりかえすぞ……よっと。まだ起きてられるな?」

 

「あ……頑張る……わ……」

 

 うん、早い所掃除をしないといけないな。息の吹きかけで目を覚ましたと思ったが、やはり長くは持たないようだ。

 

「耳の外側を……グリグリ……モミモミ……グリッ」

 

「ッ……う……おお……」

 

 トレーナー君の耳を少し強めに揉んでいって、多少の痛みで目を覚まさせながらマッサージを続けていく。まぁ、痛みがあるという事は、それだけツボの効果が出ているのだろう。

 

「耳の外をサリサリサリ……サリサリサリ……」

 

「ふぅ……すー……」

 

 外側をサリサリと粉を掻いていると、いよいよトレーナー君の口から寝息らしきものが漏れ出してきた。急がなければ。

 

「カリカリ……ガリガリ……ゴリゴリ……」

 

「ん……んー……お……起きてる……ぞ……」

 

 少し力を入れて耳垢を掃除していると、再び目を開けたトレーナー君が起きてると言っているが……ああ、そろそろ信用できなくなってきたな。

 

「さぁ、これでお終いだ。ふ~……ふ~……」

 

「…………」

 

 最後の息を吹きかける頃には……まだギリギリ起きてるが、もう反応もなくなっていて、そしてそれを指摘する間もなく、本格的に寝息を立て始めてしまった。

 

「……仕方がない……か。できればもう少し気持ち良さを味わって欲しかったが……それは次の機会にしよう。疲れている原因は主に私なのだから……な」

 

 トレーナー君の頭を撫でながらそんな事を呟く。しかし、今回は我ながら少々強引に進めてしまったが……仕方ないじゃないか。聞き逃せない言葉を聞いてしまったんだから。

 

「お見合い……か」

 

 そうだな、そう言う話が来るのは喜ばしい事なのだろう。昨今では見合いなんて言うのは一般家庭ではとんと縁のない話となり、そう言う話が出る時点でトレーナー君の事が認められているようなものなのだろう。だが……担当バである私に一言もないのは少々いただけない話だ。

 

「トレーナー君。その見合いの相手がどういう相手なのかは教えて貰うぞ。なに、担当バとして当然の権利だ。もしそう言うのを嫌って破談するような相手なら元々トレーナー君の嫁なんて務まらないさ。それに……その場合は私が居るから、安心して欲しい」

 

 トレーナー君が起きたらこう告げよう。そう考えながら、私は彼が起きるのを待つのだった。

 

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