テイオーってなぜか妙にしっとりしてるか、妙に子供っぽさを強調する作品をよく見かけますが、個人的にはそんなにしっとりせず、子供過ぎないテイオーが好きです。
僕の名前はトウカイテイオー。帝王の名前に相応しい、最強のウマ娘だよ。
……って言っても、会長みたいに無敗三冠を達成できたわけじゃないけど。菊花賞の前に骨折。天皇賞でマックイーンに負けた後に骨折。正直……僕の心も折れそうになったよ。
でもね、でもね、皆が僕を応援してくれて、トレーナーがずっと支えてくれた。だから僕は今でも走り続けれるんだ。キタちゃんにも悪いことしちゃったけど、今は胸を張って会えるんだ。
だから、たまには僕からもトレーナーに何かお返ししてあげたいんだけど……どうしよっかなぁ。
「あれれ、どうしたのかなテイオーさんは。何かお困りごと?」
「ん? あ、姉ちゃん」
「誰が姉ちゃんだ」
声をかけてきたのはネイチャだった。あ、そうだ、ネイチャなら何か良い案が思い浮かぶかも。と言うわけで今悩んでる事を説明すると。
「んー。そうだねぇ、それならさ、前にやってあげたって言ってた耳かきしてあげたらいいじゃん。元手もかからないし、男にとっては異性に耳かきしてもらえるのってめっちゃ嬉しいからね。やって損はないよ」
「そうなんだー。耳かきなら確かに前にやった事あって……うーん……あんまり思い出したくない事もあったけど……まぁいいや。ありがとうね、ネイチャー」
「はーい、上手くやりなよー」
ネイチャにお礼を言った僕は、そのまま自室まで行って、前にネイチャに貰った耳かきを持ってトレーナーの元へ行く。よーし、前回は色々あったけど、今回こそトレーナーを虜にしちゃうもんね。
「トレーナー、元気ー?」
トレーナー室に入るとトレーナーがパソコンで何か作業していた。お、ちょうどいいじゃん。
「ん? テイオーか。ちょうどひと段落したとこだけど、何かあったか?」
「ねぇねぇ、トレーナー。耳かきしたいよね? したいよね?」
「え……うーん……まぁ……したい、かな?」
うんうん、やっぱり最強ウマ娘の僕は運も持ってるよね。よーし、このまま耳かきしていくよー。
「しょうがないなぁトレーナー。それじゃぁ僕が耳かきしてあげるから。ほら、早くこっちこっち」
ベッドに座ってトレーナーを手招きすると、トレーナーはおとなしく僕の膝の上に頭を置いてくれた。さー、耳かきしていくよー……あ。
「……しまったぁ、トレーナーの耳の中って見辛いんだった」
そうだった、トレーナーの耳の中って微妙に曲がっていて見辛いんだよねぇ。
「前もそんなの言ってたけど、そんなに見辛いのか?」
「んー、頭を傾けないといけないんだよねぇ。それに光も入りづらいから……えーと、スマホスマホ」
スマホのライトを頼りに耳の中をなんとか確認する。んー、これぐらいの汚れならささーっと掃除できるかな。
「カリカリカリ♪ カリカリカリ♪」
オノマトペを囁きながらトレーナーの耳の中を掃除していって……あ、もうちょっとで剥がれそう。
「もうちょっとで剥がせそうだよトレーナー。ほら、大人しくしててねー」
耳かきで調子良く掻いて行ったらすぐに剥がれそうになっていって……よーし、このまま一気に行っちゃうよー。
「はい、綺麗に取れたよトレーナー。ニシシ、テイオー様は耳かきも上手なんだよ」
「お……おお、割と痛くなく取れたな。前回より成長したな、テイオー」
「もー、前の事は言わないでよー。僕だってちゃんと成長してるんだよー」
うう……あれの事言われると恥ずかしいなぁ。トレーナーに痛い思いさせちゃったから。でもでも、失敗したまま挽回しないってのもサイキョーには相応しくないよね。
「ほら、トレーナー。まだ耳垢が残ってるんだから、もうちょっと大人しくしててよね」
「あ、ああ。ごめんごめん」
トレーナーの頭を押さえて、また耳かきをしていく。黄色や茶色の耳垢をカリカリっと掻いて、ペリペリッと剥がしていって……。
カリカリカリ……カリカリカリ……
カリカリカリ……カリカリカリ……
「ベリッ♪ ベリッ♪ ……うん、これで大体汚れは取れたかなー。トレーナー、耳の中で痒い所とかない? 大丈夫?」
「ん、大丈夫大丈夫」
「えへへー、やっぱり僕は天才だね。さーて、それじゃぁ反対の耳を……うわわ」
トレーナーが体を動かして僕のお腹の方を向いてきた。ムムー……恥ずかしい……けど、前の僕と同じじゃないもんね。
「トレーナー。そうやったら僕がまた恥ずかしがるって思ったでしょ。残念でしたー。ほら、逆にこうしちゃうからねー」
トレーナーの頭を押さえて、僕のお腹にグイグイ押し付けてやる。どうだ、見たかー。
「ムググ……! ムグー!」
「ほらほら、無敵のテイオー様のお腹に顔を埋めて気持ち良いでしょ。でも、今回は耳かきが目的だから、もう離してあげるね」
手を叩いてくるトレーナーに応じて手を離してあげると、トレーナーはぜーはー息を荒げてた。ちょっとやりすぎちゃったかな?
「ぜー……はー……テ、テイオー……前は悪かったから、もうこれは止めてくれ」
「うーん、そこまで強く押し付けたつもりはなかったけど、ごめんねトレーナー」
素直に謝ってから、改めてトレーナーの頭を抑える。
「それじゃぁ改めて。耳かきやっていくよー」
「ん、頼んだ」
改めてトレーナーの耳の中を……スマホのライトで見ながら確認しながらカリカリカリ。
カリカリカリ……ガリガリガリ……
ゴリゴリ……ベリッ……ベリベリ……
「トレーナーの汚れは……これかな? それともここかな?」
「う……そこ……そこが痒い……」
「ここだねー。ペリペリペリ……お、取れたー♪」
調子良くトレーナーの耳の中を掃除していって……うん、これで耳掃除かんりょー。
「はい、トレーナー。耳の掃除終わったよー。どうだった? 気持ち良かった?」
「ああ、良かった……前みたいに痛かったらどうしようって思ってたよ」
「もー、それは言わないでよー。サイキョーの僕が同じ失敗なんてするわけないでしょー」
「ああ、そうだな」
ふふん。トレーナーも満足してるみたいだし、成功成功。
「トレーナー、これからも言ってくれたら耳かきしてあげるからね。楽しみにしててよ」
「ああ、その時には頼むよ」
んっふっふ。よーし、これからもトレーナーの耳かきしてあげるからね。無敵のテイオー様ならお茶の子さいさいだよ。
後日、カフェテリアでお茶を飲んでいたらネイチャが来たから、耳かきの事を話してみる。
「って具合でね、トレーナー喜んでくれたんだ。ありがとね、ネイチャ」
「ん、上手くいったようで何よりだよ。でもテイオー? なんか話聞いてると、耳の中を掃除しただけっぽいんだけど、どうなの?」
「え? 耳かきだからそれが普通でしょ?」
ネイチャの言葉に首を傾げると、ネイチャがヤレヤレと肩をすくめた。ワケワカンナイヨー。
「あのねテイオーさんや。耳かきってのは耳の外側の掃除とか、マッサージとか、そう言うのも混み込みでやるのが一番なのよ。そっちの方が喜ばれるし」
「えー!? そうなのー!?」
驚く僕の顔を見て、ネイチャが呆れたように肩をすくめた。
「……仕方ないなー、テイオーさんは。耳かきあげたのは私だし、今度教えてあげるよ。暇な時あったら教えてね」
「え!? 本当!? ありがとう姉ちゃん!」
「誰が姉ちゃんだ!」