ウマ娘耳かき小説   作:雨宮季弥99

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トウカイテイオーで耳かき、女トレーナー視点を書きました。

多分テイオーみたいに無邪気に慣れてくるタイプって同性からしても非常に魅力的に見えるんじゃないでしょうか。


トウカイテイオー(地の文あり、女トレーナー視点)

私はトウカイテイオーのトレーナー。ぶっちゃけちゃうと、それ以外には目立って言えることが何もないごく普通の平凡な中央トレーナーである。え、中央のトレーナーはエリートだって? それは周りの超優秀な人達だけで私は当てはまらないんですよ……。

 

 テイオーは超超超優秀なウマ娘なんだけど、彼女の独特の走り方を可能にさせる非常に柔らかい足。それのせいで彼女は菊花賞を前に骨折してしまった。そして、更にメジロマックイーンとの戦いである春の天皇賞でも骨折……無敗も、三冠も達成できず、心が折れそうになった彼女を支え、復帰させてくれたのはメジロマックイーンを始めとするテイオーの友人たちだ。良き友や仲間に恵まれた彼女のトレーナーを努められている今が私にとってとても充実している時間と言えると思う。

 

 そんなわけで、私は今トレーナー室でテイオーの次のレースをどうするかを真剣に考えている。秋の天皇賞……ジャパンカップ……宝塚記念……中距離から長距離に適性のあるテイオーをもっとも生かせるレースはどこになるか……。彼女を輝かせるにはどのレースに出すべきか……。

 

 そんな風にパソコンと睨めっ子してると、不意にスマホが鳴った。

 

「もしもし?」

 

「おー、元気にしてっか? 今日飲みに行かないか?」

 

 電話の相手はネイチャのトレーナーだった。彼も優秀な人なんだけど、ちょっと馴れ馴れしいのが玉に瑕なのよね。

 

「ごめんなさい。今日は色々とやりたい事があるの。今度また誘ってくれる?」

 

「マジか。仕方ないな、また電話するよ」

 

 そう言って電話が切れた。ふぅ、今日中にテイオーの次のレースの事を決めておきたいから断ったけど、ネイチャにはテイオーも世話になっているし、トレーナー同士での繋がりは大事にしたいしだから、次の誘いには参加しよう。

 

「トレーナー、元気ー?」

 

 そんな事を考えていると、テイオーが部屋に入ってきた。なんだろう? 今日は自主練と伝えたはずだけど。

 

「んー? テイオー? ちょうどひと段落したとこだけど、何かあったの?」

 

 私が尋ねると、テイオーは私の元に来て、なんか良い笑顔で私を見てきた。

 

「ねぇねぇ、トレーナー。耳かきしたいよね? したいよね?」

 

「え……うーん……まぁ……したい、かな?」

 

 妙に笑顔で圧をかけてくるテイオーに思わず頷いてしまう。なんだろうなぁ。

 

「しょうがないなぁトレーナー。それじゃぁ僕が耳かきしてあげるから。ほら、早くこっちこっち」

 

 ベッドで私を呼ぶテイオーの姿に、私の脳裏に以前の耳かきでかなり痛い思いをした事を思い出してしまうけど……なんか断っても逃げられそうな気がしないので、覚悟を決めて大人しくテイオーの膝の上に頭を置いた。

 

「……しまったぁ、トレーナーの耳の中って見辛いんだった」

 

 そうしてテイオーが私の耳に頭を近づけてきて……そんな事を言われた。そう言えば前もそんなの言ってたなぁ。

 

「前もそんなの言ってたけど、そんなに見辛いの?」

 

「んー、頭を傾けないといけないんだよねぇ。それに光も入りづらいから……えーと、スマホスマホ」

 

 そしてスマホのライトで私の耳の中を照らしているようで、再びテイオーの顔が耳に近づいてきた。

 

「カリカリカリ♪ カリカリカリ♪」

 

 テイオーがオノマトペを囁きながら耳の中を掃除していく。曲がっているって言われる耳の中を器用に耳かきが入っていって……あ、痒い……! けっこう痒い!

 

「もうちょっとで剥がせそうだよトレーナー。ほら、大人しくしててねー」

 

 痒みで体が動きそうになるのを堪えて……あ、剥がれそう。もうちょっとで剥がれそうな感覚が……。

 

「はい、綺麗に取れたよトレーナー。ニシシ、テイオー様は耳かきも上手なんだよ」

 

 ペリッって音が聞こえたと思うと、痒みが収まって、テイオーが耳垢を捨てるのが見えた。はー……これは……確かに前より上手になったんだね。

 

「ふー……、けっこう綺麗に取れたね。前より成長したんだね、テイオー」

 

「もー、前の事は言わないでよー。僕だってちゃんと成長してるんだよー」

 

 確かに、テイオーは成長率が高いのよねぇ。なんていうか天才肌で努力家で仲間にも恵まれて……それでも勝てない辺り、メジロ家ってヤバくない? ヤバイでしょ、絶対。

 

「ほら、トレーナー。まだ耳垢が残ってるんだから、もうちょっと大人しくしててよね」

 

「あ、うん、ごめんね」

 

 謝る私の頭が抑えられ、再び耳かきが始められる。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 テイオーが囁くオノマトペとは別に耳かきの音が耳の中で聞こえてくる。あー……心地良いなぁ。気持ち良いなぁ。

 

「ベリッ♪ ベリッ♪ ……うん、これで大体汚れは取れたかなー。トレーナー、耳の中で痒い所とかない? 大丈夫?」

 

「ん、大丈夫大丈夫」

 

「えへへー、やっぱり僕は天才だね。さーて、それじゃぁ反対の耳を……うわわ」

 

反対の耳の掃除をするって事で、体を回し、テイオーの腹の方を向く。前はこれでかなり恥ずかしがったけど、無敵のテイオーさんはここは成長したのかな? 検証してみよう。

 

「トレーナー。そうやったら僕がまた恥ずかしがるって思ったでしょ。残念でしたー。ほら、逆にこうしちゃうからねー」

 

 てっきり恥ずかしがると思っていたテイオーだけど、妙に明るい口調でそんな言葉が聞こえたと思ったら、頭が抑えられ、そのままテイオーの腹に思い切り顔を押し付けられた。

 

「ムググ……! ムグー!」

 

 鍛えに鍛えてるはずなのに、服越しに伝わってくるお腹の柔らかさに、何気に身だしなみを気遣うテイオーの体から良い匂いが鼻孔に侵入してきて……ヤバイヤバイヤバイ! このままじゃおかしくなっちゃう! 開けちゃいけないドアが開いちゃう! 逃げようにもガッチリ抑えられて逃げれないし、呼吸が……色んな意味で呼吸ができない……! ヘ、ヘルプミー!

 

「ほらほら、無敵のテイオー様のお腹に顔を埋めて気持ち良いでしょ。でも、今回は耳かきが目的だから、もう離してあげるね」

 

 必死に手を叩いて出してくれと訴えていると、意外とあっさりと放してくれた。すぐに頭を下げて全力で息をする。

 

「ぜー……はー……テ、テイオー……前は悪かったから、もうこれは止めてちょうだい、お願い」

 

「うーん、そこまで強く押し付けたつもりはなかったけど、ごめんねトレーナー」

 

 素直に謝ってきたから……まぁ、良いとしよう。こういう風に素直に謝ってきたなら次はないでしょ。

 

「それじゃぁ改めて。耳かきやっていくよー」

 

「ん、お願いね」

 

 なんだかどっと疲れたけど……反対側の耳かきが始められる。あー……最初に比べて安心して身を任せられるようになったのは、やっぱテイオーとの関係が近くなったからなのかな……。

 

 カリカリカリ……ガリガリガリ……

 

 ゴリゴリ……ベリッ……ベリベリ……

 

「トレーナーの汚れは……これかな? それともここかな?」

 

「う……そこ……そこが痒い……」

 

「ここだねー。ペリペリペリ……お、取れたー♪」

 

 身を任せている間に耳垢が綺麗に剥がされて捨てられていく。耳の中が曲がっているとかって言われている割に特に問題もないのか、カリカリ、ペリペリという音を聞きながら力を抜いていると、程なく掃除が終わったようだ。

 

「はい、トレーナー。耳の掃除終わったよー。どうだった? 気持ち良かった?」

 

「うん気持ち良かったよ……前みたいに痛かったらどうしようって思ってたよ」

 

「もー、それは言わないでよー。サイキョーの僕が同じ失敗なんてするわけないでしょー」

 

「あはは、ごめんごめん」

 

 ふぅ、まさかこんな形でもテイオーの成長を実感するとはねぇ。これからもテイオーの成長が楽しみだよ。

 

「トレーナー、これからも言ってくれたら耳かきしてあげるからね。楽しみにしててよ」

 

「うん、その時には宜しくお願いね」

 

 

 そんなことがあってから数日後、私はいつも通り仕事を続けている。テイオーに耳かきしてもらったせいか、最近は調子が良くて仕事が捗ってありがたい。

 

「ふぅ、テイオーの次のレースの目途も立ったし、練習メニューも大体確立させれたし……ん?」

 

 鳴りだしたスマホに出ると、それはネイチャのトレーナーだった。

 

「おーい、今日飲みに行かないか? たまには互いの担当ウマ娘に関してでも話し合おうぜ」

 

「あ、うん。今日はいいよ。仕事が終わったらまた連絡するね」

 

 前は断った手前、二つ返事で了承し、私は再び仕事に戻る。しかし、あの人もネイチャに首ったけだからなぁ。会ったらどんな惚気を聞かされるのか。

 

 まぁ、今回は私も耳かきをしてもらったって惚気話もあるし、一方的に惚気を聞かされる心配はないな、ヨシ!

 

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