ずぼらなスペに耳かき。と言うリクエストでしたが、正直私の中でスペがずぼらな印象と言うのがそこまでなかったため、色々と考えながら書くことになりましたが、なんとか書けたと思います。王道のCPとは言え、今までまったく触れてこなかったため、新鮮さを感じながら書くことができました。
トレセン学園の寮。千人を超えるウマ娘達が所属する二つの寮では多くのウマ娘達によって日夜慌ただしく活動が行われている。そんな中、とある相部屋で一人のウマ娘が机に突っ伏していた。
「うえええ……課題が終わらないよー……」
課題を目の前にして泣き言を言いながら問題を解いているのはスペシャルウィーク、トレセン学園でも有数の中、長距離を得意とするウマ娘である。既にGⅠレースに勝利しているほか、同期にも同様にGⅠレースに勝利しているウマ娘がいる事から、黄金世代と称されている中の一人に数えられている。
人間、ウマ娘を問わず多くのファンに恵まれている彼女であるが、実生活では完璧とは程遠く、今も学生としての課題に追われている。
「スペちゃん、勉強の方はどう?」
「うう~……な、なんとか……頑張ってますぅ……」
そんな彼女に声を掛けたのは同室のスズカであった。後ろから心配そうに覗き込むスズカにスペは苦笑いを浮かべながら振り向く。
「なんとか頑張って終わらせますから、スズカさんは気にしなくて大丈夫ですよ」
「そう? それならいいけど……もし必要なら早めに言ってね」
「ええ、勿論です」
そう言ってスペは課題を続けていく。スズカはそれを横目に見つつも、過度な気遣いは無用と考えて敢えてスペに干渉せずに普段通りに過ごしていく。そして時間は過ぎていき、やがて就寝の時間になった。
「あの……スペちゃん? 大丈夫?」
「はい~……なんとか……終わりました~……」
かなりの時間を使ったためか、スペは既に体力を使い切っており、机に突っ伏したまま果てている。そんなスペを心配そうに見つめるスズカだったが、スペはなんとか体を起こすと、そのままベッドに歩いていく。
「お休みなさい~……」
そう言うと、スペはベッドに倒れ込み、そのまま眠りについた。そんな彼女に掛布団をかけたスズカも、そのまま眠りについた。
翌日、スズカは習慣の朝のランニングを行い、良い時間に部屋に戻ってきたが、スペはまだ寝息を立てており、スズカは様子を見ながらも授業に向かうために準備をしていくが、その間もスペが起きる様子はなく、流石にまずいと思ったスズカはスペを起こすことにした。
「スペちゃん、スペちゃん。もう時間がまずいわよ、起きて」
「ん……ん-……後5分……」
「そんなベタな寝言言ってないで。ほら、起きて」
「んん……あ、スズカさん……? おはようございますぅ……」
「スペちゃん、時間を見て。早く準備しないと間に合わないわよ」
「え? わ、わああああ!?」
スズカに指差され、時計を見たスペは大慌て準備整える。そして取り敢えず服装を整えたらそのまま全力で部屋を出ていき、それをスズカも追っていった。
そんな事があった日の放課後、授業を終えた二人が部屋に戻ってくると、スペはそのままベッドに倒れ込んだ。
「あう~……今日はもう疲れました……」
「お疲れ様……課題の方は大丈夫だったの?」
「なんとか怒られるのは回避できました~……でも、もうダメです~」
「お疲れ様、頑張ったスペちゃんは良い子良い子」
「えへへ~」
倒れ込んだスペの頭を撫でるスズカ。そして、嬉しそうに耳を動かすスペ。そんな中、スズカの視線がふとスペの耳に向けられる。
「あら? スペちゃん、ちょっと耳の毛が乱れてない? それに……なんだか汚れてる気も。ちゃんとお手入れしてる?」
「あ……あの、最近はちょっとあんまり……」
恥ずかしそうに視線を逸らすスペに、スズカはため息をつく。
「もう、ちゃんと身だしなみは整えないとダメって言ってるでしょ。ライブでセンターを飾ったら一番注目されるのよ」
「うう~、ごめんなさい」
スズカに額を叩かれ、スペは涙目になって謝る。それを見たスズカはそのままスペの手を引いて、自分のベッドに座らせ、自分も隣に座る。
「あの、スズカさん?」
「ほら、私の膝の上に頭を置いて頂戴。このまま耳かきしてあげるわ」
「え!? そ、そんな、悪いですよ」
「自分でやるのって怖いでしょ? ほら、遠慮なんてしなくていいから。私達の仲じゃない」
「う……そ、それじゃぁ……お願いします」
スズカに促され、スペは顔を赤くしながらもスズカの膝の上に頭を置く。そのままスペの耳を覗き込む。顔が近づいた事でスペの顔が更に熱くなる。
「うん……これなら耳かきだけで大体取れそうね。それじゃぁ始めていくわ」
「は、はぃぃ」
耳かきを手にしたスズカがそのままスペの耳に耳かきを這わせていく。
カリカリカリ……カリカリカリ……
カリカリカリ……カリカリカリ……
「ほら、ちょっと掻いてるだけでこんなに汚れが取れてるわ。スペちゃん、聞いてる?」
「ききき、聞いてます!」
スズカに囁かれながらの耳かき。人間より遥かに敏感なウマ娘の耳には当然スズカの視線も、囁かれる言葉も、吐き出される吐息も全てを感じている。それはスペにとって耳かき以上の刺激となっていた。
「ほら、動かないで。カリカリカリ……カリカリカリ……」
「あわわわわわわ」
耳の外側の毛に絡まっている汚れを取り、内側の汚れを耳かきでこそぎ落していくスズカ。黄色く染まった粉を耳かきの匙に集めていき、ティッシュの上に捨てていく。
「取り敢えず外側の汚れを集めていって……スペちゃん? なにか耳が熱くなってない? 大丈夫?」
「だだだ、大丈夫です! 大丈夫です!」
恥ずかしさから顔に血が集まっていくスペ。それによって体温の上昇を感じたスズカが不思議そうに尋ねると、スペは慌てて否定する。
「……まぁいいわ。それよりも……これぐらいでいいかしら? あんまりやりすぎると耳が痛くなっちゃうし……外側はこれぐらいにしておきましょうか」
そう言うと、スズカは匙に残っていた汚れを別のティッシュで拭い取り、それから耳の中に耳かきを差し込んでいく。
ガリガリガリ……ガリガリガリ……
ゴリゴリゴリ……ベリベリべり……
「ん、大きくて固い……スペちゃん、耳垢がちょっと大きいんじゃないかしら?」
「ご、ごめんなさいぃ……」
呆れた様子のスズカにスペは僅かに涙目になる。そんな顔を見たスズカは苦笑を浮かべながらスペの頭を撫でる。
「別に怒ってるわけじゃないわよ。でも、耳が汚れたままじゃ調子も良くないでしょ? だから、ちゃんと耳かきはしようね」
「うううぅ……何も言い返せません」
そんな事を話している間にも耳かきは進んで行き、耳かきがさらに奥に差し込まれていく。
「ん、これ以上は……ちょっと危ないわね。だからこの辺りの汚れまでにしておきましょうか」
「わ、わかりました」
少し深い部分に差し込まれ、スペも体が固くなる。そんなスペにこれ以上負担をかけないように、スズカも集中する。
ゴリゴリ……ゴリゴリ……
ゴリ……ベリ……ベリ……
「うん……大体耳垢は取れてきたし……この辺りにしておきましょう」
「はぁ~……あ、すっごい耳の通りが良くなった気がします」
耳垢が引き抜かれ、自分の耳の調子を確認するスペ。そんな彼女の耳を抑えながら、スズカは顔を近づけ。
「ふ~……ふ~……」
「ひゃあああああ!?」
息が吹きかけられ、スペの口から情けない声があふれ出る。それを聞いてスズカは思わず笑いを浮かべた。
「ス、スズカさ~ん……何するんですかー」
「ごめんなさい、スペちゃんがあんまり油断してたからつい……」
涙目でスズカを睨むスペに微笑ましさを感じてスズカは笑う。
「さ、反対側の掃除、していこうね」
「うう……わかりました」
スペの頭を撫でて機嫌を治したスズカは、そのまま反対側の耳の掃除をしていく。
カリカリカリ……カリカリカリ……
カリカリカリ……カリカリカリ……
「外側の汚れをこうやって、ちゃんと掃除していって……」
「く、くすぐったいですぅ」
「もうちょっと、我慢してね」
外側の掃除でくすぐったそうにするスペの頭を撫でながら、スズカは耳掃除を続けていく。
ガリガリガリ……ゴリゴリ……
ベリベリべり……ズリズリズリ……
「奥の方も……うん……固い物もちゃんと取れていっているわ、ちょっと怖いかもしれないけど、我慢してね」
「はぁ……が、我慢しますぅ」
奥の方の掃除で体を固くするスペに囁き続けながら、掃除を続けるスズカ。
そうして掃除を無事に終えると、そのままスペの耳の毛の手入れを行っていく。
「もう、耳の毛も所々乱れてるわね。私みたいにメンコしてみる?」
「うーん……ちょっと、考えてみます」
そんな事を話しながらスペの耳の手入れも終えたスズカはそのままスペの頭を軽く叩く。
「はい、これでお終いね。スッキリしたかしら?」
「はい! とてもスッキリしました」
「それじゃぁ、今度からはちゃんと自分で手入れできるかしら?」
「う……それは……その……」
「……ファイト♪」
「が、頑張ります!」
スズカに励まされ、なんとかやる気を出すスペ。だが、内心ではそう長くは続かないだろうなぁ。と思うスズカであった。