ウマ娘耳かき小説   作:雨宮季弥99

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オグタマで耳かきを書きました。天然気味なオグリにツッコミ体質のタマはやはり相性がいいですね。


オグタマ

トレセン学園の寮。数多くのウマ娘が生活をするこの建物では大小様々なトラブルが日夜引き起こされているが、それでも平和な毎日を過ごしていると言っても過言ではないだろう。

 

 そんなウマ娘寮の一室、オグリキャップとタマモクロスと言う二人のG1ウマ娘が生活している部屋。その中でタマモクロスは自ら耳かきを使って耳の掃除を行っていた。

 

「うーん、この辺……お、これやな。このまま掻いて……このまま、このまま……」

 

 椅子に座り、目を閉じて集中しながら耳かきを行うタマモクロス。本来自分自身で耳かきをするというのは色々と危険が伴くのだが、家族の耳かきをしてきた経験豊富な彼女は、耳かきの匙の感触に集中し、耳の中に傷が付かないように気を付けながら、少しずつ耳の掃除をしていく。

 

「ここ……うん、これやな。こうして……こうで……んッ……よっしゃ、取れたか」

 

 程なくして小さな塊を引き上げたあとはティッシュの上に捨てる。そして次の耳垢に取り掛かろうとした時、不意に部屋の扉が開かれた。

 

「ただいま、タマ」

 

「ん? オグリか。お帰り、ちょっと今集中したいから、声かけんといてな」

 

 部屋に帰ってきたオグリを横目で一瞥すると、タマは再び自身の耳かきに集中する。細かい汚れこそ取り切れない物の、耳かきが触れた耳垢に意識を集中させ、一つ一つを丁寧に掃除していく。そうして程なくして掃除を終えたタマが視線を横に向けると、そこには目を輝かせたオグリの姿があった。

 

「タマ! もしかして自分で耳かきができるのか?」

 

「お、おう。チビ達にやっとったら大体のコツを掴んだからな。なんやオグリ、自分じゃできんのか?」

 

「ああ……どうしても途中で痛くなったりしてな……タマ、頼む、耳かき……お願いできないか?」

 

「お……おう、まぁ、ええけど」

 

 目を輝かせておねだりするオグリにタマは多少引きながらも承諾する。すると、オグリは心から楽しんでいる事が分かるほどの笑みを浮かべながらタマの膝に頭を置いた。

 

(そんな期待されても困るんやけどなぁ……まぁええわ)

 

「じゃぁ、ちゃちゃっとやっていくで。どんなもんかいな……と」

 

 オグリの耳を摘まみ、汚れを確認していくタマ。

 

「んー? 別にそう汚れてもないで。別に無理に掃除せんでもええと思うけど」

 

「……やってくれないのか? タマ」

 

「そんな目で見上げてくるなや。やったるわい」

 

 不安そうに見つめてくるオグリにため息をつきつつ、タマは耳かきを始めた。

 

「えーと……この辺からやってったるわ」

 

 ガリガリガリ……ゴリゴリゴリ……

 

 ゴリゴリ……ゴリゴリ……

 

 タマの耳かきがオグリの耳の中を掻いていき、汚れを掻き出していく。小さく細かい粉から黄色く凝り固まり変色した耳垢、それに耳の中に入り込んだ、抜けた耳毛や細かいほこりなど、目に付く汚れや異物を順繰りに掃除していく。

 

「ん……ふ……ぁ……」

 

「なんやオグリ、そんな色気のある声なんか出して。そんな気持ち良いんか?」

 

「ああ……気持ち良いよ……タマ。とても気持ち良い……」

 

「……少しは恥ずかしがらんかい」

 

 からかうつもりが、真正面から言葉を返され、タマのほうが逆に言葉を失ってしまう。

 

「……タマ? どうかしたのか?」

 

「なんでもないわ。ほれ、動くんやないで」

 

 タマを見上げるオグリの頭を元の向きに戻し、耳かきを続ける。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 ガリガリガリ……ベリベリべり……

 

 そのまま暫くの間耳かきが続いていき、オグリの耳の中の汚れは取り除かれていく。時折気持ち良い部分に触れる為か、オグリの耳はその気持ち良さに反応して、軽く動きを見せる。

 

「んー……こんなもんやな。言うてそんな汚れ取るわけでもないし、やりすぎると痛いからな」

 

「タマ、私はもっとやってほしいぞ」

 

「欲しがりか。もう片方残っとるやろが」

 

 オグリの額にデコピンをかますと、タマは反対側の耳の掃除を始める。

 

 サリサリサリ……カリカリカリ……

 

 コリコリ……ペリペリ……

 

 耳かきを始めた事でおとなしくなったオグリの様子に呆れながら、タマは耳掃除を続けていく。時折気持ち良さそうに息を吐いたり、目を細めたりする様子に、無意識のうちに家族を重ねる。

 

「はぁ……なんやオグリ、そんな無防備にされたらウチのチビ達思い出してしまうで」

 

「ム……私は子供じゃないぞ、タマ」

 

「どの口が言うとんねん」

 

 頬を膨らませるオグリに呆れるタマだが、その間にも耳掃除は続いていく。こちらもそう汚れてはいなかったのか、耳かきが掻き出す汚れは大して大きい物は存在せず、やがて耳かきが引き抜かれ、横に置かれる。

 

「ふー、これで掃除は終わったでー。ほれオグリ、さっさと起きいや。ほれ」

 

 タマがオグリの肩を揺らすが、彼女はトロンとした目でタマを見上げる。

 

「……タマ、このままお昼寝したい」

 

「いや、ダメに決まっとるやろ。ほれ、さっさと起きんかい……グエッ!」

 

 更に肩を揺らすタマだったが、オグリは不意に体を動かし、タマの腹に顔を埋める形でタマに抱き着く。突然の事にタマの口から思わず呻き声だ漏れる。

 

「このまま……寝る……」

 

「グエエ……おい、オグリ! シャレにならん! 早く離れんかい! オグリいい!」

 

 タマに抱き着くオグリと、引き剥がそうとするタマ。暫くの間そうやって揉めていた二人だが、やがてタマが力尽きたのか、そのまま後ろに倒れ込んだ。

 

「あー……もうええわ。勝手にせい。でも、せめて力は緩めてもらわんとウチの腹が潰れてまう」

 

「ん……わかった」

 

 タマの了承を得た事で、オグリは腕の力を抜き、そのままタマに蔽いかぶさる形で眠りに落ちていった。

 

「……次はもう耳かきはやったらんからな」

 

 眠りに落ちたオグリを見つつ、タマはそう呟いていた。

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